どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2024年2月19日(月)新発売、寿がきや食品のカップ麺「麺や絶豚(ゼットン)監修 デス煮干しラーメン」(316円+税)の実食レビューです。
煮干し中華そば専門店「麺やゼットン」監修、濃厚煮干し系と称される濃密な一杯「デス煮干し」の味わいをカップラーメンとして商品化!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
麺や絶豚監修 デス煮干しラーメン
ゼットンというワードを聞いて、初代ウルトラマンを真っ向から完封し、完全勝利を収めた最強怪獣の元祖を思い浮かべた方は、いたって普通の人。一方で、2007年(平成19年)6月3日に創業し、翌年11月1日から「BASSOドリルマン(ばっそ どりるまん)」を名乗り始める、池袋で人気を博した「中華そば ゼットン(ZETTON)」が脳裏をよぎった方は、けっこうラーメンに詳しい人。
しかし、このページでレビューする寿がきや食品のカップラーメンを監修しているのは、青森県青森市の煮干し中華そば専門店「麺やゼットン」で、看板メニューの「デス煮干し」を再現とのこと。私は今回の商品を機に、初めて「麺やゼットン」の存在を知ったので、お店の歴史や「デス煮干し」の特徴を調べてみました。
あらためまして「麺やゼットン」とは、青森ブッダ(旧・日の丸水産)内でラーメンを提供していた「麺や 沁皇(しんおう)」にルーツを持ち、2010年(平成22年)7月12日に独立オープンした煮干し中華そば専門店で、運営母体は同店の創業者・植田 倫安(うえだ のりやす)その人が代表取締役を務める有限会社 NON’S CAFE GROUP(ノンズカフェグループ)。
同社は「麺やゼットン」を “煮干結社グループの本部” とし、青森県の直営店「麺や 西ゼットン」、岩手県のプロデュース店「鹿道山(しかどうざん)」「サムライブギー」、マレーシア・クアラルンプールのプロデュース店「麺や 三光堂」、さらにはフランチャイズ店「HIROSAKI」「月影ラーメン興行社」にも力を入れ、空間コーディネートやデザイン関連の業務にも広く携わっているようです。
そんな煮干結社の総本山「麺やゼットン」が掲げるコンセプトは “昭和のレトロな雰囲気と煮干しの香り” で、名前の由来はウルトラマンではなく “絶対豚骨” の略称。ネット検索でヒットする外観と内観の個性的な雰囲気も然る事乍ら、カップ麺のモデルになっている「デス煮干し」と、限定100食「ドロ煮干し」の評判・口コミも上々で、自ずと期待が高まる展開。
店舗の「デス煮干し」には、スープに5種の煮干し(平舘産焼き干し・平子・片口イワシ・白いりこ・さんま)を使用しているらしく、屋号が絶豚(ゼットン)となっているように、濃厚な豚骨のコクも見どころ。さらに麺は青森の老舗「加福製麺所」と共同開発した “EGOISTの戯れ” という特注麺を使用するなど、知れば知るほど店主のセンスに嫉妬しました。
ちなみに「麺や絶豚監修 デス煮干しラーメン」のブランドは “全国麺めぐり” となっているため、寿がきや食品が通年で販売している「富山ブラックラーメン」や「奈良天理ラーメン」「銀座香味徳(かみとく)監修 鳥取ゴールド牛骨ラーメン」らと同じ立ち位置。
つまり、いわゆる “ご当店系” かつ “ご当地系” のカップラーメンでもあるため、麺やゼットン監修ならではの個性についてはもちろん、煮干しラーメンの有名どころ・青森の臨場感にも注目しながらレビューします。自分で書いといてアレですけど、青森の臨場感って表現おかしいですかね‥‥w
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れ「液体スープ」と「後入れ粉末スープ」の合計3パックで、なかでもスープを投入するタイミングには気を使いたいところ。ちなみに寿がきや食品曰く “煮干しの凝縮した旨みと、豚のげんこつ部分を使用したこってりと厚みのあるスープに仕上げました。” とのことなので、その度合が気になるところ。
麺は熱湯で乾燥させたノンフライ麺で、湯戻し時間は長めの5分。実際の「デス煮干し」に使われている “EGOISTの戯れ” は、写真を見る限り縮れが弱めの形状なのに対し、こちらはゴリゴリの縮れ麺なので、見た目の再現度は高くありません。しかし、テーブルマークから譲渡された、加ト吉水産フーズ部群馬工場あらため寿がきや食品の関東工場製造なので、基礎クオリティは高いはず。
ちなみにメーカー希望小売価格は316円(税別)なので、即席カップめん市場においてはミドルレンジクラスの商品。残念ながら流通の関係で “沖縄のコンビニや小売店では購入できない” というのもネックになりますが、寿がきや食品の直営通販ショップ(楽天市場、Yahoo!ショッピング)から注文することは可能です。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:麺や絶豚監修 デス煮干しラーメン 製造者:寿がきや食品株式会社 製造所:関東工場(群馬県高崎市新町2330-26) 内容量:115g(めん70g) 商品コード:4901677191267(JAN) |
発売日:2024年02月19日(月) 実食日:2024年03月07日(木) 発売地域:全国(沖縄除く) 取得店舗:ウエルシア薬局 小売価格:316円(税別) 購入価格:311.04円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・後入れ粉末スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、食塩、小麦たん白、たん白加水分解物)、スープ(ポークエキス、煮干エキス、動物油脂、醤油、食塩、煮干粉末、チキンエキス、ゼラチン、植物油脂、昆布エキス、たん白加水分解物、魚醤)、かやく(チャーシュー、ねぎ、メンマ)/ 加工デンプン、増粘剤(加工デンプン、増粘多糖類)、調味料(アミノ酸等)、着色料(カラメル、クチナシ)、かんすい、乳化剤、炭酸Ca、リン酸塩(Na)、酸化防止剤(V.E、V.C)、(一部に乳成分・小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、内容物はチャーシュー、ネギ、メンマとシンプルなラインナップ。実際の「デス煮干し」にもチャーシュー、ネギ、メンマをトッピングしているようですが、もちろん品質は段違い。それと味玉や糸唐辛子も標準で搭載されているようなので、糸唐辛子ほしかったなぁ‥‥などと思いつつ、その分だけスープに力を入れていると願いながら熱湯を注ぎ——
フタの上で「液体スープ」の小袋を温めながら待つこと5分。時間になったら「液体スープ」と「後入れ粉末スープ」を加え、よく混ぜ合わせたら出来上がり(※「液体スープ」と「後入れ粉末スープ」を先に入れてしまった場合、麺の戻りが悪くなるおそれがあるため、必ず食べる直前に入れてください)。
さて、調理後の見た目はシンプルですが、湯気から伝わってくる煮干しの密度は高く、濃厚煮干し系の津軽ラーメンを再現した商品に通じる香りに “青森の臨場感” を覚えた調理直後。はたして香りから受ける印象を裏切らない煮干し感が伝わってくるのかどうか、それと念のためコスパ的な部分にも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(115g)あたり |
カロリー:368kcal たん白質:12.2g 脂 質:9.9g 炭水化物:57.5g 食塩相当量:7.3g (めん・かやく:2.0g) (スープ:5.3g) カルシウム:161mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:368kcal(めん・かやく:282kcal)(スープ:86kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
再現度は低いと思うけど‥‥
実際の「デス煮干し」に使われている麺の画像を検索すると、比較的に色が薄いのに対し、こちらのノンフライ麺は黄色味が強く、前述のように形状も近くありません。そのため再現度についてはイマイチかもしれないけれど、加水率は高めの設定で、しっとりした口当たりは寿がきや食品らしい魅力。
歯切れの良さよりも粘りの強さに重きを置いた多加水麺で、小麦感も香りより甘さが強く、単体での存在感は強い部類に入りますが、後述するスープとの相性は悪くありません。むしろスープが “ちょっとショッパめに” 仕上げてあったので、その塩気が小麦の甘さを引き立ててくれるような、これについても寿がきや食品らしいフレームワーク。
調理前の麺重量は70gなので、大判どんぶり型というカテゴリーにおいては特別に多いわけではないけれど、途中で引き合いに出した「富山ブラックラーメン」や「奈良天理ラーメン」「銀座香味徳監修 鳥取ゴールド牛骨ラーメン」(いずれも “めん65g” )と比較して少し多めの仕様。それでも熱湯5分で適切に戻り、なおかつ食べ終わる頃まで粘りのある弾力が楽しめたので、満足度は高かったです。
スープ
豚骨を喰う勢いで煮干しが強め
おそらく「後入れ粉末スープ」に煮干し粉が入っているのだろうと判断し、まずは「液体スープ」単体の味を確認してみたところ、前述のようにショッパめで、さっそくデス(Death)の洗礼を受けたような感覚に陥ってしまったのですがw 塩気だけを尖らせたようなスープではありません。
もとより煮干し系のラーメンは、塩気を濃いめに打ち出したスープが多く、それに慣れている方からは適切に思われそうな塩分濃度。絶豚(ゼットン)という表現から受けるイメージに反し、豚骨は大人しかったので、そこに想像とのギャップを感じてしまったのですが、この時点で煮干しの存在感は明白。それも後味に苦みを残すくらい、なかなか思い切ったエキスを使用しています。あと、魚醤の隠し味も効果的。
続けて「後入れ粉末スープ」を投入すると、予想通り粉末状の煮干しが入っていたので、じっくり煮干しを煮詰めた感じのエキスとは違う、魚粉ならではのドライな勢いで全体のパンチがアップするのですが、それと同時に印象的だったのが優しい甘み。原材料名に砂糖や糖類、還元水飴、甘味料などの表記もないのですが、ふわっと甘い‥‥ちょっと冷静に考えたら怖いけどw
いずれかの原材料に要約されているのだとは思いますが、その甘みが塩カドに鑢(やすり)を掛け、なおかつスープに深みを持たせるような効果を生じさせています。それでも序盤に白ごはんが欲しくなるくらいにはアグレッシブな塩分濃度ではあるけれど、それも煮干しラーメンの宿命というか個性みたいなものですし、第一に煮干しの魅力を大切にした濃厚煮干し系の王道を地で行くような味わいでした。
かやく
意外とチャーシューが侮れない
チャーシュー、ネギ、メンマの組み合わせは、日本のラーメンにおけるテンプレ的なラインナップなので、制限が多いカップラーメンだと似たり寄ったりのイメージに落ち着いてしまうのですが、今回のチャーシューは数年前の寿がきや食品が使い回していた(持ち上げると向こうが透けて見えるレベルの)ペラチャーと比較して厚みのある形状。
そこそこ脂身の部分も多く、いざ口に含むとジューシーで、なかなかどうして悪くありません。メンマも硬すぎず、それでいて柔らかすぎない食感で、穏やかな発酵感がスープにフィット。フリーズドライのネギも香りが上品で、意外とネガティブではありませんでした(値段を思うと厳しい意見も飛んできそうですが)。
総評
コンビニで300円オーバーのカップラーメンも珍しくない今日この頃、それだけにコスパを評価する基準の幅が広がっているのですが、なかでもスープの作り込みは丁寧で、この煮干し感が手軽に楽しめるのであれば、316円(税別)というメーカー希望小売価格にも納得できる一杯。スープの塩分濃度が高かったり、そこそこ煮干しの苦味が強かったり、人を選ぶ要素はありますけど、商品名はデス煮干し。
それを食べやすい方向にデフォルメしつつ、けれども面白みのない優等生には仕上げない、なんとも絶妙なバランス感。たとえば日清食品や東洋水産など、業界トップクラスの大手と契約していたら、もっと丸い商品になっていたと思うので、寿がきや食品×麺やゼットンだからこそと思える魅力が伝わってきました。販売店は限られると思いますけど、濃いめの煮干しラーメンが好きな方は要チェックです。【author・taka :a(大石敬之)】