どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年2月6日(月)新発売、日清食品のカップ麺「出前一丁どんぶり 雞蓉味」の実食レビューです。
香港の即席めんブランド売上No.1「出前一丁」が現地の味を逆輸入!? 発売55周年を記念して2000人が選んだ “食べてみたい香港の味” を商品化!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
出前一丁どんぶり 雞蓉味
出前一丁(でまえいっちょう)とは、1968年(昭和43年)2月12日の発売以来、しょうゆベースの素朴なスープと “ごまラー油” の組み合わせで不動の地位を築き上げた日清食品の即席めんブランドで、2023年(令和5年)2月12日に発売55周年を迎えるロングセラー。今では40を超える国と地域で販売され、なかでも圧倒的な支持率を誇る香港の市場では、他の追随を許さない売上を誇る絶対王者です。
今回の新商品「出前一丁どんぶり 雞蓉(ジーロウ)味」は、20歳~69歳の男女・2000名を対象に、日清食品が香港の「出前一丁」において “食べてみたい味” に関するアンケートを実施した結果、カップめん部門の1位に輝いた「出前一丁 碗麵 雞蓉味(CHICKEN FLAVOR)」を日本向けにアレンジしたカップラーメンで、チキンの旨みを効かせたスープと「ごまラー油」の組み合わせが特徴とのこと。
「出前一丁」の発売日は55年前と前述しましたが、その翌1969年には香港に輸入され、当時は珍しかった鍋で煮込む調理方法と “出前坊や” の愛くるしいビジュアルで瞬く間に市民権を獲得。それを受けた日清食品は、1984年10月19日に全額出資で現地法人「日清食品有限公司」を設立。翌年12月には工場が完成し、香港だけの「出前一丁」を製造するなど、日本とは異なる歴史を歩み始めます。
日本における「出前一丁」といえば、日清御三家とも称される「カップヌードル」「日清のどん兵衛」「日清焼そばU.F.O.」らと比較して、どうしても地味な印象が強く、袋麺の分野でも「チキンラーメン」に追いつけない、そのような認識の方も少なくないでしょう。しかし、香港では40種類以上もの「出前一丁」が販売されており、現地の即席めん市場において右に出るブランドはありません。
ちなみに香港での “出前坊や” は、広東語で “日清の子ども” を意味する清仔(チン・チャイ)と呼ばれ、前述のように「出前一丁」の発展にも大きく貢献しており、大衆食堂やレストランなどの外食産業にも深く浸透するなど、一過性の俄(にわか)景気ではありません。なかには他ブランドのインスタントラーメン(公仔麺)と「出前一丁」を区別して、特別な料金を取る飲食店も存在するほど。
わざわざ外でインスタントラーメンを食べなくてもw などと思われるかもしれませんが、香港は共働きの家庭が多いこともあり、外食の敷居が日本よりも圧倒的に低いため、外食の感覚が異なります。というわけで、一般家庭の食卓のみならず、香港では外食産業も巻き込み、他社のインスタントラーメンはもちろん、合味道(香港の「カップヌードル」)をも凌ぐ国民食としての地位を確立しました。
さて、そろそろ本題に戻りましょう。日清食品の「出前一丁」に関するアンケートで1位に輝いた「雞蓉味」は直訳すると広東語で(正しくは「北京語」とのこと)で “チキン風味” を意味し、あっさりとした味わいが特徴とのこと。さらに同アンケートの袋めん部門で1位を獲得した「香辣麻油(シャンラーマーヨウ)味 5食パック」も同時発売となっているのですが、どちらも日本語表記の分は中身も日本国内で製造しているそうです。
つまり、香港で販売されている商品とは仕様が一部異なるようですが、すくなくとも慣れ親しんだ日本の「出前一丁」や「出前一丁どんぶり」とは違う味に仕上がっているはずなので、それなりの異国情緒に期待したいところ。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、食べる直前に加える「液体スープ」のみで、かやくは最初から容器の中に入っている状態‥‥あれ? 出前一丁のアイデンティティといっても過言ではない「ごまラー油」の別添がないw 日本の「出前一丁どんぶり」に別添されている小袋は、粉末スープ+ごまラー油の組み合わせなので、ちょっと寂しく感じたのですが、これも異国情緒?
かやくの構成は、カップヌードルの謎肉(なぞにく)ライクな味付豚ミンチを筆頭に、かきたまフレークとネギの計3種。香港の「出前一丁 碗麵 雞蓉味」には、椰菜(キャベツ)、青葱(ねぎ)、菠菜(ほうれん草)、紅蘿蔔(にんじん)、大豆組織蛋白(大豆たん白加工品)、脫水蛋(たまご)などが入っているようなので、日本向けにアレンジかつ絞られたラインナップ。
ちなみにメーカー希望小売価格は214円(税別)なので、2023年2月現在のレギュラーサイズ製品における標準的な設定なのですが、2023年6月1日出荷分以降、現時点で214円(税別)のカップラーメンは236円(税別)に価格改定。さらに5食パックの袋麺も615円(税別)から680円(税別)に値上げすると日清食品が発表しているため、またもや半年以内に基準が変わります。とほほ‥‥
製品詳細情報・購入価格等
製品名:出前一丁どんぶり 雞蓉味 製造者:日清食品株式会社 製造所:関西工場(滋賀県栗東市下鈎21-1) 内容量:90g(めん70g) 商品コード:4902105276303(JAN) |
発売日:2023年02月06日(月) 実食日:2023年02月09日(木) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:214円(税別) 購入価格:138円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:標準どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:400ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、たん白加水分解物、香辛料、香味調味料、チキンエキス、チキン調味料)、スープ(みそ、植物油脂、しょうゆ、糖類、オニオンパウダー、食塩、ポークエキス、たん白加水分解物、クリーミングパウダー、香辛料、酵母エキス、チキン調味料、香味油)、かやく(味付豚ミンチ、卵、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、香料、炭酸Ca、かんすい、カラメル色素、乳化剤、香辛料抽出物、カロチノイド色素、増粘剤(キサンタンガム)、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、くん液、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。いつもの「出前一丁どんぶり」と同じかと思いきや、日清食品のニュースリリースには “スープがよく絡む中細ウェーブ麺。香港の「出前一丁」の麺の食感を再現しました。” との記載があるため、日本の「出前一丁どんぶり」と同じ仕様ではありません。
別添の小袋は後入れなので、内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」を温めながら待つこと3分。時間になったら麺を軽くほぐし、それから「液体スープ」を加え、よく混ぜ合わせたら完成です。なるほど “ごまラー油” の香りは「出前一丁」らしさを象徴する個性なのですが、同時に味噌の香りも強く、日本では変わり種らしい雰囲気を醸している雞蓉味。
同時発売品の「出前一丁 香辣麻油味 5食パック」みたいに辛さを訴求した商品ではないけれど、香港の辛味水準が日本と同じとは限らないので、念のためラー油の辛さレベルにも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(90g)あたり |
カロリー:402kcal たん白質:9.7g 脂 質:19.5g 炭水化物:46.8g 食塩相当量:5.6g (めん・かやく:1.8g) (スープ:3.8g) ビタミンB1:0.66mg ビタミンB2:0.27mg カルシウム:112mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:402kcal(めん・かやく:353kcal)(スープ:49kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
儚い感じがエモい
日本の「出前一丁どんぶり」に使われている油揚げ麺の原材料名は「小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、たん白加水分解物」となっているのに対し、今回は「小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、たん白加水分解物、香辛料、香味調味料、チキンエキス、チキン調味料」と複雑で、完全に別物(※ちなみに香港の油揚げ麺には「タピオカでんぷん」を使っているため、それとも別物)。
鶏がらベースのローストしょうゆ味が芳ばしい「チキンラーメン」ほどではないけれど、調理前は日本の「出前一丁どんぶり」よりも濃いめの色合いで、コシもヘッタクレもない質感ですが、するすると軽めの口当たりが心地よく、スープとの一体感は申し分ありません。
私は香港の「出前一丁 碗麵 雞蓉味」を食べたことが(おそらく)ないので、再現度の程は評価できないのですが、以前に香港の「雞蓉味」ではない「出前一丁」のカップラーメンを食べたとき、日本の油揚げ麺よりも優しい口当たりが印象的だったことを思い出しました。ちょっと頼りないけど、その儚さがエモい感じの油揚げ麺です。
スープ
もしも「出前一丁」に “味噌” があったら‥‥
「ごまラー油」の芳ばしさは「出前一丁」を象徴するアイテムで、残念ながら別添ではなかったものの、しっかりフロントに感じる自己主張の強さ。ラー油といえども辛さは控えめなので、日本の「ごまラー油」が大丈夫なのであれば、辛さ(辣味)に対して構える必要はありません。
味付けは日本の味噌を中心に、なるほど “こってり” ほど重いテイストではなく、さほど鶏は目立たないものの、味気ないタイプの “あっさり” ではありません。はたして香港らしい味なのかと聞かれたら、日本の味噌ラーメンに通じる味と答えますけど、たとえば「出前一丁 みそ」みたいな感じで通年品にあっても違和感ないくらい、とても親しみやすいスープでした。
かやく
この倍は入れてくれ
味付豚ミンチは「カップヌードル」の謎肉(厳密には違ったとしても同じタイプのダイスミンチ)で、例のジャンクな味わいなのですが、前述のスープに違和感なくフィット。ネギは熱風乾燥の青ネギだったので、これといって書くこともなかったんですけど、かきたまフレークの優しい口当たりには魅力を感じました。でもね、如何せん量が少ない。
総評
これが香港の味だ! という異国情緒あふれたインパクトは皆無に等しく、むしろ日本の「出前一丁」に「みそ」があったら “こんな感じになりそうだよね” みたいな。想像していた以上に親しみやすい味わいで、パッケージから受けるイメージと実際の仕上がりにギャップがあったとするならば、雞蓉味というよりも “ごまラー油が芳ばしい「味噌ラーメン」だったこと” くらい。けっこうギャップあったw
ちなみに「出前一丁 碗麵 雞蓉味」(日清食品香港)の商品特徴には “日清秘伝の製法で鶏本来の旨味を引き出し” 的な記載があったんですけど、鶏本来の旨味よりも味噌が強かったので、結果的に無難な印象を受けるかもしれません。ただ、おいしいですよ。ごま油と味噌さえ苦手でなければ、多くの方が身近に楽しめる味だと思います【author・taka :a(大石敬之)】