どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2023年1月16日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん正麺 カップ ニンニク塩担々麺」の実食レビューです。
あの個性派がインパクト増しで復活!? 生麺ゆでてうまいまま製法の「正麺カップ」が数年ぶりに “塩味の担担麺” をリリース!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
マルちゃん正麺 カップ ニンニク塩担々麺
マルちゃん正麺(せいめん)とは、いま抜群に美味しく、そして10年後・20年後も古びることなく愛され続ける即席麺をコンセプトに、東洋水産が展開している麺が主役のブランドで、2011年(平成23年)11月7日に初代御三家「マルちゃん正麺 醤油味」「同 味噌味」「同 豚骨味」を市場に投下。ダウントレンドが続いていた当時の即席袋めん市場を席巻し、発売1年で2億食の売り上げを記録します。
それは業界で “マルちゃんショック” と呼ばれ、後に特許を取得する独自の乾燥技術「生麺うまいまま製法」に多くの関係者が震撼したのも束の間、袋めんタイプの登場から約4年後——。2015年(平成27年)10月5日にファン待望の「マルちゃん正麺 カップ」が現れ、わずか1ヶ月で1200万食という驚異の出荷数を叩き出し、今度は即席カップめん市場に “第2のマルちゃんショック” を引き起こしました。
今回の新商品「マルちゃん正麺 カップ ニンニク塩担々麺」は、中国の四川省を発祥とし、故・陳建民氏の手によって独自の進化を遂げた日本の汁あり担担麺とは一線を画す、ニンニクの風味を強く効かせた塩味のスープが特徴の担担麺で、店舗はもちろん即席カップめん業界でも珍しいフレーバーなのですが、実は16年以上前に東洋水産が開拓したジャンルの一つ。
現在も根強い人気を誇っているオープン価格の即席カップめんブランド「ごつ盛り」が誕生する前、めん重量100g(湯切りタイプは130g)の「でか一(でかいち)」という商品を展開していた東洋水産。それが後に「ごつ盛り」となるのですが、おそらく2006年(平成18年)7月10日発売の「でか一 塩担々麺」がマルちゃん初の塩担担麺で、以降も別のブランドから定期的に商品化しています。
本場の担担麺は “汁なし” ですが、日本における担担麺といえば “汁あり” が定番で、前述の陳建民氏が日本人向けにアレンジしたメニューにルーツを持ち、芝麻醤(チーマージャン)を効かせたコクのあるスープに適度なラー油の辛さ、具材の挽肉、花椒(ホワジャオ)の清涼感など、いくつかの象徴的な特徴を備えています。しかし、東洋水産の「塩担担麺」は、まったくの別物。
ラー油を使っていることは日本式の担担麺に共通する項目になりますが、それに必須の芝麻醤と花椒は不使用で、スープも鶏がらベースの塩味とオリジナリティに富んだ一杯。このブログでは高く評価している2019年4月15日発売の「ごつ盛り 塩担々麺」は、しれっと通年販売のレギュラー商品に格上げされたので、それなら知ってるし食べたことあるよ、という方もいらっしゃるでしょう。
また「正麺カップ」における塩担担麺といえば、2016年(平成28年)5月30日に「マルちゃん正麺 カップ 辛こく塩担担麺」を発売しているため、今回が初めての試みではありません。しかし、当時とは “生麺ゆでてうまいまま製法” の仕様が違うことに加え、商品名に「ニンニク」の文字が入っていることから、さらなるインパクトに期待できそうな展開。
東洋水産のニュースリリースには “寒い季節に人気の高まる担々麺で、ニンニクをがっつり利かせた塩ベースの「塩担々麺」を季節限定発売” との記載があるため、新たな定番品という位置付けではないようですが、スポット商品だからこそ振り切れる部分もありますし、ニンニクの効き目と念のため辛味の強さにも注目しながらレビューします。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」2袋に、後入れ「液体スープ」の計3種。東洋水産のカップ麺におけるニンニクといえば、基本的にガーリックパウダーが主体となっているのに対し、珍しく粉末スープは別添されていません。つまり、普段のスナック的なニンニク感とは違う、生おろしニンニク由来のエッジに期待できるかもしれない展開。
麺は「生麺ゆでてうまいまま製法(特許 第5719064号)」による乾燥麺で、湯戻し時間は熱湯5分。ちなみに袋麺での特許技術は「生麺うまいまま製法(特許 第5153964号)」となっているため、カップ麺とは製法が異なります。詳しくは後述しますが、2016年5月発売の「辛こく塩担担麺」とは異なる仕様に変わっているため、それがプラスに転んでくれることを祈るばかり。
メーカー希望小売価格は249円(税別)ということで、6年前から44円も値上がりしているのですが、2023年1月現在の「マルちゃん正麺 カップ」における標準的な値段。コンビニで購入した場合の税込価格は268円に固定されていますが、スーパーやドラッグストアなど、コンビニ以外も販売店の対象に含まれています。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん正麺 カップ ニンニク塩担々麺 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(群馬県館林市赤生田本町3831-1) 内容量:115g(めん75g) 商品コード:4901990373609(JAN) |
発売日:2023年01月16日(月) 実食日:2023年01月18日(水) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 小売価格:249円(税別) 購入価格:213円(税込) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく2袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、でん粉、食塩、植物性たん白、こんにゃく、大豆食物繊維、植物油脂、乳糖)、添付調味料(ポークエキス、香辛料(にんにく、しょうが、唐辛子)、植物油、たん白加水分解物、食塩、砂糖、香味油脂、酵母エキス)、かやく(卵、味付鶏挽肉、ねぎ、唐辛子)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、酒精、かんすい、炭酸カルシウム、カラメル色素、レシチン、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE)、増粘多糖類、香辛料抽出物、パプリカ色素、クチナシ色素、カロチン色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、片方には掻き玉(かきたま)を、もう片方には味付鶏挽肉・FDねぎ・粗挽き唐辛子が入っている状態。これはブログを移転する前に実食した「辛こく塩担担麺」と完全に同じ構成で、けっこう具沢山。
別添の添付調味料は後入れなので、かやくを開封してから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「液体スープ」の小袋を温めなが待つこと5分。時間になったら箸で麺をほぐし「液体スープ」を加え、よく混ぜ合わせたら出来上がり。調理後の見た目も「辛こく塩担担麺」との共通点が多く、日本で一般的な担担麺には必須の芝麻醤や花椒の香りも皆無に等しい状態で、ニンニクの存在感も申し分なし。
ちなみにフタの右側(麺リフトの横)に小さく “辛いものが苦手な方はご注意ください。” という注意事項の記載があったので、引き続き辛味の強さにも注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(115g)あたり |
カロリー:375kcal たん白質:10.8g 脂 質:9.3g 炭水化物:61.9g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:2.4g) (スープ:4.2g) ビタミンB1:0.27mg ビタミンB2:0.39mg カルシウム:161mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:375kcal(めん・かやく:308kcal)(スープ:67kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
いくつか存在するテンプレの中でも標準ど真ん中
たとえば同じ「生麺ゆでてうまいまま製法」でも、ファミリーマート限定の「中華そば処 琴平荘(こんぴらそう)味噌そば」(レビューは2023年1月3日発売の三代目)には恐ろしいほどリアルな、まるで鍋を使って乾麺を茹で上げたかのような質感を実現していたのに対し、今回は249円(税別)の「正麺カップ」で標準的な乾燥麺を使っているため、体験済みであれば感動を覚えることはありません。
2016年5月発売の「辛こく塩担担麺」には “箸で持ち上げたときの重量感が印象的な多加水麺” を使っていましたが、2021年9月6日に実施された「マルちゃん正麺 カップ」のリニューアル以降、それ以前の麺には使っていなかった「乳糖」を新たに配合し、反発性を大幅に強化することに成功しました。しかし、その代償として印象的だった重量感は鳴りを潜め、加水率も以前より低めの設定に——。
などと書いたらネガティブに見えますけど、これが現在の東洋水産が “これぞ正しい麺” と考えている仕様なので、好みの問題もあるかもしれません。ちょっとほぐれにくさが気になったのですが、非フライ麺だからこそ、最後までスープのクリアな部分が楽しめるのは大きなメリットで、後述するスープとのパワーバランスに問題を感じることもなく、値段相応と思える取り合わせでした。
スープ
中毒性注意
繰り返しになりますが、担担麺に必須の芝麻醤や花椒はもちろん、日本式の担担スープで定番となっている味噌や豆板醤なども不使用で、土台だけ見ると完全に「塩ラーメン」のスープです。ええ、東洋水産の塩担担麺に “いわゆる担担麺” の定義など通用しません。ただ、豚骨を強火で炊き出した白湯(ぱいたん)とは違う、繊細かつ濃密な豚の清湯(ちんたん)は、とても丁寧な仕事ぶり。
数年前の「辛こく塩担担麺」にはチキンエキスも使っていましたが、動物系の要素はポークエキスのみに厳選され、ニンニクのパンチを明確に効かせつつ、しかしながら味が壊れるほど生おろしニンニクぶち込みました系ではありません。インパクトがありながらも繊細で、脇を固める生姜のサポートも心地よく、癖になる中毒性の高さを打ち出しながら、ふと洗練さも持ち合わせている絶妙なテイスト。
東洋水産の辛いカップ麺は基本的に辛くない(滅多に激辛には到達しない)ので、辛味の警告がなければピリ辛に満たないことも多く、他社よりも辛味を抑えてくる傾向があるのですが、適度に輪郭のあるラー油の辛味も印象的。それでも辛さレベルは中辛くらいかと思いますけど、うっかり喉に張り付いたらヤバい程度には到達しているため、バランスを重視しながらもメリハリのある味わいでした。
かやく
たまごおいしい
味付鶏挽肉は、それこそ廉価版の「ごつ盛り」などで頻繁に使われている、なんともチープでジャンクな小粒の挽肉なので、まったく高級感はありません。ただ、そのジャンクさと前述の塩担担スープは相性がよく、フリーズドライのネギは比較的に高級なタイプで、ニラを合わせる案もあったと思いますけど、そうなればクドいというか、このネギだからこそ前述の “洗練さ” が増しているようなイメージ。
多めの掻き玉はフワッフワの口当たりで、刺激的なスープに反してオアシス的な優しさを備えているのですが、そのギャップが宮崎の「辛麺」にも通じる魅力を備えている、なかなかに奥深い組み合わせでした。ちなみに粗挽き唐辛子の辛さは控えめで、刺激よりも全体の芳ばしさを底上げしてくれるアイテムです。
総評
ざっくり要約すると、にんにく強めの塩ラーメンに辣油を浮かべました-・なので、いわゆる担担麺をイメージしていた場合、高確率でズッコケることになります。ただ、千葉県勝浦市の「江ざわ」を発祥とする勝浦タンタンメン然り、横浜・川崎が誇る「元祖ニュータンタンメン本舗(イソゲン)」の名物然り、芝麻醤や花椒を使わないタンタンメンも存在するため、これはこれと割り切れば悪くありません。
ひとまず担担麺の固定観念を横に置くことさえできれば、おもわずクセになる中毒性に価値が見出せる一杯なので、まだマルちゃんの「塩担担麺」を試したことがない方は積極的にトライしてみてください【author・taka :a(大石敬之)】