どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年4月8日(月)新発売のカップ麺、明星食品「明星 らぁ麺やまぐち監修 芳醇醤油鶏そば」の実食レビューです。
「ミシュランガイド東京版」5年連続掲載店「らぁ麺やまぐち」店主・山口裕史氏監修の本格カップラーメン新登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
らぁ麺やまぐち監修 芳醇醤油鶏そば
「らぁ麺 やまぐち」とは、ラーメンの激戦区として名高い東京・高田馬場にある実力店で、2013年1月8日(火)創業。店主の山口 裕史(やまぐち ひろし)さんはサラリーマンからの脱サラで、仕事が終わった後に家で自作していた趣味のラーメン作りが高じてラーメン業に転身されたそうです。私も勉強のために自作ラーメンマニアのブログを読み漁ったりするのですが、少数派とはいえプロ顔負けのレシピを公開している方も珍しくありません。
まだ現在ほどネットが主流ではなかった2005年頃、「らぁ麺やまぐち」開業前のサラリーマン時代に自作のラーメンを自身のホームページにアップしていると全国のラーメン好きと知り合いになり、出身地である東北・会津の公民館でラーメンの会なども開いていたらしく、そこに集まったラーメン好きと交流を深めているうちに噂が広まって、「ラーメントライアウト」というイベントの関係者から声がかかります——
「ラーメントライアウト」とは、立川ラーメンスクエア(ニューヨークをイメージしたテーマパーク型の空間に7店が集結するラーメンの殿堂)にて “自称日本一ラーメンを食べた男” の異名を持つラーメン界の重鎮・大崎裕史さん(株式会社ラーメンデータバンク代表取締役会長)全面協力のもと開催されるイベントで、2005年から “立川発の有名店が全国に巣立っていく” という期待が込められて発足。
その第一回ラーメントライアウト秋出店部門で優勝したのが現在「すごい! 煮干ラーメン凪」を展開している株式会社凪スピリッツの代表・生田智志さんで、自作ラーメン界の第一人者と期待されていた山口さんは惜しくも優勝を逃してしまいましたが、第二回ラーメントライアウトにて準優勝に輝き、サラリーマンを辞めて2007年10月4日から「麺屋にゃみ」という屋号でラーメンスクエアに進出します。
それまで出店していた「でびっと」と交代する形で「麺屋にゃみ」が入り、ちょうど同時期にイタリアンシェフ出身で現「Due Italian(ドゥエイタリアン)」の店主・石塚和夫さんの「らぁ麺トラットリア Due Italian」が「三代目けいすけ」と交代でオープンしたのですが、山口さんは飲食業界で働いた経験がなく、しかしながら25席で1日500人は来店する繁盛ぶりから店を回すだけで精一杯の日々——
営業時間は12時間+ラーメンの仕込みで1日3~4時間ほどの睡眠時間しか確保できない、そんな生活を続けながら2008年3月18日に立川ラーメンスクエア内の店舗は「にゃみ 第二章」にリニューアルされたのですが、 “集合施設での営業では自分のやりたいラーメンが作れない” と「麺屋にゃみ」の撤退を決意し、とある有名店の店長を勤めることになりました。
それまで独学でラーメン作りに取り組んでいた山口さんですが、2008年10月10日から有限会社リシンクが運営する東京・府中の人気店「麺創研かなで」(後の「麺創研かなで 改」及び「麺創研 紅」)の店舗責任者に就任。そこでの修行経歴を経て、2013年1月8日に自身の名を冠した「らぁ麺やまぐち」を高田馬場・西早稲田に独立開業します。
高田馬場は学生が多いエリアということもあって付近のラーメン店はガッツリ系のラーメンを押している中、逆にガッツリ系じゃないほうがウケるのでは——と、また自身が醤油ラーメンを作りたかったことも相俟って完成したのが「鶏そば」と「追い鰹中華そば」。オープン初日からラーメンフリークを含む150人の客が押し寄せ、現在では『ミシュランガイド東京版』に2015年から2019年まで5年連続掲載される超実力店に成長しました。
2018年9月7日から徒歩1分の斜め向かいに移転し(面影橋)、グランドメニューは「鶏そば」と「鶏つけそば」の二枚看板とされているのですが、2015年9月17日から東陽町に「らぁ麺やまぐち 辣式(らつしき)」という「麻婆まぜそば」と「塩らぁ麺」がメインの2号店も展開。そして明星食品とのタイアップは初めてではなく、再現カップ麺でのコラボは今回で3度目になります。
開封
麺の量は65gと大盛ではありませんが、容器のサイズは大判どんぶり型(縦165mm×横165mm×高さ75mm)で、別添の小袋は「液体スープ」と「かやく」の2袋。かやくの小袋にはチャーシューとネギしか入っておらず、しかしながらパッケージのイメージ写真にはワンタンが写っているのですが、あらかじめワンタンは容器の中に入っていました。
麺は細めの縮れたノンフライ麺が採用され、商品パッケージやニュースリリースでは言及されていませんが、明星食品のノンフライめん製品×どんぶり型なので、おそらく「スーパーノンフライ製法」と思われます。麺は細身ですが熱湯4分、ちなみにタテ型カップ×ノンフライ麺だと「スチームノンフライ製法」ですね。
「らぁ麺やまぐち」の再現カップ麺が初めて発売されたのは、ミシュランガイド掲載前となる2014年7月14日(月)。業界最高権威「TRY ラーメン大賞 2013-14(東京・ラーメン・オブ・ザ・イヤー)」の新人大賞部門総合1位に輝いた記念として、東洋水産が「マルちゃん 縦型ビッグ やまぐち 鶏そば」という同店の「鶏そば」を再現したカップラーメンを油揚げ麺で商品化しています。
その後、メーカーを明星食品に鞍替えし、2016年10月31日(月)に「明星 らぁ麺やまぐち監修 芳醇醤油鶏そば」(写真左)を発売。製品スタイルは東洋水産と同じくタテ型ビッグでしたが、明星食品はノンフライ麺を採用し、2017年2月13日(月)に2号店をイメージした「明星 らぁ麺やまぐち監修 辣式まぜそば」(写真右)という汁なし大盛カップ麺をリリース。
明星食品とのタイアップは3回目、再現カップ麺の発売としては通算4回目になるのですが、ノンフライ麺・どんぶり型を採用した本気モードは今回が初めてですね。私の購入店舗は北近畿のローカルスーパーで税込192円でしたが、メーカー希望小売価格は税別230円なので、コンビニだと税込245円が相場になります。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 らぁ麺やまぐち監修 芳醇醤油鶏そば 販売者:明星食品株式会社 製造所:東日本明星株式会社 埼玉工場(製造所固有記号 R) 内容量:105g(めん65g) 商品コード:4902881421980(JANコード) 規格サイズ:縦165mm×横165mm×高さ75mm 発売日:2019年04月08日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺(かんすい使用・中華麺) スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:2袋(液体スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉、植物油脂、食塩、でん粉、しょうゆ、植物性たん白、香味調味料)、スープ(チキンオイル、鶏肉エキス、しょうゆ、食塩、植物油脂、香味調味料、糖類、たん白加水分解物、香味油、香辛料、酵母エキス)、かやく(ワンタン、チャーシュー、ねぎ)/ 加工デンプン、調味料(アミノ酸等)、酒精、増粘剤(加工デンプン、増粘多糖類)、香料、炭酸カルシウム、かんすい、カラメル色素、ソルビット、乳化剤、酸味料、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・えび・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【アレルゲン情報】小麦・卵・乳成分・えび・豚肉・鶏肉・大豆・ごま・ゼラチン(食品衛生法で義務付けられた特定原材料7品目と表示が推奨されている20品目の合計27品目について掲載)※コンタミネーション:本品製造設備では、かにを含む製品を生産しています。 |
実食開始
あらかじめ容器の中に入っているワンタン具材ですが、一般的な油揚げワンタンではありません。明星食品がスーパーノンフライ製法を駆使して2004年に開発した業界初の「ノンフライワンタン」で、そのタイミングからワンタンはるさめスープ「飲茶三昧シリーズ」を発足し、カップスープ市場に参入しています(その2年後となる2006年に明星食品は日清食品グループに入りました)。
「かやく」は先入れ、「液体スープ」は後入れとなっているのですが、液体スープの小袋については特にフタの上で温めてください・温めないでください、などの指示はありません。しかし、チキンオイルを筆頭に鶏肉エキスなどの動物油脂が含まれているので、お湯を注いでから4分間、待っている間に液体スープの小袋はフタの上で温めておいたほうがよいでしょう。
さて、完成——なんですけど、めちゃくちゃ雰囲気いいですね! スープの表面に浮かぶ黄金色の鶏油が美しく、大きなノンフライわんたんもリアルですし、チープな丸いチャーシューが浮いて見えるくらい本格的なビジュアルです。液体スープを開封した瞬間から主張してくる鶏油の芳ばしい香りが強く、鶏が全面的なファーストインプレッションにそそられました。
それでは、コンビニで購入すると税込245円という価格帯も加味しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(105g)当たり
熱 量:381kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:381kcal(めん・かやく:291kcal)(スープ:90kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
しなやかで食べやすいノンフライ麺です。
(出典:明星食品公式ウェブサイト「トップページ > ニュースリリース『明星 らぁ麺やまぐち監修 芳醇醤油鶏そば』」)
お店の「鶏そば」に使用されている麺は、京都の製麺所「麺屋棣鄂(ていがく)」に依頼した切刃16番の特注麺で、当時ちょうど東京にエリアを拡大するところだった麺屋棣鄂の麺を東京でいち早く採用したお店としてもマニアの間から注目されていたのですが、お店の麺よりも細めです。しかし、さすがノンフライ麺に強い明星食品ですね。
しっとりとした口当たりが印象的な丸刃でカットされている中細麺で、前半は縮れが見られますが、後半にかけて馴染んでくるとストレートに伸び、しなやかで女性的な物腰のノンフライ麺です。女性的ですが食べ始めは芯のある食感でコシは強く、適度な粘り気と歯切れの良さを兼ね備え、小麦の香りは穏やかに芳醇——
もちろんノンフライ製法なので、油揚げ麺にありがちな雑味が皆無なのも再現モノとして大きな利点。故に麺から滲み出る特有のコクには期待できませんが、今回それはナンセンス。細身でもコシがあり、小麦の風味も豊かなので、スープとの距離は程よく、表面に浮かぶ鶏油と繊細な小麦の風味のコントラストが絶妙でした。
スープ
鶏の旨みとコク、醤油のキレが際立つ芳醇な醤油スープです。鶏油(チーユ)が香り、キラキラ浮かぶ美しいスープです。
(出典:明星食品公式ウェブサイト「トップページ > ニュースリリース『明星 らぁ麺やまぐち監修 芳醇醤油鶏そば』」)
オープン当時は岡山・吉備黄金鶏と大分・豊後鶏の鶏ガラを使用していたそうですが、現在は会津地鶏と山水地鶏の丸鶏をブレンドし、吉備鶏のガラなどから取った鶏が主体の鶏清湯に北海道産の羅臼昆布だしを合わせ、鶏専用のチルド庫を完備した徹底管理のもと朝炊きのフレッシュなスープにこだわり、カエシの醤油は島根・出雲の森田醤油で作られている「三年熟成再仕込み生揚げ醤油」と「丸大豆生揚げ醤油」をブレンド。
カップ麺のスープに昆布エキスなどは使用されていませんし、カエシの醤油ダレも比較的どちらかというと濃口醤油よりも薄口醤油(淡口醤油)寄りの淡白でキレのあるテイストですが、スープのフレームワークはチキンオイルと鶏肉エキスを筆頭に動物系の成分は鶏100%で構築。淀みのない繊細な鶏清湯醤油に仕上がっていて、表面に浮かぶ黄金色の芳ばしい鶏油(チーユ)がなんとも——
このベクトルは明星食品が製造しているセブンプレミアム「六角家」の系譜にある芳ばしさで、もしかするとオイルの基本となる源泉が同じなのかもしれませんが、とにかく鶏油の純度が高く、特有の芳ばしさが味覚から鼻腔を駆け抜けて脳天に直撃。ジャンル分けすると淡麗系のスープに属しますが、ベースは新鮮な丸鶏から優しく丁寧に出汁を取ったような奥床しさがあり、ガツンと鶏油が効かせてあるのでコッテリ感も楽しめます。
さらに体感的な印象ですが、オニオンを中心に香味野菜から抽出したと思われる芳ばしいオイルをブレンド。そっと鶏油に重ねることで相乗効果を狙いつつ鶏油一辺倒にならないような工夫が見られ、麺やスープ、具材とのバランスにも配慮が行き届いている、きちんと全体の調和を意識しながら確かなインパクトを打ち出すことで記憶に残るスープに仕上がっていました。
かやく
つるりとした食感が特長のノンフライのワンタン、チャーシュー、ネギを組み合せました。具材のたっぷり感が楽しめます。
(出典:明星食品公式ウェブサイト「トップページ > ニュースリリース『明星 らぁ麺やまぐち監修 芳醇醤油鶏そば』」)
お店のチャーシューは店舗移転後から国産豚の肩ロースに変更し、麹に漬け込んだ肩ロースをオーブンで芳ばしくロースト。鶏チャーシューには匠の大山鶏を使用して真空低温調理で仕上げたレアチャーシューがトッピングされているのですが、カップ麺にはなんのこっちゃないインスタント感強めのチャーシューが入っておりますw プリッとした人工的な弾力が気になるものの、燻してあるような燻製の風味を感じたので、ちょっと印象的でした。しかし、今回のメイン具材はノンフライ雲呑(わんたん)。
このワンタンは東日本明星(株)で製造されているのですが、厳選した小麦粉をミキシングしてグルテンを結成し、丁寧に練り上げられたドウ(生地)を圧延機で延ばす際、表面を一定の厚みにすることで滑らかな食感を表現。薄く延ばした記事を蒸気でアルファ化(α化)させ、餡を包んでから油で揚げずに乾燥機を通して熱風乾燥させます。ちゅるんっ‥と滑り込んでくる摩擦抵抗ゼロの皮は口当たりと喉越しが抜群で、しかしながら噛むとモチモチの弾力。
もはや本物のワンタン以上に生地の密度が高いので手作り感はありませんが、単純にクオリティが高く、ノンフライ麺と同じように雑味が滲み出ることもありません。プラス1分ちょっと追加でケアしたほうが自然ですが、変な戻りムラなども気にならず、ほんのり生姜が香る鶏ひき肉系の中身(餡)も食べ応えがあって、全体の本格感を邪魔することがないのも嬉しいポイント。
定番商品では「中華三昧」の姉妹ブランドに位置する「飲茶三昧(やむちゃざんまい)」や「明星 ノンフライワンタン」などのカップスープ、さらにオープン価格の廉価版(れんかばん)ブランド「評判屋」の「明星 評判屋 わんたん麺 鶏だし塩味」にも使われているのですが、それと比較して圧倒的に大きいですし、中の餡(あん)も玉ねぎなしで大粒の挽肉がメインという、しっかり値段に見合ったチューニングが見られました。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
クオリティの高いノンフライ麺にボリュームのあるノンフライわんたん4個、その食べ応えも然る事乍ら黄金色の鶏油によって記憶に残るインパクトがあり、麺・スープ・具材を通して見た時の調和も素晴らしく、これといって文句の付け所が見当たりませんでした。値段が値段なので総評は★5のラインとしていますが、税込200円前後で販売されていたら★6でも差し支えありません。
とにかく特筆すべきレベルにあった鶏油の芳ばしさが心地よく、麺は大盛ではありませんが、ノンフライわんたん×4個は食べ応えがあったので、これならコンビニ(税込245円)で買っても損はないでしょう。鶏油が効いたスープが好きな方には特にオススメしたい、本格的な内容の素晴らしいカップラーメンです。