どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年9月1日(火)新発売のカップ麺、サンヨー食品「ぶたのほし監修 濃厚とんこつラーメン」の実食レビューです。
兵庫・尼崎の人気ラーメン店「ぶたのほし」監修のカップラーメンがコンビニ限定で新登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
ぶたのほし監修カップ麺
ぶたのほし(TONKOTSU BABY)とは、兵庫県尼崎市長洲西通に店を構える行列必至の名店で、創業は2018年1月20日という新しい店でありながら、国内最大級のレストラン検索・予約サイト「食べログ」のグルメアワード “食べログ ラーメン 百名店(ひゃくめいてん)WEST 2019” に選出。2020年9月現在の食べログ点数も3.74という、たしかな実力の持ち主。
今回の新商品「ぶたのほし監修 濃厚とんこつラーメン」は、サンヨー食品株式会社(サッポロ一番)とファミリーマートの共同開発商品で、パッケージのデザインから味の構成まで「ぶたのほし」が一任で携わり、お店の味に細部まで寄せていくことよりも、あえてスープ・麺ともにデフォルメ感を出していくことをコンセプトにテイストを組んだそうです。
「ぶたのほし」を立ち上げた店主・高田景敏(あきとし)氏は大阪の天王寺出身で、もともとラーメン店とは違う別業態の会社を6年ほど経営していたそうですが、リーマンショックの影響で経営していた会社が倒産する前に解散。その後、海外に行って自分を見つめ直し、40歳になってから超ど濃厚とんこつラーメンの代名詞的存在「無鉄砲」グループに弟子入りしたのがラーメン業界に入ることになったキッカケ。
高田氏は「無鉄砲」で働く以前から、同店のラーメンを年に100杯は食べていたというムテオタ(無鉄砲の熱狂的なファン)で、無鉄砲つけ麺「無心」がオープンした年と同じ2009年6月に入門。当時は大阪に住んでいたそうですが、無鉄砲グループの総大将・赤迫重之(あかさこ しげゆき)氏の勧めもあって、奈良県大和郡山市にある「豚の骨(がむしゃら)」で修行開始。
最終的には店長にまで上り詰め、修行すること9年間。無鉄砲のスープは “豚骨と水のみ” で炊き出す超濃厚なテイストを最大の特徴とし、昼営業だけでも約100kgの豚骨を使用しているため、高田氏が9年間の修行時代に割った豚骨の量は500トン(頭数にして20万頭分)。毎朝、豚の骨を割りながら一頭一頭の個性を感じていたらしく、なかには骨折の形跡が残っていた個体もあったのだとか——
形や大きさの違いはもちろん、雄雌の違い、奇形した骨、その一つ一つに “命がある” と身をもって感じていた高田氏は “これで不味いものは作れない” と心に刻み、独立した際の屋号を「ぶたのほし」と命名。豚骨と水だけど高火力で炊き続ける「無鉄砲」で会得した純とんこつスープはそのままに、老若男女が楽しめる絶妙な濃度の豚骨スープを実現しました。
「ぶたのほし」という屋号にした理由は3つあるらしく、ひとつは “尼崎で小さくてもいいからキラリと光る豚骨屋の星になれたら” というもの。もうひとつは20万頭の豚骨を砕いてきた経験から “豚の命を代表する” という意味を含み、いつか “ミシュランの星を獲る” というのが3つめの理由。まだミシュランガイドには選出されていませんが、工場跡地をイノベーションした清潔感のあるオシャレな店舗で連日行列をつくっています。
さて、冒頭で触れたように、今回のカップ麺は “デフォルメ感を出していくことをコンセプトに” 開発されたもの。デフォルメ(déformer)とは、フランス語で「変形する」「誇張する」という意味の動詞。つまり、忠実に味を再現しているわけではないようですが、その結果 “とてもおもしろ美味しいものができたと感じております” と、店主がツイッターや公式ウェブサイト内で発表していました。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上にある「仕上げの小袋」が1袋。仕上げの小袋に入っているのは液体スープで、ファミリマートの公式ウェブサイト内にある商品情報には “豚骨の旨みをふんだんにきかせた甘みが特徴” と記載。サンヨー食品の豚骨エキスはクセのないタイプが多いので、ある意味お店のコンセプトに誂え向きかもしれません。
実店舗の具材は、とろける食感の薄切りチャーシューに微塵切りの玉ねぎ、メンマ、ナルト、青ネギとシンプルな構成。対するカップ麺の具材も味付豚肉、フライドオニオン、ねぎ、ナルトで、カップ麺にメンマは入っていませんし、味付豚肉もチップ状にカットされたチャーシューですが、あながち的外れなラインナップではないですね。
2020年9月現在、縦型ビッグのカップラーメン(メーカー希望小売価格220円のNB商品)をコンビニで購入すると、税込価格は232円になるのですが、今回のファミリーマート通常価格は212円(税込228円)と良心的。さらにカップ麺の販売から「ぶたのほし」が受けるインセンティブ収入は、すべて尼崎市の児童福祉施設に寄付されるそうです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ぶたのほし監修 濃厚とんこつラーメン 販売者:サンヨー食品株式会社 製造者:太平食品工業株式会社 関西工場 製造所:奈良県大和郡山市額田部北町944(W) 内容量:99g(めん70g) 商品コード:4901734040811(JAN) 商品サイズ:商品サイズ:φ112×118(mm) |
発売日:2020年09月01日(火) 実食日:2020年09月03日(木) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 商品購入価格:228円(税込) ファミリーマート通常価格:212円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、野菜エキス、しょうゆ)、スープ(ポークエキス、糖類、食塩、ゼラチン、クリーミングパウダー、しょうゆ、香辛料、豚脂、酵母エキス)、かやく(味付豚肉、フライドオニオン、ねぎ、ナルト)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工でん粉、増粘多糖類、アルギン酸ナトリウム)、カラメル色素、炭酸カルシウム、香料、酒精、甘味料(カンゾウ)、微粒二酸化ケイ素、クチナシ色素、かんすい、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、乳化剤、ビタミンB2、ビタミンB1、ベニコウジ色素、(一部に小麦・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は熱湯5分の油揚げ麺で、とんこつ味のカップラーメンにしては珍しく太めの麺を採用。有名店が監修した再現カップ麺ですが、かなり油揚げ麺特有のニオイが強く、ちょっと不安な実食前。サンヨー食品の縦型ビッグに使われている油揚げ麺は、けっこう当たり外れが激しいため、評価のターニングポイントになるかもしれません。
別添の小袋は後入れなので、お湯を注いだら待つこと5分。時間になったらフタを全部剥がし、仕上げの小袋を加え、よくかき混ぜたら出来上がり‥‥なのですが、最初から入っている粉末スープに強めのトロミ成分が含まれていたので、小袋を入れる前に粉末スープを完全に溶かし、それから仕上げの小袋を入れ、さらに念入りに混ぜ合わせてください。
ちなみに販売者はサンヨー食品株式会社なのに対し、製造所は太平食品工業株式会社の関西工場(製造所固有記号 W)となっているのですが、太平食品工業は1963年(昭和38年)1月にサンヨー食品が設立した製造部なので、どちらも “サッポロ一番” という認識で問題ありません。それでは、濃厚さの指標に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(99g)あたり |
カロリー:408kcal たん白質:10.7g 脂 質:13.2g 炭水化物:61.7g 食塩相当量:6.9g (めん・かやく:2.2g) (スープ:4.7g) ビタミンB1:0.34mg ビタミンB2:0.59mg カルシウム:366mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:408kcal(めん・かやく:322kcal)(スープ:86-^^kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
スープとは相性良好
通常、とんこつラーメンに使われる麺といえば、加水率の低い極細ストレート麺が定番のイメージで、硬めの歯応えにスパッとした歯切れの良さが特徴的。けれども「ぶたのほし」で提供されている麺は、無鉄砲傘下(しゃばとん)の「○(まる)無製麺」に特注した太めの縮れ麺で、もちもちとした粘り気の強い多加水麺を特徴としています。
対するカップ麺に使われている麺は、丸刃でカットされた縮れの強い平打ち麺で、なめらかな口当たり。ある程度の粘り気は備えているのですが、そこまで加水率の高い麺ではありません。どちらかというと加水率の低い太麺特有の強付きがあり、時間の経過によって粘り気が増すかと思いきや、粘り気よりも歯切れの良さが際立ってくるタイプ。
そのため実際の麺とはタイプが異なるように思いますが、今回のスープとの相性はよく、もし細麺だったらスープに埋没していたかもしれません。なお調理前の香りから感じたように、油揚げ麺の風味も並行するのですが、特有の芳ばしさとスープの豚脂に由来する芳ばしさが重なって、ある種の相乗効果を生み出していました。
スープ
とろみは人工的だが個性的
実店舗のスープは鹿児島の希少銘柄豚 “南国スイート” にこだわり、若い豚のゲンコツ(大腿骨)と背骨を専用の羽釜に入れ、豚骨と水のみを超高火力で炊き出している高粘度スープでありながら、一般的にネガティブとされる癖は最小限。豚骨特有の甘みが強く、しっかり濃厚なのに臭みはない、それが多くのファンを惹き付けている「ぶたのほし」の魅力。
対するカップ麺のスープは人工的な旨み成分が軸を担っているため、インスタント感の強いテイストではあるものの、スープを飲み込んだあとに鼻を抜ける若干の骨っぽさが心地よく、意外に硬派な作り。甘みの源泉は糖類なので、豚骨の甘みとはベクトルが異なるのですが、非常識な甘味度を誇る人工甘味料は使用していないため、舌に纏わり付くような野暮ったい甘さではありません。
見た目は豚骨スープというよりも完全に「豚骨醤油」ですが、実際のテイストは大幅に豚骨サイドに傾いていて、一般的にネガティブとされる癖は控えめでありながら、しっかり豚骨が主軸になっていることが分かります。動物系のエキスもポークのみ、動物油脂も豚脂のみと豚骨に振り切った内容で、人工的な粘度も嫌らしくない、値段を思えば充分な出来栄えだと感じました。
具材
玉ねぎナイス
具材はお世辞にも多いとはいえない内容ですが、多めに入っている青ネギはシャキシャキとした歯触りがアクセントに嬉しく、ナルトが鮮やかに見た目を彩り、フライドオニオンの甘みがスープにフィット。フライドオニオンといっても色が付かない程度に素揚げした玉ねぎのような乾燥具材なので、焦がし系の芳ばしさはないものの、優しい食感と風味が好相性。
味付豚肉はサンヨー食品の縦型カップ麺に入っている汎用のチャーシューチップなので、新開発の具材ではないですし、とても高級感のある具材とはいえないけれど、入っていて邪魔になるような存在でもありません。もうすこし玉ねぎが多いと嬉しかったのですが、この量でも充分な仕事ぶりでした。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4+)
とろみのベクトルも甘さも人工的で、麺のタイプも本物とは異なるように感じたのですが、ひとつのカップラーメンとしては面白く、思いのほか鼻を抜ける豚骨の香りが硬派でビックリ。特定のコンビニ限定商品なので、税込228円必須の商品になりますが、トロミの強いカップ麺が大丈夫なら試すべき価値はあると思います。