どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年4月29日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん正麺 カップ 濃い煮干醤油」の実食レビューです。
“3種類の煮干” を使った香り高くクセになる味わいのマルちゃん正麺カップ新登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
マルちゃん正麺カップ 濃い煮干醤油
“いま抜群においしく、そして10年後20年後も古びることなく愛され続ける即席麺” をコンセプトに掲げ、乾燥麺でありながら生めん本来の自然な食感と味わいを実現した袋麺「マルちゃん正麺(せいめん)」が2011年11月7日に発足し、カップ麺タイプの「マルちゃん正麺カップ」が発売されたのは袋麺の発売から約4年後となる2015年10月5日。
パッケージには煮干のイラストをあしらい、マルちゃん正麺シリーズのイメージカラーである「金色」をベースに紺色の「波」をイメージした和柄で “上質感” と “煮干し感” を表現しているのですが、おそらく袋麺・カップ麺ともにマルちゃん正麺シリーズから純粋な「煮干らーめん」が発売されたのは今回が初めて。
1953年(昭和28年)3月—— “マルちゃん” こと東洋水産株式会社の前身となる「横須賀水産株式会社」を築地市場内に創業。当時の主な事業内容は冷凍鮪の輸出及び国内水産物の取り扱いで、1956年(昭和31年)7月から社名を「東洋水産」に改称しているのですが、現在も売上構成のうち水産食品事業が8.4%を占めています(※2018年3月期売上高)。
そんな経緯と水産業界での業績も関係していると思うのですが、実際に東洋水産は煮干に強いメーカーで、特に縦型ビッグ製品では煮干特有の苦味やエグ味、生臭さなど、日本の出汁文化からすると一般的には取り除くべき灰汁(あく)とされるネガティブな煮干の個性をも打ち出してくれたことがありました。
反面、定番商品の「激にぼ(マルちゃん 日本うまいもん 青森津軽煮干しラーメン)」やファミリーマート限定・数量限定商品として発売されていた「長尾中華そば こく煮干し」など、縦型ビッグと比較して丼型はバランス重視の煮干を意識している場合が多かったりもするのですが、今回の新商品は “幅広い層の方に愛されるべき” マルちゃん正麺シリーズですから尚の事。
タイトルは「濃い煮干醤油」となっていますが、冒頭で触れた “3種類の煮干” というのは煮干の粉末・エキス・オイルを指しているらしく、さらにパッケージのタイトル下にも “煮干の香り高くクセになる味わい” と記載されてるため、バランス型が予想される実食前の現在ではあるものの、おそらく「濃い」の指標は「煮干」に向いているはず。
青森・津軽にある “濃厚煮干し系” を確立した「激にぼ」の金字塔「たかはし中華そば店」(創業1982年 / 昭和57年)が元祖「煮干しラーメン」発祥の店とされているのですが、「ニボラー」や「にぼ中毒」といったプリン体を恐れない熱狂的なファンも多いように、ニボ系(煮干系)のラーメンは人気の高いラーメンジャンルのひとつ。
もともとはイワシの頭と内臓を切り取って焼き上げた「焼き干し」を使って出汁を取る「津軽そば」がルーツとなり、現代のラーメンブームが相俟って青森に煮干ラーメンが定着したのではないかと言われているのですが、煮干に強い東洋水産が手掛ける大衆的なブランド・マルちゃん正麺の “濃い煮干” とは——
開封
別添の小袋は「液体スープ」「粉末スープ」「かやく」の3袋で、「かやく」のみ先入れ仕様、「液体スープ」と「粉末スープ」は後入れです。フタの上にデザインされている調理後のイメージ写真でも目立っている “味付鶏肉団子” ですが、小袋(かやく)の中にゴロゴロと入っているのが分かる、はやくも好印象なスタートダッシュ。
麺の湯戻し時間は熱湯5分、もちろんマルちゃん正麺なので麺は特許製法「生麺ゆでてうまいまま製法」のノンフライ麺を実装しています。マルちゃん正麺のノンフライ麺は基本的にスープが豚骨だろうと加水率の高い多加水麺に仕上がっているのですが、ニボ系には低加水麺が合う(と、個人的には思っている)ので、スープとのバランスが気になるところ。
発売エリアは全国のCVS(コンビニエンスストア)・量販店・一般小売店他となっているのですが、新たなレギュラー商品ではなく数量限定のスポット商品で、私は「ミニストップ」で購入しました。もちろんコンビニでしか売ってないわけではないのですが、コンビニで買うと税込216円が平均です。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん正麺 カップ 濃い煮干醤油 販売者:東洋水産株式会社 製造所:自社工場・関東工場 内容量:103g(めん65g) 商品コード:4901990363013(JANコード) 規格サイズ:縦180mm×横180mm×高さ77mm 発売日:2019年04月29日(月) |
麺の種類:ノンフライ麺(かんすい使用) スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・粉末スープ・かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、こんにゃく、植物性たん白、植物油脂、大豆食物繊維)、添付調味料(魚介エキス、豚脂、香味油脂、しょうゆ、ポークエキス、チキンエキス、食塩、砂糖、植物油、たん白加水分解物、みそ、香辛料、酵母エキス)、かやく(味付鶏肉だんご、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、レシチン、かんすい、酒精、炭酸カルシウム、カラメル色素、増粘多糖類、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
【本品原材料に含まれているアレルギー物質】小麦・卵・乳成分・さば・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるもの) |
実食開始
先入れの「かやく」を開封すると、ねぎは “後入れかやく” に入っているような小葱、メンマも多くありませんが、大きな味付鶏肉団子がザッと9個も入っています。ニボ系ラーメンにはチャーシューが定番な気もしますけど、カップ麺の丸型では頼りないことが多いですし、東洋水産の鶏だんご系は軒並み高品質なので、これは嬉しい采配ですね。
厳密に後入れスープの投入順が指定されているわけではありませんが、とりあえずスープ各種を入れる前にノンフライ麺をほぐし、粉末スープを馴染ませてから液体スープを入れるとムラなく調理しやすいと思います。それから液体スープの小袋は “フタの上で温めてから” とのことなので、待っている間に温めておきましょう。
さて、完成です。粉末スープを馴染ませている間は気になりませんでしたが、液体スープを入れてから軽く全体にトロミがついたので、ちょっと意識してかき混ぜたほうがいいですね。それでは、 “濃い煮干” の煮干レベルやノンフライ麺とスープの相性に注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(103g)当たり
熱 量:367kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:367kcal(めん・かやく:268kcal)(スープ:99kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
生麺のようななめらかな口当たりと、粘りのある食感が特長の、透明感のある麺。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『マルちゃん正麺 カップ 濃い煮干醤油』新発売のお知らせ」)
丸刃でカットされた厚みのある平打ちノンフライ麺で、キメが細かくて滑らかな表面の質感と縮れのなさから口当たりに攻撃性はなく、のどごしの良さと箸で持ち上げた時の重量感はさすがの一言。お湯を注いで5分間待っただけとは思えない、なるほど鍋で生麺を茹で上げたかのようなカップ麺らしからぬ迫真性が楽しめます。
加水率はマルちゃん正麺シリーズの例に漏れず高めの多加水麺で、麺量は他のシリーズと同じ65gと平均値。歯切れの良さよりも粘り気を最重要視しているような質感で、なおかつ摩擦抵抗ゼロの滑らかさから前半ちょっとスープを弾く嫌いがあったのと、スープの方向性から細めの低加水ストレート麺でも食べてみたくなったりもしたのですが、結果的にバランスは悪くありません。
ちなみに「生麺ゆでてうまいまま製法」とは、こんにゃくを練り込んだ生の麺を茹でてから乾燥させ、乾燥麺でありながら生めん本来の味と滑らかでコシのある食感が楽しめる東洋水産の特許製法(特許5719064号)なのですが、袋麺は「生麺うまいまま製法」。それから4年の歳月をかけて研究開発に取り組んだ結果、カップめん専用の「生麺 “ゆでて” うまいまま製法」が完成しました。
スープ
ポーク・チキンをベースに煮干しの旨味と風味を利かせた醤油味のスープ。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『マルちゃん正麺 カップ 濃い煮干醤油』新発売のお知らせ」)
表面には粉末煮干に由来するキラキラとした銀色の魚粉が浮いているのですが、ぐいぐい煮干が前に出てくるようなニボラー泣かせのスープではありません。原材料中もっとも含有量が多いのは魚介エキスなんですけど、丁寧に抽出した煮干の旨味を豚骨と鶏ガラのダブルスープに対等のパワーバランスで溶け込ませているようなブレンド感の強いフレームワーク。
魚介の主体は煮干ですが、体感的に魚粉の中には鯖(さば)や鰹(かつお)などの節系も混ざっていて、煮干のシャープな縦の主張だけでなく、芳ばしくて膨よかな節特有の混合的な深みを感じます。底に溜まりがちな魚粉が目立ってくる後半は特に節系の勢力が増してくるのですが、あえて食べやすくするために煮干のエッジを節で抑えたのでしょう。
粉末スープに混合魚粉、液体スープに煮干エキスと煮干オイルが仕込んであり、魚粉のダイレクトな攻めのポジションだけでは出せない抽出系のマイルドで奥深い煮干感も楽しめるようになっています。白湯ベースの豚骨・鶏ガラからも動物系のクセを覚えることはありませんが、丁寧な旨味でトロミのある口当たりも不自然ではありません。
「煮干醤油」ということでタレは醤油ベースですが、実は味噌の隠し味も——とはいえ文字通り味噌は隠し味なんですけど、醤油のエッジも控えめで全体に丸みを帯びた仕上がり。煮干マニアの玄人向けではありませんが、魚介・畜肉ともに丁寧で、まさにニボ系の入門編、または克服用に誂え向きな食べやすい煮干しょうゆ味のスープです。
具材
味付鶏肉だんご、メンマ、ねぎ。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『マルちゃん正麺 カップ 濃い煮干醤油』新発売のお知らせ」)
東洋水産の鶏肉だんご(鶏つみれ)は軒並みクオリティが高いと書きましたが、テキトーな丸いチャーシューと比較して満足度は雲泥の差。ふんわりと柔らかく、しかしながら鶏の旨味をギュッと凝縮させたような味付けで、変な臭みもありません。スープの動物系は豚脂の影響でポーク優勢ですが、違和感なく馴染んでいます。
メンマは小さめで量も多くありませんが、主張し過ぎず弱すぎることもない自然な歯触りが食感の気分転換に効果的で、ほんのり特有の風味が丁寧な煮干しょうゆスープと絶妙に噛み合っていて好印象。とんこつ味のカップラーメンに入っているタイプの小さな青葱も脇役に徹しながら適度に香っていて、税別205円のカップ麺としては上出来の内容でした。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5)
マルちゃん正麺カップ初となるニボ系でしたが、やはり食べやすさを重視した仕上がりでした。その “煮干レベル” に中毒者の発作を鎮静させるほどの効力はなく、でも魚介系ラーメンに対する苦手意識が強かったら厳しいかも‥‥くらい。せっかくなので煮干を真っ直ぐ立ててほしかったところではあるものの、前述した定番の「激にぼ」とはタイプが違いますし、これが「マルちゃん正麺」というブランドの立場上もっとも適切な着地かもしれません。
もしカップラーメンが原因で煮干ラーメンそのものがトラウマになるような事態を招いてしまったら、それこそ東洋水産(マルちゃん正麺)の本懐ではないでしょう。「濃い煮干」に対する期待値で評価は割れそうですが、混合的とはいえ煮干が主体、荒々しさはなくとも旨味は丁寧で濃厚、具材も過不足なかったので、煮干ビギナー(初心者)さんや自分の味覚とニボ系が合うかどうかを確かめるための判断材料としてもオススメできるバランス型の一杯です。