どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年11月25日(月)新発売のカップ麺、エースコック「全国ラーメン店マップ 博多編 博多元気一杯!!監修 博多クリーミー豚骨ラーメン」の実食レビューです。
知る人ぞ知る看板の無い人気店「博多元気一杯!!」の看板メニューをカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
看板のない人気店「博多元気一杯!!」監修カップ麺
「全国ラーメン店マップ」とは、全国各地に点在する有名な人気ご当地ラーメン店にスポットを当て、その味を手軽なタテ型カップで再現した “ご当店カップ麺” シリーズです。ちょっと同社の「一度は食べたい名店の味」シリーズとコンセプトのカニバリを起こしているのですが、おそらくブランドの開発部が違うのでしょう。
遡ること2014年12月22日、「全国ラーメン店マップ」はエースコックの本社がある大阪の人気店「麺や而今(めんや じこん)」のカップラーメン・なにわ編からスタートし、第2弾は北海道・すすきの編「らーめん空」までイッキに北上。それ以降かなり北海道率が高く、今回でシリーズ第13弾になると思うのですが、そのうち九州のラーメン店がピックアップされたのは2回目の話。
「博多元気一杯(はかたげんきいっぱい)」とは、看板や暖簾(のれん)を掲げずに、加えて数々の厳格なルールがあることで語り草になっている九州・福岡の博多とんこつラーメン専門店で、創業は1999年。店主・土井一夫氏は、自宅で豚骨を炊くなどしてラーメンを研究し、有名店で修行することなく独学で店を立ち上げた脱サラ組の職人です。
中には噂(うわさ)に過ぎない話やファンが盛った作り話もあるようですが、一例をあげると店内での「写真撮影」や「携帯電話・スマホ操作」及び「着信音が鳴る」等は一切禁止。「子連れ」での入店や「地図」の持ち込みも許されず、無言で待たされている間に「店内をキョロキョロ」すれば注意され、よもや「スープよりも先に麺から食べる」など言語道断 “お代はいりませんので、お帰りください”
事もあろうに高菜を先に食べようものなら “高菜食べてしまったんですか?” という奥さんの名フレーズとともに問答無用の即「一発退場」など、その厳格なルールを遵守してでも “スープは飲み干したいくらい絶品” と話題になりました。いずれのルールも諸説あるものの、オープン当時は一見さんお断り(そのため地図は禁止)で写真撮影も不可、というのは体験談が多い逸話。
スープの出来に納得いかない日は開店しない、できればスープから味わってほしいなど、現在も独自の哲学は実在するようですが、“やっぱり今はインスタだから” とスマホの使用や店内での撮影を許可し、以前よりもルールを緩和(※ただし店内での通話は不可)。それに、もともとルールを課していたのではなく “ラーメンに集中したい” というファンの要望に応えた結果という説もあります。
2017年3月にオープンした2号店「博多元気一番!!(はかたげんきいちばん)」は、1年ほどで別のオーナーに経営譲渡。本店の名物だった激辛の「辛子高菜」も国産原料の不作を理由に2018年5月2日から姿を消し、ある意味 “究極のブランディング営業” ともいえる独自ルールの緩和など、以前と店の雰囲気や営業方針は変わっているようですが、引き続き目印の「青いバケツ」は健在。
本店は福岡市博多区下呉服町にある築33年(1987年7月建設)のマンション「ゾンターク博多 I」の1階に構え、あいかわらず看板も暖簾もないけれど、店先に「青いバケツ」があったら “営業中” という目印も「博多元気一杯!!」のアイデンティティを象徴する特徴の一つ。カップ麺にも描かれているバケツのイラストは、その目印に由来しています。
開封
あまり実店舗の麺や具材が取り沙汰されることはないのですが、開業当時に “当店は、ラーメンはスープが命とこだわる方が集う専門店です。スープから吟味することがお好みでない方は、当店のご利用をご遠慮ください” という内容の張り紙があったほど、特筆すべきは純度の高い豚骨スープ。それを再現するための小袋は「液体スープ」が1袋、暖簾代わりのバケツと同じ水色ですね。
メーカー希望小売価格は220円(税別)と2019年11月現在のタテ型ビッグ容器における標準的な値段設定で、販売エリアは全国のスーパーやコンビニなど。実際に立ち寄ったコンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の中では「ファミリーマート」「ローソン」「ミニストップ」での販売を確認しました。
エースコックの豚骨系にしては粉末の量が少なくて、具材もキクラゲ、大豆加工品、ねぎとシンプルに——あ、今回はフェイクミートですね。おそらくスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアなどであれば税込200円前後、各コンビニで購入した場合の税込価格は軽減税率8%(持ち帰り)で232円が相場になります。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:全国ラーメン店マップ 博多編 博多元気一杯!!監修 博多クリーミー豚骨ラーメン 製造者:エースコック株式会社 製造所:関西滝野工場(W)兵庫県加東市河高1816-175 内容量:97g(めん70g) 商品コード:4901071246631(JANコード) 商品サイズ:縦111mm×横111mm×高さ118mm 発売日:2019年11月25日(月) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:紙 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(液体スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、植物性たん白)、スープ(ポークエキス、乳化油脂、植物油脂、食塩、しょうゆ、ポーク調味料、動物油脂、たん白加水分解物、チキンエキス、でん粉、ポークコラーゲン、香味油、酵母エキス、全卵粉)、かやく(キクラゲ、大豆加工品、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、酒精、炭酸カルシウム、重曹、香料、かんすい、微粒二酸化ケイ素、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、カラメル色素、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン・ごまを含む) |
実食開始
調理前の麺は比較的に縮れの弱い中細で、熱湯3分の油揚げ麺が採用されています。博多とんこつ系の真っ白な極細ストレート麺ではないですが、実店舗の麺も真っ白ではなく若干の黄色味がかった色合いなので、それを再現しているのかもしれません。ただ、現時点では豚骨よりも油揚げ麺特有のニオイが気になります。
ちなみに暖簾代わりの青いバケツはタバコの吸い殻入れなんですけど、それはさておきEXILE(エグザイル)のTAKAHIRO (タカヒロ)氏がTBS系のテレビ番組『人生最高レストラン』(2017年7月21日放送分)で絶賛し、今年は『ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎 2019 特別版』に掲載されるなど、創業20周年を迎える今でも話題性に事欠かない博多の有名店が監修している今回の新商品——
液体スープの小袋を取り出してから熱湯を注ぎ、待っている間にフタの上で小袋を温め、3分後に粉末スープを溶かしてから液体スープを投入してください(※とろみ成分の粘性率は濃厚なカップポタージュクラスなので注意)。それでは、どろどろ高粘度スープに見合った豚骨感が打ち出せているのかどうかに注目しつつ、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(97g)当たり
カロリー:430kcal |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:430kcal(めん・かやく:335kcal)(スープ:95kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
熱湯3分ジャストでフタを全部剥がし、30秒以上かき混ぜてから液体スープを入れて、さらに混ぜてから合計4分前後——やや中心部に芯を残したまま、プツンッ‥‥と切れる歯切れのいい食感が印象的。残念ながらエースコック特有の油揚げ麺臭が否めないところではあるものの、後述するスープの芳ばしい豚脂の香りが並行するため、実際そこまで気になりません。
加水率の低い低加水麺に高粘度スープという組み合わせから、だいぶ麺とスープの一体感は高く、たっぷりとクリーミーなスープが麺に絡んでくる様は、「博多元気一杯」の特徴を表現。ただし加水率の低い麺は、スープの絡みがいい反面 “伸びやすい” という特性があり、ポタージュ状の高粘度スープは熱々状態を長時間キープするので、食べ始めて4分後にはヤワ麺になります。
というわけで硬めん派の方には不評かもしれませんが、もし柔らかい麺に抵抗がなければ問題ありません。通常、のんびり食べると油揚げ麺臭がスープに広がってしまうのですが、むしろ今回は後半にかけて油揚げ麺臭がボヤけていきます。その結果、麺はスープを運ぶ媒体としての役割に専念し始めるため、これはこれでスープを重視している感じが乙でした。
スープ
とろみ成分が粉末スープに含まれていると前述したように、まるでポタージュ状の高粘度スープに仕上がるのですが、とろみのベクトルはインスタント感が強く、豚骨由来ではありません(※でん粉や増粘多糖類の系統)。また土台の粉末スープも白濁色ではあるものの、あくまで必要最低限にベースラインを整えているような状態なので、豚骨感は弱いのですが——
液体スープの中身は薄っすらと茶色みがかった白濁色のポークエキスを筆頭に、かるく醤油で香り付けが施されていて、植物油脂や動物油脂、香味油脂などをブレンド。今回のスープは乳化油脂の含有量が多く、ポークの他にチキンエキスや全卵粉なども使用されているため、純度100%の豚骨スープではないものの、途中で鼻から深呼吸してみてください——
ぽってりとした粘性率こそ人工的ですが、豚骨臭を抑えながらも口いっぱいに骨の旨味が浸透して、鼻を抜ける豚脂の芳ばしさについては専門店のスープを味わっているかのような臨場感。なるほど限界クラスに乳化の進んでいる丸みを帯びた骨の旨味はクリーミーで、ポークコラーゲンが豚の皮を一緒に煮込んだようなコクと芳ばしさを演出しているような味わい。
まったりとした豚の旨味を全力で打ち出しつつ、醤油ダレのキレが輪郭を整え、濃厚なのに全体が間延びしていないのも好印象。あくまで縦型230円前後のカップラーメンなので、それなりに妥協すべき点はあるものの、次に抜ける芳ばしい豚骨の香りを飽きずに何度も楽しめる、その臨場感とバランスに思わず唸ってしまいました。
具材
エースコックの小ねぎ(青葱)は異様に歯触りが強いこともあるのですが、今回そこまで歯触りは強くないタイプで、スープの柔らかい印象を崩さない程度に主張しています。ただ、そんなに量は多くないため、主張し過ぎず埋没せずの程よいアクセント。
かなりキクラゲは細かくカットされているのですが、マイナスではなく正解です。麺が早い段階から頼りない食感になるため、やはり歯応えが欲しくなってくるところ——で、その穴を補完してくれるのがキクラゲの存在。小さいからこそ高粘度スープが自然に拾い上げ、意識しなくても定期的にコリコリとした歯触りが楽しめます。
大豆加工品は文字通り大豆たん白が由来の大豆ミート的なヤツなので、肉の味がするわけでもなく、食感もフェイクミート特有のグニッとした歯触り。今回のようにスープの出来が著しくハイレベルな場合、間違いなく “程良く味付けした肉そぼろ(スポンジ肉)か大豆加工品の二択” というわけで、結果的に大豆加工品でも印象は悪くありませんでした。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
麺は油揚げ麺の限界を感じざるを得ない品質ですし、肉を模した具材も実店舗のラーメンに入っている豚バラチャーシューではなく肉そぼろ状の大豆加工品ですが、ことスープに関しては想像以上の出来栄えで、鼻を抜ける臨場感は特筆すべきもの。とろみは人工的ですし、縦型カップラーメンの常識を覆すほどの感動ではないかもしれないけれど、エースコックの豚骨史上に残る名作です。
エースコックの豚骨といえば、衝撃の豚レバー入り「MEGA豚(メガトン)どトンコツラーメン」の存在があるので、それと比較した場合どうしても見劣りしてしまう部分は否めません。けれども「MEGA豚」は呼び戻しの久留米とんこつ系、「博多元気一杯」は “クリーミー豚骨” という表現にも素直に納得できる濃厚な一杯だったので、気になった方は販売終了までにお試しください。