どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年7月15日(月)新発売のカップ麺、エースコック「勝浦タンタンメン油そば」の実食レビューです。
「勝タン」こと千葉県勝浦市のご当地担担麺「勝浦タンタンメン」を「油そば」にアレンジ!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
勝浦タンタンメン油そば
「勝浦タンタンメン」とは、通称 “勝タン” とも呼ばれている千葉県勝浦市のご当地グルメで、「竹岡式ラーメン(梅乃家)」や「アリランらあめん(八平の食堂)」、「ソースラーメン(千葉県船橋市)」といった千葉県ご当地ラーメンの中でも特に有名どころ。いわゆる “ご当地担々麺” の一種になるのですが、日本式の胡麻系担担麺とも中国式の汁なし担担麺とも一線を画す存在です。
エースコックと「勝浦タンタンメン」は以前から深い関係にあり、通年商品の再現カップラーメンも展開されているのですが、2015年開催「第10回ご当地グルメでまちおこしの祭典! B-1グランプリ in 十和田」のゴールドグランプリ受賞「熱血!!勝浦タンタンメン船団」監修のもと、シリーズ初の汁なしカップ麺「勝浦タンタンメン油そば」が開発されました。
「熱血!!勝浦タンタンメン船団」とは、勝浦市を活気付けるために発足した2011年結成の市民団体で、 “船団長” こと磯野典正氏が代表を務めているのですが、地域資源である「勝浦タンタンメン」を活用した町興し(まちおこし)を目的とし、全国のグルメイベントなどに出店。メインの「勝タン」を軸に勝浦をPRすることで、千葉県勝浦市の地域活性化に取り組んでいます。
その取り組みの中、2011年の「関東B-1グランプリ in 行田」でシルバーグランプリを受賞し話題になったのですが、グランプリに輝いたのは「勝浦タンタンメン」ではありません。B-1グランプリとは “あくまで出展団体の地元を盛り上げるイベント” なので、受賞したのは料理・商品名(勝浦タンタンメン)ではなく、それを広めた市民団体(勝浦タンタンメン船団)というのが正しい解釈ですね。
その熱血!!勝浦タンタンメン船団が公認した商品・お店にだけ許される「のぼり旗」が今回のカップ麺にも表示されているのですが、「勝浦タンタンメン」自体の歴史は古く、千葉県勝浦市にて1954年(昭和29年)創業の「江ざわ」が勝タン発祥のお店といわれています(※基本的に土偏の「坦々麺」は誤表記になるのですが、「江ざわ」の店内に飾ってあるの暖簾には “元祖坦々麺” と記載)。
創業当時は大衆食堂だった「江ざわ」の初代店主・江澤勉氏が担担麺のメニュー化に取り組む中、一般的な担担麺には必要不可欠とされる芝麻醤(チーマージャン / ねりごま)や花椒(ホワジャオ)が手に入らなかったので、現在の主流となっている醤油ベースのラー油系タンタンメン「元祖勝浦式担担麺(江ざわ式担担麺)」を開発。
港町の勝浦で漁業関係者(漁師・海女)を中心に人気を博し、漁を終えて冷えた身体を温めるのに最適な食べ物として話題になっていたのですが、後に国際武道大学の学生が勝浦市内に広めたことで急速に拡大、それが勝浦の地に定着するまで時間は掛からなかったそうです。先ほどエースコックが再現カップラーメンを発売していると書きましたが、初めて同社から勝タンのカップ麺が発売されたのは2012年10月15日。
まだ熱血!!勝浦タンタンメン船団が第10回B-1グランプリでゴールドグランプリを受賞する2015年よりも前の話で、江ざわ式の特徴である辣油の辛さと玉ねぎの甘み、そして芝麻醤や花椒を使わない醤油ベースのスープを再現します。カップラーメン版の最終リニューアルは2016年7月18日、私が最後に食べて記事にしたのは第10回B-1グランプリ受賞前の2015年9月28日発売品でした(※リニューアル後も実食済み)。
ちなみに「勝浦タンタンメン」という名前はONE勝浦企業組合が管理する地域団体商標(登録商標第5419153号)、つまり無断使用及び商用利用すると “商標権の侵害” に該当します。稀に類似品(違法の模造品)もあるようなので、熱血!!勝浦タンタンメン船団公式のぼり旗の有無や “料理名が受賞したかのような表示” には注意してください。
開封
別添の小袋は「液体たれ」と「かやく」の合計2袋、詳しい調理方法は容器の側面にも記載されているのですが、開封口にもイラスト付きで表示されています。ちなみに容器のサイズは同社の「スーパーカップ」(大盛バケツ型)よりも大きな “寸胴型” の容器なんですけど、これは「俺たちのガッツ飯」で定番の大容量カップですね。
麺は油揚げ麺で熱湯3分、容器は「俺たちのガッツ飯」(めん120gが基本)と同じサイズですが、「勝タン油そば」麺の量は100gなので、容器のわりに麺の量は少なく感じます。しかしながら原材料名は違うので、とりあえず使い回しではありません。
製品詳細情報・購入価格等
私の購入価格は地元のローカルスーパーで税込192円、ドンキホーテでも178円+税(=税込192.24円)で販売されていたのですが、メーカー希望小売価格は税別240円と強気な設定で、コンビニ実売価格は税込257円でした(ちなみにカップラーメン版「勝浦タンタンメン」の希望小売価格も今回の「油そば」バージョンと同じ税込240円)。
私の行動圏内ギリギリにあるセブンイレブン(合計7店舗)では、今週なぜか全店すべて新作カップ麺の入荷数がゼロだったので、セブンイレブンでの取り扱い状況については把握できていませんが、コンビニ大手4社の中では「ファミリーマート」「ローソン」「ミニストップ」での販売を確認しました。コンビニでの取り扱いは本日、2019年7月16日(火)より発売開始となっています。
製品名:勝浦タンタンメン油そば 製造者:エースコック株式会社 製造所:関西滝野工場(W:兵庫県加東市河高字黒石1816-175) 内容量:125g(めん100g) 商品コード:4901071207687(JANコード) 商品サイズ:縦165mm×横165mm×高さ80mm 発売日:2019年07月15日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい使用) スタイル:寸胴型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:670ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:2袋(調味たれ、かやく) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ)、たれ(動物油脂、植物油脂、しょうゆ、発酵調味料、たん白加水分解物、オニオンエキス、チキンエキス、砂糖、食塩、ポーク調味料、ガーリックペースト、酵母エキス、香味油、カツオ風味調味料、みそ)、かやく(玉ねぎ、鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎ)/加工でん粉、炭酸カルシウム、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、酒精、かんすい、カロチノイド色素、香辛料抽出物、香料、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、増粘多糖類、酸味料、甘味料(スクラロース)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・大豆・鶏肉・豚肉・ごまを含む) |
【本品に含まれるアレルギー物質】小麦・卵・大豆・鶏肉・豚肉・ごま(表示が義務付け及び推奨されているもの) |
実食開始
かやくは玉ねぎ、鶏・豚味付肉そぼろ、ねぎとシンプルな内容で、多めの玉ねぎが勝浦タンタンメンらしくて好印象なのですが、この歪な形の肉そぼろ‥‥エースコックの公式ウェブサイトには例によって例の如し “程良く味付けした肉そぼろ” と書いてあるので、この歪な見た目からも今回は “はずれ” かもしれません。
あとは熱湯を注いでから3分待機、その間にフタの上でタレの小袋を温めます。やはり具材を掻き集めてみても少なく、調理後の雰囲気は “スパゲッティナポリタン” に見えなくもないw あと、いまさらなんですけど「勝浦タンタンメン油そば」って頭痛が痛い的なことになってませんかね。いや、「日清焼そばU.F.O.油そば」よろしくにブランド名+油そばだから問題ないのか——
と、それはさておき2015年発売のカップラーメン版は当時、超高評価の★6と判定しているので、新商品の油そばバージョンも食べるのを楽しみにしていました。それでは、カップラーメンとの違いや勝浦タンタンメンの再現度、コストパフォーマンスにも注目しつつ、「めん」「かやく」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(125g)当たり
熱 量:590kcal(カロリー) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
丸刃でカットされた適度な厚みと縮れのある楕円型の麺で、同社のカップラーメンにはノンフライ麺を使用しているのですが、今回の勝タン油そばには油で揚げたフライ麺が採用されています。麺の加水率は低めの設定で、とんこつラーメンのような低加水麺ではないけれど、粘り気のある弾力よりもプリッとした歯切れの良さが特徴ですね。
ただ、実は調理前から油揚げ麺臭が強めに漂っていたのですが、それは調理後も遠慮なく主張し続けます。それもカップ麺でしか味わない魅力の一つではあるものの、税別240円の再現カップ麺かつ大盛りでもないので、クオリティとしては可も無く不可も無しと言わざるを得ません。とはいえタレの方向性から後半ちょっと単調になりそうだったので、同時に程よく完食できる麺量100gで適切だったと思う節もありました。
ちなみに勝浦タンタンメン発祥の店「江ざわ」には “江ざわ食堂五箇条” という食べ方指南があって、「一、赤くて当たり前と思うべし」「二、身の程をわきまえた辛さを選ぶべし」「四、麺はすするべからず」といった辛さに対する注意喚起が行われているのですが、今回の麺は普通に(焦らなければ)すすって大丈夫です。ただし、けっこうタレは硬派にピリッときますよ。
たれ
実店舗の勝浦タンタンメンも辣油(ラー油)を多めに使う店が多く、「油そば」に落とし込む題材としてはピッタリなんですけど、勝タンに使用される辣油の主原料は植物油脂なのに対し、今回のカップ麺は “動物油脂” が主体となっています。それなりにオイリーではあるものの、きちんと湯切りしてから混ぜ終えた後の量は、容器の底に少しアブラが残るかな‥くらい。
そして辛さはピリ辛ちょい上くらいを想像していたのですが、のっけから刺激的な瞬発力のある辛さが心地よく、思いのほか “辛い” です。とはいえ辛さレベルは “中辛~辛口手前” といったところなので、辛い食べ物が好きな人には物足りない刺激になりますが、とりあえず辛い食べ物(ピリ辛以上)が苦手な人は気を付けたほうがいいレベルには達していると思います。
隠し味に味噌の風味も感じるのですが、ベースは一見して明白に醤油となっていて、それもかなりガツンとキレのあるタイプ。さらに港町らしく鰹の旨味も意識されていて、鰹の旨味もカップラーメンより手前にあり、ニンニクのエッジに玉ねぎの甘味と勝タンの特徴がソツなく揃っています。ただし醤油も勢いよく辛口なので、塩気の効いたガテン系の濃い味付けが苦手な方は注意してください。
具材
お店によってニンニクや白髪葱、ニラがトッピングされることもあるのですが、実際の勝浦タンタンメンは微塵切りの玉ねぎと挽肉が基本。カップでもラーメン版・油そば版どちらも玉ねぎがメインの具材なので、それは個性の表現に大きく寄与しているのですが、まず値段のわりに量が少ないこと、さらに懸念していた肉そぼろも残念ながら「はずれ」です。
エースコックの肉そぼろにはアタリとハズレがあって、まともな肉そぼろは問題なく美味しいのですが、今回の歪な茶色い肉そぼろはスポンジみたいなスカスカした食感で、味付けも正直いまいち。カップラーメン版の具材は玉ねぎ、まともな味付鶏肉そぼろ、微塵切りではなく細長いカットのねぎ、ニンニクなんですけど、同じ値段かつ油揚げ麺を使用した今回、具材は値段に見合ったものとは言えません。
しかし、玉ねぎはシャキッとした細切りのフレッシュなタイプとは違う、どちらかというと軽く素揚げにしてから乾燥させたような甘さを重視しているタイプだったので、その柔らかい旨味が醤油のエッジが効いたタレと対比を描いていたのは素直によかったです。
総評
★★★☆☆☆☆☆☆☆(★3)
千葉県勝浦市で長年愛され続けている醤油ベースのラー油系タンタンメンをカップ油そばに落とし込んだ今回の新商品「勝浦タンタンメン油そば」ですが、それなりに特徴を押さえてはいたものの、寸胴型の容器を使用しなければいけないほど麺や具材、タレが多いわけではなく、費用対効果的に釣り合いが取れていないように感じたので、どうしても厳し目に見ざるを得ませんでした。
イマイチではないのですが、麺の量を減らしてでも同じ価格でノンフライ麺を採用し、現行のカップラーメンをそのまま汁なしアレンジに仕上げたほうが価値の高い製品になったように思います。とはいえ勝浦タンタンメンをカップ焼そば・油そばの枠組みに落とし込もうとしたアイディアと着眼点は面白く、このテーマには新鮮味とポテンシャルの高さを感じたので、ぜひともエースコックには再挑戦してもらいたいですね。