どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年02月11日(月)新発売のカップ麺、日清食品「チキンラーメンどんぶり 担々ごまラー油」の実食レビューです。
出前坊やがチキンラーメンを乗っトリ?!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
チキンラーメンどんぶり 担々ごまラー油 2019
昨年2月5日(月)にも発売されていたのですが、なぜか過去記事に残っていなかったことと、今週の新商品としてスーパーマーケットやコンビニでも意欲的に取り扱われていたのでレビューすることにしました。再販なので日清食品から公のリリースはありませんでしたが、ちゃんと公式オンラインストアでは「NEW」マークが付いています。
日清食品の創業者・安藤百福(あんどう ももふく)氏が発明した世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」は2018年8月25日に発売60周年を迎え、また昭和43年(1968年)2月12日に生まれた袋麺のロングセラーブランド「出前一丁」は2018年2月12日に発売50周年を迎えました。
昨年に発売された初版の「チキンラーメンどんぶり 担々ごまラー油」は、「チキンラーメン」と「出前一丁」のアニバーサリーを記念した前倒しのコラボレーション商品として登場し、コンセプトは “チキン” と “ごま” の美味しいコラボ! 馴染み深いチキンラーメンに出前一丁の秘伝ごまラー油や芝麻醤(ねりごま)を入れて担担風にアレンジしようぜ、というものです。微妙にパッケージは異なりますが、ちゃんと岡持ちの中も担担麺になっていて、あいかわらず芸が細かいですね。
ところでNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「まんぷく」も終盤に差し掛かり、高視聴率をキープしながら盛り上がりを見せている世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」ですが、実はチキンラーメンが発売される以前、東明商行の張国文氏が昭和33年(1958年)の春頃に開発・発売していた「長寿麺」という即席麺があり、ほぼ同時期に大和通商の陳栄泰氏が東京で「鶏糸麺(ケーシーメン)」というインスタントラーメンを発売していたので、チキンラーメンは世界で3番目に開発されたインスタントラーメンなんです。
張国文氏の「長寿麺」にいたってはチキンラーメンよりも先に厚生省の特定栄養食品の認定を受け、実際に商品として発売される約2年前の昭和31年(1956年)には第一次南極観測隊にも「長寿麺」を寄贈していた、というのは知る人ぞ知る話。張国文氏は安藤百福氏(台湾国籍から帰化する前の旧姓「呉百福」)が全財産を失う前、日本が食糧難の時代に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)への出入り可能だった彼から小麦などを仕入れていたらしく、その繋がりから安藤百福氏が破産後、チキンラーメンを作る前に日清食品の幹部を長寿麺の工場へ案内していたのだとか‥
その後、チキンラーメンが爆発的にヒットし、それに便乗したインスタントラーメン製造業者が続々と乱立。安いだけが売りの粗悪なインスタントラーメンが横行する中、チキンラーメンの発売から2年後の昭和35年、インスタントラーメンの特許論争が勃発し、その当時に特許を取得していた張国文氏、陳栄泰氏、呉百福(安藤百福)氏それぞれが自らを元祖だと強く主張し始めます。
その間も粗悪な即席麺が出回っていたので、「粗悪品が出回るのを防ぐために特許を一本化したい」と安藤百福氏が張国文氏を説得し、張国文氏が自らの特許「味付け乾燥麺の製法」を現在の価格でいうところの約3億円で安藤百福氏に売却(ちなみに安藤百福氏が出願していたのは「即席ラーメン製造法」)。それから日清食品(呉百福)は大和通商(陳栄泰)と激しく対立し、食糧庁の和解勧告を受けて両者が和解した後にも特許を取得したエース食品(エースコック)が抵抗を続けていたそうですが、なんとか和解しました。
その後は業界の一本化に向けて本格的に動き始めたところ、特許の取り扱いに対して疑心暗鬼になっていた各業者が地域ごとに業界を設立して日清食品に抵抗するという、まるでデモのような状態が続いたそうですが、安藤百福氏は特許管理団体「日本ラーメン特許(国際特許管理)」を設立して特許の管理を一本化し、業界の一本化と特許問題と切り離すことで昭和39年(1964年)6月16日、主要メーカー56社が参加する「日本ラーメン工業協会」を設立、理事長に就任します。
最終的にインスタンラーメンの製造業者は特許さえ使えるのであれば誰が元祖でもいいよ、ってこと泥沼の特許紛争に勝利した安藤百福氏がインスタントラーメンの発明者となり、チキンラーメンが「世界初」を勝ち取りました。とはいえ「チキンラーメン」というブランドをここまで育て上げ、先見の明を発揮し、数々のヒット商品を生み出してきた彼の功績は日本の歴史を大きく変えたことは紛れもない事実です。はい、そろそろカップ麺を開封しますね。
開封
まず通常の「チキンラーメンどんぶり」と大幅に異なるのは別添の小袋が入っていることで、それも「特製担々ペースト」と「ごまラー油」の2種類。稀に小袋が麺の下に潜り込んでいるので、両方とも忘れずに取り出しましょう。ごまラー油は特にオシャレなデザインですが、これは「出前一丁どんぶり」にも入っている別添ごまラー油とも同じデザインです。
麺は現行の「チキンラーメンどんぶり」と同じ原材料で製造されており、もちろん定番の「たまごポケット」も実装。あとは麺に食い込んでいるゴマやネギ、定番の蒸し鶏ではなく謎肉みたいな見た目のダイス状ミンチ、そして写真には写っていませんが、麺の下にネギやゴマ、赤唐辛子(と、バラバラに砕けまくった麺‥苦笑)が事前に入っていました。
ちなみに2012年4月から「チキンラーメン」は国連WFP協会の「レッドカップキャンペーン」にも参加しており、WFP国連世界食糧計画の「学校給食プログラム」を支援。総額3,000万円以上を目標として「チキンラーメン」1食につき0.2円、「チキンラーメンどんぶり」1食につき0.34円、国連WFPに寄付されます。
当初のキャンペーン参加期間は2012年4月1日(日)〜2013年3月31日(日)に設定されていましたが、その後も「百福士(ももふくし)プロジェクト」などを通じ、2005年〜2018年までの間にWFPへ寄付した支援総額は2億8,000万円以上。こんなにも身近に一般消費者でも知らず知らずの間に自然と社会貢献できる機会が用意されている、とても素晴らしい環境が日本には備わっているわけですね。さぁ次は食品ロスの問題ですが、また話が本題から大幅に逸れる前に実食いきましょう。
製品情報・購入価格
製品名:チキンラーメンどんぶり 担々ごまラー油 製造者:日清食品 製造所:滋賀工場(製造所固有記号 O) 内容量:92g(めん80g) 発売日:2019年02月11日(月) 実食日:2019年02月14日(木) JANコード:4902105243114 希望小売価格:180円(税別) 発売地域:全国(全チャネル販売) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:どんぶり型レギュラーサイズ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:2袋(特製担々ペースト・ごまラー油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉、植物油脂、しょうゆ、食塩、チキンエキス、糖類、香辛料、たん白加水分解物、卵粉、デキストリン、香味調味料、オニオンパウダー)、スープ(ねりごま、植物油脂、野菜調味油、豚脂、香味油)、かやく(味付豚ミンチ、ごま、ねぎ、赤唐辛子)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、香料、かんすい、酒精、カロチノイド色素、香辛料抽出物、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、くん液、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
【アレルゲン情報】小麦・卵・乳成分・豚肉・鶏肉・大豆・ごま(食品衛生法で義務付けられた特定原材料7品目と表示が推奨されている20品目の合計27品目について掲載) |
実食開始
「特製担々ペースト」の中身は芝麻醤(ねりごま)と辣油を混ぜたような色あいで、ちょっと独特な香り。で、もちろんノンフライ麺ではありませんが(ノンフライ麺のチキンラーメンも気になるけど)、たぶん特製ペーストを熱湯よりも先に入れると麺の戻り具材に不具合が生じると思うので、真っ先に入れないように注意してください。それから熱湯を注いで待っている間、特製ペーストの小袋はフタの上で温めましょう。
もともと味付け濃いめのチキンラーメンなのに別添のペーストなんて入れて大丈夫? と心配になるかもしれませんが、特製担々ペーストの中身は「ねりごま、植物油脂、野菜調味油、豚脂、香味油」で構成されています。味噌や醤油、食塩など、味が濃くなる調味料は使用されていないので、その点は安心してください。
さて、完成です。チキンラーメンの麺は吸水力が凄まじいので、ある意味お湯を入れて60秒とかのバリカタとんこつカップ麺をレビューするよりも緊張しているのは内緒(笑)。ごまラー油を入れると芳ばしい香りが広がるのですが、その前に特製担々ペーストを馴染ませている時はモヤシっぽい野菜の香りが目立っていました。
それでは、実際に食べてみましょう。「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、最後に総合力を判定します。
1食(444g)当たり
カロリー:10.9kcal |
※参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:444kcal(めん・かやく:370kcal)(スープ:74kcal) |
めん
しょうゆベースのチキンスープで味付けした、香ばしい「チキンラーメン」の麺。
(出典:日清食品「ニュースリリース」)
あまり知られていない情報かもしれませんが、2017年11月20日(月)に発売されていたタテ型ビッグの変わり種「チキンラーメンビッグカップ 鶏白湯」(2018年12月3日に再販)の発売以降、チキンラーメンシリーズに使用されている麺はカップめん、袋めん問わず順次それぞれマイナーチェンジしています。
マイナーチェンジ前の原材料と比較して「香辛料」の含有量が増え(もしくは「糖類」と「たん白加水分解物」の含有量が減り)、新たに「卵粉」が練り込まれました。それによって麺の耐久性と歯切れの良さが向上したような‥気がしないでもないものの、基本的にバツグンの吸水性を誇るチキラー汎用麺なので、ファンの期待を裏切るようなマイナーチェンジではありません。
今回ちょっとノーマルバージョンの「チキンラーメンどんぶり」に使用されている麺よりも味付けを控えめに感じたのですが、芝麻醤を含む別添の特製ペースト付なので、芝麻醤のコクがチキンラーメンの醤油や塩分を包んでいた、という兼ね合いもあるでしょう。私はチキンラーメンを食べた時に塩っぱいと感じることがあるのですが、今回そういった印象は受けませんでした。
スープ・別添ごまラー油
ローストしょうゆ味の元祖鶏ガラスープをベースに、練りごまのうまみと唐辛子の辛みが溶け込んだ担々風スープ。
(出典:日清食品「ニュースリリース」)
ごまラー油が影響する前のスープは、たしかに芝麻醤(ねりごま)のコクと風味を感じるものの、それ以上に湯気から感じたモヤシっぽい風味が優勢で、担担麺らしい花椒の清涼感は意識されておらず、唐辛子の辛さもピリ辛(か、それ以下)。よほど苦手なら話は別ですが、老若男女を問わず幅広い層の方が抵抗なく楽しめそうな辛さレベルです。
もやしっぽい風味を優先して感じたとはいえ、けっこう芝麻醤の含有量は多く、先に「めん」の項目でも触れましたが、これによって醤油のカドが適度に丸くなり、とても食べやすいと感じました。ローストしょうゆ味の芳ばしいスープと芝麻醤は喧嘩する素振りも見せず、ほどよいバランスで共存しています。
「出前一丁」でおなじみの「ごまラー油」。
(出典:日清食品「ニュースリリース」)
曲がりなりにも辣油を冠しているため、辛味成分がゼロではありませんが、それでもピリ辛の範疇を超えません。しかし、ごまラー油ならではの芳ばしい胡麻の香りとローストしょうゆ味の元祖鶏ガラスープの相性は違和感なく溶けこみます。というか実はチキンラーメンに胡麻油を入れて食べるのが好きだったりするのですが、けっこう相性がいいんですよ。
また、特製スープの芝麻醤と胡麻油の香りには相乗効果のようなものがあり、ごまラー油を馴染ませたあとは野菜の香りが減退、芝麻醤が強くなったように感じました。まろやかな芝麻醤のコクがチキンラーメンを丸めてくるので、いつもの変わり種と違ってチキンラーメンは一歩下がっているような印象ですが、我が強い芳ばしさを適度に中和している、このバランスは変わり種チキンラーメンのお手本と言えるかもしれません。
かやく
ミンチ肉、ネギ、赤唐辛子、いりごま。
(出典:日清食品「ニュースリリース」)
赤唐辛子は飾りのようなものだったので特に書くこともないのですが、けっこう多めに入っていた胡麻(粒ごま)のプチッと弾ける芳ばしい食感と風味が芝麻醤、胡麻ラー油とは違った方向から胡麻の魅力をアピールすることで胡麻が多彩になり、製品価値を底上げしています。
ミンチ肉は担担麺らしい挽肉ではありませんが、ジャンクで謎肉ライクな肉具材だったのと一つずつ拾って食べられるサイズだったので、けっこう存在感ありますね。青梗菜ではなくネギなのはコスト状の問題かもしれませんが、スープのベースがチキンラーメンなので、まったく違和感はありませんでした。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
内容量やカロリーなどの栄養成分表示、またJANコード(バーコードの下にある数字)まで一言一句まったく同じなので、おそらくマイナーチェンジなしの完全なる再販だと思います。というわけで昨年の「チキンラーメンどんぶり 担々ごまラー油」が気に入っていた方は同じように楽しめるかと思いますし、あんまりだったなぁ‥と感じていた方はスルーで問題ないでしょう。
今年になって初めて見た、昨年は食べていない、でも自分の好みに合うかも‥と感じた方は、特に入手困難なカップ麺ではありませんので、見かけたら食べてみてください。場合によってはチキンラーメンの個性を弱く感じてしまうかもしれませんが、いい意味で優等生な個性の譲り合いは見事なバランスで、ぜひ今後の製品づくりにも活かしていただきたい「お手本」のような良品です。