どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年6月24日(月)新発売のカップ麺、サンヨー食品「サッポロ一番 塩らーめん 濃厚 鶏白湯仕立て タテビッグ」の実食レビューです。
袋めん「サッポロ一番 塩らーめん」の味わいを濃厚な鶏白湯に仕立てたカップラーメンだけのアレンジレシピ!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
サッポロ一番 塩らーめん 濃厚鶏白湯仕立て
日本の国民食と言っても過言ではないインスタントラーメンですが、その中でも根強い人気を誇っている「サッポロ一番 塩らーめん」。オリジナルの袋麺はもちろん、どんぶり型・標準サイズのカップラーメンに「サッポロ一番 塩らーめんどんぶり」という定番商品もあるのですが(※2019年6月〜8月31日までスヌーピーとコラボ中)、今回のタテ型ビッグ「濃厚鶏白湯仕立て」は期間限定の変わり種。
袋麺「サッポロ一番 塩らーめん」の味わいをベースにチキンの旨味と特徴のある香辛料を合わせ、濃厚な鶏白湯味の塩ラーメンスープに仕上げているとのこと。これまで「塩らーめん」の変わり種は「BESTレシピ」というシリーズから「みそラーメン」と交互にリリースされていましたが、今回は別のシリーズを介さずに単独デビューです。
「サッポロ一番 塩らーめん」が初めて発売されたのは、1971年(昭和46年)9月1日。サンヨー食品の公式ウェブサイト内にある「発展のあゆみ」(沿革)には1971年8月発売と記載されていましたが(2019年6月24日現在)、念のため本社に連絡したところ1971年9月1日発売で間違いないとのことだったので、おそらくホームページをリニューアルした際に年表を間違えて入力したのでしょう。
と、それはさておきスーパーマーケットなどでは定番も定番なので、このブログに辿り着いた方の多くはオリジナルの袋麺を食べたことがある、食べたことはなくても見たことはある、という方がほとんどかと思いますが、なんと1971年の発売以来 “塩らーめんだけは48年間1度も味を変えていない”(中身をリニューアルしていない)というから驚きです。
群馬県佐波群玉村町にて代々問屋役と名主を務め、江戸の中頃から造り酒屋を営んでいた「井田酒造」という老舗の酒造メーカーがあるのですが、その井田家に養子として迎えられた井田文夫氏(後の「サンヨー食品」初代社長)と息子・井田毅氏が事業の拡大を目指し、サンヨー食品の前身となる「富士製麺株式会社」を1953年(昭和28年)11月に設立。
1961年(昭和36年)7月に社名を現在の「サンヨー食品」に改称、1963年(昭和38年)1月に「太平食品工業株式会社」を設立しているのですが、1964年(昭和39年)8月に発売された「長崎タンメン」という袋麺が大ヒット。それは “業界初の塩味” であり、業界初の “ご当地ラーメン” として、醤油味しかなかった袋麺市場に大きな衝撃を与えたのですが、実は「長崎タンメン」をベースに「サッポロ一番 塩らーめん」が開発されました。
実家が造り酒屋という恵まれた環境で育ち、研ぎ澄まされた味覚センスの持ち主だった井田毅氏を中心に「塩らーめん」の開発は進められ、爆発的ヒットを巻き起こした「長崎タンメン」をもとに野菜の旨味を強調。チキンエキスやポークエキスを加え、セロリを思わせる香味野菜をプラスすることで中毒性の高い “あの味わい” を生み出すことに成功します。
以来、普遍的な味わいで人々を虜にし続けている袋麺の味わいをベースにした鶏白湯ラーメンということで、これまでにも期間限定のカップ麺でありそうなテーマなんですけど、たぶん「塩らーめん」ブランドから「鶏白湯」系のカップ麺が出たのは今回が初の試みです(※以前、ゆず胡椒風味の「サッポロ一番 鶏白湯らーめん」という袋麺はありました)。
開封
別添の小袋はフタの上に貼り付けてある「仕上げの小袋」が1袋で、普段かなり強力な接着剤で貼り付けてあるのもサンヨー食品が手掛けるタテビッグ製品の特徴だったりするのですが、今回はペリッ‥‥と、呆気ないほど簡単に取れました。それから容器の材質がプラ+胴巻き紙ではなく紙製なので、外装フィルムに開封用のシールは貼り付けてありません。
開封すると中には大量の粉末スープが待ち構えていたのですが、具材は味付鶏肉そぼろ、かきたま系の味付卵、乾燥の青ネギと小さな具材ばかり。けれども「塩らーめん」のアイデンティティである「切り胡麻」が仕込んであることに加え、香りは一見して明白に「塩らーめん」そのもの。なんというか、もう漠然と安心感(つまり鶏白湯らしさは現時点で実に弱いw)。
ちなみに容器底面の下段左に記載されているローマ字を「製造所固有記号」というのですが、サンヨー食品(サッポロ一番)の「W」は「太平食品工業株式会社」の「関西工場」を意味しています。立場上、太平食品工業はサンヨー食品のグループ企業となっているのですが、基本的にサッポロ一番の本社工場という認識で問題ありません。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:サッポロ一番 塩らーめん 濃厚 鶏白湯仕立て タテビッグ 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 関西工場(W) 内容量:101g(めん72g) 商品コード:4901734037606(JANコード) 商品サイズ:φ112×118(mm) 発売日:2019年06月24日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい使用) スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、やまいも粉)、スープ(糖類、食塩、豚脂、チキンエキス、植物油脂、香辛料、クリーミングパウダー、鶏脂、ごま、小麦粉、ゼラチン、しょうゆ、味付豚肉、ポークエキス、酵母エキス、鶏肉野菜調理品)、かやく(味付鶏肉そぼろ、味付卵、ねぎ)/ 増粘剤(加工でん粉、増粘多糖類、アルギン酸ナトリウム)、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、香料、かんすい、微粒二酸化ケイ素、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、カラメル色素、カロチン色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・やまいも・ゼラチンを含む) |
【本品に含まれるアレルギー物質】小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・やまいも・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるものを表示) |
実食開始
麺は細い油揚げ麺で、白っぽい見た目がオリジナルに通じる雰囲気を醸し出してはいるものの、袋麺と比較した場合だいぶサイズは細めに切り出されています。また香りは「塩らーめん」を実直に表現しているのですが、袋麺よりも膨よかで柔らかみのある香り——とはいえ現段階、やはり「鶏白湯」らしさは感じられません。
別添の小袋をフタの上から取り外した後、熱湯を注いで指定の3分待ってから仕上げの小袋を入れて‥‥の前に、とろみ成分を含んだ粉末スープが麺の表面で固まったいたので、こいつを先に溶かしましょう。ただし、いきなり “麺をひっくり返してはいけません” 。この状態から箸で麺を左右に揺すり、表面の粉末スープが溶けたことを確認してから大きく混ぜるのがポイントです。
さらに容器の底にも粉末スープが固まっていることがあるので(※かなり今回とろみも強いので)、とりあえず1分以上は混ぜ続ける、くらいの気概で溶け残りがないように混ぜてください。それでは、オリジナルの “塩らーめん” らしさと “鶏白湯” の打ち出し方に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(101g)当たり
熱 量:493kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:493kcal(めん・かやく:372kcal)(スープ:121kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
サンヨー食品の公式ウェブサイトには “なめらかさとつるみが特徴のコシのある中太めん” と麺の特徴が記載されているのですが、中太というほど太くはありません。ただ、これは毎度のことで、いつもサンヨー食品の製品説明は他社の麺サイズよりも基準が細いというか、太麺と書いてあったら中太〜中くらい、中太と書いてあったら中〜中細で、今回は後者。
それからトロミ成分を含む粉末スープが麺の表面で凝固しているため、やや部分的に戻りムラが生じていましたが、袋麺の「サッポロ一番 塩らーめん」と同じく白っぽい見た目と「やまいも粉」が練り込まれているのが特徴で、けっこう麺の味や絶妙な粘り気が似ています。あと、 “断面が丸い” のも特徴ですね。
袋麺の「しょうゆ」は四角い断面、「みそ」は楕円の断面、「塩」は丸い断面となっているのですが、サイズこそ違うものの再現度は低くありません。麺量は72gと中途半端な値なんですけど、これについては「BESTレシピ」シリーズの「塩らーめん」アレンジの時と同じ量なので、おそらく共通の油揚げ麺でしょう。もちろん今回のオリジナル鶏白湯スープと麺の相性は、ほぼ問題ありません(ただ、ちょっと馴染んできた頃合いが食べごろかも)。
スープ
まず香りからも感じたように、実際の味わいもベースは紛れもなく「サッポロ一番 塩らーめん」の系譜にあって、それは疑う余地もありません。香辛料の独特なアクセントに複合的な香味野菜の旨味、中でもセロリを思わせる風味が特徴的で、なんかヤバイもんでも入ってんじゃないかと疑ってしまうくらいw(※入ってません)、あの無性に食べたくなる中毒性の高い味わいが土台を構築しています。
なので純粋な鶏白湯ラーメンとは言えないのですが、「塩らーめん」の個性を強烈に打ち出しつつ鶏の旨味を強化して、それを別添「仕上げの小袋」に含まれるオイルがブースト。小袋の中身は豚脂の割合が多く、香り付けに鶏脂を使っているようなバランスなので、ごりごりに鶏油の芳ばしさが主張してくるわけではないのですが、ふわっと特有の芳ばしい香りが鶏を表現していました。
かなり「塩らーめん」サイドなので、ぽってりとした口当たりに鶏の濃度が追い付いていないところはあるものの、土台がインスタントだからこそ粘度の高さも許容できるというか、ただ単純に麺とスープの高い一体感が好印象。鶏骨を白濁するまで炊き出したような骨っぽさは意識されていませんが、丸鶏と香味野菜を丁寧に煮込んだブイヨン系の洋風鶏白湯を思わせる、実にオリジナリティあふれたアレンジですね。
具材
具材は味付鶏肉そぼろ、味付卵、ネギという、なんの変哲もない構成で、開封した時は彩りに赤ピーマンとか欲しかったなぁ‥‥などと思ったりもしたのですが、意外と悪くありません。特に味付鶏肉そぼろが効果的で、そんなに大きなサイズではないんですけど、地味に量は多く、スパイシーでパンチのある味付けがいいですね。
ちょっとフェイクミート(大豆たん白加工品)っぽい見た目なんですけどw ちゃんと原材料は鶏肉ですし、ちょいちょい口の中に飛び込んできて、大幅に「塩らーめん」サイドにあったスープを鶏のイメージに引き寄せます。とろみの強いスープにネギのシャキッとした歯触りが映え、こちらは食感のアクセントに。
そして、なぜかタテ型カップ麺の鶏白湯系には鶏繋がりなのか卵具材(かきたま or スクランブルエッグ)が採用される傾向にあるんですけど、ふわっと優しい口当たりと風味が塩のキレと対比を描き、写真には写っていませんが “いりごま” でもなく “すりごま” でもない「切り胡麻」の芳ばしさも見逃せません。袋麺同様ほんとに「胡麻が切ってある」ので、これも大切なポイントです。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
鶏の骨を長時間ぐつぐつ炊き続けたような鶏白湯ではなく、鶏の旨味を強化して味の重心が低くなった「サッポロ一番 塩らーめん」という感じだったので、硬派な鶏白湯ラーメンが食べたい気分の時にはオススメできません。しかし、あくまでも「塩らーめん」を軸にしたアレンジとしては見事。なかなか塩気は強めですが、サッポロ一番(袋麺)の開発コンセプトは “野菜に合う味作り” ——
つまり “野菜の水分が染み出しても埋もれない味作り” がモットーなのと、濃いめの味が求められるコンビニ向けの新商品なので、適切な塩梅だと思います。もともと「塩らーめん」はアレンジしてもらうことを前提に作られたと聞いたこともあるのですが、袋麺から鶏白湯にアレンジするには骨が折れますし、「塩らーめん」「鶏白湯」どちら側から見ても個性的で印象に残る一杯でした。