どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年4月13日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 謹製 山椒香る中華そば」の実食レビューです。
生まれ変わった「謹製」シリーズ “第5弾” は初の鶏しょうゆ清湯(ちんたん)がテーマ!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
謹製 山椒香る中華そば
謹製(きんせい)とは、スープのおいしさにとことんこだわったブランドで、2001年8月6日に発売された初代「謹製 濃厚白濁とんこつラーメン」を皮切りに発足。もともと縦型BIGカテゴリーの中でもスープの本格感を重視するスタンスでしたが、現在は “女性層やあっさり系を好むユーザー” を対象にすることで、同社の本気盛(マジモリ)と明白な差別化を図ることに成功しました。
2015年5月4日発売の「謹製 辛ダレ鶏しお」以降、新作のリリースが完全に止まっていたので、とうとう「本気盛」に喰われたと思っていたのですが、最後の新作リリースから約4年後の2019年4月15日、赤穂の真塩を使用した淡麗系しおラーメン「謹製 山椒香る塩そば」を市場に投下。食べ応えを重視している「本気盛」とは違ったアプローチを見せ、みごと返り咲きを果たします。
今回のカップ麺「謹製 山椒香る中華そば」は、生まれ変わった謹製シリーズ第1弾「山椒香る塩そば」(2019年4月15日発売)、第2弾「謹製 山椒香る塩焼そば」(2019年10月7日発売)、第3弾「謹製 松茸香る鱧だしそば」(2019年11月25日発売)、第4弾「謹製 豚そば」(2019年12月9日発売)に続く “シリーズ第5弾” の新作で、2020年に入ってからは一発目の新商品。
パッケージはブランド刷新後の第1弾「山椒香る塩そば」に酷似したデザインで、なおかつラーメン業界のトレンドとして注目されている “和山椒” を使用。さらに商品名の「山椒香る○○そば」も第1弾の流れを汲んでいるのですが、これまで「塩そば」「塩焼そば」「鱧だしそば」「豚そば」と続いているため、2019年以降の「謹製」では初の中華そば(しょうゆラーメン)がテーマ。
第1弾の「山椒香る塩そば」は、かつての東洋水産(酒悦)が製造する縦型ビッグ製品からは想像もできないほど、しなやかで繊細な油揚げ麺らしからぬ油揚げ麺を採用し、このブログでは安定の高評価。続けて第2弾の「山椒香る塩焼そば」は、湯戻し1分の大盛りカップ焼きそばで、汁なしカップ麺の需要が落ち込む10月にリリースされましたが、打開策の “スープ付き” で巻き返しを図ります。
第1弾は女性にもオススメできる洗練された淡麗系の一杯だったのに対し、第2弾は男性向けの商品に思えたのですが、続けて発売された第3弾「松茸香る鱧だしそば」は再び淡麗系のコンセプトに回帰。秋の幸・松茸と海の幸・鱧(はも)を使った “土瓶蒸し” をカップラーメンにアレンジしたもので、鱧の中骨からとった出汁(だし)を想起させる完成度の高い商品でした。
そして前回発売品の第4弾「豚そば」は、じわじわとブームの兆しを見せている豚骨清湯(とんこつちんたん)がテーマの新作。一般的に豚骨ラーメンといえば、強火で煮込んだ白濁スープ・白湯(ぱいたん)が全国的にも浸透している現在、しかしながら本来の豚骨ラーメンは淀みのない澄んだスープが源流とされ、カップめん業界でも注目されているジャンルです。
今回の新商品「謹製 山椒香る中華そば」は、先ほど触れたラーメン業界のトレンドにも数えられている “和山椒” にフィーチャーした醤油ラーメンがコンセプト。東洋水産の公式ウェブサイト内にあるニュースリリースでは、華やかな山椒が香るスッキリとしたおいしさで、女性層やあっさり系を好むユーザーにぴったりな一品と紹介されていました。
開封
さて、別添の小袋は後入れの「特製油」が1袋。縦型ビッグのカップ麺に貼り付けてある小袋にしては量が多く、原材料名には “鶏脂” も含まれていますが、添付調味料中もっとも含有量が多いのは “植物油” となっているため、おそらく鶏油(ちーゆ)を植物油で割っているのでしょう。東洋水産はオイルの使い方が上手なので、期待したい見所の一つです。
具材は味付豚肉、乾燥メンマ、青ねぎとシンプルな構成で、いずれも新開発ではないと思いますが、東洋水産の味付豚肉は基本的に安定の高品質。調理前は味付豚肉に由来する甘辛い香りが優勢で、その奥から油揚げ麺の芳ばしい香りがフワッと上がってくるのですが、まだ山椒の香りは目立ちません。もしかすると別添の特製油に山椒オイルが含まれているのかも‥‥?
メーカー希望小売価格は税別220円、販売チャネルはCVS(コンビニエンスストア)や量販店、一般小売店となっているため、販売店は限定されていません。ちなみにコンビニで購入した場合の税込価格は、軽減税率8%適用で232円。2020年5月1日現在、コンビニ大手4社の中では「セブンイレブン」と「ファミリーマート」での取り扱いが多かったです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 謹製 山椒香る中華そば 販売者:東洋水産株式会社 製造所:株式会社酒悦 房総工場 内容量:91g(めん70g) 商品コード:4901990365727(JAN) |
発売日:2020年04月13日(月) 実食日:2020年05月01日(金) 発売地域:全国(CVS・量販店・一般小売店 他) 取得店舗:コンビニ(ファミリーマート) 商品購入価格:232円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ+紙 湯量目安:470ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(特製油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ、卵白)、添付調味料(植物油、チキンエキス、食塩、しょうゆ、魚介エキス、鶏脂、こんぶエキス、香辛料(こしょう、山椒)、発酵調味料、酵母エキス)、かやく(味付豚肉、メンマ、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、かんすい、増粘多糖類、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
今回のカップ麺に使用されている麺は、油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。2019年から現在まで発売されてきた、同シリーズのカップラーメン「謹製 山椒香る塩そば」「謹製 松茸香る鱧だしそば」「謹製 豚そば」いずれの麺とも原材料名が完全に一致するので、もしかすると共通の油揚げ麺かもしれません(関連ページ:東洋水産「謹製シリーズ」一覧)
調理の前に別添の「特製油」をフタの上から取り外し、熱湯を入れてから待つこと3分。さすがに「本気盛」ほどの “がっつり具材” ではありませんが、これだけ入っていれば上出来です。なお、東洋水産の縦型ビッグに使用されている素材は “熱湯を注いで直後から強烈に熱くなる” ので、くれぐれもヤケドには注意してください。
ちなみに製造所は株式会社酒悦(しゅえつ)の房総工場(千葉県長生郡長南町美原台1-34)となっていますが、1983年から東洋水産グループに加わった漬物の老舗。マルちゃんの縦型ビッグは、いつも酒悦の房総工場で製造されているので、ご安心ください。それでは、山椒のアクセントに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(91g)あたり |
カロリー:417kcal たん白質:8.1g 脂 質:20.0g 炭水化物:51.2g 食塩相当量:6.6g (めん・かやく:1.9g) (スープ:4.7g) ビタミンB1:0.34mg ビタミンB2:0.32mg カルシウム:164mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:417kcal(めん・かやく:342kcal)(スープ:75kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
あいかわらず高品質
やはり歴代の「謹製」シリーズ(ラーメン)に使用されていた油揚げ麺と同じタイプで、とにかく “しなやか” な印象が強く残る洗練された質感。ゆるやかな縮れが施された平打ち麺で、それほど厚みはないのですが、食べ始めのコシは一級品。比較的に麺の密度は高く、油揚げ麺特有の安っぽい気泡が目立っていないのも大きな利点。
麺の量は本気盛(めん80g)より少ないのですが、70gといえば縦型ビッグの平均的な麺量ですし、今回の「謹製」は女性の方やカップ麺のライトユーザーも楽しめるように開発されたもの。縦型ビッグのカップ麺は量が多いからと敬遠されがちですが、たとえばレギュラーサイズの「赤いきつねうどん」の麺量は74gなので、それが負担でなければ心配ありません。
ただし、熱湯を注いでから待っている間、麺が迫り上がってくるので、熱湯3分では麺の上表面だけ完全に戻らないのが難点。とはいえ致命的な戻りムラではなく、ちゃんと熱湯に沈んでいた部分は戻っているので、まずは熱湯3分きっちり待機。その後、フタを剥がしてからグルッと麺の上下をひっくり返し、1分ほど休ませると食べ頃です。
スープ
上出来以上
特製油を入れる前のスープは淡麗系ど真ん中の繊細なテイストで、動物系は鶏骨を炊き出したようなタイプではなく、丸鶏からエキスを抽出しているようなイメージ。その膨よかな鶏の旨味を軸に、ほどよく煮干しや昆布を重ね、さらにアサリを組み込むなど、いずれの素材もネガティブなクセは抑えているのですが、鶏・煮干し・昆布・アサリそれぞれ明白な自己主張を感じます。
別添の「特製油」には多めのオイルが入っていましたが、動物油脂100%のオイルではないので、粉末スープでは出せないコクを打ち出しつつ、実際は量のわりに重たくありません。そこに含まれる繊細な鶏油の芳ばしい風味さることながら、同時に香る和山椒の香りが鶏ベースの和風しょうゆスープにジャストフィット。
たとえば花椒(華北山椒)のように舌が痺れるような刺激ではなく、和山椒から丁寧に香りを抽出したような、ほんのりと舌の上に青い清涼感を残しながらも刺激的な要素は控えめ。粉末スープにも山椒が仕込まれていましたが、表題の “山椒香る” は特製油の山椒オイルの担当で、しっかり表現していました。
具材
安定の高品質
具材の味付豚肉やメンマ、ネギは汎用の乾燥具材なので、これといった驚きはなく、ネギも高級感のある斜め切りではないのですが、コリコリとした食感のメンマは効果的。風味は大人しいため、どちらかというと食感で食わせるタイプになりますが、しっかりと歯応えで自己主張を放ちつつ、上品なスープの邪魔をしない存在感。
豚肉は砂糖と醤油で煮込んだような甘辛い味付けで、本気盛にも頻繁に採用されている具材。ちょっと豚臭さが残っているのですが、それこそが再現度の高さに貢献しているため、まったくネガティブではありません。ちなみに今回の部位は脂身が少なく、赤身が多かったのですが、個体差で変動すると思います。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
かなり総合力を重視した作りだったので、インパクトのある変わり種ではないのですが、和山椒の巧妙な香りをはじめ、鶏・煮干し・昆布・アサリの旨味が緻密に計算された淡麗系スープは一見の価値あり。2019年以降の「謹製」ファンはもちろん、東洋水産の「本気盛」が苦手だった方や女性ユーザーにもオススメできるカップ麺です。
そのため山椒の強烈な主張に期待すると期待外れになりますが、あくまでも今回のテーマは “山椒香る” 繊細な一杯。発売日から1ヶ月以内であれば、コンビニ(ファミリーマート・セブンイレブン)でも見かけることが多いと思うので、気になった方は試してみてください。