どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年7月31日(月)新発売、サンヨー食品のカップ麺「赤から監修 赤から鍋味焼そば」の実食レビューです。
あのイチビキが “赤から加工調味料” を他社に提供!? 暗黙の了解を切り裂いたか、それとも合法か——。天下のサッポロ一番「赤5番」を汁なしカップ麺にアレンジ!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
赤から監修 赤から鍋味焼そば
赤から(あかから)とは、2003年(平成15年)8月2日に愛知県名古屋市中村区で創業した「レジャック店」を皮切りに、株式会社甲羅(KORA CO.,LTD.)が運営している居酒屋チェーンで、秘伝のスープで味わう “赤から鍋” と “鶏セセリ焼” の二枚看板が売り。2023年は上半期に大量閉店で騒がれましたが、8月より全国163店舗にて「20周年創業祭」を開催するなど、盛り上がりを見せています。
今回の新商品「赤から監修 赤から鍋味焼そば」は、赤から店舗で人気を博す「赤から鍋 赤5番」の味わいをカップ焼きそばにアレンジした一杯で、販売者はサッポロ一番のブランドで知られるサンヨー食品。赤5番は、11段階ある辛さの中でも “赤から通なら この辛さ” と称されるレベルで、思わず期待が高まる展開なのですが、実食の前に触れておきたいのが寿がきや食品と「赤から」の関係について——。
赤から監修の即席カップめんといえば、2010年(平成22年)8月の発売以来、愛知県豊明市沓掛町に本社を置く寿がきや食品(SugakiyaFoods Co., Ltd.)がシリーズ化していることで知られ、ちょうど「赤から」が創業20周年を迎えた2023年(令和5年)8月2日現在、それ以前と同様に寿がきや食品の公式ウェブサイトには「赤から」専用の特設ページが組まれています。
そこに掲載されている商品ラインナップは、即席カップめん「カップ赤からラーメン」及び「カップ赤からきしめん」並びに即席袋めん「即席赤からラーメン」及び「赤からきしめん」並びにチルド商品「赤からつけ麺」並びに調味料「赤から麻婆豆腐の素」及び「赤から肉豆腐の素」計7品(以下画像)。
他にも「赤から」監修によるコラボ商品といえば、同じく愛知県は名古屋市熱田区に本社を置くイチビキ(ICHIBIKI CO., LTD.)がストレートタイプの「赤から鍋スープ(1番・3番・5番・10番・15番)」を筆頭に「鍋スティック」「万能たれ」「まぜめんの素」「めんつゆ」「もつ煮込み」「もやし炒めの素」などを展開しているため、寿がきや食品だけの専売特許ではありません。
ただ、おそらく「赤から」とサンヨー食品のコラボは史上初の試みで、同社の公式ウェブサイトでは明らかにされていませんが、手元にある商談用の資料には “イチビキより「赤から加工調味料」を提供いただき(中略)甘味と辛みを加えた-・” との記載があります。長年に亘り「赤から」とコラボを続けてきた寿がきや食品の立場を踏まえて俯瞰すると、あまり穏やかな話ではないですよね。
というわけで、赤から監修による即席カップめん部門はサンヨー食品に奪われてしまうのか、それとも寿がきや食品×赤からコラボそのものが消滅してしまうのか、そももそ商標の使用許諾問題やら技術提供のロイヤリティなど、このブログを愛読してくれているカップめんマニアの友人(@cupman83)も気に掛けていたし、よっしゃ熱く語り合おうじゃないか! などと思っていた矢先‥‥
「赤から」の公式X(旧Twitter)アカウントから「無問題です」などと、まるで言及される前に先手を打つかの如くリプが入ったので、えっと‥‥問題ないみたいですw これも「赤から20th創業祭」の一環なのかな? いずれにせよサンヨー食品×赤からのコラボレーションは、これ限りになるかもしれないレアな組み合わせなので、しっかり押さえておきましょう。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体ソース」の計2種で、どっちも中身が見えない‥‥怪しい(※別に怪しくはないw)。などと思いつつ、それはさておきサンヨー食品の公式ウェブサイト曰く “みそ、しょうゆのうまみに、ポーク、かつおのうまみ、ガーリックの風味(中略)はちみつの甘み、豆板醤、コチュジャンの辛み” が特徴とのこと。
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分。サンヨー食品は有名店監修だろうと関係なく低品質な油揚げ麺を合わせてくることが多々あるため、このブログでは鬼門のように扱っているのですが、同社の公式ウェブサイトに “当社独自製法” と記載されているときは別。今回、その旨が記載されていることから、本格的な仕上がりに期待できそうです。ただし、見逃せないのが値段の問題。
調理前の麺重量は100gなので、汁なしカップ麺の基準でいうところの「レギュラーサイズ」に該当するのに対し、メーカー希望小売価格は「大盛りサイズ」の基準である271円(税別)を5円も上回る値段に設定されています。いわゆる大人の事情もあるのだとは思いますけど、なんせ相場よりも高いので、無視はできません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:赤から監修 赤から鍋味焼そば 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 関西工場 内容量:130g(めん100g) 商品コード:4901734050582(JAN) |
発売日:2023年07月31日(月) 実食日:2023年08月02日(水) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:276円(税別) 購入価格:224円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:角型レギュラー 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:610ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:2袋(液体ソース・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、植物性たん白、粉末卵、チキン調味料)、ソース(糖類、豆板醤、みそ調味料、コチュジャン、豚脂、たん白加水分解物、みそ、ガーリックペースト、植物油脂、はちみつ、しょうゆ、ソース、食塩、ポーク調味料、香辛料、かつお節粉末、酵母エキス、発酵調味料)、かやく(キャベツ、鶏つみれ、唐辛子、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、酒精、かんすい、カラメル色素、香料、焼成カルシウム、パプリカ色素、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、増粘多糖類、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、入っているのは「キャベツ」「鶏つみれ」「唐辛子」「ねぎ」の計4種。この中に新開発の具材は見当たらないため、他の商品にはない個性が備わっているとはいえないけれど、キャベツの量は多く、鶏つみれもゴロゴロと。題材が “鍋” ですから、具沢山なイメージは嬉しいですね。
かやくを麺の上に空けたら熱湯を注ぎ、フタの上で「液体ソース」を温めながら待つこと4分。時間になったら湯切り口を作り、麺の戻し湯を捨て「液体ソース」を満遍なく絡めたら完成です。ちょっと画像では伝わりにくいかと思いますけど、思っていた以上にキャベツの量が多く、豆板醤やコチュジャンを強めに効かせた香りが食欲を刺激してくるファーストインプレッション。
ちなみに製造所は太平食品工業の関西工場(奈良県大和郡山市額田部北町944)となっていますが、太平食品工業は1963年(昭和38年)1月にサンヨー食品が設立した製造部なので、どちらも “サッポロ一番” という認識で問題ありません。それでは、引き続き「赤から」らしさとコスパ的な部分にも注目しつつ「めん」「ソース」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(130g)あたり |
カロリー:571kcal たん白質:11.8g 脂 質:24.8g 炭水化物:75.2g 食塩相当量:4.5g ビタミンB1:0.30mg ビタミンB2:0.33mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
サンヨー食品の本気モード
サンヨー食品の公式ウェブサイトには、麺の特徴について “もっちりとした食感” との記載があり、なるほど噛み始めたときに反発性のある弾力を感じるのですが、さらに噛み込むと内側からプリッ、と弾けるような歯切れの良さが楽しめる、存在感がありながらも重過ぎない質感。
湯戻し中は麺の揚げ油に由来する特有のニオイが気になったものの、後述するソースのパワフルな味付けが功を奏し、いわゆる油揚げ麺臭が実食中に気になることはありません。また縮れの弱さもポイントで、生麺に見紛う質感とまでは評価できないけれど、ノンフライ麺に近い上品さを感じます。いやー、これはクオリティ高いですよ。
調理前の麺重量は100gなので、前述のようにレギュラーサイズの商品に分類されますが、なんのこれしき質を評価するなら充分に値段相応の仕上がり。ザラつきのないストレート麺でありながら、ソースの絡みについても申し分なく、得られた満足度の高さは実際の麺量以上といっても過言ではありません。
ソース
再現度けっこう高い
異国情緒あふれる豆板醤(トウバンジャン)と蕃椒醤(コチュジャン)を強めに効かせ、さらにキリッとした赤味噌を彷彿とさせる日本の味噌もブレンドしているのですが、こっくりとした甘さも分かりやすく、深みのある味わい。甘さの演出に関しては、おおむね糖類が中心なので、やや纏わり付いてくるところもありますけど、それ以上に即席カップめん業界では珍しい蜂蜜(はちみつ)のコクが個性的。
寿がきや食品×赤からコラボでは、ほぼ例外なく(具材の「牛ホルモン」をイメージした)牛脂の風味を強めに効かせているのに対し、こちらは牛に由来する成分さえ使っていないため、そこにイメージとのギャップを感じてしまったものの、たしかに「赤から鍋」の土台を彷彿とさせる味わいから、なるほどイチビキによる “赤から加工調味料の提供” は伊達じゃありません。
オイスターソースや昆布・煮干しの隠し味など、細部に亘るまで完璧に再現できているわけではないのですが、ほんのり鰹の隠し味はワザありで、ちょっと強めのガーリックペーストが食欲を刺激。体感的な辛さレベルは、実際の「赤から鍋」でいうところの赤3、4番くらい? に感じたんですけど、その加減も絶妙で、きちんと「赤から鍋」の魅力が伝わってくる、中毒性の高い味わいでした。
かやく
麺とソースの品質を思えば充分
「赤から鍋」といえばホルモンのイメージが強いので、可能であれば「博多もつ鍋 蟻月 白のもつ鍋風 〆のラーメン(濃厚ニンニクみそ仕立て)」で猛威を振るっていた “味付豚腸” を使ってほしかった‥‥などと、そのように感じた節もありますが、メインの鶏摘入(つみれ)は1個あたりの満足感が高く、ふわふわ&味濃いめで美味。
パワフルな味わいの液体ソースに対し、多めのキャベツも嬉しいポイントで、辛さ控えめ・芳ばしさ強めの粗挽き唐辛子も下支えながらアクセントに効果的。強いて欲をいうならば、牛ホルモンは無理だとしても、ニラや刻み揚げ、椎茸ほか、せめて熱風乾燥(AD)の青ネギではなく凍結乾燥(FD)の白ネギが入っていると嬉しかったんですけど、麺やソースの出来を思えば納得できる内容です。
総評
たっぷりの具材を入れて楽しんだ後の「赤から鍋」をイメージしているのではなく、その基礎となる味わいを再現していたので、漠然と鍋らしい臨場感については控えめといわざるを得ませんが、けっして再現度が低いわけではありません。そんな液体ソースの構成も然る事乍ら、麺のクオリティも高く、具材の量も含め、値段相応の価値が見出せる良品でした。
——あ、そうそう。ページのタイトルにも付けた “寿がきやとの関係どうなる‥‥” についての情報なんですけど、2023年8月21日に寿がきや食品から「赤から監修カップ赤からラーメン」がリリースされる、という情報を入手しました。わりと真面目に権利ぶん取りされたんじゃないかと心配していたので、ひと安心です。笑【author・taka :a(大石敬之)】