どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年3月11日(月)新発売のカップ麺、サンヨー食品「サッポロ一番 麺屋いろは 富山ブラック」の実食レビューです。
富山の有名人気ラーメン店「麺家いろは」の「富山ブラック黒醤油らーめん」をカップラーメンで再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
麺屋いろは 富山ブラック黒醤油らーめん
「富山ブラック(とやまブラック)」とは、1945年(昭和20年)8月1日〜8月2日にかけての戦時中、アメリカ軍が富山市の中心部に対して行った国内最悪の破壊率とも言われている「富山大空襲」の復興事業に従事していた若者、また大量の汗を流して働く労働者の塩分補給のために考えられたメニューで、当時は客が自分で白ご飯を店内に持ち込んでラーメンをおかずにしていたくらい、とにかく塩気が強くて真っ黒な見た目が特徴的な塩辛いラーメンです。
今でこそ富山の代表的なB級グルメ・ご当地ラーメンとして全国的に認知されている「富山ブラックラーメン」ですが、富山県富山市太田口通りに本店を構える1947年(昭和22年)創業の老舗「西町大喜(にしちょうたいき)」が元祖・発祥の店とされ、もともとのメニュー名は富山ブラックではなくシンプルに「中華そば」。そのインパクト絶大な味と見た目に他県のラーメンマニアやメディアが注目し、最も影響力を及ぼしたのはインターネットの掲示板で、「富山ブラック」という呼び名は2000年を過ぎてから世の中に浸透し始めました。
もとは屋台だった富山ブラック発祥の店は、後に「大喜(たいき)」という屋号を掲げて店を構え、当時の “オヤッさん” こと創業者の高橋青幹(たかはし せいかん)さんは2000年を区切りに閉店を決意していたのですが、富山・金沢にてイタリア料理チェーン店「カプリチョーザ」も展開している「有限会社プライムワン」(代表取締役 中村久雄社長)が「大喜」の屋号を買い取り、「西町大喜」の店名で多店舗展開したことが最初の火種と言っても過言ではないでしょう。
今回の監修店「麺屋いろは(めんや いろは)」とは、そんな「富山ブラックラーメン」が有名なラーメン店ではあるものの、一般的に認知されている「富山ブラック」とは違った個性の持ち主で、たしかにスープは富山ブラックらしく真っ黒な見た目なのですが、塩気を抑えるために魚醤を使用することでインパクトのあるビジュアルを打ち出しつつも実際は見た目ほど辛くないスタイルが支持されて、2019年3月現在は国内に9店舗・海外に17店舗、合計26店舗を展開しています。
店舗は多ければいいわけではありませんし、一部のコアなファンからは “富山ブラックではない” と誹謗中傷を受けることもあるそうですが、そもそも富山ブラックは第三者によって自然に定着した “富山の黒いラーメンを指す総称” で、誰が最初に名乗ったわけでもありません。それに「麺屋いろは」は昨年10周年を迎えた日本最大級のラーメンイベント「東京ラーメンショー」の第1回から欠かさず出店している10年連続最多出場店(2009年~2018年)という歴戦の記録を持ち、2009年・2010年・2011年・2012年・2014年の祭典において売上数第1位のV5達成を飾りました。
「麺屋いろは」の運営母体は「株式会社 天高く(TENTAKAKU Co., Ltd.)」、代表取締役会長兼社長は創業者の栗原清(くりはら きよし)さん。栗原さんは大学卒業後、運送会社に勤務していたそうですが、サラリーマン生活に満足できず脱サラ。それから起業してカラオケブームの波に乗るも経営危機を招き、億単位の借財を背負って倒産‥‥その後、金沢で開いていた小さな居酒屋の裏手にある物置を改装し、1992年11月に金沢市で「ザ東京ラーメン」を開業します。
その当時は麺を茹でる器具すら買えなかったそうですが、富山の友人から富山県射水市に物件があると誘われ、後に現在の本店となる「小杉店」を1993年12月に開店。2009年5月に開催された「第1回 東京ラーメンショー2009」で売上数第1位を飾り、富山ブラックの名を全国に轟かせる立役者の一人となりました。
「富山ブラック黒醤油らーめん」の対をなす「白エビ塩らーめん」も有名なのですが、お店のホームページでは「激辛タンタン麺」も強く推していますね。お土産ラーメンやカップラーメンの盛んな販売も手伝って、すっかり富山県富山市中心部発祥の「ご当地ラーメン」として有名になった富山ブラックですが、今回はオールドタイプの典型的な富山ブラックとは違う「麺屋いろは」の特徴、「魚醤」が効いた魚介系スープに注目しながらレビューします。
開封
容器の中に入っている別添の小袋は、後入れの「液体スープ」と「焼のり」、先入れの「かやく」で合計3種類。かやくの小袋に粗挽きの黒胡椒(ブラックペッパー)が多めに入っているのですが、寿がきや食品が通年商品として製造・販売しているカップ麺「全国麺めぐり 富山ブラックラーメン」ほど大量ではないですね。
寿がきや食品の富山ブラックは強烈に黒胡椒が効いていて、パッケージにも “※胡椒の辛味が強いラーメンです。辛い物が苦手な方はご注意ください。” と、まるで激辛カップ麺よろしく注意喚起の警告文がパッケージに掲載されているのですが、今回の「サッポロ一番 麺屋いろは 富山ブラック」には刺激の強さ・辛さレベルに対するコーションがどこにもありません。
しかし、前述したように「麺屋いろは」の富山ブラックは寿がきや食品のように刺激特化型ではないですからね。今回のカップ麺はメーカー希望小売価格が税別240円と高めの設定で、定価販売が基本のコンビニで購入すると税込258円が相場になるのですが、もちろんノンフライ麺を採用。一見すると味噌ラーメンにピッタリな雰囲気ですが、ふと「サッポロ一番 名店の味 純連 札幌濃厚みそ」の麺を思い出しました。
ちなみに販売者は「サンヨー食品株式会社」、製造所は「太平食品工業株式会社 本社工場」となっているのですが、太平食品工業はサッポロ一番の製品開発部を意味しており、太平食品工業本社工場というのは以前までサンヨー食品本社工場と記載されていた工場と同じです。私はローソンで購入しましたが、コンビニ限定発売のカップラーメンではないので、スーパーマーケットやドラッグストア、ディスカウントストアでも販売されています。
製品情報・購入価格
製品名:サッポロ一番 麺屋いろは 富山ブラック 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:太平食品工業株式会社 本社工場 内容量:116g(めん70g) 商品コード:4901734036944(JANコード) 規格サイズ:φ165mm×75mm 発売日:2019年03月11日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく・焼のり) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、植物油脂、食塩、大豆食物繊維、粉末卵)、スープ(しょうゆ、香味食用油、チキンエキス、鶏脂、食塩、煮干しエキス、豚脂、糖類、野菜エキス、酵母エキス、たん白加水分解物、魚醤(魚介類)、発酵調味料、ポークエキス、香辛料、煮干いわし粉末、かつお節粉末、昆布エキス)、かやく(チャーシュー、こしょう、メンマ、のり、ねぎ)/ 加工でん粉、カラメル色素、酒精、調味料(アミノ酸等)、香料、レシチン、クチナシ色素、かんすい、増粘剤(キサンタン)、酸味料、甘味料(カンゾウ)、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・魚醤(魚介類)を含む) |
【本品に含まれるアレルギー物質】小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉(特定原材料及びそれに準ずるものを表示)※魚醤を使用していますので、魚介類が含まれています。本製品で使用しているのりは、えび・かにが混ざる漁法で採取しています。 |
実食開始
かやくの小袋にはチャーシュー、黒胡椒、メンマ、ねぎと基本の具材は揃っているのですが、どれも量が多いとは言えません。コンビニで買うと税込250円オーバーですがチャーシューは頼りなく、メンマやネギも中庸的な雰囲気です。ただ、小袋を開封した瞬間から漂ってくる黒胡椒の清涼感はグッと食欲をそそってくれますね(余談ですが私は黒胡椒が大好きです)。
で、このドロッと出てくる真っ黒な液体スープのインパクト‥めちゃ黒いです。しかも高粘度で怪しい‥w 最終的に豚骨ラーメンや鶏白湯ラーメンのように粘度の高いスープに仕上がるわけではないのですが、液体スープ自体のとろみは強く、かなり粘り気があります。また、液体スープを投入した瞬間から魚醤由来の香りが立ち、早くも嗅覚に対して「麺屋いろは」の個性が訴えかけてきました。
後入れの液体スープは中身の動物油脂が目立って凝固しているわけではありませんでしたが、けっこう量が多いので、スープの温度低下を防ぐためにも熱湯を注いでからフタの上で小袋を温めておきましょう。5分経ったら液体スープを入れる前に麺をほぐし、それから液体スープを馴染ませて、焼のりをトッピングしたら完成です。具材のインスタント感は否めませんが、麺とスープは雰囲気ありますね。
それでは、「麺屋いろは」の個性と雰囲気の再現度に注目しつつ、「めん」「スープ」「かやく」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
1食(116g)当たり
熱 量:426kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:426kcal(めん・かやく:310kcal)(スープ:116kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
張りとコシのある黄色みの強い幅広のめんに仕上げました。ちぢれをつけることでスープがよく絡みます。
(出典:サンヨー食品「製品情報」)
しっかりとした歯応えとコシが印象的な硬めの食感で、サンヨー食品の特徴説明文には幅広の麺と記載されているのですが、若干ながら平べったい麺ではあるものの平打ち麺ではありません。完全に幅と厚みが同じわけでもありませんが、しっかり厚みがあって、やや太麺に寄ったノンフライ中太麺です。
小麦の風味も芳醇で、ふと鼻を抜ける香りに明白な小麦の甘味、それらが黒くて濃厚なスープに映え、麺単体としての存在感は強めでもスープを蹴散らすようなタイプではありません。ちょっと縮れのつけ方も独特で、軽く捻れているようなスタイルからスープの掴みも悪くありませんし、今回の見た目とは裏腹な優しいスープとも適切な関係が築けています(やや前述した「純蓮」からの使い回し感は否めませんが‥w)。
コシは強めで歯応えのある麺ですが、粘り気はあまり意識されておらず、どちらかというと歯切れがよくて、時間が経っても麺の表面は糊化(こか)しない、それがノンフライ麺とはいえインスタント感を強めに演出していたのですが、芳醇な小麦感に歯応えのある食感、それでいてスープのニュアンスを曲げない雑味の無さがいいですね。スープとのバランスも良かったですし、徐々に麺がスープの色に染まっていくのも富山ブラックらしい変化で雰囲気がありました。
スープ
チキンエキスをベースに濃口しょうゆに魚醤を合わせました。煮干しのうまみあふれる真っ黒いしょうゆラーメンスープです。
(出典:サンヨー食品「製品情報」)
「麺屋いろは」の富山ブラックが他店と圧倒的な差別化を図れているのは何より「魚醤」の存在だと思っているのですが、かなりガツンと効いてます。魚醤(ぎょしょう)とは、文字通り魚類または魚介類を塩漬けにして作る液体状の調味料で、魚醤油(うおしょうゆ)や塩魚汁(しょっつる)とも呼ばれているのですが、例えばタイのナンプラーやニョクマムも単純に翻訳すると魚醤ですね。
さすが富山ブラックらしく、かなり真っ黒で塩っぱそうな見た目ですが、実際は塩気が強く舌を刺してくるわけではありません。あっさり淡麗系でもないけれど、いわゆる元祖・富山ブラック系とは一線を画した柔らかくて塩辛くないテイスト。しかし、そこへ一見して明白な魚醤を効かせることで、お店の個性とインパクトを演出しています。
魚醤は特に麺を食べている時に強く感じられるのですが、魚醤特有の酸味まで打ち出しているため、もし特有の風味が苦手なら厳しいかも‥くらいのレベルです気をつけて。とはいえ肉や魚の臭み取りにも使われる黒胡椒の清涼感が生臭さを覚えさせる前に後味を引き締め、絶妙な塩梅で旨味の余韻を残します。動物系スープも丁寧で深いコクがあり、魚醤と煮干を重ねることで魚介は膨よかに力強く加速。
寿がきや食品の富山ブラック(全国麺めぐり)ほど規格外の量ではありませんが、実際に食べ始めると思っていた以上に黒胡椒は粗挽きで、黒胡椒バカ(※私です)にとっては物足りない量ではあるものの、後半けっこうヒリヒリします。辛くないけど濃い味で、真っ黒な見た目でも鋭利に牙を剥いてくることはなく、強めの魚醤と煮干を中心とした魚介スープに丁寧な動物系の旨味、そして適切な量のブラックペッパーという構成から、「麺屋いろは」監修ならではの個性的なスープに仕上がっていました。まったく同じ味ではありませんが、雰囲気の再現度は高いです。
かやく
チャーシュー、黒胡椒、メンマ、ねぎの組み合わせに、別添「焼のりパック(2枚入)」付きです。
(出典:サンヨー食品「製品情報」)
お店のチャーシューはとろけるような柔らかさが好評なんですけど、残念ながらカップ麺のチャーシューはペラペラで、とろけるどころか希望小売価格240円(税別)の製品とは思えない頼りなさ。黒胡椒については前項で解説した通り好印象ではあったものの、メンマはクタクタ、ねぎは1つだけ入っていた白い部分以外は存在感ありません。
しかし、魚介の旨味が詰まったスープと焼き海苔の相性は申し分なく、磯の風味を引き立てあうような相乗効果が得られました。日清食品やヤマダイ(ニュータッチ)の海苔と比較して韓国海苔ほどではないものの、かなり薄い海苔でしたが、具材の中では海苔の印象がもっとも良かったです(黒胡椒はスープの一部としてカウント)。海苔の食べ方は、しっかりとスープを染み込ませてから写真のように麺を包むようにして食べるのがオススメ。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
塩分濃度を抑えるために工夫を凝らした末に編み出された魚醤ベースの和テイストに黒胡椒が香る骨組み、動物系のコクも丁寧で抜かりなく、強過ぎず弱過ぎない適切な黒胡椒のアクセントから他店と一線を画す「麺屋いろは」ならではの個性的なスープに仕上がっていて、ことスープに関しては値段相応の価値を感じました。しかし、具材の貧弱さは否めません。
しかし、既存の製品から流用している感が否めなかったものの豪快かつ無骨すぎないノンフライ麺とスープは特に申し分なかったので、税込250円オーバー必至のコンビニ店舗で購入するなら★4、コンビニ以外の店舗で税込210円以下なら★5。けれどもスープの個性にブレは見られなかったので、お店の(特にスープの)雰囲気を掴みたい‥という理由で試すのであれば、コンビニ購入でも元が取れる充分よくできたカップ麺だと思います。