どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年10月31日(月)新発売、ヤマダイのカップ麺「ニュータッチ 凄麺 愛媛八幡浜ちゃんぽん」の実食レビューです。
八幡浜市役所の熱いアプローチで異例の商品化を実現!? 凄麺ご当地シリーズ25品目は「愛媛」初上陸!! 他の商品とは異なる道のりを歩んだ「八幡浜ちゃんぽん」の “開発秘話” とは‥‥
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
凄麺 愛媛八幡浜ちゃんぽん
凄麺(すごめん)とは、ニュータッチで知られるヤマダイの即席ノンフライめんブランドで、2001年(平成13年)10月29日発売の「これが煮玉子らーめん」を皮切りに発足。現在は個性豊かな「ご当地シリーズ」を筆頭に、めん・スープ・具材を極めた「逸品シリーズ」ほか、通年品とは異なる「期間限定」のスポット商品など、さまざまなバリエーションを展開しています。
今回の新商品「凄麺 愛媛八幡浜(やわたはま)ちゃんぽん」は、四国における西の玄関口として栄えた愛媛県八幡浜市のソウルフード「八幡浜ちゃんぽん」を再現したカップラーメンで、八幡浜市全面協力のもと、現地に根付いた味を忠実に再現。前述した「ご当地シリーズ」の記念すべき25品目で、他の商品とは異なる開発経緯を歩み、正式な商品化に繋がりました。
というのも「凄麺」ご当地シリーズは、基本的にヤマダイからの発信で、同社の社員が各ご当地にアプローチを試みているのですが、今回の「八幡浜ちゃんぽん」は “八幡浜市役所から届いた1通の問い合わせ” が事の発端。そこには「八幡浜ちゃんぽん」の魅力を県外の方に知っていただきたい、ぜひ「凄麺」で一緒に再現したい、そんな八幡浜市の熱意ある想いが込められていたのだとか。
これは有名店が監修した他社のカップ麺にもいえることで、たとえば「うちのラーメンを再現してください」といった個人のアプローチは門前払いで終わるのがオチ。さらにヤマダイの社員に「八幡浜ちゃんぽん」を知っている人物は皆無に等しく、ひとまず社内会議で商品化を検討してはみたものの、商品化しても売れる? という半信半疑の会話が飛び交うようなスタートを切ったそうです。
開発秘話の詳細についてはヤマダイの公式ウェブサイト内にある「ニュータッチ 凄麺 愛媛八幡浜ちゃんぽん」こだわり秘話 にも記載されているので、そこから特徴や苦労話を抜粋しつつ、このページでは実食の感想に基づいてレビューしますが、そもそも「八幡浜ちゃんぽん」って何? という根本的な疑問。私もカップ麺の発売まで詳しくは知らなかったので、歴史や特徴を調べてみました。
八幡浜ちゃんぽんとは、白濁した魚介とんこつスープを特徴とする「長崎ちゃんぽん」とは一線を画す食べ物で、鶏ガラや鰹(かつお)・昆布などから出汁(だし)を取った黄金色のスープが特徴的。麺は太めの中華麺を合わせている店が多く、たっぷりの野菜や豚肉・海老・蒲鉾(かまぼこ)のほか、トッピングとして八幡浜市の特産品である「じゃご天」を使用しているのも大きな特徴の一つ。
八幡浜ちゃんぽん発祥の店は、1948年(昭和23年)の創業以来、愛媛県八幡浜市下道371-9で営業している「丸山ちゃんぽん」とされ、考案者は初代店主の山口カツエさん。その魅力は八幡浜市に広く根付き、レストランや食堂・カフェ・ホテル・居酒屋など、いまや市内で「八幡浜ちゃんぽん」を提供している店舗は40を超え、地元民に愛されるソウルフードとしての確固たる地位を築き上げました。
そんな「八幡浜ちゃんぽん」を再現する上で、もっとも苦労したのは “じゃこ天” らしく、既製品がないため開発はゼロからのスタート。じゃこ天の完成は商品化の締切当日(締切を過ぎていた‥‥という説もあるw)らしく、八幡浜市長や副市長から厳しい意見を受けながら試作を繰り返し、すべての関係者が納得できる味に仕上がったそうです。さて、地元の臨場感は伝わってくるのでしょうか。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、お湯を注ぐ前に入れる「かやく」2袋に、後入れ「液体スープ」の計3種。ずっしりと重たい液体スープの量も然る事乍ら、かやくの片方にはキャベツ・えび団子・にんじん・イカ・ニラを、もう片方には「凄麺 愛媛八幡浜ちゃんぽん」専用の具材として開発された “じゃこ天” が個包装されている状態で、さすがの気合を感じるファーストインプレッション。
麺は油で揚げずに乾燥させたヤマダイ独自のノンフライ極太麺で、同社の公式ウェブサイトや「凄麺 愛媛八幡浜ちゃんぽん」の特設サイトにも新開発の文字はないことから、既存のノンフライ麺を使っているのでしょう。凄麺のノンフライ極太麺は、濃厚な味噌スープや家系スープと相性がいい反面、スープが弱いと麺が独り歩きする懸念もあるため、そのバランスが気になるところ。
メーカー希望小売価格は242円(税別)なので、2022年11月現在販売中の凄麺ご当地シリーズ(汁なし含む)において標準となっている値段。コンビニで購入した場合の税込価格は261円が相場になりますが、スーパーやドラッグストアなど、コンビニ以外での販売がメインになるため、もっと安く手に入ると思います。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:ニュータッチ 凄麺 愛媛八幡浜ちゃんぽん 製造者:ヤマダイ株式会社 製造所:本社工場(茨城県結城郡八千代町平塚4828) 内容量:119g(めん65g) 商品コード:4903088016054(JAN) |
発売日:2022年10月31日(月) 実食日:2022年11月12日(土) 発売地域:全国 取得店舗:ウエルシア 小売価格:242円(税別) 購入価格:235円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく2袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、大豆食物繊維)、スープ(食塩、しょうゆ、食用風味油、たん白加水分解物、ポークエキス、糖類、動物油脂、魚介エキス、植物油脂、香辛料、キャベツエキス、鰹節粉末、ニンニクペースト、酵母エキス、シイタケエキス、いか粉末)、かやく(キャベツ、じゃこ天(揚げかまぼこ)、えび団子、ニンジン、いか、ニラ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、酒精、乳化剤、増粘剤(加工でん粉)、香料、かんすい、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、カラメル色素、膨脹剤、カロチノイド色素、香辛料抽出物、(一部に小麦・えび・いか・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・魚肉すり身(魚介類)を含む) ※本品製造設備では、そばを含む製品を製造しています。※本製品で使用している食用風味油に含まれる原料(えび)は、かにが混ざる漁法で採取しています。※本製品で使用している魚介エキスに含まれる原料(あさり)いは、かにが共生しています。※じゃこ天は、小魚をすり潰してつくっております。食べた時に小骨を感じることがありますが、じゃこ天の特徴ですので、安心してお召しあがりください。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」2袋のみ先入れで、いか&じゃこ天に由来する匂いが強烈。ほんと、たとえば職場で調理する場合、けっこう慎重になったほうが必要なレベルw たとえばスルメとか、いかの姿あげとか、そっち系の香りが充満するので、状況によっては調理するタイミングに注意が必要です。
添付調味料は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと5分。ヤマダイ自慢のノンフライ麺は(ちゃんと時間を守ると)基本的にストレスなく解れますが、もしも液体スープを先に入れてしまった場合、麺が適切に戻らなくなってしまうので、必ず後入れするように意識してください。
さて、比較的に口径が広い容器を使用しているのに、麺が見えないほど具沢山なのは「ちゃんぽん」らしさを感じるポイント。しかし、スープは澄んだ清湯(ちんたん)で、いわゆる長崎ちゃんぽんと雰囲気は別物。というわけで、引き続き “ご当地” の個性と臨場感に注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(119g)あたり |
カロリー:346kcal たん白質:9.2g 脂 質:6.1g 炭水化物:63.6g 食塩相当量:7.1g (めん・かやく:2.0g) (スープ:5.1g) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
安心と信頼の凄麺クオリティ
伝統を重んじる長崎ちゃんぽん専門店では、一般的な中華麺に必要不可欠とされる炭酸カリウムが主成分の梘水(かんすい)ではなく、炭酸ナトリウムが主成分の唐灰汁(とうあく)を使った “ちゃんぽん麺” を愛用する傾向があるのに対し、八幡浜ちゃんぽんを提供している店では中華麺を使用することが大半で、形状は丸断面のストレートが多い様子。
対して「凄麺 愛媛八幡浜ちゃんぽん」のノンフライ麺には適度な縮れが施され、形状も角刃の平打ちと再現度は高くありません。食べ始めはモチモチとした粘り気よりもコシのほうが強く、ちょっと主張が強いかな? という印象が無きにしも非ずではあるものの、後述するスープが想像以上に厚みのあるテイストだったので、単純にスープとのバランスは良好です。
おそらく既存の「凄麺 長崎ちゃんぽん」などにも使っているノンフライ極太麺で、あるいは違ったとしても新鮮味を覚える質感ではないけれど、油揚げ麺のようにスープの味に干渉する要素は少なく、結果的な印象は悪くありません。もちろん熱湯5分で問題なく食べられるのですが、液体スープを馴染ませてから3、4分ほど休ませたほうがポテンシャルを発揮できる感じだったので、ご参考ください。
スープ
澄んだ見た目とは裏腹に重厚なテイスト
たとえば「鶏しおの逸品」ほどの黄金色ではないけれど、見た目は透明感のある清湯で、いざ口に含むと重厚な旨みが舌に乗る、そのビジュアルとは裏腹にパワフルな味わい。実際に動物系の要素は鶏ガラではなくポークエキスをメインに使用している(そもそもチキンエキスを使っていなかった)ので、再現度を重視した場合、ちょっとネックな部分ではあるものの、鶏には出せない力強さが印象的。
さらに粉末状の鰹節や椎茸エキスなども併用しているのですが、アサリやエビのエキスに加え、隠し味にイカ粉末を使うなど、魚介の要素も動物系に次いで強く、さらにキャベツエキスで具材との相乗効果にも余念がない骨組み。カエシには醤油を使用していますが、そこまで醤油の風味が前に出てくることはありません。それに、中華鍋で具材を炒めたような調理感もいいですね。
和の要素を備えつつ、ベクトルは漠然と中華風で、ちょっぴり強めの胡椒(粒子は細かめ)もノスタルジックでイイ感じ。長崎ちゃんぽんとは完全に異なる味わいでありながら、複数の旨みが渾然一体に調和している、そこに「ちゃんぽん」としての定義と「ご当地」の個性を感じました。
かやく
2022年発売品のTOP5に入るインパクトかもしれない
いやー、これはもう文句の付け所がないですね。キャベツ・えび団子・イカについては、途中で引き合いに出した「凄麺 長崎ちゃんぽん」と共通の具材なので、いってしまえば使い回しなのですが、たっぷりのキャベツは素直に評価すべきポイント。イカは少量かつ小さめで、しかしながら香りは強く、ほろほろと解れながらプリッとした食感が楽しめる、えび団子のアクセントも印象的。
さらに全体のスタミナ感を底上げしてくれるニラだったり、視覚的に鮮やかなニンジンだったり、これだけでも充分と思える内容なのですが、メインの「じゃこ天」がマジでスゴい。
薩摩揚げや厚揚げよろしく表面の芳ばしい部分だったり、じゃこの風味だったり、そこも十二分にリアルなのですが、ちゃんと小魚を磨り潰して作った「じゃこ天」なので、何度も噛んでいると小骨のザラつきが舌に伝わってくるんですよ。それがネガティブな方にはマイナスな要素になりますが、だからこそリアルな仕上がりで、サイズ以上の存在感でした。
総評
自分は「八幡浜ちゃんぽん」を経験したことがなく、それでも麺の再現度は低いのでは‥‥などと、そう感じた節もありますが、あっさりした見た目とは裏腹に、スープの濃度は特筆すべき厚みを備え、なんといっても「じゃこ天」が個性的。長崎ちゃんぽんのイメージで臨むとズッコケますけど、海鮮入りのタンメン的な味わいに魅力を感じる方は、おおむね違和感なく楽しめると思います。
ちなみに「凄麺」といえば「フタの裏ばなし」も楽しみなポイントになるのですが、今回は開発者からのコメントだけでなく、特別に “八幡浜市民から募集した八幡浜ちゃんぽんへの想い” が綴られているため、そちらもチェックしながら「八幡浜ちゃんぽん」の魅力に触れてみてください【author・taka :a(大石敬之)】