どうも、taka :a です。
本日の一杯は、2021年3月22日(月)新発売、サンヨー食品のカップ麺「銀座カリー風味ヌードル 中辛」の実食レビューです。
古きよき銀座の洋食文化を今に伝える金鶏印のレトルトカレー「明治 銀座カリー 中辛」の味わいをカップラーメンで再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
銀座カリー風味ヌードル 中辛
「銀座カリー」とは、株式会社 明治(Meiji Co., Ltd.)が販売するレトルトカレーの人気商品で、1994年(平成6年)2月に初代「銀座カリー 中辛」及び「同 辛口」並びに「銀座ハヤシ」を市場に投下。2009年(平成21年)2月16日には定番ラインナップに「銀座キーマカリー」を加え、レトルトカレー市場の売上高が初めて固形ルゥ市場を逆転して話題になった2017年(平成29年)以降も販売数は好調に推移。
2021年(令和3年)2月8日には素材や製法にこだわったワンランク上のカレー「銀座カリースペシャリテ 濃厚チーズカリー」及び「同 濃厚ビーフカリー」並びに「銀座バターチキン」をラインナップに加え、前述の「中辛」「辛口」「ハヤシ」「キーマ」を含む全7品(冷凍食品の「銀座カレードリア」も数えると全8品)を現行商品とし、中価格帯のレトルトカレーを牽引するトップブランドとしての確固たる地位を築きました。
その代表格ともいえる「銀座カリー 中辛」は、シェフの知恵と技によって生み出された「特製二段仕込みブイヨン」のコクをベースに、玉ねぎの甘みが秘訣とされる「ソテーオニオン」やバターを加え、炊き立ての白ご飯に絡む「ひと皿のぜいたく」を提唱。実は1930年(昭和5年)に発売された「キンケイ・ギンザカレー」の復刻版で、明治の開発部が “当時の味を想像で再現した” 商品。
ベースの「特製二段仕込みブイヨン」は、牛骨・鶏がら・香味野菜を “じっくりと” 煮出し、丁寧に濾した後、さらに牛の生肉や香味野菜を加え、今度は “さっと” 香り高く煮出して濾す、この手間を惜しまない製法が “特製二段仕込み” という名前の由来。さらに門外不出のスパイスで香り付けしたオイルを使い、玉ねぎ・りんご・にんにくを飴色になるまで炒めたものが「ソテーオニオン」で、これが味の決め手となります。
1994年以前のレトルトカレーといえば、世界初の市販用レトルトカレー「ボンカレー」(大塚食品株式会社)を筆頭に、1983年(昭和58年)発売の「カレーマルシェ」(ハウス食品株式会社)など、大きな具材がゴロッと入っている商品が主流となっていたのに対し、明治の「銀座カリー」は白ご飯との絡みを重視して既存のブランドと差別化。
このページでレビューする今限定「銀座カリー風味ヌードル 中辛」は、明治の金鶏(きんけい)印「銀座カリー 中辛」の味わいをヌードル専用に仕上げた即席カップめんで、サッポロ一番のブランドで知られるサンヨー食品株式会社との共同開発商品。実際に「銀座カリー 中辛」を使用しているわけではないようですが、深き旨みとビーフの香り立ちが美味しさの秘訣ということで、再現度の高さが気になるところ——。
たとえば北海道のスープカリー専門店「奥芝商店(おくしばしょうてん)」とコラボした「海老だしスープカレー味ラーメン」に、カレーの激戦区として知られる神田・神保町の老舗「エチオピア」監修の「ビーフカリー味ラーメン」など、さらに「いなば食品」の缶詰「チキンとタイカレー」の味わいを再現したカップ麺を販売していたこともあるサンヨー食品ですが、明治の「銀座カリー」とは初のタイアップ。
パッケージは「銀座カリー 中辛」のデザインを忠実に再現しているため、スーパーやコンビニの売り場でも目立っていたのですが、近年のサンヨー食品が販売する縦型ビッグの再現モノは当たり外れが激しく、なかでも油揚げ麺の仕上がりがスナック的すぎる‥‥というのが主な敗因。けれどもレトルトカレーに麺は入っていないため、あとは “特製二段仕込みブイヨン” と “ソテーオニオン” の特徴が再現できているかどうか——。
開封
今回のカップ麺に別添されている小袋は、フタの上に貼り付けてある「仕上げの小袋」が1袋。サンヨー食品の公式ウェブサイトにある製品情報には “トマトのうまみ、オニオンの甘み、ビーフのコク、キレのあるスパイスの風味をバランスよく合わせた、カレー味のスープです” と記載してあったので、ひとまず「特製二段仕込みブイヨン」については大丈夫そうなイメージ。
具材は「鶏・豚味付肉そぼろ」に「フライドオニオン」とシンプルで、残念ながら牛肉は入っていませんが、実に穏やかで甘い香りが食欲を刺激してくる実食前。個人的に「銀座カリー 中辛」よりも “スキー場のロッジで出てくるカレー” のほうが先に脳裏を掠めたのですがw それはさておき開封直後の掴みは悪くありません。
カップ麺のメーカー希望小売価格は220円(税別)ということで、2021年3月現在の縦型ビッグにおける標準的な値段に設定されており、コンビニで購入した場合の税込価格は232円が相場。ちなみに「銀座カリー 中辛」(本物)のメーカー希望小売価格は260円(税別)となっているのですが、スーパーやドラッグストアでの税込価格は150円〜200円以下のミドルクラスなので、場合によってはカップ麺よりも安く手に入ります。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:銀座カリー風味ヌードル 中辛 販売者:サンヨー食品株式会社 製造所:A・太平食品工業株式会社 本社工場(群馬県前橋市朝倉町555-4) 内容量:96g(めん70g) 商品コード:4901734042099(JAN) |
発売日:2021年03月22日(月) 実食日:2021年03月26日(金) 発売地域:全国(全チャネル) 取得店舗:スーパー 商品購入価格:207円(税込) 希望小売価格:220円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PP) 湯量目安:420ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(仕上げの小袋) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、粉末卵)、スープ(砂糖、香辛料、食塩、植物油脂、トマトソースパウダー、小麦粉、牛脂、粉末ポテト、トマトパウダー、チャツネシーズニングパウダー、たん白加水分解物、ビーフエキス、酵母エキス、クリーミングパウダー、香味油、香味調味料、ゼラチン、デキストリン、発酵調味料)、かやく(鶏・豚味付肉そぼろ、フライドオニオン)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工でん粉、増粘多糖類、アルギン酸ナトリウム)、カラメル色素、炭酸カルシウム、トレハロース、香料、微粒二酸化ケイ素、かんすい、乳化剤、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、香辛料抽出物、カロチン色素、(一部に小麦・卵・乳成分・牛肉・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・りんご・ゼラチンを含む) |
実食開始
カップ麺に使われている麺は油で揚げたフライ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。別添の小袋は後入れなので、フタを開ける前に小袋を取り外し、お湯を注いで3分後に加えます。お世辞にも具沢山とはいえない調理直後ではあるものの、漂う湯気の香りには雰囲気があり、しかしながら油揚げ麺特有のニオイも並行するため、それがカップラーメンであることを決定づけている調理直後。
片や本物の「銀座カリー 中辛」には薄切りの牛肉をはじめ、程よいサイズの玉ねぎをトッピング。内容量は1袋あたり180gとなっており、カレー単体でのカロリー(推定値)は243kcalなので、カレーライスにした場合(白ご飯の量を200g〜250gとする)の総カロリーは579kcal〜663kcal前後といったところ。
ちなみに「銀座カリー 中辛」は株式会社明治が販売している商品ですが、製造は「おいしさそのまま ○○しょうゆ」や「名代 そうめんつゆ」「釜めしの素」「タイカレー グリーン(レトルトカレー)」などを手掛けるヤマモリ株式会社の工場(三重県松阪市)に委託しています。
またカップ麺の製造所も太平食品工業株式会社の本社工場となっていますが、太平食品工業は1963年(昭和38年)1月にサンヨー食品が設立した製造部なので、こちらについてはサンヨー食品・太平食品工業ともに “サッポロ一番” という認識で問題ありません。それでは、引き続き「銀座カリー 中華」の再現度に注目しつつ「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(96g)あたり |
カロリー:425kcal たん白質:8.3g 脂 質:16.6g 炭水化物:60.7g 食塩相当量:6.2g (めん・かやく:2.3g) (スープ:3.9g) ビタミンB1:0.68mg ビタミンB2:0.59mg カルシウム:220mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:425kcal(めん・かやく:333kcal)(スープ:92kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
可もなく不可もなし
カップ麺に使われている油揚げ麺は、丸刃で切り出された平打ち麺で、そこそこ強めの縮れが施されており、商品名では「ヌードル」となっていますが、同社の「サッポロ一番 カップスター」よりも明らかに太め。加水率は低く、粘りのある弾力よりも歯切れのよさが目立っているのですが、思いのほか存在感の強いタイプ。
今回は粉末スープを溶かすのに時間を要した(およそ1分くらい混ぜ続けた)ので、その間に戻りムラは解消されますが、しばらく部分的にサクサクとした食感が残る仕様。たとえば同社の「サッポロ一番 和ラー」(メーカー希望小売価格:税別193円)には、それこそノンフライ麺ばりの油揚げ麺を使用しているのに対し、きわめて平凡な油揚げ麺を使っています。
また油揚げ麺特有の風味も強く、それはスープの味にも影響を及ぼすほど。ある意味それも魅力といえば魅力になりますが、後半にかけて(ただでさえ大人しい)スパイス感がボヤけてしまったので、もうすこし控えめな麺を採用する or スープ側にインパクトを持たせる必要があるのではないかと感じました。
スープ
再現度は遠からずも近からず
粉末スープにはトロミ成分が含まれていたので、けっこう人工的に粘度を高めていましたが、本物の「銀座カリー 中辛」よりも軽めの口当たり。スパイス感も控えめで、正直あまり抑揚のある味とは言えません。もともと本家の中辛も辛さは控えめで、個人的には甘口の部類でも差し支えないのではと感じているのですが、それでも奥行きのある複雑なスパイス感と重厚なコクに、絶妙な刺激と深い旨みを両立しているのが魅力。
それを再現しているはずのスープは、そもそも使用しているスパイスの種類が少ないようなイメージで、ソテーオニオン(メイラード反応)を彷彿とさせる芳ばしさも再現できておらず、味覚に対して特製二段仕込みを彷彿とさせる牛肉の深みが感じられないのも残念なポイント。
百歩譲って麺から滲み出る油揚げ麺の風味は仕方がないとしても、仕上げの小袋に含まれる牛脂は精製油脂特有の雑味が目立ち、トマトの酸味も控えめで拍子抜け。なるほど「ボンカレー」でも「カレーマルシェ」でもないけれど、はたして「銀座カリー」かと聞かれたら決定打に欠ける味わいだったので、手放しに再現度が高いとはいえませんでした。
具材
うーん‥‥
カップ麺の鶏・豚味付肉そぼろは、サンヨー食品の縦型が得意とするジャンクな味付けで、食感もスナック的。単純にスープの相性は悪くなかったのですが、そもそも前述のように具材としての肉そぼろに牛肉は使っていないのはネック。
もちろん本物さながらのレトルト調理品を縦型カップ麺に別添してほしいなどとはいわないけれど、せめて「サッポロ一番 塩カルビ味焼そば」の牛カルビ肉を採用してほしかったです。
総評
なまじ本物と食べ比べてしまったことが裏目に出てしまったような気がしないでもないけれど、麺や具材にも特別感はなく、スープの再現度も惜しいといわざるを得ない仕上がり。たとえばサンヨー食品グループのエースコックよろしく固形ルゥを採用するとか、ソテーオニオンを思わせるホロ苦い芳ばしさやトマトの酸味を強めるとか、スパイスの構成を近づけるとか、もうちょっと本物に近い臨場感がほしかったところ。
たとえば1,000円のラーメンを再現した220円のカップラーメンで落ち度を感じるなら納得できますが、今回の場合 “どちらもスーパーなら税込200円以下” で手に入る商品。これならスーパーで本物の「銀座カリー 中辛」を購入し、それを1食あたり30円くらいの中華麺や電子レンジで加熱した冷凍うどんにかけたほうがコスパも食後の満足感も上だと感じたので、迷っているなら他の選択肢も検討してみてください(author・taka :a)