どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年7月1日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 日本うまいもん サバだしラーメン」の実食レビューです。
ご当地カップラーメン「日本うまいもん」シリーズの「宮城編」は石巻飯野川発「サバだしラーメン」を再現した産学・異種業種連携開発商品!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
日本うまいもん サバだしラーメン
東洋水産(マルちゃん)の「日本うまいもん」とは、地元では誰もが知っているけれど、まだ全国的には知られていない「ご当地麺」にスポットを当て、全国に発信することをコンセプトにしたシリーズです。「吉田のうどん」「青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」「青森味噌カレーミルクラーメン」が2019年現在の定番商品となっているのですが、その最新作として宮城県石巻市飯野川地区の商店街を中心に提供されている「サバだしラーメン」をタテ型カップ麺で再現したのが今回の新商品。
「サバだしラーメン」とは、文字通りサバから取った出汁(だし)が特徴的なラーメンで、宮城県石巻市南境新水戸に本部を置く私立大学「石巻専修大学」の学生を中心にゼミで開発。以前、久住昌之さん原作・松重豊さん主演の人気テレ東ドラマ『孤独のグルメ』(2016年8月3日放送分『孤独のグルメスペシャル! 真夏の東北・宮城出張編』)で紹介され、一躍話題になったこともありました。
もともと宮城県石巻市飯野川地区では、ソースかつ丼のソースやカレー、ラーメンの隠し味など、家庭や食堂で日常的にサバだし(鯖出汁)を活用する食文化が根付いており、それに着目した「石原ゼミナール」の学生が「サバだし」の付加価値を高めるため、水産加工会社から排出されるサバのアラ(中骨や頭など)を有効活用する目的で計画したのが始まりです。
石巻専修大学経営学部の石原慎士教授が指導する「石原ゼミ」では、「まちづくり」や「地域ブランドの形成手法」について実践的に考察している「地域産業論」という研究テーマがあり、飯野川商店街の方々が出汁の取り方を伝授。長時間に及ぶ熱風乾燥でサバの持つ独特の臭みを取る方法を学び、2011年8月に地元の歩行者天国にてプロトタイプ(試作品)が販売されました。
今回のカップ麺にも「河北まちづくり研究会」及び「石巻フードツーリズム研究会」が監修した “産学・異業種連携開発商品” であることが記載され、商品開発に携わった「(有)島金商店・三徳平塚水産(株)・(農)舟形アグリ・宮城学院女子大学・石原ゼミナール」並びに提供店「食堂きかく・カ割烹高大・高松食堂・中華料理吉華・食事処こばやし」とありますが、昭和15年創業の「食堂きかく(亀鶴)」が『孤独のグルメ』に取り上げられたお店です。
実は2011年(平成23年)3月11日14時46分18秒ごろに発生した「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)」により、被害を受けた水産関連産業の復興を願う支援商品になれば——というのが「サバだしラーメン」の根源たる開発背景。当時の地元では鯖の水揚げどころではなく、青森県東部の八戸市(はちのへし)から原料のサバを入手していたようですが、あえて地域にエールを送るという意味で「サバ」がテーマになりました。
サバだしラーメン開発当時、 “石巻でしか食べられないラーメンとして印象付けたい” という開発者の思いが強かったので、カップラーメンでの再現は見送られていたのですが、TSグループ(東洋水産グループ)の宮城支部「宮城東洋株式会社」(宮城県石巻市魚町3丁目12-3)の存在を切っ掛けに東洋水産が動き、「マルちゃん サバだしラーメン」を2014年12月1日に満を持してリリースしています。
2014年12月発売のカップ麺は「日本うまいもん」シリーズではありませんでしたが、ノンフライ麺・どんぶり型の本格派で、協力関係者や商品コンセプトも今回と同じような布陣。とにかく身体の隅々まで染み渡るような滋味深い塩ラーメンだったので、タテ型・油揚げ麺に刷新されて復活した2019年の今回、かなり実食を楽しみにしていました。
開封
別添の小袋は、フタの上に貼り付けてある「特製スープ」1袋。東洋水産のタテ型カップ麺に別添されている小袋はタレが含まれている「特製スープ」(液体スープ)、もしくは調味油のみ入っている「特製油」の基本2種類なんですけど、今回は特製スープということで、タレの種類にも注目です(※お店にもよりますが「サバだしラーメン」の基本は「しお」)。
具材は味付豚肉、メンマ、ネギとシンプルな構成ですが、けっこう量が多くて好印象。サバだしラーメンには “トッピングに必ずサバを入れるべし” という定義があり、そこまでは再現されていませんが、経験上この豚肉は間違いなく美味しいヤツ。ただ、喫水線(お湯を入れる際の目安になる内側の線)ギリギリに麺が位置していたので、ちょっと注湯の時は気を付けてください。
ちなみに今回の「マルちゃん 日本うまいもん サバだしラーメン」発売と同日、セブンイレブン限定商品として「さばだし塩ラーメン」という “サバだし” をテーマにしたコンビニPBカップ麺(写真左 / レギュラーサイズ:税込138円)がリリースされているのですが、そちらの製造はサッポロ一番ことサンヨー食品(太平食品工業)が担当していました。
話題の「EPA」を217mg配合したカップ麺という面白い商品だったんですけど、すでに実食レビュー済みなので、どんなカップ麺なのか詳細が気になる方は、当ブログ内にある記事「セブンプレミアム たまねぎたくさん さばだし塩ラーメン」の感想と評価をご参考ください。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 日本うまいもん サバだしラーメン 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:93g(めん70g) 商品コード:4901990363532(JANコード) 商品サイズ:縦102mm×横102mm×高さ109mm 発売日:2019年07月01日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい使用) スタイル:縦型ビッグ・大盛サイズ 容器材質:紙+プラ 湯量目安:470ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(特製スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ、卵白)、添付調味料(魚介エキス(さばエキス、かつおエキス、むろあじエキス)、食塩、しょうゆ、粉末さばぶし、砂糖、チキンエキス、ポークエキス、こんぶエキス、発酵調味料、植物油)、かやく(味付豚肉、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、酒精、かんすい、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE)、カラメル色素、クチナシ色素、pH調整剤、ビタミンB2、ビタミンB1、香料、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【本品原材料に含まれているアレルギー物質】小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるもの) |
実食開始
石原ゼミナールが商品化した「サバだしラーメン」や実際の店舗では、宮城県産の小麦「ユキチカラ」にサバの中骨を主原料とする焼成カルシウムを配合し、化学的に生成される梘水(かんすい)の使用量を従来の半分に抑えているとのこと。そのようなアピールは今回のカップ麺にありませんが、見るからに東洋水産の次世代系フライ麺を彷彿とさせる雰囲気で、思わず期待が高まります。
湯戻し時間は熱湯3分、時間になったらフタを開けて軽く麺をほぐした後、別添の特製スープを入れて再度よく掻き混ぜたら完成です。具材にサバは使用されていませんが、多めの味付豚肉に大きなメンマも量が多く、ネギも安っぽい小葱ではなく斜め切りということで、まったくチープな印象はありません。ただし、この容器は “お湯を入れてから素手で持てないくらい熱くなる” ので、くれぐれも取り扱いには注意してください。
コンビニ限定のカップ麺ではありませんが、縦型ビッグということで製品スタイルはコンビニ向け。コンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ローソン」と「ミニストップ」で比較的よく見かけました。それでは、サバだし・さば節の存在感と特製スープの中身に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(93g)当たり
熱 量:385kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:385kcal(めん・かやく:330kcal)(スープ:55kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
しなやかで女性的な物腰でありながら、もちもち感のあるコシの強い弾力は一級品。油で揚げているフライ麺なので、どうしても小麦の風味より特有の芳ばしさを並行して感じる仕上がりではあるものの、まったく下品なイメージはなく、むしろ上品で落ち着いた佇まいには洗練された印象さえ覚える東洋水産きっての本格派。
そんなに厚みのある麺ではありませんが、平打ち麺とは思えない優れた反発力の持ち主で、歯を包み込むような多加水麺ともスパッと歯切れのいい低加水麺とも違う、歯で圧迫するたびに抵抗してくる弾力は、特筆すべきレベルに位置しています。しかし、簡単に屈服するような弾力ではありませんが、まったく攻撃的でもありません。
しっとりとした口当たりが優しく、なかなか切れないので何度も何度も噛めるのですが、ずっと噛んでいたくなるような嫌味のない弾力。油揚げ麺特有の風味もコクとして楽しめるベクトルにあり、今回の繊細なスープを阻害する気配も見せず、完璧な取り合わせでした。しかし、フライングだけは以ての外。なんだったら3分ちゃんと待ってから特製スープを馴染ませた後、さらに1分ほど休ませることで麺のポテンシャルが引き出されるので、落ち着いて調理するのが美味しく食べるポイントです。
スープ
とても上品で奥床しい湯気の香りに誘われたので、最初は別添の特製スープを入れずに食べてみたのですが、正直 “このまま最後まで完食可能” です。というのは出汁(だし)で食わせるスープが好き、塩気の強いスープは苦手な私の個人的な感想なんですけど、かなり「さば節」の旨味が濃厚で、まったく物足りなさを感じません。
それなりに魚粉の量も多めに含まれているのですが、魚粉に物を言わせて大雑把に手を打っているような魚介系のスープではなく(※その手も大好物ですけどw)、しっかりパウダー状になるまで粉砕してあるため、日本料理で用いられる出汁の取り方を意識しているような、「サバだし」の「だし」を丁寧に表現しています。
ちょっと目を離すとスープの表面に軽く油膜が張ってくるのですが、油揚げ麺から滲み出る油分だけでなく、サバ由来の良質な脂と思えるコクと濃密で風味豊かなサバだし・さば節の効かせ方には思わず唸ってしまいました(★7)。
そのまま特製スープを入れることなく完食してしまったのでw 実は2回実食しているのですが、特製スープの中身にオイル系の成分は含まれておらず、ほぼ油気(脂気)は皆無に等しい「だし醤油」系の醤油ダレ。すでに特製スープ(たれ)を入れる前の状態で塩気は程よく、それも芳醇なサバだしを引き立てる適切な塩梅だったので、やや特製スープが蛇足的な印象もありましたが、結果的に悪くありません。
真っ直ぐ泳いでくるストレートなサバだしのアクセルが若干ながら弱くなるものの、カツオやムロアジのエキスを重ねることで、さば節・サバだし(さばエキス)だけでは出せない深みを醸し、バランス型としての纏まりはよろしいです。ただ、特製スープ投入前の直感的に訴えかけてくる魚介感が印象的だったので、ぜひ「特製スープを入れる前に」味見してみてください。
具材
サバだしラーメンを提供している実際の店には「食堂きかく」をはじめ “サバを使った薩摩揚げ(さつまあげ)” をトッピングしているところも多いのですが、今回は東洋水産おなじみの具材ばかりでサバが原料のトッピングはありません。新開発の目新しい具材ではないのですが、それぞれ基礎クオリティはハイレベル。
おもに豚肉は赤身率が高めの部位が入っていましたが、ところどころに脂身が見られ、赤身特有の繊維質と脂身特有の甘みが楽しめます。味付けは甘辛く、東洋水産のカップ麺では頻繁に見られる新鮮味のない具材ではあるものの、下手な肉そぼろよりもリアルですし、毎度よくできた具材だなぁ‥と食べるたびに感心。
メンマはサイズが大きめで量も多く、コリコリとした歯ごたえが嬉しい繊維質のあるタイプですが、食感はナチュラル。そこまで風味は強くありませんでしたが、ふわっとサバだしの中から上がってくるメンマの香りは相性良好で、ネギも安っぽくない斜め切り。どれも量が多く、無駄も蛇足もない具材構成でした。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5.6)
中には醤油や味噌ベースのサバだしラーメンを提供している店もあるのですが、実際の「サバだしラーメン」は「塩らーめん」が基本的なスタイル。今回、だし醤油っぽい特製スープが別添されていたけれど、ジャンルとしては「塩」寄りで、サバだし・さば節を使用した独特の旨味が印象に残る一杯でした。
特製スープは塩だれ+サバから抽出したオイルを使う、もしくはノンフライ麺・どんぶり型が理想ではあるものの、繊細なスープに次世代系のハイクオリティなフライ麺、たっぷりの具材で食後の満足度も高く、これならコンビニで買っても損はありません。セブンのサバだしはイワシの存在も強めでしたが、東洋水産の「日本うまいもん」はサバが主軸だったので、販売期間中(発売日から約2〜3ヶ月の間)に食べ比べてみるのも楽しいですよ。