どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2024年9月8日(日)限定発売、ムラナカラーメン研究所が送る究極のカップ麺「すみれオールスターズ ムラナカの一杯 味噌ラーメン」(600円+税)の実食レビューです。
コスト度外視!? 純すみ系の火付け役・村中伸宜社長が本気で作ったカップラーメンに忖度できないカップめんマニアが挑んだ結果‥‥
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
すみれオールスターズ ムラナカの一杯
すみれオールスターズとは、北海道・中の島に本店を構える札幌みそラーメン界の重鎮「すみれ」で研鑽を積み、卒業後に独立した「大島」「三ん寅」「麺屋 彩未」「ラーメン 郷」「らーめん 福籠」「狼スープ」「らぁめん 千寿」「ramen IORI」「ら〜麺 ふしみ」「麺屋つくし」「八乃木」「らーめん みかん」から成る “SUMIRE OB会„ で、新横浜ラーメン博物館の企画『あの銘店をもう一度』にて結成。
2024年1月9日〜2月5日までの期間中、有名店となった弟子12名が日替わりで厨房に立ち、ラー博30周年だからこそ実現できた「三十年前の濃厚味噌ラーメン」を提供していたのですが、その総店主である「すみれ」の村中伸宜(むらなか のぶよし)社長が「コストに糸目をつけない」との思いで直接開発に取り組み、本気で完成させたのが「ムラナカの一杯」と名付けられた本商品。
すみれのカップラーメンといえば、セブン-イレブンで圧倒的な人気を博している「セブンプレミアムゴールド すみれ 札幌濃厚みそ」が全国的にも有名で、製造は日清食品が担当しているのですが、あくまでも “監修„ 商品。村中社長が直接開発に携わったのは、今回の「すみれオールスターズ ムラナカの一杯 味噌ラーメン」が初の出来事で、製造はニュータッチのブランドで知られるヤマダイが担当しています。
本商品の制作総指揮を執った村中社長は、以前からヤマダイの「凄麺(すごめん)札幌濃厚味噌ラーメン」の美味しさに惚れ込んでいたらしく、ヤマダイに対して直々にオファー。即席カップめん業界におけるコラボ商品は、基本的に “メーカーが店舗に監修を依頼する„ ところから開発が始まるので、その逆から始まるパターンは珍しく、10年以上こんなブログを続けている私としても初めての事例でした。
そのため販売者はムラナカラーメン研究所(※)とし、製造者はヤマダイ株式会社となっているのですが、注意すべきは発売場所が限られている “超限定販売品„ であること。2024年9月8日(日)10時30分より、新横浜ラーメン博物館1階のミュージアムショップにて一般販売開始と公式が発表しているため、行動圏内に「ラー博」さえあれば、そこまでハードルは高くないと思います。
しかし、それ以外の販売店は「すみれ 中の島本店」「同 里塚店」「同 横浜店」「麺屋 彩未」「らーめん みかん」「大島」「三ん寅」「八乃木」「麺屋つくし 本店」「同 富山駅店」「札幌ラーメン 郷」「ramen IORI」「らー麺 ふしみ」「狼スープ」「らぁめん 千寿」「ムラナカラーメン研究所」「らーめん福籠」各店舗に限定されているため、スーパーやコンビニには流通しません。
さらに、販売価格は1食あたり600円(税別)ということで、村中社長の「コストに糸目をつけない」との思いを最優先した結果、カップラーメンとしては “とんでもない値段„ に仕上がっているところも見逃せないポイント。ちなみにヤマダイが誇る「凄麺」各商品のメーカー希望小売価格は、255円(税別)を基本としているため‥‥いや、このブランドはコスパ高すぎて参考にしづらいんですけど。
先ほど例に引いたセブンプレミアムゴールドのカップ麺「すみれ 札幌濃厚みそ」の販売価格は298円(税別)ですし、昨年1月に “高すぎる„ と話題になった「日清ラ王 濃香トリュフ醤油」でさえ500円(税別)だったので、それ以上の値段に設定されたカップラーメンであることを念頭に置いてレビューします。
※ムラナカラーメン研究所:村中社長が営業している「すみれ」の別邸。当初は「おにやんま 村中研究所」の屋号で立ち上げ、2022年から「ムラナカラーメン研究所」に改称。現在は “村中社長が直接お客様と対面できる原点の場所„ として自ら厨房に立ち、不定期営業を行っている(ちなみに同店舗監修のカップ麺「ムラナカラーメン研究所 札幌味噌ラーメン」は明星食品が担当していました)。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」1袋に、後入れ「粉末スープ」「液体スープ」「レトルト調理品」の合計4パック構成で、さすがに気合が入りまくったラインナップ。新横浜ラーメン博物館が配信している「note」の画像では “なぜか乾燥具材が「後入れかやく」の小袋に„ 入っていたんですけど、おそらく開発段階のサンプルを撮影したのでしょう。※2024年9月14日追記:noteの画像が修正されてました。
麺は油で揚げずに乾燥させたノンフライ麺で、表面にオブラート状の物質(大豆由来の食物繊維)が付着しているあたり、いかにもヤマダイらしいポイント。ちなみに公式は “厳選したシンプルな原材料・特殊製法で実現した、ノンフライ太麺。「すみれ」店舗の自慢のコシが強い麺質を再現„ と訴求しているため、凄麺のテンプレートをベースにしつつ、すこし配合は変えているのかもしれません。
ただ、販売価格は前述の通り600円(税別)と破格中の破格。ノンフライ麺と小袋の構成を見る限り、凄麺ブランドなら300〜400円前後でも実現できそうな雰囲気ですが、公式のニュースリリースを見るとスープについて “カップ麺とは思えないほどの量を使用„ との記載があったので、そこにコスト度外視の秘密が隠れているのかも。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:すみれオールスターズ ムラナカの一杯 味噌ラーメン 販売者:ムラナカラーメン研究所 製造者:ヤマダイ株式会社 製造所:本社工場(茨城県結城郡八千代町平塚4828) 内容量:156g(めん65g) 商品コード:4595056720010(JAN) |
発売日:2024年09月08日(日) 発売地域:すみれオールスターズ各店・新横浜ラーメン博物館 販売価格:600円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:4袋(液体スープ・粉末スープ・レトルト調理品・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】スープ(みそ、動物油脂、ニンニク加工品、糖類、食塩、ポークエキス、植物油脂、粉末油脂、ソース、香辛料、しょうゆ、タマネギ加工品、すりごま、デキストリン)(国内製造)、めん(小麦粉、食塩、大豆食物繊維)、かやく(味付豚肉、メンマ、味付肉そぼろ、モヤシ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、かんすい、香料、香辛料抽出物、カラメル色素、増粘剤(グァーガム)、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、クチナシ色素、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む)※本品製造工場では、そばを含む製品を製造しています。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、中身は味付肉そぼろ、もやし、ねぎを組み合わせたラインナップ。コストに糸目をつけないのであれば、それこそ「凄麺 札幌濃厚味噌ラーメン」に入っている生タイプもやしの採用も視野に入っていたはずなのに、あえて乾燥もやしを選択した‥‥? だとしたら、そこも掘り下げなくてはいけません。
かやく以外の小袋は後入れなので、それを空けてから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体ソース」と「レトルト調理品」を温めながら待つこと5分。はい、ここからが大切。まずは添付調味料を加える前に “箸で麺をほぐし„ それから「粉末スープ」を入れて混ぜ合わせ、粉末スープが溶けたことを確認してから「液体スープ」を投入。
さらによく混ぜ合わせ、仕上げに「レトルト調理品」をトッピングしたら出来上がり。見た目は豪華なカップラーメンですけど、香りの次元が即席のレベルじゃねぇ‥‥などと、いきなり衝撃的なファーストインプレッション。はたして値段相応の仕上がりなのか、引き続きコスト度外視の臨場感に注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(156g)あたり |
カロリー:508kcal たん白質:14.1g 脂 質:19.8g 炭水化物:68.3g 食塩相当量:9.2g (めん・かやく:2.5g) (スープ:6.7g) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
きわめて凄麺です
ムラナカラーメン研究所も懇意にしている西山製麺の中太ちぢれ麺を忠実に再現! というよりも、なんというか「凄麺」らしいノンフライ麺だなー、とかって私なんかは思ってしまったんですけど、ぷりっと弾むような躍動感だったり、粘りは抑えながらもコシは強めの弾力だったり、札幌の味噌ラーメンといえばコレだよね、みたいな雰囲気の表現力は流石の一言。
食べ始めは「凄麺」のノンフライ太麺にありがちな、ちょっとゴリゴリした食感が目立っているように思えたけれど、それが気になるのも最初だけ。後述するスープの保温力が高かったから、というのも理由の一つで、旧世代チックな強付きを早い段階で解消。しかし、そこからの劣化は緩やかである、というのは「凄麺」で培われたヤマダイの強み。
また熱湯5分後、まずは “箸で麺をほぐし„ と触れたように(それは容器側面の調理方法にも書いてあったからなんですけど)ノンフライ麺としては戻りムラが懸念される太さでありながら、嘘でしょ? ってほどストレスなく解けちゃうのも同社が誇る技術力の高さを感じるポイント。正直な話、凄麺の延長線上(あるいは既製品)なので、これ単体で600円(税別)の価値があるとは思えないのですが‥‥
スープ
お店かな?
まずは「粉末スープ」を単体で舐めてみたところ、目立っていたのは糖類の甘さ、香味野菜のエッジ、でもってカップラーメンらしい U・MA・MI 調味料バチコーン! みたいな。いかにもインスタント感あふれる味わいで、お店のスープとは程遠いベクトルを歩んでいます。
けれどもズッシリ重たい「液体スープ」を加えた途端、豚脂と焼き味噌が混ざり合った芳ばしさが勢いよく鼻腔を駆け抜け、おいおい半端じゃねーなと衝撃を受けたのも束の間、いざ口に運ぶと焼き味噌が先陣を切り、圧倒的な動物系のコクが味蕾を包んできた刹那、ニンニク・生姜・すりごまのアクセントが畳み掛けてくるように押し寄せ、それらが過ぎ去った後に山椒の清涼感が残る‥‥いやもうマジかよ。
カップラーメンとしての美味しさを追求した場合、コスパ的にもセブンゴールドの「すみれ 札幌濃厚みそ」が優勢に立ちますけど、お店の味を純粋に追求したら “こうなった„ みたいな。特にラードと味噌ダレの作り込みが凄まじく、即席めんのベクトルを軽々と飛び越え、その調理感と湯気が立たないほどのオイルで「純すみ系」の魅力を最大限に再現している、これまでに感じたことのない説得力に圧倒されました。
かやく
やはり生タイプもやしは計算して避けたのか‥‥
先入れの「かやく」は、いずれも乾燥具材のクオリティを逸脱することなく、しかしながらジャンクな肉そぼろだったり、シャキシャキとしたモヤシだったり、フリーズドライだからこその上品なネギだったり、それぞれ前述のスープと相性良好。レトルト調理品の豚肉は赤身の部分がパサパサしていましたが、脂身の部分は甘みがあって柔らかく、乾燥具材では打ち出せないリアリティを表現。
メンマも厚みのある形状で、適度な繊維質を残しつつ、レトルト調理品ならではの柔らかさが高級感の演出に寄与。加えて生タイプもやしを併用していた場合、具材の満足度が大幅に上がったであろうことは想像に難くないけれど、それに引っ張られてインパクトが分散。結果として感動レベルのスープに集中できなくなっていたおそれを見越し、あえてスープを超えないギリギリの具材を選んだのかもしれません。
総評
1食あたり600円(税別)の商品なので、ひとつのカップラーメンとして見た場合、それはそれは非常識なほど高いです。しかし、熱湯を注ぐだけで食べられるカップラーメンの限界を超越した、まさに専門店レベルのスープが楽しめることを考慮すると、これまた非常識なクオリティの高さ。このスープを素人が600円で再現するのは不可能に近いため、私は値段相応の価値があると感じました。
スーパーマーケットやコンビニでは手に入らないため、入手経路が限られること。また「ひとつのカップラーメンに600円!? しかも税別!?」というバイアスも邪魔をしてくると思うので、それらを乗り越える必要はあるけれど、もしも手に入る環境が整っているのであれば、ぜひとも試してみてください。特にスープの完成度、正気じゃないですよコレ。【author・taka :a(大石敬之)】