どうも、taka :a です。
本日の一杯は、2021年3月23日(火)新発売、サンヨー食品のカップ麺「萬珍軒監修 玉子とじラーメン」の実食レビューです。
名古屋のソウルフード「萬珍軒」監修のカップラーメンが6年ぶりに復活!? 今度はファミリーマート限定商品として新登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
萬珍軒監修 玉子とじラーメン
萬珍軒(まんちんけん)とは、名古屋で “異常に旨い” と話題の隠れ名物「玉子とじラーメン」発祥の店として知られる老舗の中華料理店で、1966年(昭和41年)愛知県名古屋市の中村警察署前で営業していた一軒の屋台が前身。創業当初の看板商品「とんこつ醤油ラーメン」だったそうですが、1968年(昭和43年)名古屋市中村区太閤通に移転して店舗を構え、現在の「玉子とじラーメン」が生まれます。
萬珍軒が誇る「玉子とじラーメン」とは、器に2個の卵を落とし、醤油ベースのタレを合わせ、そこに豚骨と名古屋コーチンを煮込んで取ったスープを大胆に注ぎ入れる唯一無二の逸品。玉子とじラーメン(卵とじラーメン)という名前の由来は、映画評論家の故・水野晴郎(みずの はるお)氏が “名古屋の玉子とじラーメン” と命名したことにちなみ、今では「萬珍軒」の代名詞といっても過言ではない看板商品になりました。
もともとは名古屋でも知る人ぞ知るメニューとして愛されていた「玉子とじラーメン」ですが、2000年(平成12年)以降、各メディアでも定期的に取り上げられるようになり、日本テレビ系列『秘密のケンミンSHOW』2013年(平成15年)7月25日放送分にも出演。さらに同年9月12日放送分の『秘密のケンミンSHOW 全国仰天タマゴ祭り BEST10』でグランプリを受賞するなど、その名を全国に轟かせます。
名古屋の人気ご当地ラーメンといえば、味仙(みせん)の激辛ラーメン「台湾ラーメン」が有名で、これまでに何度もカップラーメンとして商品化されているのですが、萬珍軒の「玉子とじラーメン」も名古屋における新ご当地ラーメン・新名古屋めしとしての地位を確立している現在——。
このページでレビューする「萬珍軒監修 玉子とじラーメン」は、サッポロ一番のブランドで知られるサンヨー食品株式会社と萬珍軒(「株式会社萬珍軒」代表取締役:加藤浩晴氏)の共同開発商品で、コンビニの中でもファミリーマートでしか買えない販路限定・数量限定商品として企画。サンヨー食品と萬珍軒のコラボは今回が初の組み合わせになりますが、冒頭でも触れたように萬珍軒史上初のカップラーメンではありません。
初めて「萬珍軒」のカップラーメンが発売されたのは、現在から遡ること18年前となる2003年(平成15年)3月の話。当時のタイアップ相手は同じ愛知県に本社を構える寿がきや食品株式会社で、製品スタイルは大判どんぶり型。具材にはフワフワの掻き玉(かきたま)をはじめ、チャーシューや2枚の焼き海苔、ねぎをトッピングし、ノンフライ麺を搭載した本格志向の商品としてリリースされました。
2004年(平成16年)3月にも寿がきや食品とコラボした「萬珍軒」監修のカップラーメン(二代目)が登場するのですが、第1弾には入っていなかったワンタンを追加して、2005年(平成17年)3月には焼き海苔を3枚にリニューアル。ここまでは販売店を問わないNB(ナショナルブランド)商品で、引き続き3月恒例の商品として定着するのかと思いきや、寿がきや食品とコラボしたNB商品としてのカップ麺は2005年に打ち切り。
その約10年後となる2015年(平成27年)2月16日、今度はアピタ・ピアゴのPB(プライベートブランド)プライムワン(Prime ONE)から中京地区、並びに北陸・静岡エリアで「萬珍軒」監修のカップラーメンが復活。同年2月23日には関東や関西にも販路を拡大しましたが、それを最後に寿がきや食品とのタイアップは終了し、今度はサンヨー食品が担当ということで、製品スタイルも大幅に変わっています。
開封
寿がきや食品とコラボしていた頃の製品スタイルは、NB商品・PB商品ともに本格志向の大判どんぶり型で統一していたのに対し、今回は「萬珍軒」監修のカップラーメンでは初となるコンビニ向けの縦型ビッグを採用。この製品スタイルは簡便性に優れ、なおかつ値段も手に取りやすい価格帯に落とし込めるのが強みとなっているのですが、大判どんぶり型の商品と比較して中身も安っぽくなってしまうのが玉に瑕。
そのため具材は「味付卵」に「ねぎ」とシンプルな内容で、実際の「玉子とじラーメン」にはトッピングされているチャーシューや海苔の別添はありません。しかし、思いのほか大量に味付卵が入っていたのはサプライズ。実は卵具材に強いサンヨー食品の縦型ビッグ製品、その強みを遺憾無く発揮してきました。
さらにファミリーマート通常価格も212円(税込228円)ということで、これについても嬉しいポイント。2021年3月現在、縦型ビッグのNB商品をコンビニで購入した場合の税込価格は232円が標準となっているので、それよりも安く手に入ります。たかが4円、されど4円、カップ麺では大きな差。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:萬珍軒監修 玉子とじラーメン 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:A・太平食品工業株式会社 本社工場 内容量:103g(めん70g) 商品コード:4901734042563(JAN) |
発売日:2021年03月23日(火) 実食日:2021年03月27日(土) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 商品購入価格:228円(税込) ファミリーマート通常価格:212円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、植物性たん白、粉末卵)、スープ(食塩、糖類、豚脂、植物油脂、油脂加工品、しょうゆ、ポークエキス、粉末卵、チキンエキス、香辛料、鶏脂、たん白加水分解物、酵母エキス)、かやく(味付卵、ねぎ)/ 増粘剤(加工でん粉、増粘多糖類)、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、加工でん粉、かんすい、カラメル色素、香料、クチナシ色素、微粒二酸化ケイ素、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチン色素、酸味料、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
寿がきや食品とのコラボ商品では一貫してノンフライ麺を使用していたのに対し、今回は萬珍軒監修商品初となる油で揚げたフライ麺で、かなり細めに切り出されているのですが、湯戻し時間は熱湯4分と長めの設定。実店舗の「玉子とじラーメン」にも細麺を合わせているのが特徴なので、きちんと意識されていることが伝わってきます。さて、あとは熱湯を注いで4分後——。
別添の小袋は後入れなので、お湯を注いでから待っている間にフタの上で温めた後、食べる直前に加えて混ぜたら出来上がり。寿がきや食品とのタイアップ時代に別添されていたスパイスは省略されましたが、引き続き麺が見えないほど大量の卵具材が嬉しい調理直後、雰囲気としては悪くありません。ただ、サンヨー食品の縦型ビッグは麺の当たり外れが激しいため、そこが評価の分かれ目になりそうな予感。
なお製造所は太平食品工業株式会社の本社工場(群馬県前橋市朝倉町555-4)となっていますが、太平食品工業は1963年(昭和38年)1月にサンヨー食品が設立した製造部なので、どちらも “サッポロ一番” という認識で問題ありません。それでは、引き続き名店監修の臨場感に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(103g)あたり |
カロリー:476kcal たん白質:11.7g 脂 質:22.5g 炭水化物:56.7g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:2.9g) (スープ:3.7g) カルシウム:249mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:476kcal(めん・かやく:351kcal)(スープ:125kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
新世代系の油揚げ麺を搭載
実店舗で提供している「玉子とじラーメン」の麺は、玉子とじラーメンのために特注した専用の極細麺で、毎朝その日に出来たばかりの麺を製麺所から仕入れているのも特徴の一つ。麺単体としての存在感よりも “玉子とじスープを口に運ぶための媒体” 的な立ち位置で、とにかくスープとの一体感を重視しているようなイメージ。
それを再現した油揚げ麺もサイズは細く、ほぼほぼストレートに近い形状で、実食前は “サンヨー食品の縦型ビッグだし‥‥” などと正直ぜんぜん期待していなかったのですが、すみません。めちゃくちゃクオリティ高いですw イメージとしては「とんこつラーメン」に合わせたくなるような加水率の低い丸断面の低加水麺で、しなやかな啜り心地にプリッ、とした歯切れのよさが魅力。
お店の「玉子とじラーメン」と同じように、スープと玉子を絡め取るリフト性能の高さもさることながら、油揚げ麺の風味がネガティブに作用することもなく、全体のマイルドな印象を崩しません。まるで前日にレビューした「銀座カリー風味ヌードル 中辛」と同じ会社が販売しているとは思えない、かなりハイレベルな麺に仕上がっていました。
スープ
仕上げの小袋で臨場感UP
実店舗と同じように名古屋コーチン(愛知県の特産品である卵肉兼用種)を使用しているわけではないようですが、粉末スープの動物系はポークとチキンのミックスで、どちらもクセのない風味。けっこうスープのトロミは強く、そこそこジャンクな面持ちですが、粉末ながらに丁寧な旨味を打ち出し、即席カップめん特有の刺激や粉末しょうゆのカドは削っている、優しくて攻撃性のないマイルドな味わい。
その粉末スープだけでも充分に美味しいと感じたのですが、別添の「仕上げの小袋」を加えた途端、豚脂と鶏脂の芳ばしい風味とコク、食材を中華鍋で煽ったような香味油の臨場感、さらに後引く甘みが重なって、思わず飲み干したくなるようなスープに仕上がっていました。
具材
ほわっほわです。ほわっほわ
そして、なんといっても大量に入っている具材の玉子がポイント。いくつか種類のあるカップ麺の卵具材ですが、今回の味付卵は混ぜると散り散りになり、そのまま原型が分からなくなるほどに線が細く、具材として楽しめるようなタイプではありません。しかし、それこそが今回の勝因。
たとえば最近だと2021年3月8日発売の「元祖ニュータンタンメン本舗監修 スタミナタンタンメン メチャ辛」にも味付卵が多めに入っていましたが、それよりも “ほわっほわ” な掻き玉で、フリーズドライブロックも顔負けの口当たり。これがスープに満遍なく行き渡ることで、たまご特有の風味とスープが渾然一体となり、萬珍軒が誇る「玉子とじラーメン」の魅力を伝えてくれる‥‥いやはや素晴らしかったです。
総評
当たり外れの激しいサンヨー食品の縦型ビッグだったので、実食前に気持ちのハードルを下げていたのもありますが、なんのなんの。それを抜きにしても完成度が高く、麺・スープ・具材のどれを取っても隙がない、値段以上と思える一杯だったので、正直ちょっと驚きました。
もちろん本物の「玉子とじラーメン」とは違う、カップラーメンならでは要素も随所にありますが、それをネガティブに思わせず、むしろ上手に活用しているようなイメージ。名古屋を代表する老舗「萬珍軒」監修の個性が感じられる、とても素晴らしい商品だったので、玉子たっぷりの優しいカップラーメンが食べたいときは、最寄りのファミリーマートに足を運んでみてください(author・taka :a)