どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年6月14日(月)新発売、明星食品のカップ麺「明星 博多バリカタ 高菜豚骨まぜそば」の実食レビューです。
豚骨ラバー必食!? たった60秒で “本場博多の屋台で食べるようなバリカタな麺が楽しめる” 高菜入りの豚骨まぜそば新登場!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
博多バリカタ 高菜豚骨まぜそば
今回の新商品「明星 博多バリカタ 高菜豚骨まぜそば」は、明星独自の技術で開発した熱湯60秒で仕上がる汁なし専用のバリカタ麺(ノンフライめん)に、相性抜群の濃厚な豚骨ダレと高菜を合わせた変わり種で、同社のニュースリリースでは “本場博多の味” をアピール。
熱湯60秒で仕上がるバリカタ麺を使用した汁なしカップ麺といえば、これまで何度か「極(きわみ)のチャルメラ」というブランドから商品化されており、2020年10月12日発売の「明星 極(きわみ)のチャルメラ 博多バリカタ 明太豚骨まぜそば」が記憶に新しいところ。しかし、今回は「極のチャルメラ」からの続編ではなく、新たに「博多バリカタ」として登場しました。
明星食品がノンフライ麺の製造・実験を開始したのは、2021年6月現在から遡ること53年以上前となる1968年(昭和43年)4月。同社の創業メンバーであり、当時の専務取締役だった故・奥井清澄(おくい きよずみ)氏が電熱器で茹でた麺を乾燥させてみたところ、わずか2〜3分で乾いたらしく、試行錯誤を繰り返した結果 “米菓用乾燥機の技術を応用” して「ノンフライめん」の基礎を構築したのが始まり。
ちなみに即席めん(インスタントラーメン)に使われる麺は、保存性を高めるために水分を飛ばし、乾燥状態で出荷するのが基本。なかには蒸煮した麺を有機酸で処理した後に殺菌する「生タイプめん」に、信州の凍り蕎麦をヒントに開発された「氷結乾燥ノンフライめん」や「低温乾燥やきそば麺」など、特殊な製法の麺も存在するのですが、近年の即席カップめん業界では「油揚げ麺」と「ノンフライ麺」が主流となっています。
たとえば「油揚げ麺」の場合、麺を専用の金属枠に入れたまま、140℃~160℃の食用油で1~2分ほど揚げて水分を飛ばす製法を指し、独特の芳ばしさがスープにコクを与えてくれる反面、それが良くも悪くも安っぽい印象に繋がることも‥‥。対して「ノンフライ麺」は、80℃前後の熱風が循環する乾燥機の中で30分以上、ゆっくりと麺を乾燥させる製法を指し、雑味のない本格的な品質と圧倒的なカロリーの低さを打ち出せるのが魅力。
その中でもノンフライ麺に磨きをかけて生まれたのが明星食品の独自技術「スーパーノンフライ製法」と「スチームノンフライ製法」で、前者は本格志向の大判どんぶり型に、後者は簡便性にも配慮した縦型カップのノンフライ麺に使用。麺を乾燥させた際に生じる内部の気泡(大きさ、数)を自在にコントロールすることで、ラーメン店にも負けない本格的な質感はもちろん、ワンタンなど一部の具材もノンフライ化させることに成功しました。
その技術については20年以上前に確立しているのですが、正式に「スーパーノンフライ製法」と名付け、2007年(平成19年)11月12日に発売された「明星 ラーメンの底力 中太麺と濃厚みそ」あたりから本格的にアピール。2009年(平展開成21年)3月にはスーパーノンフライ製法の技術を結集した「究麺(きわめん)」シリーズを展開し、技術に磨きをかけ続けた明星食品。
数年前までパッケージに記載されていた「スーパーノンフライ製法」の文字が見当たらなくなり、今回のパッケージ及びニュースリリースにも記載されていないのですが、念のため明星食品に問い合わせてみたところ “スーパーノンフライ製法で間違いない” との回答でした。とんこつ用のノンフライ麺については明星食品が群を抜いて強いので、弥が上にも期待が高まります。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れの「液体ソース」と「ふりかけ」で合計3袋。液体ソースの量は多く、かやくの小袋には挽肉と高菜を搭載。ふりかけはゴマ・ねぎ・赤唐辛子・のり・紅生姜を組み合わせているようなので、そのアクセントにも注目したいところ。
麺は丸刃で切り出された “スーパーノンフライ製法” のノンフライ麺で、湯戻し時間は熱湯60秒。明星食品の親会社である日清食品やニュータッチことヤマダイなど、とんこつ用のノンフライ麺を手がけるメーカーは他にも存在するのですが、前述のように明星食品の技術は桁違いなので、今回も間違いなさそうな雰囲気。
しかし、メーカー希望小売価格は245円(税別)と地味に高く、スーパーやドラッグストア、ディスカウントストアなども販売店に含まれているのですが、コンビニで購入した場合の税込価格は265円と安くありません。それだけに本格的な仕上がりに期待できますが、高くて美味しいは当たり前なので、値段以上の満足感が得られるかどうかも重要なポイントです。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:明星 博多バリカタ 高菜豚骨まぜそば 販売者:明星食品株式会社 製造所:R・東日本明星株式会社 埼玉工場 内容量:103g(めん75g) 商品コード:4902881452724(JAN) |
発売日:2021年06月14日(月) 実食日:2021年06月16日(水) 発売地域:全国 取得店舗:スーパー 商品購入価格:213円(税込) 希望小売価格:245円(税別) |
麺の種類:ノンフライ麺 スタイル:大判どんぶり型・湯切りタイプ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:440ml 調理時間:熱湯60秒 小袋構成:3袋(液体ソース・かやく・ふりかけ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】めん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、乳たん白、食塩、卵粉)、ソース(豚脂、しょうゆ、香味油、糖類、食塩、ポークエキス、たん白加水分解物、香味調味料、香辛料)、かやく(高菜、豚・鶏味付肉)、ふりかけ(ごま、ねぎ、赤唐辛子、のり、紅しょうが)/ 加工デンプン、香料、調味料(アミノ酸等)、かんすい、炭酸カルシウム、酒精、カラメル色素、卵殻カルシウム、乳化剤、増粘剤(キサンタンガム)、酸味料、ウコン色素、ミョウバン、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に卵・乳成分・小麦・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む)※本品製造設備では、えび・かにを含む製品を生産しています。原材料の海苔は、えび・かにが混ざる漁法で採取しています。 |
実食開始
別添の小袋は「かやく」のみ先入れで、まだ高菜の香りは強くないけれど、肉そぼろ状の豚・鶏味付肉は香りが強く、それもインスタント感の強いジャンクな香り。麺が本格路線の超極細ノンフライ麺なので、味付肉のジャンクさがマイナスに作用しないかどうか‥‥
などと危惧していたのですが、なんのこれしき。それ以上に “液体ソースのニオイ” が強烈でw しかし、それに負けじと小麦の香りも凄まじく、熱湯で戻しただけとは思えない臨場感。容器の底は汁なし専用のフラットな設計ではなかったので、やや混ぜにくさを感じたものの、いたって許容範囲内。
ちなみに販路を問わない全チャネル商品ですが、実際に立ち寄ったコンビニ大手4社の中ではローソンでの取り扱いを確認しているため、販売店の参考にしてください。それでは、引き続きバリカタ麺の仕上がりと高菜の存在感にも注目しつつ「めん」「ソース」「具材・ふりかけ」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(103g)あたり |
カロリー:434kcal たん白質:11.0g 脂 質:17.0g 炭水化物:59.3g 食塩相当量:3.4g ビタミンB1:0.26mg ビタミンB2:0.35mg カルシウム:190mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
非の打ち所が見当たらない
明星食品のニュースリリースに “新開発” の文字はなかったので、たとえば「極のチャルメラ」シリーズにも使われていたバリカタ麺と同じノンフライ麺だと思うのですが、もはや芸術といっても過言ではありません。我々消費者がしなければいけないことは、お湯を注いで60秒後に湯切りするだけ、たったそれだけの手順。
しかし、お湯を注いでから待っている間にも芳醇な小麦の香りが部屋に立ち込め、湯切り中はもちろん、フタを開けた瞬間に香りだけで生の麺を茹で上げたかのような臨場感を実現。啜り上げると若干ながら粉っぽい口当たりに、プツっ‥‥と切れる歯切れの良さと絶妙な芯の残り具合が本場のバリカタ食感を再現している、もはや文句の付け所が見当たりません。
しっかり熱風乾燥させた後に湯戻しするので、もちろん澱粉(でんぷん)のアルファ化は滞りなく進んでいます。それなのに加水率の低い生麺をサッと茹で上げたような、低加水麺の風味と質感を極限まで再現している恐ろしい存在。さらに一時期は失われていた “表面のザラつきを取り戻していた” ので、ほぼほぼ完璧に近い状態だと感じました。
※ちなみに明星食品のニュースリリースには「汁なし専用の-・」とありますが、汁あり用の麺と比較して特に違いはないそうです。
スープ
「大砲ラーメン」の面影を色濃く感じるテイスト
小袋の中には濃口しょうゆベースのタレと多めのオイルが入り、タレはサラッとしているのですが、オイルは動物油脂の豚脂(ラード)が中心なので、けっこう “こってり” とした仕上がり。残念ながら豚骨の骨っぽさは控えめで、オイルのインパクトに感けているような印象が無きにしも非ずではあるものの、前述したオイルの香りが強烈で清々しいくらい。
たとえば直近だと、2021年5月10日に発売された「明星 大砲ラーメン ラー油赤豚骨まぜそば」に通じるニオイを放つので、それが受け入れられなかった方には厳しい香りになりますが、この人を選ぶムワッとした獣臭は他社との差別化を図る上でも効果的な魅力。
濃口醤油のコクも明確にさせているのですが、全体の食塩相当量が3.4gと汁なしカップ麺の中では控えめな数値が表しているように、しょっぱいテイストではありません。個人的に既視感の強い液体ソースではあるものの、ハイクオリティなノンフライ麺との相性も問題なく、また麺を油で揚げていないことが功を奏し、勢い余って大味に傾いていなかったのが好印象でした。
具材
量は少ないけど麺のクオリティを思えば
具材の高菜は辛子高菜ではないので、これ単体で食べてもピリッとした刺激のアクセントはないですし、ちょっと出涸らし感というか、旨みが流れ出てしまっているような印象が無きにしも非ず。ただ、それなりに高菜らしいと思える風味は残っているのと、それが前述のソースと相性抜群で、一辺倒に幅を利かせることも埋没することもない名脇役。
挽肉については香りのイメージ通りジャンクな味付けで、値段のわりに量は少なく、インスタント感の強い具材になりますが、こちらもソースの旨みとワイルドな印象を後押しするような仕事ぶり。
ふりかけに含まれている胡麻・ねぎ・赤唐辛子・刻み海苔・紅生姜は、それぞれ乾燥状態かつサイズも小さめで、赤唐辛子については辛味が弱く、紅生姜の酸味も生タイプと比較して圧倒的に弱いのですが、高菜と同様に適切な存在感。胡麻(いりごま)の芳ばしい風味と食感に、ネギや刻み海苔、紅生姜の繊細なアクセントが味を複雑にしてくれるので、最後まで飽きずに食べ切れると多います。
総評
要約すると「極のチャルメラ」のバリカタ麺に「大砲ラーメン」の液体ソースを合わせているような商品だったので、ここ数年の汁なしカップ麺に精通している方にとっては二番煎じ感の否めない一杯になるのではないかと思いますが、それを踏まえても上々の出来栄え。特に今回は超極細ノンフライ麺の仕上がりが素晴らしく、あらためて明星食品が誇る製麺技術と乾燥技術の高さに驚きました。
というわけで、流れとしては「極のチャルメラ」の続編でしたが、そのブランド名を使用していないことについて明星食品に理由を尋ねてみたところ “チャルメラはスーパー向けのブランドなのに対し、今回はコンビニエンスストア向けの商品として企画したから” との回答。はたして売上の推移を観察するための試験的な変更なのか、それとも次からバリカタ麺に特化した「博多バリカタ」として独立するのか、今後の展開に注目です【author・taka :a(大石敬之)】