どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2022年2月21日(月)新発売、サンポー食品のカップ麺「九州三宝堂 海苔佐賀しょうゆラーメン」の実食レビューです。
40年以上の歴史を誇る「ご当地シリーズ」をリブランド!? まるっと「九州三宝堂」にリニューアル!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
九州三宝堂 海苔佐賀しょうゆラーメン
九州三宝堂(さんぽうどう)とは、息の長い商品で40年以上、サンポー食品を支え続けてきた「ご当地シリーズ」を前身とする新しいブランドで、既存の「長崎ちゃんぽん」「高菜ラーメン」「久留米ラーメン」をブラッシュアップ。それぞれのパッケージには、老舗のモノづくりを象徴した暖簾(のれん)のデザインを採用し、スープの配合を見直すなど、味わいにも磨きをかけて市場に投下。
そのうえ有明海産の海苔を主役に据えた令和生まれの新商品「海苔佐賀しょうゆラーメン」をラインナップに加え、さらなるブランドの繁栄を図ったサンポー食品。暖簾のデザインも然る事乍ら、九州の地形をイメージしたブランドロゴも印象深く、九角形の紋に堂々とした筆文字の「九」を配置し、コンセプトに掲げている “九州の「うまい」をカタチに” を表現するなど、もはやBHAGレベルの展開です。
佐賀県三養基郡基山町に本社・工場を置くサンポー食品の歴史を遡ると、現在から100年以上、1921年(大正10年)1月に創業した「米穀卸大石商店」に始まり、1949年(昭和24年)6月に「株式会社旭製粉製麺所」を設立。その約10年後、1959年(昭和34年)4月に即席棒状ラーメン「三宝(みたから)ラーメン」の製造を始め、それが現社名の起源となった‥‥というのは、知る人ぞ知る話。
つまり、ご当地シリーズのリブランディングで生まれた「九州三宝堂(KYUSYU SANPODO)」は、60年以上前に人気を博した即席棒状ラーメンに由来するブランドで、昨年に創業100周年を迎えたサンポー食品の歴史と未来への希望を詰め込んで具現化したもの。すでに九州地区では新たなテレビCMが放映され、関東・九州地区ではYouTube広告も打ち出すなど、全力投球のスタートを切りました。
このページでレビューする「九州三宝堂 海苔佐賀しょうゆラーメン」は、サンポー食品が本社を置く佐賀県の名産に有明海の海苔があることを背景に、もっと佐賀を身近に感じてほしい-・との想いを込めて開発された新作で、主役の海苔はスープ全体に旨味が溶け出す “バラ海苔” と存在感の強い具材としての “板海苔” を別添。
スープも海苔の風味を活かすために、あごだし(飛魚)やカツオ、昆布、いりこを加え、濃口醤油で味を調えるなど、だしにこだわった特別配合のスープを新規に開発。九州のラーメンといえば豚骨が定番で、サンポー食品も粉末の豚骨スープと豚脂(ラード)の組み合わせに命をかけている企業なのですが、あえて醤油ラーメンをラインナップに加えた施策が面白く、その仕上がりが気になるところ。
ちなみに即席カップ麺ではないのですが、2015年9月14日に「初摘み 海苔スープラーメン」という通信販売用の即席棒状ラーメンを発売していたサンポー食品。それは佐賀県にあるチャイニーズレストラン「Xiang Li(シャンリー)」のオーナーシェフ・立岡池敏(たておか ちとし)氏が考案した「海苔スープそば」の再現商品で、有明海産初摘み佐賀海苔をスープに溶かし込んでいました。
しかし、今回の「九州三宝堂 海苔佐賀しょうゆラーメン」は “しょうゆラーメンに2種類の海苔をトッピングしている” ため、2015年9月発売の「初摘み 海苔スープラーメン」とは雰囲気が異なります。はたして海苔の風味は存分に楽しめるのか、それを引き立てるスープのフレームワークも含め、お手並み拝見と参りましょう。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「粉末スープ」と「かやく」に、後入れの「有明のり」と「あといれ海苔(のり)」の合計4袋。板海苔をトッピングした商品は他社も定期的に開発していますし、サンポー食品も以前に何度か「有明のり」をトッピングした商品を展開していますが、さらに「あといれ海苔」を搭載したカップラーメンは珍しく、新鮮味を感じる組み合わせ。
麺はラードを配合した油で揚げたフライ麺で、その見た目も然る事乍ら、原材料名の構成もサンポー食品の絶対的エース「焼豚ラーメン(九州とんこつ味)」と変わりません。とんこつ用の油揚げ麺と比較して微妙に調整している可能性もありますが、湯戻し時間は熱湯3分の油揚げ麺ということで、きわめてオーソドックスな雰囲気です。
「九州三宝堂」のメーカー希望小売価格は193円(税別)に統一されているため、たとえばコンビニで購入した場合の税込価格は198円(2022年2月現在)になりますが、スーパーやドラッグストアなど、コンビニ以外の店舗も販売店に含まれます。ただ、九州を出た途端にエンカウント率が低下するので、どこに売ってるのかについては営業の頑張り次第。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:九州三宝堂 海苔佐賀しょうゆラーメン 製造者:サンポー食品株式会社 製造所:本社工場(佐賀県三養基郡基山町長野230) 内容量:74g(めん60g) 商品コード:4901773101269(JAN) |
発売日:2022年02月21日(月) 実食日:2022年02月21日(月) 発売地域:全国 希望小売価格:193円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:標準どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:340ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:4袋(粉末スープ・かやく・有明のり・あといれ海苔) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、ラード、食塩、植物たん白)、スープ(食塩、糖類、しょうゆ、魚介エキス、デキストリン、酵母エキス、かつお節粉末、香辛料、煮干しイワシ粉末、焼きあご粉末、昆布粉末、植物油脂、あじ煮干粉末、チキンエキス)、かやく(焼のり(有明海産)、ナルト、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、酸味料、炭酸カルシウム、増粘剤(キサンタン)、カラメル色素、かんすい、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、乳化剤、紅麹色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・さば・大豆・鶏肉・ごまを含む)※本品は、えびを使用した設備で製造しています。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」と「粉末スープ」のみ先入れで、2種の海苔は後入れ仕様。サンポー食品のカップ麺は粉末スープの量が多く、それを完全に溶かすことが調理の上で重要なポイントになってくるので、かやくと粉末スープの小袋が別添されていた場合 “麺の上に「かやく」をあけてから「粉末スープ」の順に投入する” という手順を守ってください。
熱湯を注ぐ際も粉末スープを溶かしながら入れるように意識して、時間になったらフタを剥がし、粉末スープを完全に溶かしたら、後入れの「有明のり」と「あといれ海苔」をトッピングしたら出来上がり。写真では板海苔の下部がヘニョヘニョになってますけど、2種類の海苔が放つ存在感は絶大で、調理後のインパクトは申し分ありません。
ちなみに「あといれ海苔」の小袋に “有明産” などのアピールはないけれど、今回の使用している海苔は100%有明海の海苔なので、バラ海苔も板海苔と同じく有明産。その魅力を余すことなく引き出せているのかどうか、引き続き海苔の存在感とベースの味付けにも注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(74g)あたり |
カロリー:317kcal たん白質:8.4g 脂 質:11.1g 炭水化物:45.9g 食塩相当量:4.6g (めん・かやく:1.6g) (スープ:3.0g) ビタミンB1:0.45mg ビタミンB2:0.36mg カルシウム:148mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
たぶん “いつもの麺” だけど感じ方は違う
スープは豚骨ではなく醤油をベースにしていますが、ラードの芳ばしい風味や食べ始めのコリッとした歯応えなど、体感的には「焼豚ラーメン」に使われている油揚げ麺に近く、しょうゆラーメンにも合うんだなーって。ただ、既存の「焼豚ラーメン」とはスープのpH(水素イオン濃度指数)が違うため、まったく同じ食感ではありません。
前述のように、そもそもの配合を変えている可能性もありますが、たとえば「焼豚ラーメン」のスープで食べるよりも “しなやか” な質感で、その柔らかい物腰が今回の素朴なスープにベストマッチ。海苔の風味も相俟って、油揚げ麺ならではの芳ばしさが不躾に主張してくることもなく、豚骨スープに合わせた場合とは異なる表情に新鮮味を感じました。
ちなみに「九州三宝堂」にリニューアルした後の「長崎ちゃんぽん」「高菜博多ラーメン」「久留米ラーメン」では “めん65g” となっているのに対し、新顔の「海苔佐賀しょうゆラーメン」は “めん60g” なので、有明海産の海苔を別添するためにコストを調整した様子。たった5gの違いですが、即席カップめん業界では凄まじいコスト差に繋がるため、それだけ海苔にこだわったことを意味しています。
スープ
既存の「ごぼう天うどん」をベースにしていた
粉末スープの小袋を開封した瞬間、これって「ごぼう天うどん」の香りに似てるよな‥‥などと思ったので、念のため原材料名を比較してみたところ、魚介エキス、かつお節粉末、煮干しイワシ粉末、焼きあご粉末、あじ煮干粉末、昆布粉末など、海産物についての共通する表記が目立ち、なおかつ “隠し味にチキンエキスを使用している” のも「ごぼう天うどん」と同じ手法。
実は「かまぼこ」と「ねぎ」を原材料名から省くと「ごぼう天うどん」に使用している粉末スープの原材料と一致するのですが、微妙に並びが違うため、まったく同じ粉末スープではありません。ラーメンのスープには必要不可欠とされるアブラは別添していないので、うどん用の粉末スープに近い印象を受けますが、海苔との相性を考慮して「ごぼう天うどん」を軸に “ちょっと甘口に寄せた” テイスト。
また昆布の主張を抑え、魚粉のパンチを強めるなど、実際のテイストからも配合を変えていることが伝わってきます。また具材に「ごぼう天」ではなく「メンマ」を採用していることから、それがラーメンのイメージを牽引してくれていたのと、後述する海苔の風味が広がった後の雰囲気は別物なので、結果的にネガティブではありません。いい意味でサンポー食品らしいというか、素朴で飽きない味ですね。
具材
海苔のインパクトに感けた内容ではない
粉末スープは「ごぼう天うどん」をベースにしていましたが、程よく柔らかいメンマとナルトはラーメンで定番の具材なので、全体のイメージを調整してくれる存在。素朴なスープと相性がいいメンマの風味はもちろん、ナルトについては2011年3月11日の東日本大震災で福島の主要工場が被災し、それを理由に「焼豚ラーメン」のナルトが消えたので、それを思い出してウルっとキました。
そして、主役の海苔が放つ存在感も申し訳なく、具材としての美味しさが楽しめる2枚の「有明のり」はもちろん、スープの調味料としても機能する「あといれ海苔(バラ海苔)」が秀逸で、これを全体に広げるとスープの味も激変。ちょっと塩分を控えた海苔の佃煮っぽいというか、日本人の本能に訴えてくる味わいで、これがなんともクセになる。ちょっと卑怯かもしれないw
と、そう感じてしまうほど有明海産の海苔を全面に、それも遺憾なく押し出した攻めの姿勢は見事。さらに板海苔も別添し、海苔のバリエーションを持たせているのも企業努力を感じるポイントなのですが、ぜんぶバラ海苔でもいいんじゃないですかね? などと思いつつ、それはそれで単調になりそうな側面もあるので、このバランス(板海苔×バラ海苔)がベストな配分かもしれません。
総評
麺はラードで揚げた慣れ親しみのあるフライ麺で、粉末スープについても「ごぼう天うどん」の流れを汲んだ骨組みを採用していましたが、それだけに “サンポー食品らしい” と思えるアイデンティティが強く、そこに既存の商品にはない個性をガツンと植え付けてくれるのが有明海産の海苔。
風味豊かな有明海産の海苔が持つ魅力を全力で引き出し、きちんと海苔を主役に立てながら、ただ海苔のインパクトに感けたカップラーメンとは違う、緻密な計算を感じる一杯でした。サンポー食品といえば豚骨のイメージが強いところ、それとは異なるアプローチで佐賀の魅力を訴求した良品だったので、ぜひ試してみてください【author・taka :a(大石敬之)】