どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年10月19日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 中華そば しば田 背脂煮干しそば」の実食レビューです。
日本の中華そば界を牽引する東京・仙川のトップランカー「しば田」監修のカップラーメン “第4弾” は実店舗で食べられない限定の味!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
しば田 背脂煮干しそば
中華そば しば田(しばた)とは、96年組の代表格「麺屋武蔵 新宿本店(現:創始 麺屋武蔵)」並びに惜しまれつつも閉店した吉祥寺の人気店「音麺酒家 楽々(おんめんしゅか らくらく)」出身の柴田貴史(しばた たかし)氏が独立開業したラーメン店で、創業は2013年11月28日。現在も店舗を構える東京都調布市の長閑な街道沿い・仙川で産声を上げ、オープンするや否や新店らしからぬ実力の高さで話題になりました。
今回の新商品「マルちゃん 中華そば しば田 背脂煮干しそば」は、東洋水産と「中華そば しば田」の共同開発商品で、店主監修のもと “カップ麺でしか食べられない” 限定の味を初展開。東洋水産×しば田といえば、2015年・2016年・2018年にもカップラーメンを発売していたので、すこし歴史を振り返ってみましょう。
「しば田」監修のカップ麺が初めて発売されたのは、2020年10月現在から遡ること5年以上前の2015年6月22日。講談社が発行している1週間MOOK『業界最高権威 TRY認定 第15回 ラーメン大賞 2014-15』の “新人大賞部門” で「しば田」が総合1位に輝いたことを記念して、東洋水産が看板メニューの「中華そば」を縦型ビッグのカップラーメンにアレンジ。
さらに『第16回 TRYラーメン大賞 2015-16』の “名店部門しょう油” にて、またもや「しば田」が1位に輝き、東洋水産が2016年7月25日に前年と同じ製品スタイルで看板メニューを再現。それから両者のタイアップは1年の空白期間を挟みますが、2018年7月30日に『第18回 TRYラーメン大賞 2017-18』の “名店部門にぼし” で「しば田」が1位を獲得したことを記念して、縦型ビッグのカップラーメンを発売しています。
2015年6月発売のコラボ第1弾及び2016年7月発売のコラボ第2弾「縦型ビッグ しば田 中華そば」は、どちらも同じ商品名で、鴨と地鶏の動物系スープを軸に、数種類の生醤油を使用したタレを特徴とする同店の看板メニュー「中華そば」を再現。貝と鴨の旨味を効かせた醤油清湯にFDチャーシューで具材の満足度も高く、このブログでは文句なしの高評価(星5)。
続けて2018年7月に発売されたコラボ第3弾「中華そば しば田 煮干しそば」は、中華そばに並ぶ同店の看板メニュー「煮干しそば」を再現したもので、近年の東洋水産が誇る “次世代系” の油揚げ麺ではなく、かなりスナック的なヌードルタイプの油揚げ麺を使用していたのですが、意外にも違和感なくフィット。ほのかに煮干しの苦味が漂うスープは色気があり、またもや安定の高評価(星5)を叩き出しました。
そしてコラボ第4弾となる今回の「背脂煮干そば」は、2019年10月30日〜11月4日の期間中「小田急百貨店(新宿本店本館 11階 催物場)」で実施されていた催事「TRYラーメン大賞・フェスティバル」に「しば田」が出店していた際、その会場でしか食べられない各日限定200杯として考案された小田急オリジナルメニュー「背脂煮干そば」が元ネタで、前述のように現在は “カップ麺でしか食べられない” 限定の味——
「しば田」の実店舗で提供中の「煮干しそば」は、大量の煮干しを使用した淡いながらも濃厚な煮干しスープを軸に、薄口醤油と白醤油を使用したタレを合わせているのですが、限定の「背脂煮干しそば」は濃口醤油や再仕込み醤油などをベースに仕上げ、背脂のコクと醤油感を立たせたスープが特徴とのこと。つまり、定番の「煮干しそば」とは大幅にタイプが異なります。
開封
さて、今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「特製スープ」が1袋。ちなみに店主の公式アカウント(on Twitter)曰く “毎回カップ麺を監修する際にはカップ麺らしい味わいを大事にし、そこに当店らしさを加え美味しくなる様に心がけています” とのことなので、インスタント食品ならではのチープな魅力と有名店監修らしい本格さの両立が注目すべきポイント。
残念ながら今回の具材にFD(フリーズドライ)のチャーシューブロックは入っていませんし、歴代の監修商品と比較して量も少なめに感じるのですが、定評のあるリアルな味付豚肉を筆頭に、ポテンシャルの高い背脂加工品を採用しています。この背脂加工品はアブラと合わさることで真価を発揮するため、特製スープの油脂量が鍵を握っているといっても過言ではありません。
メーカー希望小売価格は税別220円で、販売店は全国のコンビニや量販店、一般小売店など、販路を問わない全チャネル商品として展開。ちなみに東洋水産×しば田のカップ麺コラボ第1弾〜第3弾まで『TRYラーメン大賞』ともタイアップしていましたが、今回の商品に「TRY(Tokyo Ramen of the Year)」は絡んでいないため、ある意味この状態でのコラボは初の試みです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 中華そば しば田 背脂煮干しそば 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦(房総工場) 内容量:96g(めん70g) 商品コード:4901990367127(JAN) |
発売日:2020年10月19日(月) 実食日:2020年10月22日(木) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:コンビニ(セブン-イレブン) 商品購入価格:232円(税込) 希望小売価格:215円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ+紙 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯2分 小袋構成:1袋(特製スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵白)、添付調味料(しょうゆ、チキンエキス、粉末煮干し、植物油、食塩、香味油脂、ゼラチン、たん白加水分解物、魚醤(魚介類)、発酵調味料)、かやく(背脂加工品、味付豚肉、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、増粘多糖類、かんすい、酒精、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、クチナシ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン・魚醤(魚介類)を含む) |
実食開始
麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯2分と短めの設定。ちなみに販売者は東洋水産株式会社なのに対し、製造所は株式会社酒悦(しゅえつ)の房総工場となっているのですが、酒悦は東洋水産が1983年(昭和58年)7月から資本参加している連結子会社で、たとえば同社の「本気盛」など、マルちゃんが展開している縦型ビッグ製品の生産を担当しています。
あとは熱湯を注いで2分間、具材の量は多くも少なくもないのですが、お湯を入れる前から煮干しのシャープな香りが漂い、後述する背脂加工品の量は多めに入っていて、引き続き調理後も煮干しの香りが印象的な実食前——なお今回も “熱湯を注ぐと他社のカップ麺よりも容器が熱くなる” ので、調理の際は注意してください。
ちなみに実際に立ち寄ったコンビニ大手4社の中では “セブンイレブン” と “ローソン” での取り扱いが多く、セブン-イレブン・ジャパンの公式ウェブサイトにも製品情報が載っていました。それでは、実店舗では味わえないカップ麺ならではの魅力と有名店監修らしい本格さのバランスにも注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(96g)あたり |
カロリー:449kcal たん白質:11.8g 脂 質:25.2g 炭水化物:43.7g 食塩相当量:5.9g (めん・かやく:1.7g) (スープ:4.2g) ビタミンB1:0.38mg ビタミンB2:0.33mg カルシウム:192mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:449kcal(めん・かやく:366kcal)(スープ:83kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
麺は大幅にカップ麺サイドだが‥‥
オープン当初から2019年の夏まで「中華そば しば田」の実店舗で提供されていた麺は、三河屋製麺と共同開発したオリジナルの特注麺で、細めの全粒粉入りストレート麺が基本となっていたのですが、2019年夏のリニューアルから自家製麺に変更。やや加水率は低く、リニューアル前よりも表現力が豊かになったとの評判で、ラーメンマニアからも高い評価を得ています。
対して今回のカップ麺に使われている油揚げ麺は、角刃で切り出された縮れの強い低加水麺で、全粒粉は練り込まれておらず、あえてカップ麺らしさを前に出しているような雰囲気。近年の東洋水産が販売している縦型ビッグのカップラーメンには数年前の商品からは想像できないほど高品質な麺を使用しているのですが、今回の麺は食感も風味も旧世代チックな印象が否めません。
また食べ始めも部分的にサクッとした食感が残っているため、その段階だと安っぽさが目立ってしまうのですが、食べ始めてから2、3分後には大きく印象が変化。戻りムラがなくなってくると、麺とスープの相性が向上するだけでなく、徐々に油揚げ麺臭も弱くなり、軽快な歯切れの良さが素直に楽しめたので、ちょっと長めに待ってみてください。
スープ
煮干しが効いている上品なスープ
粉末しょうゆを使用しているため、特製スープを加える前の状態でも醤油の風味があり、見た目ほど濃い味ではないけれど、けっして薄味でもありません。さらに煮干しの風味も強く、適度に苦味を残しながら、一般的にネガティブとされるエグみは抑えているため、明確な主張でありながらベクトルは上品。正直なところ粉末スープだけでも成立しているのですが、さらなる臨場感を演出してくれるのが特製スープの存在です。
別添の小袋は「特製油」ではなく「特製スープ」となっているように、植物油や香味油脂だけでなく、液体しょうゆベースのタレが含まれ、粉末しょうゆでは出せない臨場感を表現。加えて魚醤も含まれているので、大豆由来の醤油では出せない複雑な旨味をプラス。濃口醤油ならではのコクとキレを打ち出しながら、塩気の強さで食わせるようなスープではない、醤油のいいところだけを抽出しているような印象。
表面に浮かぶオイルが動物油脂メインだったら——という思いが無きにしも非ずではあるものの、香味油脂に煮干しオイルが含まれているのか魚介の風味も膨よかになり、最後まで上品なフレームワークだったので、あえて植物油を軸に据えたのかもしれません。
具材
FD具材ではないけど高品質
具材の味付豚肉、メンマ、ネギは汎用で、ネギの量は少なく、味付豚肉もメンマも新鮮味のある具材ではないものの、あいかわらず味付豚肉はリアルでクオリティの高い素材。メンマも小さいながらに歯触りが強く、コリコリとした食感が箸休めになります。
さらに昨今のラーメン業界を賑わせている二郎系・インスパイア系の商品ほど大量ではないものの、背脂加工品も多めに入っているので、これも具材の一つにカウントして差し支えありません。液体スープのオイルが動物油脂だと嬉しかったのですが、それぞれの具材に意味があり、結果的な印象は悪くありませんでした。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
現在の中華そば界を牽引するトップランカーが監修したカップラーメンということで、ノンフライ麺を使用した大判どんぶり型で本格的に仕上げてほしかったところではあるものの、店主がツイッターで “毎回カップ麺を監修する際にはカップ麺らしい味わいを大事に——” と呟いていたように、あえてカップ麺らしさを残していることを忘れてはいけません。
麺が大幅にカップラーメン寄りなので、以前のようにFDチャーシューを搭載する、または動物油脂をメインに背脂の臨場感を高めるなど、もう一捻り欲しかった反面、ある意味これはこれで程よいバランスに思えました。スーパーやドラッグストア、ディスカウントストアなどの他、コンビニではセブンイレブンでの取り扱いが多そうなので、気になっている方は販売期間内に試してみてください。