どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2024年3月18日(月)新発売、エースコックのカップ麺「釜玉風まぜそば」(298円+税)の実食レビューです。
汁なし麺の新トレンドは釜玉スタイル!? こだわり醤油たれの旨みと卵黄風きみまろペーストでTKG(タマゴカケゴハン)もといTKM(タマゴカケメン)を表現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
釜玉風まぜそば
釜玉(かまたま)とは、茹でたての饂飩(うどん)に生卵を絡めた後、生醤油・だし醤油などで味付けを施した「釜玉うどん」に端を発する食べ方の総称で、1941年(昭和16年)8月17日の創業以来、現在は “釜玉うどん発祥の店” として知られる香川県綾歌郡綾川町の「山越うどん」が元祖。常連客が店に卵を持ち込んだことを切っ掛けに生まれ、今では全国的な知名度を誇っているのですが‥‥
今回の新商品「釜玉風まぜそば」は、汁なし麺の新トレンド “釜玉スタイル” の味わいを再現した即席カップめんで、製造者はエースコック。ニュースリリースやパッケージにも明記されているわけではないけれど、同社の公式X(旧Twitter)アカウントは “ラーメン界の汁なしブームに乗っかりました” と前置きし、堂々と「#卵かけめん」及び「#TKM」のハッシュタグを付けた投稿をポストしていました。
さらに、とある資料には「たまごかけ麺」や「釜玉中華そば」というワードも使用していたのですが、まずは「TKM」について解説しておきます。TKM(たまごかけめん)とは、簡潔に説明するとTKG(たまごかけごはん)の汁なしラーメン版で、2018年(平成30年)3月4日の創業以来、埼玉県熊谷市で人気を博している「ゴールデンタイガー」が震源地。
考案者は「ゴールデンタイガー」の代表・金澤洋介(かなざわ ようすけ)その人で、同氏は2008年(平成20年)1月31日にオープンした「本庄常勝軒」の元店長。本庄の「常勝軒」では、働き始めてから3ヶ月で店長に抜擢され、8年後に群馬の系列店「景勝軒」に異動。各店を指導するエリアマネージャーとしてグループを支え、33歳のときに「ゴールデンタイガー」を独立開業しました。
たとえば日清食品のチルド麺「まぜ麺の達人 釜玉まぜそば 2人前」に、同社の冷凍食品「冷凍 日清まぜ麺亭 たまごかけまぜそば」ほか、東洋水産のチルド麺「まぜら~ 卵かけ麺 2人前」など、たしかにTKM系の商品が目立っている今日この頃。しかも、この3商品については偶然か狙ってか “いずれも2024年3月1日に発売されている” のですが、それはさておき注目度が急激に増している現在。
その魅力を再現すべく、エースコックは独自の「卵黄風きみまろペースト」を駆使し、和風の「こだわり醤油たれ」と「ふりかけ」も別添。なかでも卵黄風のペーストといえば、天下の日清食品や明星食品、さらにはニュータッチのヤマダイも使用しているため、即席カップめん業界では珍しくないアイテムになりましたが、こちらの元祖は何を隠そうエースコック。
ちょうど8年前の同時期、2016年(平成28年)3月21日にリリースされた「たまごかけ風焼そば まろ旨ソース味」の別添「きみまろペースト」が “業界初の卵黄ペースト” で、さすが新しいモノ好きのエースコック、あらためて振り返ってみると「ゴールデンタイガー」よりも早く “たまごかけ風の麺類” を商品化していました。
——というわけで、エースコックの公式Xが「#TKM」のハッシュタグを使用していたから長々と解説しましたけど、その震源地である「ゴールデンタイガー」の元祖TKMは “自家製麺を茹で上げてから氷水で〆る” ため釜玉(釜上げ玉子)ではありません。なので、どちらかといえば「つけめんTETSU」の創業者・小宮一哲(こみや かずのり)氏が手掛けた「釜玉中華そば ナポレオン軒」をイメージしているのかも?
開封
でも「ナポレオン軒」の「釜玉中華そば」は “まぜそばじゃない” し‥‥などと、迷宮入りしそうなので閑話休題w 今回のカップ麺に別添されている小袋は、後入れの「調味たれ」「きみまろペースト」「ふりかけ」合計3パックで、個包装の「かやく」は別添されていません。TKMはシンプルさを追求したような麺料理なので、あながち的外れな構成ではないけれど、気になるのが費用対効果の件。
2024年3月現在のメーカー希望小売価格は、レギュラーサイズだと236円(税別)、ビッグサイズだと271円(税別)が事実上の標準となっているのに対し、今回の「釜玉風まぜそば」は298円(税別)なので、なかなかに攻めた値段。
これでノンフライ麺だと話も変わってくるのですが、使用している麺は油揚げ麺ですし、1食あたりの内容量は125g(めん100g)となっているため、汁なしカップ麺のビッグサイズ基準(めん130g)にも満たないことから、この値段設定が一つの大きな壁になっています。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:釜玉風まぜそば 製造者:エースコック株式会社 製造所:関西滝野工場(兵庫県加東市河高1816−175) 内容量:125g(めん100g) 商品コード:4901071403898(JAN) |
発売日:2024年03月18日(月) 実食日:2024年03月26日(火) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(セブン-イレブン) 小売価格:298円(税別) 購入価格:321.84円(税込) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:寸胴型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:670ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(調味たれ・きみまろペースト・ふりかけ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、しょうゆ)、たれ(植物油脂、糖類、しょうゆ、発酵調味料、食塩、ポークエキス、チキンエキス、たん白加水分解物、還元水飴、鶏油、しょうゆ加工品、チキン調味料、卵黄油、卵黄、カツオ調味料、コンブエキス、香味油)、ふりかけ(ぶどう糖、カツオブシ、ねぎ、カツオブシパウダー、焼のり、全卵粉)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、酒精、ソルビット、香料、かんすい、カラメル色素、カロチノイド色素、増粘剤(加工でん粉、キサンタンガム)、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンB2、ビタミンB1、酸味料、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉を含む) |
実食開始
別添の小袋は “3種すべて後入れ” なので、それらを取り出してから内側の線まで熱湯を注ぎ、フタの上で「調味たれ」を温めながら待つこと5分。反対に “きみまろペーストは温めると成分が分離する” ため、うっかりフタの上で温めないように注意してください。
時間になったら湯切り口を作り、麺の戻し湯を捨て、フタの上で温めておいた「調味たれ」を絡めた後、仕上げに「きみまろペースト」と「ふりかけ」をトッピングしたら完成です。パッケージでは魚粉・刻み海苔・ネギが別々にトッピングされていますが、すべて「ふりかけ」の小袋に入っているため、こんな感じの調理直後。
さらに「きみまろペースト」の特別感も相俟って、なかなか賑やかに見えますが、具材らしい具材は入っていません。それでも298円(税別)相応の価値が見出せるのかどうか、引き続き “釜玉風” の表現力とコスパ的な部分にも注目しつつ「めん」「調味たれ・きみまろペースト」「ふりかけ」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(125g)あたり |
カロリー:562kcal たん白質:9.5g 脂 質:24.9g 炭水化物:75.0g 食塩相当量:4.6g ビタミンB1:0.44mg ビタミンB2:0.54mg カルシウム:328mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
やさしくてソフトな口当たり
たとえば長浜ラーメンの極細麺だったり、二郎インスパイア系の極太麺だったり、札幌みそラーメンの熟成たまご麺だったり、釜玉風まぜそばといえばコレ! みたいな定義は確立されていませんが、TKMの元祖「ゴールデンタイガー」は “喉越し抜群の多加水麺” を、釜玉中華そばの元祖「ナポレオン軒」は同グループの「打ち立て中華そば 伊蔵八 祐天寺店」で打った “つけめん用の多加水麺” を使用しています。
はたしてエースコックがイメージしている店舗までは公表されていませんが、こちらの油揚げ麺は比較的にソフトな食感で、加水率は特別に高いわけでも低いわけでもありません。同社は油揚げ麺というカテゴリーの中で業界随一の密度感を誇る「真空仕立て麺」や「多加水真空仕立て麺」を保有しているため、それだったら面白かったのに——などと。
しかし、ちょっとソフトな食感は、後述する「きみまろペースト」との親和性が高く、一体感の観点から見ると、けっしてイマイチな取り合わせではありません。強靭なコシを打ち出し、優しさとのメリハリを楽しませる、そんな方向に振ることもできたのに、あえてそうしなかったのかも。ちなみにエースコックの揚げ油に由来する特有のニオイは単体だと目立ちますが、きみまろペースト&ふりかけ込みの部分では控えめです。
調味たれ・きみまろペースト
なかなかどうして釜玉風
まずは「調味たれ」単体の味を確認してみたところ、ニュースリリースやパッケージでも “こだわり醤油たれ” をアピールしていましたが、そこまで醤油感が際立った味付けではありません。たしかに粉末醤油では出せないフレッシュなキレを感じるものの、同時に甘く、まろやかな味わい。それとオイルに卵黄由来の成分(あるいは、それに近い成分)を使っているのか、この時点で薄らと釜玉風の雰囲気。
——いや、調味たれの釜玉風についてはイメージに引っ張られている部分もあるかと思いますけど、その雰囲気を確実にしてくれるのが「きみまろペースト」で、あまり量は多くありません。しかし、その効果は凄まじく、完全に混ぜても埋没しない存在感。少量でも卵黄の魅力がブーストするので、ちびちび麺に付けながら食べるもよし、ざっくり混ぜて食べるもよし。
また「きみまろペースト」にも “だし醤油っぽい味付けが施されている” ので、調味たれとの親和性はもちろん、後述の「ふりかけ」とも違和感なく調和していました。
ふりかけ
実は、ここにも‥‥
キャベツなどの具材は入っていませんが、ふりかけの内容は鰹節、ネギ、鰹節粉、焼海苔と賑やかで、面白かったのが “全卵粉” も含まれていたこと。舐めた瞬間にTAMAGO!! みたいなインパクトは備わっていませんが、前述の「調味たれ」や「きみまろペースト」と合わさることで、満遍なく釜玉風の雰囲気が楽しめる、そんな相乗効果を生み出しているような設計。
それと “ぶどう糖” も入っているので、ふんわり甘い「調味たれ」や「きみまろペースト」の甘さも加速しますけど、不躾ではなかったです。
総評
カップ麺としては少し高めの部類に入る298円(税別)の商品なのに、具材らしい具材は入っておらず、大盛りサイズでもないけれど、具材については釜玉=シンプルの極み! みたいなイメージなので、とりあえずキャベツを入れときましたよー、みたいな頭の悪い商品よりも潔くて好印象。
また “釜玉風” は「きみまろペースト」に一任かと思いきや、よほど偏った食べ方でもしない限り、どこを食べても “釜玉風” の魅力が楽しめる、その骨組みにはエースコックのワザを感じました。ぶっちゃけ最初は気乗りしてなかったんですけど、なかなかなどうして雰囲気のある一杯です【author・taka :a(大石敬之)】