どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年7月31日(月)新発売、セブンプレミアムのカップ麺「龍上海本店 山形 赤湯からみそラーメン」の実食レビューです。
昭和三十三年創業、今なお行列の絶えない銘店「龍上海 本店」監修 “山形・赤湯からみそ” のカップラーメンがリニューアル!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
龍上海本店 赤湯からみそ 2023
龍上海(りゅうしゃんはい)とは、今から遡ること65年以上、1958年(昭和33年)7月に “製麺から調理まで一貫した、自家製の支那そば屋” として先先代・佐藤一美(さとう かずみ)氏が創業以来、現在も山形県南陽市の赤湯温泉付近に本店を置く元祖「赤湯からみそラーメン」発祥の店で、まさに生ける伝説といっても過言ではない赤湯の至宝。
その味わいをイメージした「龍上海本店 山形 赤湯からみそラーメン」は、パッケージにセブンプレミアム(SEVEN&i PREMIUM)のロゴを冠しているように、セブン&アイグループが展開している即席カップめんで、東京都渋谷区に本社を構える明星食品と共同開発。山形県は赤湯で行列が絶えない銘店「龍上海 赤湯本店」の味わいを忠実に再現した、本物志向のカップラーメンです。
あらためまして「赤湯からみそラーメン」とは、赤湯地区で江戸時代から生産されている、赤湯温泉の名物・石焼南蛮(石臼で挽いた唐からし粉)をベースに、秘伝の香辛料をブレンドした「からみそ」を特徴とする一杯で、生みの親は「龍上海 赤湯本店」の創業者である佐藤一美その人。しかし、それが最初からメニューに存在したわけではありません。
「龍上海」開業当初は “しょうゆ味” の「支那そば」を提供しており、その頃から自慢の自家製麺も高く評価されていましたが、如何せん現在ほどラーメンの消費量が多い時代ではなかったので、どうしても仕込んだスープが余ってしまう。それは毎晩のように家族の食卓に並び、さぁどうやって残ったスープを消費するか——と、家族総出で工夫を凝らす戦いの日々が続きました。
しかし、その戦いに終止符を打ったのは、後に「龍上海」の二代目店主となる息子・春美さん(現「有限会社 赤湯ラーメン 龍上海」代表)の思い付きで、きっかけは味噌汁。お店の余ったスープに味噌を溶かし、それを汁物代わりに飲みながら、これをラーメンにしたらどうなるだろう——と、実際に試してみたのが「龍上海」創業から2年後となる1960年(昭和35年)の話。
ただの味噌汁に麺を放り込むだけではラーメン(支那そば)として成立しないため、ニンニクを足してみたり、唐辛子を足してみたり、家族のアイディアも取り入れつつ、何度も試行錯誤を重ねた結果、ついに赤湯からみそ伝説の始まりとなる「みそ中華」が完成。ラーメン(支那そば)のスープといえば、当たり前のように “しょうゆ味” だった時代、全国に先駆けて「龍上海」が “みそ味” を確立しました。
ちなみに「赤湯からみそラーメン」は “龍上海の登録商標” で、2023年8月現在は創業者の孫に当たる三代目・佐藤元保(さとう もとやす)店主が「赤湯本店」の歴史と味を守っているのですが、それを再現したのが今回のカップラーメン。このブログでは以前に縦型ビッグの「銘店紀行 龍上海」を何度か取り上げていますけど、大判どんぶり型の「龍上海」と真剣に向き合うのは約9年ぶり。
なにやらセブンプレミアム公式が「龍上海 本店」のカップラーメンに「卵」を割り入れ「ピザ用チーズ」と「バター」「コショウ」をトッピングし、とろたまバタチーで背徳の美味しさ! などと、きわめて “けしからん” ちょい足しアレンジをオススメしているのですが、前述のように大判どんぶり型の「龍上海 本店」をレビューするのは約9年ぶりなので、涙を飲んで通常通りに調理します。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」と「辛味噌」「ふりかけ」の計4パック。パッケージには記載されていませんが、公式曰く液体スープに使用している味噌は “お店と同じヤマイチ味噌100%” とのことで、ここも注目すべきポイント。麺は明星食品が誇るノンフライ製法を駆使した太麺で、独特な見た目が印象的。
ちなみに「龍上海 本店」と明星食品の関係は、2006年(平成18年)12月20日にセブン-イレブン・ジャパンが発売した「地域の名店シリーズ 龍上海」(シリーズ第5弾)まで遡り、販売店は当時の東北地区(岩手・宮城・山形・福島)にあったセブン-イレブン815店舗が対象で、以降も基本的にはエリア限定商品として販売されていました。それから時は流れ——
2018年(平成30年)に「地域の名店シリーズ」そのものが消滅し、その後身として縦型BIGの「銘店紀行」が登場。凄まじくハイクオリティだった「龍上海」のカップ麺も例に漏れず、同年7月30日発売品から縦型ビッグに切り替わり、何度か再販を繰り返した後、2020年(令和2年)12月1日に満を持す大判どんぶり型が復活したのですが、当時の販売店は宮城・山形・福島のセブン&アイグループ加盟店のみ。
直近だと2022年(令和4年)12月6日にも “北海道・東北・関東・甲信越・静岡” 限定で再発売していましたが、今回の販売エリアは “北海道・東北・関東・甲信越・北陸・東海・近畿・中国・四国・九州” に拡大ということで、随分と手に入れやすくなりました。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:セブンプレミアム 龍上海本店 山形 赤湯からみそラーメン 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場(埼玉県比企郡嵐山町川島2360) 内容量:149g(めん80g) 商品コード:4902881484664(JAN) |
発売日:2023年07月31日(月) 実食日:2023年08月06日(日) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(セブン-イレブン) 小売価格:288円(税別) 購入価格:311.04円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:4袋(液体スープ・辛味噌・かやく・ふりかけ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん〔小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、でん粉、大豆食物繊維、香味調味料、酵母エキス、ソース〕、スープ(みそ、豚脂、香辛料、鶏肉エキス、香味油、糖類、しょうゆもろみ、にぼしエキス、みりん、チキンオイル、にぼし粉末、乳等を主要原料とする食品、食塩、醸造酢、酵母エキス)、かやく(チャーシュー、メンマ、ナルト、ねぎ)、ふりかけ(アオサ)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、酒精、ソルビット、炭酸カルシウム、増粘剤(加工デンプン、増粘多糖類)、かんすい、香料、カロチノイド色素、香辛料抽出物、乳化剤、グリセリン、クチナシ色素、ベニコウジ色素、カラメル色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む)※本品製造設備では、えび・かにを含む商品を製造しています。原材料のアオサは、えび・かにが混ざる漁法で採取しています。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、内容はチャーシュー、メンマ、ナルト、ネギの計4種。この組み合わせは、2020年12月1日(GMSでは2020年11月30日)発売品と共通で、さらに遡ると「地域の名店シリーズ」時代との共通点でもあるのですが、それと比較して四角いチャーシューは丸型に、またナルトのサイズも一見して明白に小さくなっています。悲しいけど、これ時代の流れなのよね。
かやく以外の小袋(液体スープ、辛味噌、ふりかけ)は後入れなので、うっかり順番を間違えないように注意しつつ、かやくを麺の上に空けてから熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」と「辛味噌」を温めながら待つこと5分。時間になったら麺をほぐし「液体スープ」を馴染ませ、仕上げに「辛味噌」と「ふりかけ」をトッピングしたら出来上がり。
「地域の名店シリーズ」時代よりもスープの色が目に見えて濃くなっているのですが、セブンプレミアム公式のウェブサイトには “名店「龍上海」の味を忠実に再現!” との訴求があるため、再現度は上がっている様子。はたして老舗の臨場感は伝わってくるのか、念のため辛さレベルにも注目しつつ「めん」「スープ・辛味噌」「かやく・ふりかけ」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(149g)あたり |
カロリー:520kcal たん白質:14.4g 脂 質:17.6g 炭水化物:78.0g (糖 質:74.1g) (食物繊維:3.9g) 食塩相当量:8.4g (めん・かやく:2.0g) (スープ:6.4g) ビタミンB1:1.59mg ビタミンB2:0.52mg カルシウム:179mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:520kcal(めん・かやく:328kcal)(スープ:192kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
ちょっと戻りにくいのが玉に瑕
しっかり沸騰したての熱湯を使い、待ち時間も5分きちんと守ったのですが、万全を期する明星食品のノンフライ麺にしては珍しく、ほぐれにくさが気になる仕上がり。その “ほぐれにくい” と感じた部分は、しばらく硬いままだったので、気になる方は気になると思います。しかし、おかげで凄まじい存在感。
戻りムラを気にせずに食べるには、熱湯5分+液体スープやら辛味噌やら投入してから+5分以上は放置したほうが安全なので、せっかちな方やアツアツ至上主義の方にとってはネガティブな手間になるかとは思いますが、おかげで麺に直接「辛味噌」を絡めても対等に渡り合えるくらい、まったくもって埋没する気配はありません。
ややスープを弾くタイプの麺質ですが、後述するスープの塩気が血圧爆上がりレベルで強いので、ちょっと弾いてくれるくらいが嬉しいバランス感。小麦の風味も芳醇で、麺そのものから滲み出てくる甘さも強く、攻撃的なスープと対比を描く優しさがクセになる取り合わせでした。もうちょいスムーズに戻ってくれたら文句なしではあるものの、結果的な印象は悪くなかったです。
スープ・辛味噌
砲弾のような味噌と凶暴な辛味噌のタッグ
「龍上海 本店」監修のスープといえば、白みそ仕立ての優しい土台に、荒々しい煮干しの風味をガツンと効かせ、さらに別添「辛味噌」のインパクトで畳み掛ける、そんな印象が強く残っていたのですが、ヤマイチ味噌100%の影響か「液体スープ」単体の状態で攻撃的。なんかこう、数年ぶりに顔を合わせる色白美人との再会にドキドキしてたらガテン系の彼氏と日サロ帰りかよ‥‥みたいな。例えですよw
おかげで数年前は印象的だった煮干しの魚群は鳴りを潜め、いの一番に飛び込んでくるのは味噌、後味に居座るのも味噌とパワフルさが別人並に増していたのですが、味噌の原料となる大豆の破片や麹(こうじ)の粒まで楽しめる、そこにルーツとなっている味噌汁の面影を感じさせるところは個性的。さらに醸造酢の原妙な酸味が面白く、どっしり味噌が濃いめでも単調ではありません。
というわけで、ぜんぜん「液体スープ」だけでも問題なさそうな厚みを備えているのですが、鬼に金棒よろしくスープの攻撃力を飛躍的にブーストさせるのが「辛味噌」の存在。豆板醤(トウバンジャン)や蕃椒醤(コチュジャン)ベースの異国情緒あふれる辛味噌ではなく、日本の味噌に生おろしニンニクと唐辛子を練り込んだような、そのベクトルを守りながらもニンニクめちゃ強めで凶暴性マシマシ。
液体スープ+辛味噌を最初から全投入して馴染ませた場合、辛さレベルは一般的にみても中辛くらい? になると思いますが、別添の「辛味噌」を単体で舐めると地味に辛いので、心配な方は注意してください(それよりも塩気の強さが人を選びそうですが‥‥。苦笑)
かやく・ふりかけ
メンマの発酵感に注目
チャーシューは特別に大きいわけでも小さいわけでもなく、しかしながら適度に脂身のジューシーが楽しめるタイプだったので、価格相応とはいえないかもしれないけれど、まったく価値が見出せない肉具材ではありません。ちょっとネギは風化した感じだったので、それについては残念に思えたのですが、1枚のナルトは見た目に嬉しく、発酵感の強いメンマはストロングなスープと相性バッチリ。
「ふりかけ」の中身は石蓴(あおさ)なので、青海苔(あおのり)ほど香りは強くないけれど、たっぷりの量がインパクトを底上げ。スープの力強さが増したことにより、以前よりもパワー負けしている印象が無きにしも非ずではあるものの、雰囲気の演出には申し分ありませんでした。
総評
このレビューを公開する前に何度か調理してみたのですが、もれなく麺の戻りムラが気になったので、そこは改良の余地ありかなと。また「地域の名店シリーズ」の頃とは比べ物にならないほど土台が鋭くなっていることもあり、久々に食べてビックリしたんですけどw 唯一無二のフレームワークであることは間違いありません。
そういえば、2020年9月15日にファミリーマート×寿がきや食品が「龍上海」出身の「からみそラーメン ふくろう」とコラボしたカップ麺を発売していましたけど、さすが本家本元の厚みは別格。全体の食塩相当量は8.4gなので、淡麗系が好みの方にはオススメできない商品になりますが、ファンの方はもちろん、白ごはんマスト勢も確実に押さえておきたい一杯です【author・taka :a(大石敬之)】