どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年1月2日(月)新発売、日清食品のカップ麺「白樺山荘 濃厚味噌ラーメン」の実食レビューです。
うまい一杯を、多くの人に——。人気店が軒を連ねる札幌において不動の地位を確立した「麺処 白樺山荘」監修 “旨味の原点” をコンビニ向けのカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
白樺山荘 濃厚味噌ラーメン 2023ver.
白樺山荘(しらかばさんそう)とは、札幌市南区真駒内に本店を置く味噌ラーメンの名店で、創業は1997年(平成9年)7月。札幌のラーメンを変えた第2世代の中でも “くせ者” の異名を持つ店主の菅沼省五(すがぬま しょうご)氏は、札幌で最大手とされる広告代理店に勤めていた経歴を持ち、親会社が倒産したことを転機に独学で「麺処 白樺山荘」を立ち上げ、北海道を代表する名店に育て上げました。
今回の新商品「白樺山荘 濃厚味噌ラーメン」は、札幌味噌ラーメンの名店「白樺山荘」監修のもと、白樺山荘を代表する「味噌ラーメン」の味わいを再現した “イオングループ限定” のカップラーメンで、製造は即席カップめん業界最大手の日清食品。以前にも商品化されていましたが、思い返すと縦型ビッグの「濃厚味噌ラーメン」はレビューしていなかったので、これを機に取り上げてみようかと。
あらためまして「白樺山荘」が誇る「味噌ラーメン」とは、様々な素材を取り入れては廃止し、試行錯誤の末に辿り着いた “すべてはバランス” という答えを大切にしている、つまり「さじ加減」を追求した一杯で、スープは豚骨と豚足をベースに、昆布や数種類の野菜を長時間にわたり強火で焚き続けた濃厚こってりタイプ。
札幌における濃厚味噌ラーメンの基盤を築き上げ、現在も業界を牽引している通称 “純すみ系” のスープは清湯(ちんたん)を基本としているのに対し、その常識を覆す白湯(ぱいたん)で勝負を掛けたのが第2世代の中でも “くせ者” とされる所以。ただ、その豚骨白濁スープだからこそ実現できたコク深い味わいは多くの方に支持されることになり、ラーメン激戦区において不動の地位を確立しました。
そんな自慢の白湯で札幌のラーメン業界に新たな風を吹き込んだ「白樺山荘」ですが、使用する麺は札幌を代表する製麺所「森住製麺」特製の中太ちぢれ卵麺で、同じく札幌といえばの「西山製麺」と双璧を成す王道中の王道。味付けの要となるタレには糀(こうじ)味噌と白味噌を使い、オイスターソース、ごま油、ニンニクなどを絶妙なバランスで配合。
チャーシューに使用しているのは豚のバラ肉とロース肉で、それらを秘伝のタレで煮込み、数時間漬け込んでいるそうですが、濃厚なスープとの相性に配慮し “あえて薄味に仕上げる” など、徹底的にバランスを大切にしています。ちなみに2018年までは大判どんぶり型の容器に身を包み、ノンフライ麺を使用していたのですが、より簡単に調理できる縦型ビッグの容器が主流となっている近年——。
このブログで最後に取り上げた「白樺山荘」監修のカップラーメンは、2021年2月8日発売の「大辛味噌」で、日清食品×白樺山荘シリーズの第12弾に該当する商品と記録しています。その後、同年10月25日に縦型ビッグの「濃厚味噌ラーメン」を発売しているのですが、2022年に目立った動きはなかったので、見落としがなければ2023年1月発売の「濃厚味噌ラーメン」はコラボ第14弾に該当する最新作。
2021年10月25日発売品とパッケージのシズルが完全に同じ‥‥というか、そもそもデザインまったく変わってないですよねw このパターンだと内容も変更なし、つまりテコ入れなしの再販である可能性が高くなってくるのですが、前述のように縦型ビッグの「濃厚味噌ラーメン」(辛くないやつ)はレビューしたことがないため、これを機に向き合ってみます。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「特製油」1袋のみで、最後にレビューした「大辛味噌」の特製油には辛いオイルが入っていたのですが、たとえば辛さレベルの表示など、辛味についての言及はありません。
かやくは「カップヌードル」の謎肉(なぞにく)と思しき味付豚ミンチに、キクラゲ、ねぎ、コーンの組み合わせで、コーンは店舗の「味噌ラーメン」にトッピングされていません(有料の追加トッピングに「バターコーン」はある)が、2018年11月発売品にもオリジナルトッピングとして使われていた具材。キクラゲが刻みではなくホールっぽいのは、お店のキクラゲをイメージしての形状です。
でもって注目したいのが販売価格で、2023年1月現在の縦型ビッグ(NB)におけるメーカー希望小売価格は245円(税別)が基本。つまりコンビニで購入した場合の税込価格は264.60円に固定されているのですが、今回の販売価格はミニストップで215円(税込232.20円)という破格の待遇を実現。イオンリテールやマックスバリュ、ウエルシアでも堂々の価格になると思いますが、これってスゴいコト。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:白樺山荘 濃厚味噌ラーメン 製造者:日清食品株式会社 製造所:静岡工場(静岡県焼津市相川17-2) 内容量:112g(めん80g) 商品コード:4902105269220(JAN) |
発売日:2023年01月02日(月) 実食日:2023年01月07日(土) 発売地域:全国(イオングループ限定) 取得店舗:ミニストップ 販売価格:215円(税別) 購入価格:232円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、香辛料)、スープ(豚脂、粉末みそ、糖類、ポーク調味料、小麦粉、でん粉、香辛料、乳等を主要原料とする食品、食塩、植物油脂、オニオンパウダー、クリーミングパウダー、酵母エキス、ごま)、かやく(味付豚ミンチ、ねぎ、コーン、きくらげ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、香料、炭酸Ca、かんすい、カラメル色素、増粘多糖類、香辛料抽出物、カロチノイド色素、pH調整剤、酸化防止剤(ビタミンE)、くん液、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯5分。2021年2月8日発売の「大辛味噌」と似た形状かつ原材料名も変わっていませんが、当時は「カップヌードル」の麺を太くした感じ-・などと、あまりポジティブな印象を受けませんでした。とはいえ現在の相場よりも手に取りやすい販売価格を実現しているため、それも考慮しながら評価しなければいけません。
別添の小袋は後入れなので、お湯を内側の線まで注ぎ、フタの上で「特製油」の小袋を温めながら待つこと5分。時間になったら小袋の中身を加え、よく混ぜ合わせたら出来上がり。お湯を注ぐ前から食欲を刺激する香りが漂ってくるのですが、調理後さらに勢いを増すため、まったく掴みは悪くありません。
ただ、かなりスープの素が多く、とろみ成分を含んでいたので、調理の際は “ゆっくりと熱湯を注ぎ、5分後は容器の底から念入りに” 混ぜ合わせてください。それでは、お店の印象とコストパフォーマンスの高さにも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(112g)あたり |
カロリー:518kcal たん白質:12.3g 脂 質:22.8g 炭水化物:65.9g 食塩相当量:7.3g (めん・かやく:3.0g) (スープ:4.3g) ビタミンB1:0.25mg ビタミンB2:0.34mg カルシウム:141mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:518kcal(めん・かやく:412kcal)(スープ:106kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
再現度は低い
実店舗で使われている「森住製麺」の中太ちぢれ卵麺は、卵白で独特のコシをつけた札幌といえばの品質で、湿度と温度を徹底的に管理した部屋で数時間熟成させることにより、伝統的な質感を生み出しています。しかし、それをイメージしている‥‥いや、そもそもイメージしているかも怪しい今回の油揚げ麺は「カップヌードル」の延長線上に位置しているため、本物に近いのは贔屓目に見て色味くらい。
そこそこ縮れは強めに施してありますが、結果的に厚みのない平打ち麺ということで、お店の麺とは程遠い形状です。そのため “ラーメン” よりも “ヌードル” という響きが似合うタイではあるものの、加水率は低めの設定でありながら、そこそこ食べ始めのコシは強く、これはこれと割り切れば悪くない。
また縦型ビッグのカップラーメンを有名店が監修していた場合、調理前の麺重量は70gが標準的となっているイマ、今回の麺重量は80gなのも好感が抱けるポイントで、なおかつ販売価格が2022年6月1日の出荷分から実行された価格改定(値上げ)以前の相場と同じことを考慮すると、頭ごなしに再現度が低いと叩くことはできません。
スープ
こってり白湯ベースの濃厚みそスープ
まずは「特製油」を入れる前の味を確認してみたところ、明らかに動物系のコクは白湯のベクトルで、一般的にネガティブとされる癖を抑えながらも濃厚な豚骨スープに味噌ダレを溶かしたような、ずっしりと重心の低いテイスト。それなりに濃いめの味に仕上げてありますが、タレは白味噌の比率が高く、まったり・ずっしりとした味わいに、いわゆる “純すみ系” との明確な違いを感じます。
次に「特製油」を加えてみたところ、豚脂を中心とする動物系のコクに、ガーリックの芳ばしさが重なって、より調理感のある味わいにグレードアップ。中華鍋で野菜を炒めたような香りは意識されていませんが、濃厚さの指標を履き違えていない、こってりとしたスープに仕上がっていました。
あと酒粕っぽい感じ? 酒粕ではないかもしれませんけど、なんだか近い独特のコクと風味を感じたので、そこも印象に残ったポイントです。
かやく
インスタント感は強いけど悪くない
店舗のチャーシューは “あえて薄味に仕上げている” と前述しましたが、カップ麺の味付豚ミンチは謎肉よろしく濃いめのジャンクな味わいで、高級感はありません。コーンの甘さは嬉しいアクセントになりますが、ネギはFD(フリーズドライ)よりも安っぽい熱風乾燥の青ネギで、キクラゲも量が多いとはいえず、札幌の味噌ラーメンを象徴する「もやし」も不使用など、再現度の高さは可もなく不可もなし。
とはいえ繰り返すように販売価格が現在の相場よりも安いので、それも踏まえると充分な内容といえるかもしれません。
総評
というわけで、麺の方向性や具材のラインナップなど、もうすこし近付けてほしい部分もありましたが、なんといっても2023年(令和5年)に縦型ビッグで215円(税込232.20円)という販売価格の据え置きは素晴らしく、そこにはPB(プライベートブランド)ならではの強みと企業努力を感じました。
古き良き札幌の味噌ラーメンとは異なるベクトルを歩んではいるものの、それこそがラーメン業界で札幌ラーメンを変えた「第2世代」と呼ばれる所以であり、この味わいは多くの方に受け入れられるポテンシャルを備えていると思います。販売店はイオングループ限定ですが、それだけに取り扱いは多いと思うので、最寄りの店舗をチェックしてみてください【author・taka :a(大石敬之)】