どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年9月18日(月)新発売、ヤマダイのカップ麺「ニュータッチ 凄麺 兵庫播州ラーメン」の実食レビューです。
凄麺ご当地シリーズ26品目は満を持しての兵庫県!? 西脇市の地場産業にルーツを持つ播州の歴史をカップラーメンで表現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
凄麺 兵庫播州ラーメン 甘口醤油味
凄麺(すごめん)とは、ニュータッチのブランドで知られるヤマダイ(本社:茨城県結城郡)の本格ノンフライめんブランドで、2001年(平成13年)10月29日に登場した「これが煮玉子らーめん」を皮切りに発足。現在はバリエーションに富んだ「ご当地シリーズ」を中心に、王道を極めた「逸品シリーズ」ほか、季節に合わせた「期間限定」のフレーバーにも力を入れています。
今回の新商品「ニュータッチ 凄麺(すごめん)兵庫 播州(ばんしゅう)ラーメン」は、兵庫県の西脇市を中心に、北播磨(はりま)地域で食べられている「播州ラーメン」の味わいを再現したカップラーメンで、凄麺ご当地シリーズの “26品目” を飾る一杯。そもそも播州ラーメンってナニ? どんなラーメン? という方も多いでしょうから、その歴史や概要について、実食の前に触れておきましょう。
あらためまして播州ラーメンとは、西脇市と多可町を中心とした北播磨地域で食されている “ご当地ラーメン” で、細めに切り出された中華麺に、トッピングはチャーシュー・もやし・ネギを基本とする、これぞ昔ながらの中華そば的なビジュアルなのですが、最大の特徴は “しょうゆ味のスープが甘い” こと。そこまで強烈な甘さではないのですが、事前情報がないと少し驚かれるかもしれません。
そのルーツを辿ると、1792年(寛政4年)から続いている西脇市の地場産業「播州織」まで遡り、織物産業が盛んだった1955年(昭和30年)頃、西日本の各地から集まった若い女性労働者の口に合うラーメンを‥‥と、その想いで考案されたのが “甘いスープが特徴” の播州ラーメン。スープには鶏ガラや豚骨、玉ねぎ、りんごなどを使い、氷砂糖を加えて熟成させるため、それが優しい甘さの秘訣。
お店によってレシピは異なるため、スープの色や甘さの度合いなども変わってくるのですが、昭和30年代に西脇大橋の西詰で創業し、1991年(平成3年)から現在の地(西脇市上野)で営業している「西脇大橋ラーメン」が元祖。さらに西脇多可料飲組合が認定する播州ラーメン店には “認定店之証” が掲げられ、それに所属する播州ラーメン部会* が今回の「凄麺 兵庫播州ラーメン」を監修しています。
*畑やんラーメン 本店、西脇大橋ラーメン、かおるちゃんラーメン、タッチャンラーメン、内橋ラーメン、畑やんラーメン しばざくら店
たとえば有名どころを挙げると、肉体労働者が多かった戦後の時代に生まれた富山県の「富山ブラック」だったり、モノづくりの町として栄えた新潟県の「燕三条背脂ラーメン(燕三条系)」だったり、汗をかいて働く血気盛んな野郎どものために考案されたラーメンはパッと思い付くのですが、女性工員のために開発されたラーメンは全国的にも珍しく、そこにスポットを当てたヤマダイの着眼点たるや。
ちなみに「本日の一杯」の筆者である私、taka :a は兵庫県の但馬(たじま)という地域に住んでいるため、播州ラーメン発祥の地である北播磨は目と鼻の先。なんだったら西脇市に親戚の家があるので、小さい頃から何度も足を運んでいるのですが、播州ラーメンは兵庫県民にとっても知る人ぞ知る食べ物。ラーメンが好きな方と北播磨出身の方を除き、兵庫県内でも知らない方は多いと思います。
播州ラーメンの味わいを再現した即席カップめんといえば、それこそ播磨エリアに本社を置くイトメン(兵庫県たつの市)が「カップあまくち醤油(播州らーめん)」を絶賛販売中なので、その立ち位置が脅かされるかもしれない‥‥いや、そもそもイトメンの「カップあまくち醤油」は “売ってる店が少ないから問題なさそう” ですけど、はたして「凄麺 兵庫播州ラーメン」の仕上がりや如何に。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」と「レトルト調理品(チャーシュー・メンマ)」の計3パックで、シンプルながらも “こだわり” を感じるファーストインプレッション。ちなみにヤマダイのニュースリリースには “野菜だしの甘みが特徴的な、優しい味わいですっきりとした醤油スープです。” との記載があるため、そこが見どころ。
麺は油で揚げずに乾燥させた、ヤマダイ独自製法のノンフライ中細麺で、湯戻し時間は4分。途中で引き合いに出したイトメンの「カップあまくち醤油」はフライ麺(油揚げ麺)を使用しているため、同じ播州ラーメンをモデルにしていても、この時点で大きなスペック差が生じています。もちろん、それぞれメリット・デメリットはありますけどね。
「凄麺 兵庫播州ラーメン」のメーカー希望小売価格は255円(税別)なので、凄麺ご当地シリーズにおける標準的な値段。近畿エリアのセブン-イレブン店舗では入荷の予定が立っているようですが、主な販売店はスーパー・ドラッグストアとなっているため、ほとんどのコンビニでは売ってないかもしれません(※販売エリアは全国区です)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ニュータッチ 凄麺 兵庫播州ラーメン 製造者:ヤマダイ株式会社 製造所:本社工場(茨城県結城郡八千代町平塚4828) 内容量:123g(めん60g) 商品コード:4903088016818(JAN) |
発売日:2023年09月18日(月) 実食日:2023年09月19日(火) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:255円(税別) 購入価格:246円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:3袋(レトルト調理品・液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、大豆食物繊維)、スープ(しょうゆ、糖類、動物油脂、たん白加水分解物、食塩、ポークエキス、調味油、オニオンエキス、チキンエキス、ニンニクエキス、香辛料)、かやく(味付豚肉、メンマ、モヤシ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、酒精、かんすい、増粘剤(グァーガム)、酸化防止剤(ビタミンE)、香料、クチナシ色素、(一部に小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)※本品製造設備では、そばを含む製品を製造しています。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、乾燥もやしと青ネギのみ。前述のように播州ラーメンのトッピングは、チャーシュー、メンマ、もやし、ネギ(お店によっては海苔)とシンプルなので、チャーシューとメンマがレトルト調理品であることを加味すると、まったくもってイメージは悪くありません。
かやくを麺の上にあけたら熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」と「レトルト調理品」を温めながら待つこと4分。時間になったら “麺をほぐし” それから「液体スープ」を馴染ませて、仕上げに「レトルト調理品」をトッピングしたら完成です。レトルト調理品による高級感も然る事乍ら、甘い香りが個性的で、なおかつ押し寄せてくるように芳醇な動物系の存在感も印象的な調理直後。
スープの原材料に糖類を使用しているため、甘さの演出は野菜の出汁(だし)だけにあらず‥‥なんですけど、それも本物の「播州ラーメン」に通じる要素。はたして自然に楽しめる甘さに仕上がっているのかどうか、引き続き播州ラーメンの再現度に注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(123g)あたり |
カロリー:330kcal たん白質:10.1g 脂 質:6.9g 炭水化物:56.9g 食塩相当量:6.9g (めん・かやく:1.8g) (スープ:5.1g) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
安心と信頼の「凄麺」クオリティ
播州ラーメンに合わせられる麺は、こだわりの自家製麺(内橋ラーメン)だったり、中太の平打ち麺(かおるちゃんラーメン)だったり、けっこう細めの中細ストレート麺(千笑)だったり、元祖は中太ちぢれ麺(西脇大橋ラーメン)だったり、お店によって様々なので、播州ラーメンといえばコレ! みたいな定義はありません。
ただ、二郎インスパイア系を彷彿とさせる極太麺や博多とんこつラーメンばりの極細低加水麺を特徴とする播州ラーメンは皆無に等しく、今回の「凄麺 兵庫播州ラーメン」も然り。メーカーの公式ウェブサイトに “新開発” などの訴求がないことから、おそらく既存の「凄麺ご当地シリーズ」で使い回しているテンプレの一つだと思いますけど、それだけに間違いない品質の高さ。
食べ始めはノンフライめん特有のゴムっぽさを感じるので、生麺に見紛うほどの質感とはいえないけれど、それが気になるのも最初だけ。美しく透き通るような麺の肌ツヤも然る事乍ら、しなやかさとコシを両立し、なおかつ小麦の風味も豊かに伝わってくる、オーソドックスな中細麺を突き詰めるところまで突き詰めたような仕上がり。スープとの相性も申し分なく、文句の付け所が見当たりませんでした。
スープ
お店の品質やで、これ‥‥
「液体スープ」を馴染ませた途端、いっきに押し寄せてくるように、それでいて同時に優しく包み込んでくるような動物系の香りが充満するので、おいおいマジかよ‥‥などと、呆気に取られそうになったのですが、実際の味わいも然り。なるほど味覚のファーストインプレッションは “甘い” という感覚で、それは糖類に由来しているのですが、まったく野暮ではありません。
牛脂は入っていないのに、それを彷彿とさせるベクトルの甘さで、動物系の出汁も清湯(ちんたん)とは思えないほど濃密。加えて玉ねぎの甘みも強く、例えるなら甘めに仕上げた豚丼、牛丼に近いイメージといえば伝わりやすいでしょうか。たしかにラーメンのスープとしては甘口ですけど、その加減が絶妙で、かなり中毒性の高い味わいでした。これ、再現度 “めちゃくちゃ高い” ですよ。
かやく
メンマうまい
チャーシューはレトルト調理品なので、特有の食感と風味が気になる方は気になると思いますが、乾燥具材にはない重量感から食べ応えはバッチリ。片や同じレトルト調理品でもメンマは食感・風味ともにリアルな事この上なく、本来なら主役のチャーシューよりも感動を与えてくれる具材。
もやしと青ネギは乾燥具材ですが、もやしは太くてシャッキシャキ、青ネギはFD(フリーズドライ、凍結乾燥)で主張し過ぎないアプローチが好印象。ちなみにチャーシューは表と裏にも部分的に重なっていたので、結果的に1.5枚分ほど入っていたんですけど、おそらく個体差によるエラーだと思います。
総評
私が本物の播州ラーメンを最後に食べたのは何年も前の話なので、思い出補正もあると思います。しかし、ヤマダイの「凄麺 兵庫播州ラーメン」を食べた瞬間、あの懐かしい味わいが鮮やかに蘇ってくる感覚が得られたので、かなり再現度は高いと感じました。肉うどんよろしく甘めの味わいなので、それを受け入れられるかどうか、というのが好みの分かれ目になりますけど、臨場感は申し分ありません。
ちなみに兵庫県は “ご当地ラーメンが不毛の地” として有名(?)なのですが、播州ラーメンのほかに「姫路播磨らーめん点心応援会」(通称:姫らー会)が推している「姫路らーめん」も存在します。ただ、それを市が大々的にPRし始めたのは11年ほど前の話。
広島のラーメンで例えると、播州ラーメン=尾道の中華そば、姫路らーめん=尾道ラーメンみたいなイメージなので(伝わりますかねw)兵庫県の “ご当地ラーメン” を選ぶ上で「播州ラーメン」をピックアップしてくれたヤマダイの担当者さん、ちゃんと雰囲気を再現してくれた開発担当各位に脱帽すると共に、長く愛される一杯になればいいなと、切に願っています【author・taka :a(大石敬之)】