どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年2月24日(月)新発売のカップ麺、サンヨー食品「札幌スープカリー専門店 奥芝商店監修 海老だしスープカレー味ラーメン」の実食レビューです。
スープカリー専門店「奥芝商店」がサンヨー食品(サッポロ一番)とカップラーメンを共同開発!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
奥芝商店監修カップ麺
奥芝商店(おくしばしょうてん)とは、北海道・札幌を発祥とするスープカレー界に “エビスープブーム” 巻き起こした革命児的スープカリー専門店で、創業は2004年(平成18年)。現在も人気を博している海老出汁(えびだし)を使った「エビスープカレー」の元祖とされ、三代目店主・奥芝 洋介(おくしば ようすけ)さんが立ち上げました。
築80年の古民家をリノベーションした北海道札幌市中央区(西線9条旭山公園通)の総本店は、残念ながら施設の老朽化に伴う移転のため2016年8月31日に閉店したそうですが、2020年2月現在はJR北海道・札幌駅にある商業施設「パセオウエスト」(PASEO WEST 1F)内の店舗を「実家」とし、いわゆる暖簾分け制度でフランチャイズ展開しています。
奥芝商店(運営:株式会社NEXT LEVEL)の代表を務める三代目店主・洋介さんが29歳だった頃、当時なにをやってもうまくいかず、最後の賭けとして選んだのがスープカリー専門店。独自の修行を積んだ後、いざ開業しようと店の名前を悩んでいた時、偶然通りがかった骨董品屋さんで「奥芝商店」の前掛け(亡き祖父が生前に営んでいた店の備品)を見かけたのだとか。
それに運命を感じた洋介さんは、祖父の屋号と前掛けを受け継ぐことを決意して——というのが「奥芝商店」という名前の由来で、創業者なのに三代目を名乗っている理由。開業当初は数字に追われ、スタッフに給料を払うためにアルバイトを掛け持ちし、店に戻ってからは寝ずに出汁を仕込む毎日を続け、イマの地位を築いたそうです。
現在はスープカレー専門店としては珍しいオープンキッチンの「駅前創成寺」や “航海” をイメージした内装と店名がユニークな「白石オッケー丸」、さらに祖母が認知症を患い始めたこと切っ掛けに思いついた “平均年齢64歳のお母さん従業員が主役” の店舗「おくしばぁちゃん」などを展開し、いずれの店舗でも「奥芝商店」の代名詞になっているのが海老スープ。
奥芝商店には元祖・海老スープ「おくおく」をはじめ、12時間以上かけて煮込んだチキンスープ「しばしば」、牡蠣(かき)が苦手な人は食べられない牡蠣スープ「てらてら」と3種類の基本スープが存在し、今回のカップラーメンの題材にもなっている海老スープは一度の仕込み(約130人前)で甘海老の頭を二千匹分も使用しているらしく、とにかく海老の純度が高いと評判。
まだ代表の洋介さんが幼かった頃、自身の母が海老の頭で出汁を取ったお吸い物を作ってくれていたらしく、その思い出を切っ掛けに考案したのが海老出汁とのこと。以前、北海道札幌市に本社を置く大志食品企画株式会社より、インスタントラーメン(袋麺)が発売されたこともあったのですが、おそらくカップラーメンになるのは今回が初めて。
カップラーメンの販売者はサンヨー食品(サッポロ一番)で、2019年10月に同社の「和ラー」から「北海道 スープカレー風」を出しているように、スープカレーが題材のカップ麺は今回が初めてではありません。しかし、海老出汁×カレー味の組み合わせはカップめん業界でも一般的ではないので、強烈と話題の海老出汁とスパイスの兼ね合いが今回の見所です。
開封
別添の小袋は、フタの上に貼り付けてある「仕上げの小袋」が1袋。上の写真では見えませんが、小袋の下には “スープカレー発祥の街 札幌の行列店” とあります。冒頭でもチラッと触れたように、日本のスープカレーは札幌を発祥とする食べ物で、創業1975年の「喫茶店アジャンタ」(現「薬膳カリィ本舗アジャンタ」)が元祖。
スープカレーとは、さらさらとしたスープ状のカレーにご飯を浸しながら食べるスタイルが一般的で、じっくり煮込んだチキンレッグや素揚げにした野菜がゴロゴロと入っている具沢山なのも特徴となっているのですが、今回のカップラーメンに入っているのは汎用キャベツと怪しい見た目の “えび風味大豆たん白加工品” のみ(しかも少ない‥‥w)
これまでサンヨー食品のカップラーメンに入っていた “えび風味団子” はプリッと美味しい魚肉練り製品だったのに対し、近年のカップめん業界で主流になりつつある大豆たん白加工品が採用されていました(※以下の製品情報に記載している「製造者」太平食品工業株式会社は、サンヨー食品のグループ会社で、製造所固有記号「W」は “サッポロ一番の関西工場” という認識で問題ありません)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:札幌スープカリー専門店 奥芝商店監修 海老だしスープカレー味ラーメン 販売者:サンヨー食品株式会社 製造者:太平食品工業株式会社 関西工場 製造所:奈良県大和郡山市額田部北町944(W) 内容量:91g(めん70g) 商品コード:4901734039525(JAN) 商品サイズ:φ112×118(mm) |
発売日:2020年02月24日(月) 実食日:2020年02月26日(水) 発売地域:全国(全チャネル) 取得店舗:コンビニ(ローソン) 商品購入価格:232円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PP) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、ポークエキス、粉末卵)、スープ(食塩、香辛料、豚脂、砂糖、植物油脂、クリーミングパウダー、香味油、トマトパウダー、たん白加水分解物、えびエキス、酵母エキス、昆布粉末、デキストリン、発酵調味料)、かやく(キャベツ、えび風味大豆たん白加工品)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、香料、炭酸カルシウム、カラメル色素、トレハロース、かんすい、微粒二酸化ケイ素、パプリカ色素、クチナシ色素、酸味料、増粘剤(キサンタン)、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部にえび・小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
麺は熱湯3分の油揚げ麺で、熱湯を注ぐ前に海老の主張はなく、シャープな香辛料の香りと油揚げ麺特有の香りが混ざり合っている実食前。容器の材質は一般的なポリスチレン(PS)ではなくポリプロピレン(PP)となっていて、最近ちょいちょいサンヨー食品の新製品にも使用されるようになってきたのですが、今のところ有名店だから——などの規則性はありません。
開封直後も海老は目立っていなかったのですが、やはり「仕上げの小袋」を入れた瞬間からバチッと海老の芳ばしさが主張してきて、なかなか鮮烈なインパクト。しかし、メーカー希望小売価格220円の商品にしては麺がチープなのと、具材ごろごろスープカレーのイメージ的に、具材の頼りなさは否めません。
コンビニで買った場合の値段は税込232円、販売店は「セブンイレブン」「ローソン」「ミニストップ」での取り扱いを確認しましたが、コンビニでしか売ってないわけではありません(全チャネル販売)。それでは、念のためカレーの辛さレベルにも注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(91g)あたり |
カロリー:426kcal たん白質:7.8g 脂 質:21.2g 炭水化物:50.9g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:1.7g) (スープ:4.9g) ビタミンB1:0.34mg ビタミンB2:0.59mg カルシウム:209mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:426kcal(めん・かやく:323kcal)(スープ:103kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
イマイチ(★2)ではないけれど‥‥
サンヨー食品の公式ウェブサイトでは、表面の「つるみ」と「しなやかさ」に加え、適度な「コシ」をアピールしているのですが、イメージ的に “ラーメン” というよりも “ヌードル” という響きが合うタイプ。表面の滑らかな質感はサンヨー食品の説明通り、なるほど食べ始めはコシの強さを感じるものの、それはさておき油揚げ麺臭が気になります。
実際の「奥芝商店」ではレモンを添えた白米もしくは玄米が選べるそうなので、はなから麺ではない=再現度云々についてのマイナスはないのですが、単純に税別220円のカップラーメンに使用される麺として見た場合、可も無く不可も無しといったところ。かなり風味はスナック的で、それについてはスープに干渉してきます。
形状は細めの縮れ麺で、食感に強い主張は見られませんし、後述する海老油の芳ばしさが油揚げ麺臭を誤魔化してくれるのですが、上澄みが減ってくると必然的に海老の芳ばしさも弱くなってしまうので、後半のチープさがマイナスに——結果、そこまで相性が悪いわけではなかったものの、ふつうにおいしいの枠は出ませんでした。
スープ
海老の芳ばしさはバッチリ
土台はサラサラとした口当たりのカレースープで、ほぼトロミは皆無。札幌のスープカレーも粘度が低いため、漠然としたイメージ的にもギャップはないですし、ターメリックの効いたカレー粉を使用するのではなく、ちゃんとスパイスから配合しているような香辛料の組み方が本格的。加えてトマトの酸味やオニオンのコクがあり、仕上げの小袋を入れる前から海老の芳ばしさを感じます。
土台の海老エキスも仕上げの小袋に入っていたオイルも海老のベクトルは殻の芳ばしさがメインとなっていたので、出汁(だし)というよりも海老油と海老殻メインなのですが、おそらく誰が食べても十中八九「えび」と分かるインパクトの持ち主。甘海老の頭(えびみそ)っぽさは感じられないものの、芳ばしさについては文句なしでした。
なお、実際の「奥芝商店」では、まったく辛くない “零月” から1.睦月(ちょい辛) 2.如月(中辛) 3.弥生(中辛以上辛口未満) 4.卯月(市販のルーカレーの辛口) 5,皐月(赤ピッキーヌが入ります)までが無料。それ以上の辛さになると有料で 6.水無月(青ピッキーヌが入ります) 7.文月(辛みとの出逢い) 8.葉月(これであなたも立派な辛党) 9.長月(ようこそ激辛ワールド)——
——10.神奈月(そろそろ汗が止まりません) 11.霜月(辛みとの分かれ) 12.師走(辛さから幸せへ)と12段階の辛さレベル(※13以降はご相談ください)が設定されていて、今回のカップラーメンに辛さレベルの記載はないのですが、せいぜい “ちょい辛”(熱が手伝っても中辛)程度。よほど辛い食べ物が苦手でない限り、構える必要はありません。
具材
うーん‥‥
具材のキャベツは汎用の茹でキャベツで、これといった特徴はなく、海老油が芳ばしいカレースープとの相性は悪くなかったものの、量は可も無く不可も無し。ベストマッチな具材かといわれたら “ふつう” に美味しいキャベツだったので、それ以上でもそれ以下でもなかったです。
一方、海老風味の大豆たん白加工品は、スカスカとパサついた食感で、味も海老風味かといわれたら遠からず近からずといったところ。ある程度は「仕上げの小袋」に入っていた海老油が誤魔化してくれますが、ちょっと雑味が気になったので、ちょっと具材に及第点はつけられなかったです。せめて赤ピーマンとか、なにか他に具材なかったんですかね。
総評
★★★☆☆☆☆☆☆☆(★3+)
海老油の芳ばしさにインパクトがあったのと、カレーのスパイス感もターメリックが軸のカレー粉に任せたようなタイプではなかったので、そこは好印象に思えたのですが、甘海老の頭を2,000匹分も使った海老出汁のような濃度かといわれると別。スープカレー×海老出汁というよりも、完全にスープカレー×海老油(海老粉)でした。
もし「奥芝商店」のエビスープカレーも海老油と海老殻の粉末を加えたような味であれば、けっこう近いのだと思います。ただ、甘海老の頭から出汁をとったイメージから離れていただけでなく、チープな麺と具材の頼りなさが否めなかったので、ちょっと厳し目に見ました。次は甘海老の頭が丸ごと入っているような、ちゃんと濃厚な海老だしで食べてみたいです。