どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年4月15日(月)新発売のカップ麺、寿がきや食品「富山ブラック風まぜそば」の実食レビューです。
インパクトの強い富山県のご当地ラーメン「富山ブラックラーメン」を「まぜそば」風にアレンジ!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
富山ブラック風まぜそば
寿がきや食品が富山ブラックのカップラーメン「全国麺めぐり 富山ブラックラーメン」を発売したのは、およそ10年前となる2009年(平成21年)6月22日。今年で発売10周年を迎えるのですが、油そば・まぜそばブームで汁なしカップ麺の市場が拡大し続けている昨今、寿がきや食品から満を持してのノンフライ汁なし富山ブラックが登場しました(※製品スタイルはカップ焼そばタイプですが、商品名は「富山ブラック風焼そば」ではありません)。
「富山ブラック(とやまブラック)」とは、1945年(昭和20年)8月1日〜2日の間、アメリカ軍が富山市の中心部に対して行った「富山大空襲」の復興事業のため、それに従事していた若者や肉体労働者の塩分補給も兼ねて考えられたメニューが発祥とされているのですが、当時の呼び名はシンプルに「中華そば」。「富山ブラック」という通り名は、2000年頃から世の中に浸透し始めます。
今でこそ富山の代表的なB級グルメ・ご当地ラーメンとして全国的に認知されていますが、 “真っ黒な見た目が特徴的な塩辛いラーメン” というインパクト抜群のスタイルが注目され、インターネットの某掲示板が大きな影響力を振るい、「富山ブラック」という通り名が定着。以降、そのブームはカップ麺業界にも大きく波及するのですが——
寿がきや食品は2007年8月20日に発売された明星食品の「黒旨 中華そば」や2009年上旬に十勝新津製麺(とかち麺工房)から発売された「麺屋いろは監修 富山ブラック 黒い醤油ラーメン」に続き、両者とは違う黒胡椒を非常識なほど強烈に効かせたスタイルの「全国麺めぐり 富山ブラックラーメン」をリリースしました。
カップラーメンの発売から約2年後となる2011年(平成23年)9月12日に袋麺「即席富山ブラックラーメン」が発売されているのですが、カップめん・袋麺ともに期間限定商品ではなく定番の通年商品。しかも袋麺のほうは寿がきや食品の公式ウェブサイトに掲載されている発売日が平成23年9月12日(月)のまま変わっていないので、こちらは発売から1度も大幅にリニューアルしていないようですね。
今回、その汁なしアレンジ版と思われる「富山ブラック風まぜそば」のパッケージには、カップラーメンや袋麺にも掲載されている “※胡椒の辛味が強いラーメンです。辛いものが苦手な方はご注意ください。” という定番の注意喚起が行われています。汁あり版のスープは発売当初と比較して黒胡椒がずいぶんと弱くなりましたが(ほんとうに初版は非常識だったw)、それでも黒胡椒の刺激が強い食べ物が苦手な方はやめておいたほうが賢明なレベル——
袋めん版は長らく食べていませんが、カップラーメンの最終リニューアルでは麺を刷新。スープは透明度の低い漆黒で、スパイシーかつ爽やかな黒胡椒の刺激が強く、インパクト抜群の見た目通りキレのあるスープに仕上がっているのですが、醤油醪(しょうゆもろみ)や魚醤(ぎょしょう)で奥深いコクが味わえる、リニューアル後も魅力的なカップ麺でした。もちろん賛否両論あるので異論は認めますが、個人的には高く評価しています(※黒胡椒バカ)。
「富山ブラック風まぜそば」のパッケージには「ガツンと辛い!! 黒胡椒の刺激」とブラックペッパーの力強さがイラスト付でアピールされているのですが、『黒胡麻(くろごま)かw』とツッコミを入れたくなるような黒い粉末が盛られています。おそらくテーマ的に黒胡椒なんでしょうけれど、見た感じ黒胡椒というよりも黒ごま(すりごま)ですよねコレ(笑)。
実食前に地元・富山県富山市の実店舗でも流行っているのか「富山ブラック まぜそば」や「富山ブラック 汁なし」で検索してみたのですが、富山県でトップレベルとの呼び声も高いラーメン店「麺家 一鶴(めんや いっかく)」がヒット。ただ、あくまで評判・クチコミに掲載されている「富山ブラック」というコメントに検索の釣り針が引っかかっただけだったので、まだ “汁なし富山ブラック” というジャンルやメニューは地元でも一般的ではないようです。
開封
内容物の小袋は先入れの「かやく」が1袋、後入れの「液体スープ」と「あとのせかやく」が1袋ずつで、合計3種類の小袋を別添。ちなみに東京・神田と浅草に店舗を構えていた「富山ブラックラーメン だらんま」というラーメン店の「油そば」がニュースタイルの富山ブラックラーメンとして紹介されていたのですが、現在は本店・支店とも数年前に閉店となっていました。
麺は油揚げ麺ではなくノンフライ麺が採用されているのですが、「全国麺めぐり 富山ブラックラーメン」には丸刃でカットされた断面の丸いノンフライ縮れ麺が使用されていて、あまり黄色味も濃くないのに対し、今回の「富山ブラック風まぜそば」は黄色味が強く、形状も角刃で切られた平打ちノンフライ麺が採用されています。最終リニューアル前の全国麺めぐり版も平打ち麺でしたが、それよりも幅が狭く、厚みが増しているような形状ですね。
販売者は寿がきや食品株式会社、製造所は「加ト吉水産株式会社フーズ部群馬工場」(群馬県高崎市新町2330−26)となっていますが、テーブルマーク(旧社名:加ト吉 – カトキチ)のグループ企業で、寿がきや食品のノンフライめん製品やトップバリュベストプライス(イオン)のノンフライ麺シリーズ、ペヤング(まるか食品)のノンフライ麺も担当している安心と信頼の実績です。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:富山ブラック風まぜそば 販売者:寿がきや食品株式会社 製造所:加ト吉水産株式会社フーズ部群馬工場 内容量:116g(めん80g) 商品コード:4901677082503(JANコード) 規格サイズ:縦167mm×横167mm×高さ70mm 発売日:2019年04月15日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺(かんすい使用・中華麺) スタイル:汁なしカップめん・カップ焼そばタイプ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:450ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・やかく・あとのせかやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、小麦たん白、たん白加水分解物)、スープ(動植物油脂、しょうゆ、たん白加水分解物、香味油、食塩、砂糖、香辛料、チキンエキス、しょうゆもろみ、ポークエキス、ごま、魚介エキス、魚醤、ローストガーリックペースト)、かやく(キャベツ、大豆たん白加工品、粗挽き胡椒)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、着色料(カラメル、クチナシ、フラボノイド、炭末)、乳化剤、かんすい、炭酸カルシウム、増粘剤(加工デンプン、増粘多糖類)、香料、酸味料、ソルビット、酸化防止剤(V.E)、(一部に小麦・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
【本品に含まれるアレルギー物質】小麦・ごま・大豆・鶏肉・豚肉 ※特定原材料及びそれに準ずるものを表示(27品目中) |
実食開始
原材料名には “大豆たん白加工品” と書いてあったので、大豆で作ったフェイクミート(偽肉)系の肉そぼろが入っているのかと思いきや、先入れの「かやく」に入っていたのはキャベツのみ。ただ、けっこう量が多く、富山ブラックは味が濃いことでも有名なので、実食中に味覚のインターバルとして活躍してくれそうな頼もしさ。
容器のサイズは「全国麺めぐり」シリーズを筆頭に寿がきや食品が展開しているノンフライめん製品と同じ標準サイズ(縦167mm×横167mm×高さ70mm)で、あまりにも湯切り口がフラットだったことから最初ちょっと焦ったんですけどw ちゃんと「ここからはがす(A)」の真反対側、タイトルの “富山” 奥に「湯切り口(B)」があります。それから液体スープの小袋は、お湯を注いでから待っている間の5分間、フタの上で温めておきましょう。
しっかりと湯切りしたら「液体スープ」を馴染ませて、「あとのせかやく」をトッピングしたら——黒いw(写真では混ぜる前ですが、この後がっつり混ぜてください)。それからコンビニ限定商品ではありませんが、希望小売価格は税別238円と高く、つまりコンビニで買うと税込257円が相場なので(さらに2019年6月1日以降は標準小売価格の3%〜7.5%アップするため)、コストパフォーマンスも意識しなければいけません。
それでは、カップラーメン版との違いや黒胡椒の辛さレベルに注目しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。寿がきや食品の新作「富山ブラック風まぜそば」は、新たなブームを牽引する存在になるでしょうか――
栄養成分表示:1食(116g)当たり
熱 量:429kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
もっちりとした食感のノンフライ太めん。
(出典:寿がきや食品株式会社ウェブサイト「HOME > 商品情報 > ;即席めん:ノンフライめん一覧 > 富山ブラック風まぜそば」)
調理前は鋭角な角刃でカットされた角麺に見えたのと、実際に調理後の断面図も四角い角刃ですが、口当たりは適度に丸みを帯びていて、しかしながら濃いめの液体スープや黒胡椒の刺激に負けない適度な輪郭のノンフライ太麺。きっちり時間を守り、ジャスト熱湯5分で湯切りしましたが、戻りムラも気になりません。
麺の密度は高く、硬めの食感や歯切れの良さよりも粘り気を重視しているような製法で、もっちりとした弾力が楽しめる加水率高めの多加水麺。「まぜそば」としては細めかもしれませんが、寿がきや食品の手がけるカップ麺の中では太麺で、表面は滑らかでも液体スープとの一体感は高く、さらに適切な縮れが一体感を高め、芳醇な小麦の風味が好印象な値段に見合ったクオリティのノンフライ麺です。
まだ「富山ブラックまぜそば」というジャンルの定義は確立していないようですし、ご当店監修の再現カップ麺ではなく、あくまでも寿がきや流ご当地ラーメン・汁なしカップ麺アレンジなので、再現度云々が足を引っ張ることもないでしょう。麺の量は80gと一般的なカップ焼そばスタイルの標準量(90g)よりも少なめですが、もちもちとした弾力から食べ応えがありました。
スープ
胡椒の辛味と、コク・キレのある醤油が合わさった漆黒スープ。
(出典:寿がきや食品株式会社ウェブサイト「HOME > 商品情報 > ;即席めん:ノンフライめん一覧 > 富山ブラック風まぜそば」)
「あとのせかやく」を投入する前に麺とスープだけの状態で味見してみたのですが、液体スープにも黒胡椒が仕込んであることが分かります。ただ、液体スープに含まれている黒胡椒は粗挽きでもなければ強烈な量でもなく、あくまでアクセント的に清涼感を演出しているに過ぎません。さらに漆黒の見た目が物語っているように醤油も強めにガツンと効いているのですが、なんとまぁ奥深い味わいですよコレは——
かなり醤油は濃いめでキレのあるテイストですが、舌を刺してくるような食塩の鋭い塩気よりも熟成された醤油のコクが先行するため、実は見た目ほど塩辛くありません。タレは薄口醤油よりも塩分濃度が低い濃口で、まぜそば用にチューンナップされた多めの動植物油脂が醤油のカドを適度に包み込み、まったりとした醤油のコクが全力で楽しめます。
さらに醤油醪(しょうゆもろみ)と魚を発酵させて作る魚醤が複雑な旨味を醸しているのですが、ちょっと文句の付け所が見当たらないくらい、液体スープだけの状態でも思わず唸ってしまうほどの完成度。容器の底にある凹みのせいで最初は混ぜにくかったんですけど、最終的にはタレが底に余ることなく麺全体に行き渡り、底にギトギトした油が残ることはありません。それに植物油脂とのミックスということもあり、確かな動物油脂のコクを打ち出しつつ、クドいと思わせない絶妙な油脂感。
【富山ブラックラーメン】しょうゆ、たん白加水分解物、動植物油脂、食塩、砂糖、チキンエキス、香辛料、しょうゆもろみ、ポークエキス、香味油、ごま、魚介エキス、魚醤、ローストガーリックペースト、唐辛子 |
【富山ブラックまぜそば】動植物油脂、しょうゆ、たん白加水分解物、香味油、食塩、砂糖、香辛料、チキンエキス、しょうゆもろみ、ポークエキス、ごま、魚介エキス、魚醤、ローストガーリックペースト |
カップラーメン版の原材料を横に並べてみると、ほぼほぼ同じ原料が使われていることが分かりますが、それを実直にトレースして塩気を抑え、「まぜそば」らしく油脂を多めにチューンナップしているような内容なんです(ちなみに「全国麺めぐり 富山ブラックラーメン」の食塩相当量は7.1gで、「富山ブラックまぜそば」の食塩相当量は5.0g)。
もちろん汁あり・汁なしという大きな違いがあるので、まったく同じ味というわけではないのですが、あのスープがベースとなっているのは間違いなく、実際に食べてみてハッキリとルーツを感じました。しかし、比較して塩分濃度が低いことやコクを重視した仕上がりだったので、カップラーメンの富山ブラックよりも食べやすかったです。
かやく
キャベツ、味付大豆ミート、胡椒、いりゴマ、赤唐辛子。
(出典:寿がきや食品株式会社ウェブサイト「HOME > 商品情報 > ;即席めん:ノンフライめん一覧 > 富山ブラック風まぜそば」)
実際の富山ブラックラーメンにはチャーシューやメンマ、白ネギ(場合によっては生卵)などの具材が標準ですが、今回の「富山ブラック風まぜそば」に入っている実質ちゃんとした固形具材はキャベツのみとなっています。しかし、一般的な焼そばタイプのカップ麺と比較して量が多く、キャベツが多いことで定評のあるペヤングに匹敵‥‥いや、一つひとつ大きくて厚みがあるので、それ以上のボリューム感ですね。
液体スープは見た目ほど攻撃的ではありませんでしたが、それでも醤油は強く薄味ではないので、ザクザク食感のキャベツが味覚のインターバルとして活躍しながら食べ応えにも寄与してくれます。もともとキャベツは「全国麺めぐり」版にも入っていた具材ですし(現在は廃止)、チャーシューやメンマなどは入っていませんが、あえてキャベツに振り切っていたのが好印象でした。
そして、かなり「あとのせかやく」の中身はインパクトのある見た目ですが、すべてが黒胡椒ではありません。製品説明に「味付大豆ミート」と書いてあるように、半分〜それ以上の体積を占めているのは大豆たん白加工品です。黒胡椒の量は多めで実際にインパクトのある刺激と清涼感を打ち出してはいるものの、炭末で色付けしてある分もありますし、ちょっと黒胡椒バカには物足らない量でした。
しかし、強過ぎず弱過ぎない適切な量だったからこそ液体スープの醤油感、まったりとしたコクが楽しめたと思うので、総合力を重視すると適量。また、大豆たん白加工品は後入れにつきサクサクした食感になるのですが、ちゃんと旨味の援護射撃ができるように下味が施してあり、それらが麺に吸着することで、より液体スープや黒胡椒と麺の一体感が高くなる効果も担っています。
赤唐辛子は黒胡椒の陰に隠れ、もやは飾りにもなっていなかったので存在価値は見出せませんでしたがw ふと顔を覗かせる白胡麻の芳ばしいアクセントも好印象。明白な黒胡椒のインパクトを打ち出しつつ、この程度の量であれば激辛クラスの辛さではないと思うので、辛くて味がわからない、刺激が強すぎて食べられない——などということもないでしょう(※ただし苦手なら気を付けてください)。
総評
★★★★★★★☆☆☆(★7)
黒胡椒(ブラックペッパー)が苦手な方や、そもそも汁なしカップ麺は嫌い、カップ麺に200円以上も出したくない、醤油が濃いのはちょっと‥‥という場合には手放しにオススメできませんし、逆に強烈な黒胡椒や喉が乾くほどの塩分濃度に期待されている場合は頼りなさを覚えるかもしれませんが、今回の「富山ブラック風まぜそば」はカップ麺史上に残る秀作と言っても過言ではありません。
このままレギュラー化を希望しますが、この勢いで「辛辛魚らーめん」の汁なしアレンジ版「辛辛魚まぜそば」にも挑戦してもらいたいですね(ぜったい売れるので検討お願いします)。と、それはさておき今回は「全国麺めぐり 富山ブラックラーメン」を実直にカップまぜそばに落とし込んだような仕上がりだったので、寿がきやの富山ブラックが好きなら1度は食べておかないと損するレベル。評価は客観視しているつもりですが、個人的にはヘビロテ必至の一杯でした。