どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年12月9日(月)新発売のカップ麺、明星食品「明星 銀座デリー監修 ホットカシミールカレーまぜそば」の実食レビューです。
明星食品×デリー監修シリーズ第11弾の新作は人気激辛カレー「カシミールカレー」を再現したコラボ初の極辛まぜそば開発!!
辛い? 辛くない? 実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
銀座デリー ホットカシミールカレーまぜそば
デリー(DELHI)とは、東京・銀座に本店を構えるインド・パキスタン料理の専門店で、創業は1956年(昭和31年)2月28日と半世紀以上に及ぶ歴史の持ち主。お店の「デリー」という名前は、インド北部に位置する首都に由来し、現在の「デリー 上野店(Delhi Ueno)」が所在する東京都文京区湯島にて1号店「カレーハウス・デリー」をオープンしました。
「デリー」は佃煮(つくだに)の製造・販売を行っていた「田中食品工業」を前身とし、デリーの創業者・田中敏夫氏が当時35歳の時に設立。しかしながら7年後、佃煮の製造が斜陽産業(需要が減少傾向にある産業)になったことを理由に廃業せざるを得ない状況となり、一念発起して新たに始めたのが昭和31年創業のカレー事業「デリー」という流れ。
創業者は戦前、商社マンとしてインド・パキスタン、スリランカに駐在していたらしく、その当時に現地で食べた日本でいうところのカレー的なスパイス料理(※厳密にいうと現地に「カレー」という食べ物はない)を思い出し、大学の学生食堂でスカウトした料理人のアドバイスを受けながらレシピを開発。インドから取り寄せたスパイスを使い、試行錯誤の末に本場の味を再現します。
さらに本格的なインドの香りと刺激を維持しつつ、日本人の主食・白ご飯に合うようにアレンジ。佃煮の製造に精通した知識もさることながら、実家は富山県で味噌や醤油などを扱う食品会社という創業者の出生もあって、他にはない「デリー」だけの味が完成しました。今回の「ホットカシミールカレーまぜそば」を含む銀座デリーのカップ麺に “いつも醤油が使われている” のは、それが所以。
「カレーハウス・デリー」開業当初は個人営業で、スパイスの効いたインド現地の民族食をカレー粉不使用で提供する日本で唯一の専門店として発足。最初は「チキンカレー」と「ポークカレー*1」の2種類でしたが、当時の人々にとってチキンカレーは辛すぎるほどスパイシーだったので、そちらは名前だけで辛いことが分かるように「インドカレー」という商品名に変更。
そして辛さを抑えたカレーを「チキンカレー*2」とし、「チキンカレー」「ポークカレー」「インドカレー」の3本柱でスタートしました。しかし、数年後に “もっと辛いカレーが食べたい” という客の要望が増えたことをキッカケに、今回の再現元である「カシミールカレー」が登場します(*1は後に現在の「コンチネンタルカレー」となり、*2は「デリーカレー」として絶賛販売中)。
「カシミールカレー」が考案されたのは、デリーの創業から4年後となる1978年(昭和53年)。もとは南インド・マドラスをイメージして開発された激辛カレーで、商品名も「マドラスカレー」だったそうですが、販促用のチラシを注文する際 “うっかり” 印刷業者に「カシミールカレー」と書いた原稿を渡してしまったらしく(なぜw)、そのままカシミールカレーとして提供したのが始まり。
いわゆる “黒くて辛いシャバシャバのカレー” が「カシミール」と呼ばれるようになったのはデリーが草分けで、今回のカップ麺も「辛さレベル5(MAX)」となっているように、真っ黒な見た目と突き抜けた辛さの「極辛カレー」がカシミールカレーの特徴。1982年(昭和57年)1月に施行された「改正食糧管理法」によって米の品質(甘み)が向上し、その甘みと極辛カレーの相性がよく、イッキに人気が爆発しました。
開封
そんな激辛もとい極辛(ごくから)の人気No.1カレーを大盛りサイズの汁なしカップ麺にアレンジしたのが「ホットカシミールカレーまぜそば」で、別添されている小袋は「液体ソース」「特製ソース」「ふりかけ」の合計3袋。2015年9月28日に発売されたシリーズ第1弾「銀座デリー監修 カシミールカレーラーメン」から数え、早くも第11弾となる令和最初で最後の新作です。
銀座デリーの汁なしカップ麺は、2016年2月1日発売・シリーズ第2弾の小辛「マサラカレー焼そば」から始まって、同年9月19日に極辛の「カシミールカレー焼そば」を発売。2018年1月29日に大辛の「スパイシーマサラカレー焼そば」をリリースし、銀座デリー監修の汁なしカップめん史上初となるノンフライめん製品「大人のカシミールカレー焼そば」を発売したのが2018年6月25日。
それに続く半年ぶりの新商品「ホットカシミールカレーまぜそば」には油で揚げたフライ麺が採用されているのですが、焼そばではなく「まぜそば」かつ熱湯5分の「極太麺」採用しているのも今回が初の試み。2017年10月16日にリリースされた「みかさ監修 ソース焼そば」以降、明星食品の汁なし極太麺は軒並みハイクオリティなので、今回も麺に対する不安はありません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 銀座デリー監修 ホットカシミールカレーまぜそば 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星 埼玉工場(R)埼玉県比企郡嵐山町川島2360 内容量:165g(めん130g) 商品コード:4902881438391(JANコード) 発売日:2019年12月09日(月) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:角型ビッグ・大盛カップ焼そば 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:770ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体ソース・特製ソース・ふりかけ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ、でん粉、粉末油脂、香辛料、卵粉、香味調味料)、ソース(糖類、豚脂、植物油脂、食塩、しょうゆ、香辛料、ビーフエキス、香味調味料、ローストオニオンペースト、香味油、たん白加水分解物、カレー粉、トマトケチャップ、発酵調味料)、かやく(豚・鶏味付肉、赤ピーマン)、ふりかけ(香辛料、パセリ)/ 加工デンプン、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、酒精、香料、かんすい、増粘剤(増粘多糖類、加工デンプン)、乳化剤、香辛料抽出物、酸化防止剤(ビタミンE)、pH調整剤、カロチノイド色素、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・小麦・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む)※本品製造設備では、乳成分・えび・かにを含む製品を生産しています。 |
実食開始
さて、今回の辛さレベルは5段階中もっとも辛い「5」——さりげなく容器側面の外装フィルムに “極辛” とあり、これまでのカシミール系統も硬派な辛さと複雑なスパイス感が特徴的でした。ちなみに現在3店舗あるデリーの「上野店」はカレー料理専門店、「東京ミッドタウン店」はインドカレー&レストラン、そしてカップ麺の監修店「銀座店」はインド・パキスタン料理レストランとして棲み分けが図られています。
「ホットカシミールカレーまぜそば」のメーカー希望小売価格は税別230円、コンビニで購入した場合の税込価格は248円と地味に高く、実際に立ち寄ったコンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ファミリーマート」「ローソン」「ミニストップ」での取り扱いを確認しました。
今回の小袋はすべて後入れなのですが、そのうち「特製ソースを入れてからは “混ぜない” のが正しい作り方」となっているため、先に液体ソースを入れてから満遍なく混ぜた後、仕上げに特製ソースをかけてください。それでは、極辛レベルの辛さと特製ソースによる味の変化に注目しつつ、「めん」「ソース」「かやく・ふりかけ」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(165g)当たり
カロリー:719kcal |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
むっちり全力で歯を包み込むことに命を懸けているタイプや粘り気よりも歯応えを重視しているタイプ、もっちりとジューシーなタイプなど、明星食品の極太フライ麺には何種類かパターンがあって、今回は中心部にギュッと詰まった密度感を保ちつつ、そこに到達するまでの外層は適度に粘り気のある多加水モチモチ食感といいとこ取り。
食べ始め直後は比較的もちもちとした食感に寄っていて、だんだんと荒熱が取れてくる中盤以降、徐々に内部の気泡が外へ押し出されていくような——実際そういった構造ではないのかもしれないけれど、体感的に後半どんどん麺の密度が増していきます。それに加えて麺量130gの大盛りなので、食べ応えは申し分ありません。
カシミールカレーは良質な米の甘みとマリッジしたことで人気を博し、それにインスパイアされた店は数知れず、まさにカレー界を牽引するほどの存在になりましたが、油揚げ麺との相性も問題なし。そうなるようにソースをアレンジしているからではあるものの、実際に油揚げ麺特有の甘みと極辛ソースの相性はよく、銀座デリー×極太麺もアリだなと思いました。
ソース・特製ソース
デリーのカレーに入っているリンゴは不使用で、原材料に使用しているカレー粉もスワチカカレーパウダー(デリーが製造・販売する業務用のカレー粉)ではないようですが、クミンやターメリック、コリアンダーなどの香辛料をベースに効かせた本格カレー味。ほんの少し苦味のアクセントが面白く、かなり重心の低い味わいで、液体ソース単体でも味が成立するほど濃厚に仕上がっています。
辛さレベルは液体ソースだけの状態で辛口、さらに別添の特製ソースも真っ黒で、その衝撃的な色がカシミールカレーを想起させる重要な役割を担っているのですが、とうぜん見た目だけのアクションではありません。ローストオニオンペーストによる焦がし風味の芳ばしさ、より一層に強化される唐辛子の辛味、そしてフレッシュな “しょうゆ” の風味が「デリー」の歴史を物語ります。
特に醤油は隠し味のレベルではなかったので、もしも食べ始めに違和感を覚えてしまった場合、それが最後まで気になるかもしれません。ただ、慣れるとエキゾチックなスパイスの間に食い込む和のアクセントが面白く、けっこう癖になってくるテイスト。さらにローストオニオンの焦がし風味と芳ばしい甘味が重なって、かなり独創的な楽しいソースでした。
そして近年、わりと非常識な辛さのカップ麺も遠慮なくリリースされるようになったので、それらを基準に判断すると、最終的な辛さレベルは “ふつうに辛口以上〜激辛未満” の「大辛(おおから)」といったところ。だいたいペヤングの「激辛やきそば」ちょい上くらいだったので、騒ぐほどの辛さではないものの、つまり辛い食べ物が苦手な方にとっては120%「激辛」です。
かやく・スパイス
実質的な固形具材は豚・鶏味付肉と赤ピーマンのみですが、どちらも存在感のあるサイズ。味付肉はワイルドな旨味と食感で食べ応えに寄与、赤ピーマンは特有の甘みが辛いソースと対比を描き、前述の液体ソースと特製ソース、後述のスパイスとハーブで香りと味が実に賑やかなので、それを邪魔せずに引き立てるシンプルさが好印象。
ふりかけの中に入っている緑色の乾燥ハーブはパクチーではなくパセリ、朱色がかっている粉末はクミンが強く、パプリカとチリをブレンドしているような構成。ふりかけ自体の辛さレベルは大したことないけれど、見た目に賑やかですし、クミンを多めに配合したチリパウダーっぽいテイストなので、ソースの味と辛さを複雑にしてくれる存在感の強い後がけスパイスでした。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
これまでの「銀座デリー」からは考えられないような極太麺を合わせ、それとの兼ね合いから土台の香辛料は中庸的なバランス型になったようにも思えたのですが、一見して明白な醤油の風味が独特で、しっかりDELHIワールドを表現。その醤油が人を選ぶターニングポイントではあるものの、まだ未体験なら試す価値ありだと思います。
辛さは非常識な激辛カップ麺ほど強烈な辛さではないにしろ、さすが “極辛” とアピールするだけのことはあるので、辛い食べ物が苦手な方は要注意。逆に本気の激辛を求めている場合には物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、その場合は辛さよりもデリーの複雑な香辛料の使い方と醤油の兼ね合いを楽しんでみてください。