どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年10月22日(火)新発売のファミマ限定カップ麺、東洋水産「マルちゃん 函館麺厨房あじさい 味彩塩拉麺」の実食レビューです。
1930年(昭和5年)創業の老舗「函館麺厨房あじさい」の再現カップラーメンがファミリーマートに登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
函館麺厨房あじさい 味彩塩拉麺
「函館麺厨房(はこだてめんこうぼう)あじさい」とは、札幌味噌ラーメン・旭川醤油ラーメンに並ぶ北海道三大ラーメンの一角 “函館塩ラーメン” の代名詞と言っても過言ではない、全国的な知名度を誇る老舗ラーメン店で、創業は1930年(昭和5年)。函館・大門地区に開業した中華料理店「味彩」を前身とし、現在は五稜郭公園すぐ近くに本店を構えています。
今回の新商品「函館麺厨房あじさい 味彩塩拉麺」は、あじさい三代目店主・東秀一氏(有限会社麺厨房あじさい代表取締役)監修カップ麺で、同店の看板メニュー「味彩塩拉麺(あじさいしおらーめん)」を再現したもの。販売店は一部地域を除く全国のファミリーマートが対象、日清食品の「味仙 台湾ラーメン」と抱き合わせで発売されました。
昭和初期から続く函館の老舗「あじさい」の特徴は、先先代から受け継がれてきた “どんぶりの底まで見えるスープの透明度” にかけるこだわりで、動物系は淀みのない豚骨清湯(透明な豚骨スープ)と鶏ガラ。いずれも濁りが出ないよう丁寧に炊き出し、煮干や昆布から取った魚介系の和風スープを合わせ、ほんのり生姜のアクセント。
澄んだスープに泳ぐ麺は、大正9年創業の “北海道で2番目に古い” 老舗製麺会社「丸豆岡田製麺(まるまめおかだせいめん)」から仕入れる中細ストレート麺で、固めに茹で上げるのが函館麺工房あじさい流。具材には定番のチャーシューやメンマ、函館ラーメンを象徴する麩(ふ)、スープと相性抜群の水菜、ゆで卵に飾り包丁を入れる一手間も個性的。
[写真は本物(本店)の味彩塩拉麺]
その伝統的な味を忠実に守りながら函館しおラーメンの歴史を牽引しているのですが、元中華料理店出身ということもあり、定番の「餃子」はもちろん「味彩広東麺(かんとんめん)」や「味彩蝦天津麺(えびてんしんめん)」「雲呑麺(ワンタンメン)」「五目麺(ごもくめん)」「四川麺(あじさい風キムチ拉麺)」といった中華風の拉麺を提供しているのも特徴的なポイント。
さらに「味彩正油拉麺」や「赤味噌拉麺」「白味噌拉麺」といった定番メニューをはじめ、「背脂拉麺」「メンマ拉麺」「もやし麺」「味彩加里(カレーラーメン)」「味彩つけ麺」「各種チャーシュー麺」等々‥‥店舗によってメニューの内容や価格が異なる場合もあるようですが、中華飯や四川炒飯、天津飯、ロースー飯といった米飯類まで、バリエーション豊かなメニューとなっています。
そんな軽く30品を超えるメニューの中でも一番人気が高いのは、もちろん今回の再現元になっている「味彩塩拉麺」で、それを再現するのはマルちゃんこと東洋水産株式会社。これまでにも東洋水産が手掛ける「あじさい」のカップラーメンは何度か発売されており、2017年12月19日にリリースされたノンフライ麺・どんぶり型の「函館麺厨房あじさい 函館塩ラーメン」が前作。
そして2015年10月27日と2014年1月20日にもノンフライ麺・どんぶり型「函館塩拉麺」をプライムワン(ユニーグループのPB)から発売していた経緯があり、今回と同じくタテ型ビッグの再現カップ麺は遡ること2009年4月に販売されていたのですが、念のため東洋水産に確認を取ったところ、2014年以前のコラボに関する資料は “本社のデータベースに記録されていない” と言われました。
開封
というわけで「あじさい」監修カップ麺が初めて発売された年月日まで正確に断定することはできないのですが、すくなからず現在の東洋水産社員も覚えていない2009年からタイアップしていた歴史があるのは事実。それ以前に丼型があったはずなんですけど、それはさておき今回の小袋は後入れの「特製油」が1袋、約10年半前の縦型ビッグと同じ条件です。
2009年発売品の商品名は「函館麺厨房あじさい 函館塩拉麺」で、たしか2009年4月7日にサークルK・サンクスとユニーのプライベートブランド「UUCS」と「KACHIAL(カチアル)」を統合した、「+KACHIAL(UK)」の発売記念商品として開発。当時の価格は198円、正面の店名下に「函館の名店」とあり、「函館塩拉麺」は縦書きでしたが、ほぼパッケージの雰囲気は変わっていません。
具材は味付豚肉、メンマ、ねぎとシンプルかつ中庸的な構成で、「麺工房あじさい」といえば水菜! と言っても過言ではない水菜や麩は入っていませんが、この豚肉は東洋水産が誇るリアル系の肉具材。メンマも大きめで数が多く、ネギは斜め切りで、見た感じ具材の様子も10年半前の2009年4月発売品から変わっていないという、ちょっとシーラカンス的な商品かもしれない。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:函館麺厨房あじさい 味彩塩拉麺 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34 ) 内容量:92g(めん70g) 商品コード:4901990364591(JANコード) 商品サイズ:縦108mm×横108mm×高さ122mm 発売日:2019年10月22日(火) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙+プラ 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯2分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白)、添付調味料(食塩、植物油、香味油脂、野菜粉末、香辛料、魚介エキス、砂糖、しょうゆ、チキンエキス、ポークエキス、たん白加水分解物、こんぶエキス、酵母エキス)、かやく(味付豚肉、メンマ、ねぎ)/ 調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、炭酸カルシウム、かんすい、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE)、香料、クチナシ色素、カラメル色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
パッケージの雰囲気や具材の構成は変わっておらず、麺もノンフライではなく油揚げ麺が採用されているのですが、前回は熱湯3分の中細ちぢれ麺を採用していたのに対し、今回は「熱湯2分」の細麺に変更されています。株式会社酒悦(しゅえつ)が製造する2018年以降の縦型ビッグ製品は、とにかく麺を筆頭に軒並みクオリティが高いので、確かなレベルアップが期待できそうな今回の新商品。
「酒悦」とは、1675年(延宝3年)創業の老舗で、1983年(昭和58年)から東洋水産グループに入り、以降「本気盛」をはじめマルちゃんの縦型ビッグ製品を生産しています。ちなみに同時発売品「味仙 台湾ラーメン」(日清食品)の値段は212円(税込228円)なのに対し、東洋水産の「函館麺工房あじさい 味彩塩拉麺」は200円(216円)と12円もの差が生じていました。
フタを半分まで開けたら熱湯を注いで2分待機、特製油は後入れなので、食べる直前に入れてください(中身は植物性のオイルですが、事前にフタの上で温めると香り立ちアップ)。さて、まったく調理後の見た目は「あじさい」っぽくないのですが、お店の特徴に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(92g)当たり
カロリー:430kcal |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:430kcal(めん・かやく:366kcal)(スープ:64kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
お店の麺は、同じ北海道内でも札幌味噌ラーメンに使用される黄色い中太ちぢれ麺(たまご麺)とは違う、どちらかというとオーソドックスで普遍的な、ザ・中華麺らしい中細ストレート麺を使っています。対するカップラーメンの麺は、最近のマルちゃんが得意とする進化版ナチュラルウェーブ製法の麺で、断面の四角い角刃でカットされたもの。ただ、再現度は高くありません。
2015年10月発売品(どんぶり型)は縮れの強い旧ナチュラルウェーブ製法のノンフライ麺、2017年12月発売品(どんぶり型)は「マルちゃん正麺カップ」と同じ “生麺ゆでてうまいまま製法” を駆使した太めの平打ちノンフライ多加水麺という、毎回けっこう方向性が大きく変わっていて、今回は加水率の低いタイプ。食べ始めは歯応えがあって、同時に歯切れの良さも目立つ小気味よい食感。
ちょっと固めに茹で上げられるのも同店の特徴と書いたように、歯応えのある弾力は好印象だった反面、油揚げ麺特有の風味が良くも悪くもインスタント感を大幅に強めていたのが残念なポイント。だいたい2年前の製品と比較しても確実にレベルアップしているものの、まだ熱湯60秒〜2分の細麺は、熱湯4分〜5分の麺ほど進化していません。ただ、本体価格200円を考慮して割り切れば悪くないと思います。
スープ
今回はカップが縦型なので、さすがに容器の底まで見えるほどの透過率ではなく、乳化した白湯(ぱいたん)系の動物スープではないものの、粉末野菜による濁りがあります。粉末野菜はポテト、オニオン、ガーリックといった内容で、玉ねぎの甘みと意外に強かった粒状にんにくのアクセントは嬉しかった反面、生姜は目立っておらず、ちょっと粉末ポテトの風味が野暮ったい。
豚ガラと鶏ガラを濁らないように炊いた動物系清湯(ちんたん)が土台、魚介は煮干しを重ね、別添の後入れ特製油は豚脂(ラード)や鶏油(チーユ)などの動物油脂ではなく植物性のオイルが軸。そのオイルを舐めてみると、玉ねぎから抽出した香味油のようなアクセントがあって、スープのコクを深めてくれていたのですが、後半けっこう粉末野菜のザラついた舌触りが気になります。
粒にんにくのシャリシャリとした歯触りは好印象だった反面、もっと細かいパウダー状にされたポテトはネガティブで、スープ残り1口のところまで減らさないと容器の底も見えません。ガーリックとブラックペッパーのアクセントはよかったですし、昆布の旨みも意識されていたけれど、残念ながら「あじさい」の澄んだイメージは伝わってきませんでした。
具材
実店舗のアイデンティティを象徴するような具材は入っていませんが、思いのほか膨れてくれたメンマでボリューム感があり、開封時に漂う香りも芳醇。あまり長いことスープに沈めてしまうとヘナヘナになりますけど、メンマから食べ始めても違和感なく食べられる固さに仕上がるのが嬉しいポイント。
程よい香りで風味のバリエーションが増え、コリコリとした食感も箸休めに効果的。もう一方のメイン具材である味付豚肉は、最初に食べると硬い部分が多く、まだ熱湯2分では完全に戻っていなかったので、食べ始めは麺とメンマを優先するのがいいかもしれません。
味付豚肉は定番の甘辛い味付けで、今回の個体は脂身が少なくて歯応えのある赤身がメイン。ただ、いつもよりサイズは小さめで、上の写真では大きめのサイズをピックアップしたのですが、全体的に細切れが多かったです。湯戻し時間が短いので、わざと小さめにカットしているのかも。
総評
★★★☆☆☆☆☆☆☆(★3)
単純にインスタントラーメンとして評価すると、頭ごなしに総合力が低いわけではなく、スナック的な麺にも独特の魅力を感じた反面、もしパッケージが無地のデザインだったら「函館麺工房あじさい」と言い当てるのは至難の業。で、今回のパッケージは一見して明白に「あじさい」なんですけど、その再現商品として厳しく評価したら★2が妥当かもしれません。
制約の多い縦型なので、もちろん理解しているつもりですし、同社製造の縦型ビッグ(NB商品)をコンビニで買うと税込232円が現在の相場。水菜を再現するのは難しいかもしれないけれど、函館の塩ラーメンらしく麩を入れるとか、透明度の高いスープにこだわるとか、粉末野菜の使い方も違うと思ったので、実食の際は実店舗のイメージを切り離しておいたほうが安全です。