どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2018年10月30日(火)新発売のローソン限定カップ麺、サンヨー食品(サッポロ一番)「金色不如帰 濃厚貝だし塩そば」の実食レビューです。
黒トリュフ系カップ麺の金字塔を打ち立てたと言っても過言ではない、「SOBA HOUSE 金色不如帰(こんじきほととぎす)」監修のカップラーメンが全国のローソンにて販売開始となりました。
カップ麺にトリュフ?貝の旨味は強い?コスパ的にどう?「金色不如帰」の歴史や店主が修行を積んだ都内屈指の過酷さを誇ると言われている出身ラーメン店とは‥これまでの経験と実際に食べてみた感想をもとに評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
金色不如帰のカップ麺 濃厚貝だし塩そば
「SOBA HOUSE 金色不如帰」は、 “ラーメン大好き小泉さん” というドラマの第1話にもピックアップされたラーメン屋さんで、2006年1月11日に東京都幡ヶ谷にて創業。2018年5月25日に現在の「新宿御苑本店」に移転し、麺も三河屋製麺から北海道産の高級小麦 “春よ恋” を使用した全粒粉入りの自家製麺に変更しました。
移転前は “路地裏の革命児” とまで謳われた店主の山本敦之氏は、もともと建築現場の職人さんだったそうです。
25歳の時、建築業界の先が見えない不安と飲食店への憧れから結婚を機に自分自身にも見切りをつけ、建築現場に行く時に食べ歩いていたというラーメン好きが高じ、氏はラーメン業界に入りました。
“30歳までには一人前になりたい” “30歳を過ぎてから周り(お客さんを除く)に頭を下げて仕事をしたくない” その強い信念から、修行先としては都内でも屈指の過酷さを誇ると言われている「永福町大勝軒」で4年半、なんと皆勤で働いたのだとか‥
まだ誰もやったことがない味を追求し、辿り着いたのが現在の核となっている「蛤(はまぐり)」をふんだんに使ったスープ。今では三重の桑名にある会社から年間4トンの蛤を仕入れるようになり、2015年には講談社「TRYラーメン大賞」の醤油部門で1位、塩部門でも2位を獲得し、「ミシュランガイド東京2015」の “ビブグルマン” にもノミネートされ、4年連続(2015-2018)掲載。
2017年12月中旬にはカナダのラーメン激戦区といわれているトロントにて、「Konjiki Ramen」という名で海外進出も果たし、2018年7月1日にはシンガポール1号店がオープンしました。
おそらく今回のカップ麺は実際のメニューにもある「真鯛と蛤の塩そば」を再現した一杯と思われるのですが、愛知県宇和島直送の真鯛と三重県桑名直送の蛤から取った魚介出汁に乾物系出汁の3種類を合わせ、動物系いっさい不使用のトリプルスープが特徴となっています。
スーパーフードとして注目度の高い食用ほうずきを使用したインカベリーのソース、白トリュフオイル、バターで炒めたポルチーニ茸をペースト状にしたポルチーニデュクセルなどが場所を変えて添えられている‥もはや芸術ですよね。
今でこそセブン&アイグループ×東洋水産の「セブンプレミアム 蔦 醤油Soba」など、「香料」とはいえトリュフをアクセントにしたカップ麺も珍しい時代ではなくなってきましたが、2015年2月23日に発売された「サッポロ一番 名店の味 金色不如帰 トリュフ香る塩そば」は当時この業界に衝撃を走らせ、まさにトリュフ系カップ麺の火付け役と言っても過言ではない斬新な衝撃を感じさせてくれました。
次にノンフライ麺・どんぶり型で「金色不知火 醤油そば」が再現され、その後はローソン限定商品として油揚げ麺を採用したタテ型ビッグ製品「金色不知火 貝だし醤油そば」と「金色不知火 裏 極にぼ」がリリースされていたのですが、今回は満を持してのノンフライ麺・どんぶり型です。
実際の店舗では木曜日に2ndブランド「一汁三にぼし 裏不如帰」、金曜日は3ndブランド「中華そば 金色不知火 覇」を営業するという業界でも珍しい “二毛作” ならぬ “三毛作営業” をしていたことでも話題になりましたよね。それでは、カップ麺を開封して中身をチェックしてみましょう。
開封
小袋は「特製スープ(粉末スープ)」「液体スープ」「かやく2袋」の4袋構成で、かやく2袋は先入れ、スープ類2袋は後入れです。かやくの片方は透明の小袋で、チャーシューが独立しているのですが、もう片方は中身が見えません。しかし、パッケージの表には “きのこ” と思われる具材が‥
お店と同じように全粒粉を練り込んだノンフライ麺が採用されているのですが、その含有量わずか5%とはいえ、かなり麺の色が濃いめですね。小麦全粒粉とは、お米でいうところの “玄米” みたいなもので、一般的な「胚乳」のみ使用している白い小麦粉とは異なり、 “ふすま” と呼ばれる「表皮」や発芽のために蓄えられた栄養が詰まっている「胚芽」などを取り除かずに丸ごと粉にした栄養価の高い茶色の小麦粉です。
カップ麺の販売者は、 “サッポロ一番” でおなじみの「サンヨー食品」で、製造所は群馬県前橋市にある「太平食品工業株式会社」となっているのですが、太平食品工業はサンヨー食品のグループ会社です。さて、お湯を注いでからスープを入れた時の香りはどうでしょう‥
製品情報・購入価格
製品名:金色不如帰 濃厚貝だし塩そば 販売者:サンヨー食品 製造所:太平食品工業 内容量:105g(めん70g) 発売日:2018年10月30日(火) JANコード:4901734035855 ローソン標準価格:258円(税込) 発売地域:全国(ローソン限定) |
麺の種類:ノンフライ麺 容器材質:プラ(PS) 必要湯量:420ml 調理時間:熱湯4分 小袋構成:4袋(特製スープ・液体スープ・かやく2袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(小麦全粒粉5%)(国内製造)、植物油脂、食塩、粉末卵、大豆食物繊維)、スープ(貝エキス、豚脂、植物油脂、食塩、チキンエキス、糖類、かつお節エキス、ポークエキス、みりん、たん白加水分解部、煮干しエキス、デキストリン、香味食用油、真鯛エキス、香辛料)、かやく(チャーシュー、味付ぶなしめじ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、酒精、かんすい、香料、レシチン、カラメル色素、微粒二酸化ケイ素、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、香辛料抽出物、増粘剤(キサンタン)、(一部にえび・小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
【アレルギー表示】えび・小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉 |
実食開始
「特製スープ」「液体スープ」ともに後入れですが、お湯を注いでから液体スープの小袋はフタの上で温めます。その際、液体スープを効率よく温めるために2分ほど経過した段階で小袋の裏と表を引っくり返しましょう。4分経ったらフタを開け、各スープを入れる前にノンフライ麺をほぐし、特製スープ(粉末)> 液体スープの順に入れると馴染ませやすいです。
さて、さっそくトリュフ香料が主張し始めました。実際の「蛤と真鯛の塩そば」は白トリュフオイル、「そば(醤油)」が黒トリュフベースのタルトゥファータ(黒トリュフペースト)となっているのですが、カップ麺での香りのベクトルはパッケージにも書いてあるように「黒」‥かと思いきや、どうも重ねてバター系の香りも添加しているようで、どことなく「白」を思わせます。
よく黒トリュフの香りは “ヨード臭” などと表現され、芳醇なフェロモン系かつ日本食には馴染みがないこともあり癖が強く、さらに上を行く白トリュフは動物(豚)+ガソリン(ガス)+バター?みたいな匂いなんですよね‥(今回そんなに癖は強くないですよw)それでは、実際に食べてみましょう。
1食(105g)当たり
カロリー:393kcal |
※参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:393kcal(めん・かやく:301kcal)(スープ:92kcal) |
めん
食べ始めは少し硬めの食感で、少し縮れたコシの強い丸刃の麺となっているのですが、あまり粘り気は感じられず、それでいて密度の高い噛み応え。全粒粉の粒(歯触り)までは目立っていませんでしたが、小麦の香りが強く、なんともサンヨー食品らしい質感のノンフライ麺です。
お店の麺は中細ストレート麺なので、サンヨー食品らしさが強めに出ちゃっているのですが、カップ麺的にクオリティの高いノンフライ麺であることに違いはありません。繊細な小麦の風味とスープのタイプから、中華麺というよりもパスタチックな感覚に陥ったんですけどね。
麺量70gなのとサイズ的に食べていて少なめに感じるかもしれませんが、だいたい量としては平均値です。スープが繊細かつパワフルだったので、それに飲み込まれることなく、また主張し過ぎていない適切な存在感でした。
スープ
セブンプレミアムの「蔦 醤油Soba」は黒トリュフの個性を食い気味に主張させているのですが、こちらは柔らかい香りで、黒トリュフ香料を使いつつ、それでいてそこはかとなく「白トリュフ」のニュアンスを感じさせます。トリュフは味を評価する食べ物ではないですし、あくまでも香料なので、味覚に訴えかけてくる魅力はありませんが、のっけから嗅覚に訴えかけてくる個性は強いですね。
それでいて「蔦」のカップ麺ほど強烈ではないので、トリュフの癖やインパクトに期待していると少し物足りないかもしれませんが、トリュフを知らない方でも違和感なく楽しめる、それでいて “普通じゃない” 個性的なテイストです。
実際のスープは動物系いっさい不使用とのことなんですけど、カップ麺には豚脂やチキンエキス、ポークエキスなどが使用されています。それについてはインスタントの限界につき総合的な味を調整するための致し方ない選択だったのかもしれませんが、とにもかくにも真っ先に強く主張してくるのは貝エキス。
たぶん貝エキスの本体は粉末スープで、トリュフの香りが添加されたオイルの奥に貝が潜み、グワッと押し寄せてくるのですが、アサリが基調の攻撃的な姿勢にある攻めの貝出汁ではありません。体感的に、おそらく丸みを帯びたホタテを軸にアサリのシャープな旨味でアクセントを加えているように感じたのですが、それはつまり滋味深い蛤の個性に似ているんですよね。
一応は原材料に真鯛エキスが使用されてはいるものの、含有量が低いため、あまり目立っていません。しかし、動物系の成分で厚みを付与しつつカツオと味醂で和の雰囲気を添加。さらにカツオだけでは出せない煮干しのシャープな旨味が脇を固め、それは貝エキス中に含まれていると思われるアサリと手を取り合い、乾物系の旨味は目立って感じられなかったけれど、お店のメニューが「ラーメン」ではなく「そば」と一貫されているのにも納得できる唯一無二の味わい。
さすがにカップ麺の限界は感じますし、やや塩気もビシッと強めに効かせてありますが、蛤のニュアンスを上手く打ち出していました。もともと貝とトリュフは相性のいい食材の組み合わせですし、そのマリアージュが意識されているようなスープです。
かやく
チャーシューは薄くて食べ応えのないタイプで、あまり美味しいとは言えません。調理後のビジュアルにこそ一役買っていますが、値段に見合ったものではありませんし、ちょっと蛇足的で雑味に思えてしまいました。しかし、白髪ねぎと味付ぶなしめじは実に効果的です。
青ねぎは珍しくもなんともありませんが、強めの歯触りから少量でも存在感があり、むしろ少量で適切。逆に白髪ねぎは多めに入っていて、青ねぎとは違う独特のシャープな香味、加えてネギ特有の甘味も兼ね備えている‥これが別添で後入れだと文句なしだったんですけど、細長い形状から自然と麺に絡んでくれますし、とてもいいアクセントでした。
おそらく味付ぶなしめじはポルチーニデュクセルの代用と思われるのですが、しめじは逆立ちしてもシメジw(実は過去にサンヨー食品はポルチーニを使ったカップ麺も製造しているんですけどね)ただ、これが今回のスープと合うんですよ、すこぶる。
どうしてもサイズが小さいので、寂しさが否めないところではあるものの、スープから香るトリュフの香りとも和の面持ちとも絶妙にマッチしていて、ふと口に入ってきた時に思わず笑みを浮かべてしまうような存在でした。今回の具材は、チャーシューではなく白髪葱と味付ぶなしめじが本命です。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(5)
(標準は★3です)
カップ麺的に動物系不使用は無理だとしても、フタ上にはハッキリと「真鯛」の文字を赤く強調して掲載しているので、もうちょっと鯛や乾物系の旨味にも頑張ってほしかった‥というのが希望的不満だったんですけど、このクオリティであればローソン限定のコンビニで定価購入(税込258円)でも問題ありません。
お店の味を知っている方は、さらに期待値が高くなっていると思うので、もっと厳しめに評価されるかもしれませんが、なんのなんのカップ麺としては上等ですよ。初版ほどの感動は得られませんでしたが、しっかり貝と少し白トリュフを思わせるベクトルの香料は面白く、記憶に残る一杯になるでしょう。
今のところ販売期間の設定はされていませんが、数量に限りがあるため、なくなり次第終了となる場合があります。気になっている方は、早めにローソンでチェックしてみてください。