どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年3月25日(月)新発売のカップ麺、ヤマダイ「ニュータッチ らーめんてつや背脂正油らーめん」の実食レビューです。
「らーめんてつや」店主・内海てつや氏の代表作「正油ラーメン(しょうゆラーメン)」をカップラーメンで再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
らーめんてつや監修カップ麺 背脂正油らーめん
「らーめんてつや Tetsuya-noodles」とは、札幌・西屯田通(北海道札幌市中央区南7条西12丁目2-19)に本店を構える1997年6月6日創業の人気ラーメン店で、運営母体は「有限会社テツプロジェクト」。その代表であり、らーめんてつや店主・内海てつや氏が生み出した「正油らーめん(背脂とんこつ正油)」を再現したのが今回のカップ麺です。
お店の「正油らーめん」は、1ヶ月ほど寝かせた秘伝の醤油ダレと臭みが出ないように下処理を施したゲンコツ(豚の大腿骨・脛骨)を12時間かけて丁寧に煮込んだ究極の白湯スープを掛け合わせ、仕上げにスープの表面に背脂を散らす独特のスタイルで「らーめん五丈原(ごじょうげん)」とともに一世を風靡しました。
1969年、北海道札幌市に生まれた店主・内海てつや(うつみ てつや)氏は、高校に2年通った後に通信教育で卒業し、17歳でラーメン店のアルバイトを始め、27歳の頃に「らーめんてつや」を開業。2019年3月現在は札幌市内に6店舗、東京に1店舗、いずれも繁盛店へと成長しているのですが、一時期はブランクに陥るなど、現在に至るまで紆余曲折あったそうです。
まず、もともとラーメン好きではあったものの、ラーメン屋さんに憧れて業界入りしたわけではなく、17歳の頃に仕事を探す中で、たまたま面接に受かったのがススキノのラーメン店だった――というのがラーメン業界に入ったキッカケになったのだとか。その後、20歳の頃に役者を志して上京するも半年後に帰郷。
そして1年後に再び役者志望で上京し、寝る間も惜しんで所属しているプロダクションで稽古しながらラーメン店でアルバイトの日々を続けていたそうですが、鏡に写る自分の疲れ切った姿を見て「自分が監督だったら使わない‥‥」と、役者への夢をキッパリと諦めたのが27歳の頃。30歳に出店することを目標に掲げて帰郷し、性根を入れてラーメン業と向き合い始めます。
しかし、ふと自分が生まれ育った札幌のラーメンは様変わりしていることに気が付いた内海てつや氏は、このままではいけないと自分の店を出すことを決意。居抜き物件を見付け、帰郷からわずか半年後に現在の本店「南7条店」をオープンします。ただ、オープン当初は万人ウケを狙った結果、思ったように売り上げは伸びず、閑古鳥が鳴く状態が続き、もう店を畳もうかと考え始めたそうですが、13軒もの店で修行してきた経歴と食べ歩きで培ってきた舌が閉業に納得しませんでした。
“どうせ店を畳むなら最後に自分の味で勝負しよう‥” そんな渾身の思いから生まれたのが、カップ麺のモデルになっている硬めに茹でた黄色い縮れた多加水麺に背脂とんこつ醤油を合わせた「正油らーめん」の原型。その新メニューを提供し始めた途端、お店の評判は口コミで広がって、すぐに事態は好転。以降、 “夢中にさせるラーメン” をポリシーに掲げ、現在の「らーめんてつや」が確立したそうです。
他にも「みそらーめん」や「塩らーめん」、トッピング増しの「正油チャーシュー」に「角煮らーめん」、辛いラーメンの「じゃんじゃんめん(みそ辛系)」や「とんこつ辛か麺」、基本の正油味を和風アレンジした「三代目『てつや正油』〜匠〜(和風とんこつ正油)」、本店限定の油っこい味濃いめ「まかないらーめん」など、メニューのバリエーションも多彩に揃っているようですが、 “醤油らーめん” ではなく「正油らーめん」という名前にこだわりを感じますよね。
開封
さて、そんな「てつや」の「正油らーめん」をカップ麺にアレンジして再現したのは、 “うまいヌードル♪ ニュータッチ” でおなじみの「ヤマダイ株式会社」(※ヤマダイが正式な社名でニュータッチはブランド名です)。別添の小袋は、先入れの「かやく」と後入れの「液体スープ」「焼のり」の合計3種類となっているので、忘れずに取り出しましょう。
お店で食べられている麺を意識して、カップ麺にはコシの強い黄色味を帯びた太めのノンフライ麺が採用されているのですが、今回のカップ麺はニュータッチの「ご当店シリーズ」に分類されるため、定番の「凄麺」ではありません。ただ、凄麺ご当地シリーズの「札幌濃厚味噌ラーメン」や「仙台辛味噌ラーメン」に使用されている熱湯5分のノンフライ太麺と似た雰囲気‥いや、微妙に違うかも?
販売エリアは特に限定されていない全国発売の新商品になるのですが、定番商品ではなく期間限定商品。ニュータッチの公式ツイッターアカウント(@newtouch_noodle)によると、取扱店は北海道エリアのローソンとセブンイレブン、東日本エリアのデイリーヤマザキが積極的に取り扱っているようで、あとは全国のスーパーマーケットやドラッグストア、セイコーマート、ナチュラルローソンでも販売されるとのことでした(※すでにコンビニ以外の取扱店には並んでいるはずですが、コンビニでは火曜日から商品棚に陳列されると思います)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ニュータッチ らーめんてつや背脂正油らーめん 製造者:ヤマダイ 内容量:129g(めん65g) 商品コード:4903088014104(JANコード) 規格サイズ:縦175mm×横175mm×高さ78mm 発売日:2019年03月25日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺(中華麺) スタイル:どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく・焼のり) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉、食塩、大豆食物繊維)、スープ(動物油脂、しょうゆ、ポークエキス、食塩、糖類、たん白加水分解物、ニンニクペースト、卵黄、酵母パウダー、香辛料)、かやく(味付豚肉、ねぎ、メンマ、焼のり)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工でん粉、キサンタン)、酒精、かんすい、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、(一部に卵・乳成分・小麦・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【アレルゲン情報】卵・乳成分・小麦・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン(本品原材料でアレルギー物質の表示が義務付け及び推奨されているもの 27品目中) |
実食開始
先入れの「かやく」に入っているのは、味付豚肉(チャーシュー)、ねぎ、メンマとシンプルな構成で、チャーシューの厚みやメンマの太さ、ネギの切り方も違いますが、おおむね構成としては実際の「正油らーめん」と同じです。それからノンフライ麺にオブラート状の成分が付着していますが、大豆由来の食物繊維なので身体に害はありません。ご安心ください。
ところで今回の記事を書きながら知ったのですが、明星食品とセブン-イレブン・ジャパンの共同開発商品で今はなきブランド「地域の名店シリーズ」より、その第3弾として「らーめんてつや」の「正油らーめん」を再現したカップラーメンが2006年9月19日(火)から北海道内のセブンイレブン限定で発売されていたようですね。
さて、お湯を注いでから5分間、「液体スープ」の小袋はフタの上で温め、液体スープを開封する前にノンフライ麺をほぐしてから投入し、全体に馴染ませたら「焼のり」をトッピングして完成です。かなり背脂の香り立ちがよくて、思わずハッとしました。それでは、かつて一斉を風靡したラーメンの特徴や雰囲気が感じられるかどうかに注目しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(129g)当たり
熱 量:441kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
お店で食べられている麺を意識し、コシが強く黄色みのある麺を使用しました。
(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 人気ラーメン店とのコラボレーション企画『らーめんてつや背脂正油らーめん』3月新発売!」)
お店のラーメンには「森住製麺」という製麺所の札幌ラーメンらしい縮れた黄色い太麺が採用されているようですが、みそラーメンでは定番のスタイルではあるものの、醤油ラーメンの系統としては珍しい組み合わせですよね。しっかり熱湯5分待ってからフタを開けて直後、やや麺のほぐれにくさが気になりましたが、そこまで頑固ではありません。
いざ食べてみるとプリッ‥ではなくブリンッ! と弾むような反発力の強い質感の多加水麺で、まさに札幌の味噌ラーメンで一般的な「たまご麺」を彷彿とさせる面持ち。食べ始めはスープを弾いて寄せ付けないような断面の四角い角刃のノンフライ太麺となっているのですが、スープの背脂コーティングによって麺が独り歩きすることなく、濃いめのスープを存在感の強い麺が程よい塩梅に中和。
縮れが強いのでスープを適度に掴み、それでいて麺の小麦感も強く、結果的なバランスは悪くありません。今回のスープには細めの低加水ストレート麺も合いそうですし、もっとスープ馴染みを重視した表面しっとり・もっちり系のストレート多加水麺もマッチそうだったんですけど、背脂とんこつ醤油スープに伝統的な札幌たまご麺風の組み合わせには、ありそうでなかった新鮮味を覚えました。
スープ
超特選醤油に白湯系のポークエキスを配合し、そこに背脂をプラスしたコクのあるスープです。さらに濃縮醤油も使用し、深みのある醤油感を表現しています。またガーリックや白胡椒で味にメリハリを持たせました。
(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 人気ラーメン店とのコラボレーション企画『らーめんてつや背脂正油らーめん』3月新発売!」)
かなり背脂たっぷりな見た目なので、こってり感MAXな脂ギッシュぎとぎとスープに見えるかもしれませんが、実際ぜんぜんクドさを感じるようなスープではありません。むしろ醤油と食塩の塩気でキリッとキレのある後味が最終的に残るので、しっかりコクはあるけど結果すっきりとしたイメージが先行するのですが、背脂のリアリティは特筆すべきレベルにあり、それは液体スープを開封した直後から主張を始めます。
洗練された背脂特有の芳ばしい香りが嗅覚だけでなく心まで包み込んでくるような、いわゆる背脂チャッチャ系の醍醐味が感じられる高級カップ麺らしい臨場感。しっかり豚骨の旨味も芳醇なんですけど、きっちり癖は抑えつつ、しかしながらニンニクはガーリックパウダーではなくニンニクペーストなので、エッジの効いたアクセントもあって旨味に物足りなさはありません。
九州の白濁した豚骨ほどの乳化感ではないですし、和歌山中華そば系統の醤油豚骨や横浜家系ラーメンの豚骨醤油とも違う、強いて例えるなら京都の背脂チャッチャ系を軽く乳化させたような雰囲気を今回のスープから感じました。背脂の使い方が「凄麺 京都背脂醤油味」に近かったので、それも要因かもしれませんがw キリッと輪郭のある醤油ダレで「正油」のこだわりを表現しつつ、それでいて背脂のコクが醤油のカドを適度に削って丸みを持たせ、醤油・豚骨・背脂それぞれが自己主張を放ちながら衝突することなく調和を果たしている、なんとも緻密に計算されたスープですね。
かやく(具材・別添)
乾燥具材(チャーシュー、メンマ、ねぎ)
別添(12切りの焼のり1枚)(出典:ヤマダイ株式会社オフィシャルWEBサイト「トップページ > ニュース一覧 > 人気ラーメン店とのコラボレーション企画『らーめんてつや背脂正油らーめん』3月新発売!」)
チャーシューは面積が広く、適度に厚みがあって、赤身と脂身のバランスも程よい肉具材ですが、ちょっとパサつきが気になります。それにインスタント感も強いタイプだったので、お店のチャーシューと比較して足下にも及ばないと思いますし、税別250円のカップ麺としては可も無く不可も無しの肉具材ではあるものの、スープの背脂で臨場感ちょっとアップ。
ネギは大きめにカットされていたので、小さくて歯触りが強烈な熱風乾燥の小葱とは違う弁えた存在感が好印象。メンマは小さめですが、コリコリとした歯応えにメンマ特有の風味が強く、そこそこ量も入っていますし、今回の背脂しょうゆ豚骨スープにメンマの風味が映えていて相性はバッチリです。で、焼き海苔は‥‥
私は馬鹿の一つ覚えでカップラーメンの海苔はスープに浸した後に麺を包むようにして食べる、もしくは白ご飯の上にのせるくらいしか食べ方を知らないのでw いつも通りの構図になってしまったのですが、たっぷり背脂の旨味を纏った焼き海苔と麺の小麦感、そして磯の香りのバランスが味覚をリセットしてくれる絶妙なインターバルになりました。欲を言えば2枚欲しかったところではあるものの、サイズこそ違えど実際の「正油らーめん」も海苔は1枚が基本みたいですね。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
一見すると大胆なのに、実は緻密に繊細に計算されたバランスで魅せるタイプだったので、インパクト重視のカップ麺ではありませんが、背脂チャッチャ系の豚骨醤油スープに北海道・札幌の定番たまご縮れ麺を合わせたような仕上がりは個性的で印象に残りました。麺もスープも単体で見ると初めて食べるような味ではないのに、それを掛け合わせ、なおかつ違和感なく融合させていたランディングが素晴らしかったです。
当ブログの★4は及第点以上なので、けっしてマイナス評価ではありませんし、凄麺ラインのメーカー希望小売価格210円(税別)とまでは言いませんが、コンビニでの購入も考えると税別230円だったら★5かな‥と思い、ちょこっと総評から差し引いています。でも店頭で税込200円前後だったら試す価値ありですし、お店に行けない地域に住んでいても「らーめんてつや」の個性を手軽にカップ麺で楽しめる、という再現カップ麺でもっとも大切なコンセプトの主軸は打ち出せていると感じたので、お店の雰囲気が気になった方は試してみてください。