どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年03月11日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 吉祥寺 Tombo(トンボ)監修 醤油の旨味ソバ」の実食レビューです。
「第19回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2018-2019」の「新人大賞部門」で総合1位に輝いた「Tombo」の再現カップラーメンが登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
Tombo(トンボ)監修カップ麺 醤油の旨味ソバ
「業界最高権威 TRY(トライ)」とは、「東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー」(Tokyo Ramen of the Year)の略称で、 “東京で一番うまいラーメンを決めよう!” というコンセプトのもと週刊誌『TOKYO★1週間(T☆1)』誌上で始まった、講談社発行のムック本(mook本:雑誌と書籍を合わせた性質を持つ刊行物でmagazineのm-とbookの-ookを合わせた混成語)及び電子書籍です。
東洋水産は「Yahoo!特別企画 最強の次世代ラーメン決定戦!」などの関係もあって「TRY」とは頻繁にタイアップしているのですが、今回は「TRY」最強の審査員6名+ゲスト審査員3名が厳選し、「新人大賞部門」総合1位に輝いたラーメン店「Tonmbo(とんぼ)」と東洋水産(マルちゃん)の3タイアップ企画なので、Yahoo!特別企画は絡んでいません。
「TRY ラーメン大賞2018-2019」の審査員は、株式会社ラーメンデータバンク代表取締役会長で “自称日本一ラーメンを食べた男” 大崎裕史(おおさき ひろし)さん、TVチャンピオン第9回ラーメン王選手権優勝・第8代にして “最後のラーメン王” 青木誠(あおき まことさん)、 “自称日本初女性ラーメン評論家” レイラさん(本谷亜紀さんとの関係で日本初については諸説あり)。
2008年にYahoo!ラーメンブログ王賞を受賞した「しらすの日記」著者 “ラーメンブログ王” 斉藤光輝(さいとう こうき)さん、年間700杯のラーメンを食べた “若き平成のラーメン怪物” という異名を持つ吉本匠將(よしもと なるゆき)さん、TVチャンピオン第3回・第4回と連続優勝を飾った “神の舌を持つ男” 石神秀幸(いしがみ ひでゆき)さんの計6名が代表審査員。そして青木健さん、いけ麺さん、しらけんさんをゲスト審査員に迎えて審査されました。
「TRY新人賞」とは、1年間でオープンした新店の中で選ばれたラーメン店に限定され、その中でも「しょう油部門」「しお部門」「みそ部門」「とんこつ部門」「MIX部門」「つけ麺部門」「汁なし部門」「鶏白湯部門」「にぼし部門」「オリジナル部門」などの各部門に分かれているのですが、その総合1位に輝いたのが “今最も輝いている” 新進気鋭のラーメン店「Tombo(とんぼ)」。スペルはTonboではなく「To “m” bo」です。
東京都武蔵野市吉祥寺・井の頭公園(JR吉祥寺駅南口より徒歩約13分の立地)に本店を構え、2017年9月2日(土)のオープン初日から1時間以上の行列を作り、今もなお連日行列を作っているラーメンフリークからの評価も高い東京を代表する人気ラーメン店で、新人賞しょう油部門1位、新人賞しお部門1位、新人賞つけ麺部門2位などの受賞歴からTRY新人大賞総合1位に選ばれました。
店主の榎本直記(えのもと なおき)さんは、「肉煮干し中華そば さいころ」や「Ramen Creators Lab Ra juku(ラーメンクリエーターズ ラボ『ラ塾』)」を運営する「株式会社地雷源(じらいげん)」出身。2009年~2017年6月30日の8年間にわたり「地雷原」で修行、その屋台骨を支える存在と言われた経歴を持ち、満を持して「Tombo」を開業しました。屋号(お店の名前)の起源は、戦国時代の武将たちに “勝虫” と呼ばれていたことから縁起がよく、また自身が長渕剛さんファンであることから、氏の名曲「とんぼ」に由来しているそうです。
今回の題材にもなった同店の看板メニュー「旨味の醤油ソバ」は、門外不出としてレシピが開示されることのなかった「肉煮干し中華そば さいころ」の前身、「我流旨味ソバ 地雷源」で提供されていた幻の名作「我流旨味ソバ」のDNAを受け継ぐネオクラシカルな一杯として、ネット上にもラーメンマニアからの高評価な評判・口コミのコメントが多数上がっていました。
開封
「伝統の味」「究極の普通」などと称される滋味深い繊細な一杯を利便性の高いタテ型カップで再現したのが今回の「マルちゃん 吉祥寺 Tombo監修 醤油の旨味ソバ」で、別添の小袋はフタの上に貼り付けてある後入れの「特製スープ」1袋のみ。以前の東洋水産は縦型ビッグ製品での再現カップ麺に対する不安が多い時期もありましたが、最近はずいぶんと基礎レベルが高くなっています。
開封すると麺が見えないほどの具材が待ち構えていたのですが、東洋水産が得意とするリアルな味付豚肉を筆頭にメンマ、ネギとシンプルな構成。麺はノンフライ麺ではなく油で揚げたフライ麺(油揚げ麺)ではあるものの、まだ現時点では具材の味付豚肉から漂う甘辛い香りが強く、油揚げ麺特有のニオイは気になりません。
カップ麺の製造所は千葉県長生郡長南町美原台にある「株式会社酒悦 (しゅえつ)房総(ぼうそう)工場」となっていますが、酒悦は東洋水産のグループ会社です。販売エリアはCVS(コンビニエンスストア)・量販店・一般小売店他と特に限定されているわけではありませんが、コンビニでは「ローソン」での取り扱いが意欲的でした(※兵庫県北部〜京都府北部エリア)。
概要(製品情報・購入価格等)
製品名:マルちゃん 吉祥寺 Tombo監修 醤油の旨味ソバ 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:95g(めん70g) 商品コード:4901990362733(JANコード) 規格サイズ:縦108mm×横108mm×高さ122mm 発売日:2019年03月11日(月) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ(タテ型ビッグ) 容器材質:紙+プラ 湯量目安:470ml 調理時間:熱湯2分 小袋構成:1袋(特製スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白)、添付調味料(しょうゆ、ポークエキス、食塩、植物油、砂糖、乳糖、香味油脂、チキンエキス、豚脂、鶏脂、フライドオニオン、魚介エキス、発酵調味料)、かやく(味付豚肉、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、炭酸カルシウム、かんすい、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE)、酒精、クチナシ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【本品原材料に含まれているアレルギー物質】小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるもの) |
実食開始
麺は油揚げ麺が採用されていると書きましたが、熱湯2分の細麺で、完全なるストレート麺ではないものの、あまり縮れは目立っていません。タテ型ビッグ製品はコンビニ販売の需要を考慮した手軽さも意識されているため、その利便性と引き換えに妥協しなければいけない足枷を伴うのですが、特に再現カップ麺ではスープに対して油揚げ麺の存在がどう響くか‥というのも大きな鍵を握っています。
別添の小袋は特製油ではなく特製「スープ」となっているため、中にはオイル成分だけでなくカエシに該当する醤油ダレ系の成分も含まれているのですが、投入した瞬間に動物系の芳醇な香りが立ち、それと同時に葱油っぽい香りも上がってきました。あわせて油揚げ麺の芳ばしさも重なってきましたが、野暮ったくマスキングしてくるようなタイプではなく、ぜんぜん嫌な感じではありません。
さらに麺が見えないほど大量の具材は同社の「本気盛(マジモリ)」に匹敵するボリュームで、特に味付豚肉の香りが繊細さの中にワイルドな力強さを添えてきます。油揚げ麺製品+縦型ビッグ容器という構成に若干の不安が無きにしも非ずではあるものの、こと最近の東洋水産は再現カップ麺のレベルが高いですからね。
私は実際のラーメンを食べたことがないので、お店の評判・口コミと照らし合わせながらの実食になりますが、そこから得た情報とそれに基づく個性も意識しつつ、「めん」「スープ」「かやく(具材)」の順に味や食感の特徴を解説し、ひとつのカップ麺としての総合力を判定します。
1食(95g)当たり
熱 量:426kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:426kcal(めん・かやく:364kcal)(スープ:62kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
スープとの相性がいい、食べごたえのある角麺。
(出典:東洋水産「ニュースリリース」pdf)
カップ麺の角刃でカットされた細麺は口当たりに輪郭があり、しなやかで女性的な物腰。加水率は低く、スパッ…と切れる歯切れの良さと適度なコシがスープにちょうどいい平打ちの細麺です。一部、写真のように倍ほどの幅を持った麺が2、3本あったんですけど、意図的に切り出されているような量ではなかったので、おそらく特殊な加工ではなく偶然の産物でしょう。
油揚げ麺特有の芳ばしい風味も並行して漂いますが、醤油やエキス系の成分で下味が施されているわけではないので、インスタント感が強烈なタイプではなく、むしろ油揚げ麺特有の風味さえ心地よいと思わせる攻撃性のなさ。お店のラーメンは三河屋製麺特徴の細麺で、やや柔らかめに茹で上げられることからスープに優しく包まれているようなバランスとなっているそうですが、カップ麺でもスープに寄り添うような姿勢にありました。
下味は最小限でも低加水麺らしくスープとの一体感は高く、東洋水産の縦型ビッグ×有名店再現モノのカップラーメンは「本気盛(マジモリ)」だと麺量80gが基本、それ以外だと麺量70gが基本となっているので、今回も例に漏れず70gとなっていましたが、比較して食べ応えに物足りなさはありません。やや縮れはあるものの安っぽいフライ麺ではなく、セブンプレミアムの「らぁ麺屋 飯田商店 醤油拉麺」以降、東洋水産の油揚げ麺はワンランク上の段階に踏み込んでいるのですが、今回その新世代系に該当します。
スープ
チキンとポークの旨味をベースに、かつおと煮干しのだしを加え、香味野菜の風味を利かせたオイルでアクセントを付けた、コクのある醤油味のスープ。フライドオニオンチップ入。
(出典:東洋水産「ニュースリリース」pdf)
お店のスープは鶏や豚の動物系を中心に、魚介系は鯖節(さばぶし)と平子煮干、さらに椎茸や昆布などの乾物を丁寧に合わせ、かなり優しいスープに仕上がっているそうですが、繊細で優しいスープに揚げネギのアクセントもポイントになっているようで、それをカップ麺ではフライドオニオンチップで表現している模様。
揚げネギとフライドオニオンでは同じフライド系でも香味のベクトルが異なるものの、別添の液体スープに含まれるオイル分からは葱油と思われる芳ばしい香りが漂い、主張し過ぎずも確かに香っていた揚げネギを彷彿とさせる繊細なアクセントに個性を感じます。残念ながら乾物の旨味は意識されていませんが、ほんのりと効かされた甘みが奥行きを深めていて、とても滋味深い味わいですね。
清湯系の豚骨を軸に鶏ガラを合わせた動物系のスープに鰹節と煮干を中心とした魚介を重ねているのですが、その中には確かに鯖節の個性が見られ、魚粉のインパクトで畳み掛けてくるようなタイプではなく、あくまでも出汁(だし)のニュアンスを大切に、醤油も適切な香り付けに徹していて攻撃性はありません。奥ゆかしい旨味の中にある滋味を舌に探させるような、それでいて出し惜しみすることなく、雑味のない多重層な旨味で繊細に問い掛けてくるようなスープは評判の高さにも納得できるフレームワークを構築していました。
かやく(具材)
味付豚肉、メンマ、ねぎ。
(出典:東洋水産「ニュースリリース」pdf)
お店のラーメンには柔らかいバラチャーシュー、コリコリ食感のメンマ、海苔、白髪葱と万能葱がトッピングしてあるシンプルな構成となっていたので、カップ麺の味付豚肉はバラチャーシューではありませんし、海苔や白髪葱も入っていませんが、おおむね再現性を度外視しているわけではなく、ご覧の通り量は申し分ありません。
味付豚肉は東洋水産の十八番と言っても過言ではないリアル系の豚肉で、味付けは甘辛い醤油味。自然な甘みを帯びた醤油味のスープと具材の味付けは違和感なくマッチし、繊細なスープの中で豚肉特有の癖が目立つものの、豚肉さえ苦手じゃなければその風味がネガティブに作用することはないでしょう。むしろスープとは対極的な野趣に富んだ力強さを打ち出し、なおかつスープのニュアンスを壊さないフィッティングは見事。
熱湯2分ジャストで食べ始めると豚肉は硬めだったので、しばらくスープに沈めてケアするのが適切と感じましたが、メンマは適切に戻り、コリコリとした強めの食感が箸休め以上の存在感を放ちます。ネオクラシカルなスープとメンマの素朴な風味は相性が良く、ネギは豚骨味のカップ麺に使用されるタイプの小葱でしたが、お店の青みも万能葱とのことですし、香味や食感が強く主張し過ぎないため程よいアクセントが適切で好印象でした。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
あくまでカップ麺というジャンルなので、「究極の普通」「伝統の味」しかしながら「ネオクラシカル」な一杯と讃えられるお店のラーメンと寸分違わぬスープとは言えないかもしれませんが、優しくて繊細なのに物足りなさは感じさせない滋味深いバランスは一見の価値あり。繊細で旨味の振り幅が広く、縦型カップ麺らしからぬ奥ゆかしい味わいでありながら、それを壊さない油揚げ麺の立ち位置も秀逸です。
それでいて野趣に富んだ味付豚肉がスープのニュアンスを阻害することなくカップ麺のヘビーユーザーに捧ぐワイルドな食べ応えを打ち出し、歯応えのある肉質と強い食感のメンマが満腹中枢を刺激してくれる、ひとつのカップ麺として実に総合力の高い一杯に仕上がっていて、販売期間中に買い置きして何度かリピートしたいと素直に思いました。
インパクト重視のカップ麺ではないものの、それだけにカップ麺を食べ慣れていない肩を含む幅広い層のユーザーが素直に美味しいと頷けるような、それでいてカップ麺にこだわりのあるユーザーも納得できる上品で慎み深い、とても素晴らしい一杯ですね。味濃いめコッテリ部門ヘヴィ級の個性派ではないものの、お店に言って本物の「醤油の旨味ソバ」も食べてみたくなるような、きちんと記憶に残る実力の持ち主でした。オススメです。