どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年4月8日(月)新発売のカップ麺、日清食品「カップヌードル 蘭州牛肉麺(らんしゅうぎゅうにくめん)」の実食レビューです。
今アツい中国のソウルフード「蘭州拉麺(蘭州牛肉面)」をカップヌードル流にアレンジして再現!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
カップヌードル 蘭州牛肉麺
「蘭州牛肉麺(らんしゅうぎゅうにくめん)」とは、中国・西北部の甘粛省蘭州(かんしゅくしょう らんしゅう)が発祥とされている蘭州のソウルフード的ご当地ラーメンで、日本では「蘭州拉麺(らんしゅうラーメン)」とも呼ばれているのですが、2018年~2019年のトレンド味覚「麻辣」の次に一大旋風を巻き起こすのではないかと注目されている、今もっともアツいテーマと言っても過言ではないかもしれません。
パッケージのデザインと雰囲気からピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の「カップヌードル 蘭州牛肉麺」は「トムヤムクンヌードル」「シンガポール風ラクサ」「インド風バターチキンカリー」など、本場現地のトレンドを取り入れたやみつきになる味わいの「カップヌードル エスニックシリーズ」に分類されているので、「CUPNOODLE “S” 」と英語表記のブランド名に「S」が付いています。
「牛肉麺」も本場にあわせて書くと漢字は「牛肉面」になるのですが、それはさておき日本のパッケージは「CUPNOODLE」となっているのに対し、海外のパッケージでは「CUPNOODLES」と複数形になっているのが基本。海外で “noodle” だと “麺1本だけ” を意味してしまうので、複数形の “S” をつける必要があるんですけど、さりげなく雰囲気あっていいですよね。
ちょうど1週間前にも同社の看板ブランド「日清麺職人」から「蘭州ラーメン風ピリ辛牛だしそば」という蘭州拉麺を再現した新作カップラーメンが発売されたばかりですが、麺職人はノンフライ麺を使用した丼型カップ、カップヌードルは油揚げ麺を使用したタテ型カップが基本なので、もちろん製品スタイルは大幅に異なります。
薬膳スパイスのエキゾチックな香りを効かせた牛骨ベースのスープに辣油を浮かべ、トッピングはシンプルに牛肉とパクチーが基本。中国圏の料理としては珍しく豚肉を使用していないハラル(ハラール)認証フード・清真(チンチェン – qīngzhēncài)料理に属しているのも特徴になるのですが、カップ麺にも小さく注意書きがあるように、本商品はハラル製品ではありません。
2017年8月22日、日本初上陸店として東京・神保町にオープンした創業100年余の伝統を誇る老舗、「馬子禄(マーズルー)牛肉面」という蘭州拉麺の専門店が日本におけるブームの火付け役と言われているのですが、開店当初から話題沸騰で、連日行列の早仕舞いが続いたそうです。その流れからカップめん業界にも人気が飛び火して爆発するのではないか――と、いち早く目を付けたのが日清食品。
“旨みたっぷりの牛肉スープに爽やかなパクチーと辣油の辛み” と容器下段に製品の特徴がアピールされているのですが、先週の「日清麺職人 蘭州ラーメン風ピリ辛牛だしそば」は牛脂とパクチーにピリッと辛い辣油によってエスニックなスープに仕上がっていた反面、牛の指標は牛脂頼みで出汁っぽさは控えめだったので、カップヌードルの落とし所と差別化に注目ですね。
ところで先日、日清食品ホールディングス株式会社が保有する日清食品有限公司(香港日清)の株式が一部売却され、売却株式の一部を香港日清の執行取締役・董事長・CEOである安藤清隆氏が購入し、香港日清の株式保有状況(持分比率)が売却前73.89%から売却後70.00%に変わったのですが、それも日清食品がアジアのメニューに注目していることに関係しているのかも‥? というのは憶測なんですけどw カップヌードル流の蘭州牛肉麺、その仕上がりやいかに――
開封
容器のサイズはカップヌードルの標準規格サイズ(縦96mm×横96mm×高さ107mm)で、必要なお湯の目安量も300mlと同じ量。他のエスニックシリーズ同様に別添の小袋がフタの上に貼り付けられているのですが、トムヤムクンヌードルやシンガポールラクサは出しにくいペースト状なのに対し、こちらは液状の特製辣油(ラーユ)ということで、その点は心配なさそうです。
でもって開封すると謎肉フィーバーw ごろっと大きなサイズの謎肉が軽く数えて10個以上も入っているのですが、実はコレちょっと普段の謎肉と違います。詳しくは実食レビューにて触れますが、カップヌードル(レギュラー)に入っている普段の謎肉は豚肉ベース、こちらは牛肉ベースとなっていて、純粋な牛肉ではありませんが、牛肉もカップヌードルらしくアレンジされていて個性的ですね。
ところでカップ底面にある賞味期限欄下段右端の製造所固有記号が「S」となっていて、これは日清食品の関西工場(滋賀県栗東市下鈎21-1)を意味しているのですが、同じく滋賀県にある滋賀工場(製造所固有記号「O」滋賀県栗東市下鈎140-1)から歩いて15分くらいのところに建設された、敷地面積約10万㎡・日産400万食の生産能力を持つ国内最大級の食品工場で、2018年10月から生産を開始している日清食品の新工場です。
無人化工場を目指し、日清食品グループの技術・開発・研究の拠点となっている研究施設「the WAVE」が独自開発した最新鋭設備の導入とIoT技術(Internet of Things)を活用することで生産の自動化や効率化、製品の安全性やコスト競争力の向上を図っているのですが、2019年3月からインスタントラーメン業界としては国内初となる「認証パーム油」の使用を開始した工場としても一部で話題になりました。
「認証パーム油」とは、日清食品も加盟している「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」が使用を促進している森林破壊防止や生物多様性保全、人権に配慮されて生産・加工されたパーム油のことを意味しているのですが、農園開発のための熱帯林伐採による生態系の破壊や児童労働の問題など、カップ麺の製造にも欠かすことができないパーム油は採取・使用されるまでに様々な問題を抱えているので、この取り組みが日本の即席麺業界全体に広がると嬉しいですね。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:カップヌードル 蘭州牛肉麺 製造者:日清食品株式会社 製造所:関西工場(製造所固有記号S) 内容量:76g(めん60g) 商品コード:4902105244982(JANコード) 〃 :14902105244989(ITFコード) 規格サイズ:縦96mm×横96mm×高さ107mm 発売日:2019年04月08日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(ヌードル) スタイル:縦型レギュラー・標準サイズ 容器材質:紙 湯量目安:300ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(特製辣油) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩、香辛料)、スープ(ビーフ調味料、植物油脂、牛脂、香味調味料、香辛料、チキン調味料、たん白加水分解物)、かやく(味付牛ミンチ、味付卵、ねぎ、赤唐辛子、パクチー)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、炭酸Ca、かんすい、香料、カラメル色素、カロチノイド色素、酸化防止剤(ビタミンE)、乳化剤、香辛料抽出物、くん液、炭酸Na、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・卵・乳成分・牛肉・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
【アレルゲン情報】小麦・卵・乳成分・豚肉・鶏肉・牛肉・大豆・りんご(食品衛生法で義務付けられた特定原材料7品目と表示が推奨されている20品目の合計27品目について掲載) |
実食開始
後入れの別添「特製辣油」は軽く中身が硬くなっていたのですが、おそらく牛脂が固まっているのだと思います。そのためカップヌードルの小袋にしては珍しく「フタの上で温めてください」と記載されているのですが、おそらくフタ側に残っているであろう接着剤はペリッと剥がせるはずなので、小袋の再接着が気になる方はフタを破かないように気を付けて接着剤を剥がしておきましょう。
さて、完成です。思わず笑ってしまうくらい肉具材たっぷり! かなり頼もしい仕上がりですね。中国のカップヌードル(合味道)にも「CUPNOODLES 合味道 五香牛肉風味(Spicy roast beef flavor)」や「CUPNOODLES 合味道 香辣牛肉風味(Spicy beef flavor)」など、牛肉がテーマのカップヌードルがあって、それが元祖牛肉麺のカップヌードルと言えるかもしれません。
ちなみに「合味道」の読み方は「hap mei do(ハップ・メイ・ドウ)」、広東語で「あなたの好みに合った味」という意味になるのですが、由来はカップヌードルの発音と語呂が似ているからだそうですよ。それでは、「めん」「スープ・別添(特製辣油)」「具材」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(76g)当たり
熱 量:356kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:356kcal(めん・かやく:317kcal)(スープ:39kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
カップヌードルならではのコシとつるみのある麺。
(出典:日清食品グループ公式ウェブサイト「ニュース > プレスリリース >『カップヌードル 蘭州牛肉麺』」)
このブログではカップヌードルを食べる際に麺の微妙な違いを解説しているのですが、もっとも分かりやすい違いは麺のサイズで、通常のカップヌードルが約2mm幅なのに対し、「カップヌードル カレー」と「チリトマトヌードル」の麺だけ1mmほど幅が太くなっています。また、スープに合わせて麺の配合(使用原料)も調整されているのですが、今回は「小麦粉、植物油脂、食塩、香辛料」という異例のシンプルさ。
この香辛料が唐辛子だと「日清のとんがらし麺」と同じ構図になるのですが、今回は専売特許の唐辛子練り込み麺ではありませんし、カップヌードルのフライ麺では定番の原材料となるチキンエキスやポークエキス、ポーク調味料、しょうゆ、たん白加水分解物、糖類などは含まれていません。何十年も前の話になってくると自信ありませんが、すくなくとも本日から遡って5年の間に発売されてきた歴代カップヌードルの新商品及び定番商品と麺の原材料名が一致する製品はありませんでした。
麺の幅や厚みはレギュラーのカップヌードルと同じくらいのサイズ感で、食べ始めの適度なコシや柔らかくなっていくまでのスピードなど、おおむね質感に大きな差は見られませんが、他の汎用麺と比較してサッパリとした印象を受けます。もちろんスープのと兼ね合いもありますが、今回のスッキリとしたエスニックテイストのスープと相性は完璧。
香辛料はガーリックかな‥‥麺に下味を施して一体感を高めるのもいいけれど、スープを選ばないシンプルな今回のヌードルは、今後のエスニック系スープに幅広く運用できそうですね。
スープ・別添(特製辣油)
ビーフの旨みたっぷりのスープ。爽やかなパクチーの香りをきかせ、スッキリとしながらコクのある味わいに仕上げました。
(出典:日清食品グループ公式ウェブサイト「ニュース > プレスリリース >『カップヌードル 蘭州牛肉麺』」)
スープの原材料は別添の特製辣油も込みで「ビーフ調味料、植物油脂、牛脂、香味調味料、香辛料、チキン調味料、たん白加水分解物」と実にシンプルな記載となっているのですが、ベースはスッキリとした塩味——あれ、食塩すら入っていないw いや、でも塩味です(キッパリ)。スープの食塩相当量も2.7gありますし、むしろ後味すっきりキレのあるタイプ。
前述した麺職人の蘭州ラーメンは牛脂頼みのテイストでしたが、こちらカップヌードルの牛肉麺(※意味は蘭州ラーメンと同じ)は牛の出汁(だし)が効いていて、カップヌードルらしくスナック的ではあるものの、ある意味こちらのほうが牛脂頼みだった麺職人よりも牛の旨味が硬派な印象。
ちょっと韓国の牛骨系スープや牛肉エキスの調味料(ダシダとか)に通じる一面も備えているのですが、独特の臭みを抑えつつミルキーな牛の旨味や甘味を塩気が絶妙な塩梅で引き締めていて、ほんのり具材のパクチーが香るエスニックな味覚の白湯(パイタン)スープに仕上がっています。ただ——
特製辣油。キリっとした辛さがスープにアクセントを加えます。
(出典:日清食品グループ公式ウェブサイト「ニュース > プレスリリース >『カップヌードル 蘭州牛肉麺』」)
特製辣油を加えた途端、なにが強いってパクチーw 辣油成分は見た目のわりに辛くないので、辛さレベルはピリ辛の枠を出ませんが、特製辣油の中に仕込んであるパクチーの香りが強く、とりあえず苦手なら絶対に避けたほうがいいレベル。ただ、パクチーめっちゃ好きな人は物足りないかも‥くらいの強さだったので、これくらいが程よい加減だと思います。
これ以上に強いと牛のミルキーな旨みがパクチーに追われそうですし、これ以上に弱いとエスニック感が中途半端になりそうなイメージだったので、もちろんパクチーが極端に苦手な方は特製辣油なしでも厳しいかもしれませんが、絶妙なバランスを保った効かせ方だと感じました。
具材
味付牛ミンチ、パクチー、ネギ、赤唐辛子、スクランブルエッグ。
(出典:日清食品グループ公式ウェブサイト「ニュース > プレスリリース >『カップヌードル 蘭州牛肉麺』」)
牛肉ベースの謎肉(味付牛ミンチ)は普段の豚謎肉と同じくらいジャンクで加工感の強い肉具材なんですが、どちらかというと比較的さっぱりしたテイスト。一見して明白に牛肉! という感じではありませんし、いつもの謎肉と比較して脂っ気が控えめな印象だったので、ややパサついた食感なんですけど、今回のスープが相手だと悪くありません。
もちろん豚肉ベースの謎肉でも問題なくマッチしていたと思いますが、スッキリとしたスープにサッパリとした牛謎肉は相性がよく、しかも10個以上(細かい破片を集めたら11個分くらい)で量も太っ腹。数は個体差で変動するかもしれませんが、麺職人では妥協せざるを得なかった牛肉具材を諦める必要はなく、それはカップヌードルらしさ(アイデンティティ)の表現にも大きく貢献しています。
赤唐辛子は飾り程度の存在感で、牛肉面に卵具材は王道から外れますが、ほんのり甘いスクランブルエッグがスープの塩気と対比を描き、それと同時にスープの甘みとリンクする蛇足感のない具材。大量のネギも意外と邪魔にならず、ネギとは違うシャキッとしたパクチーの食感もアクセントに効果的で、味付牛ミンチとスクランブルエッグに関してはスープの旨味を深める重要なサポーターでもありました。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
牛脂のクセに期待していると物足りないかもしれませんが、ほんのり甘味を帯びたミルキーで丁寧な牛骨出汁(だし)のコクが心地よく、ヌードルタイプの油揚げ麺にダイスミンチやスクランブルエッグなど、カップヌードル色の強いアイテムとも違和感なく調和している、まさにカップヌードル流の蘭州牛肉麺として上出来の仕上がりでした。
辣油のアクセントは頼りなく、パクチーも非常識な強さではありませんが、それだけに牛の旨味が大切にされているフレームワークが好印象。雑味のないノンフライ麺と牛脂のクセを楽しみたいなら麺職人、牛骨のミルキーな旨味を楽しみたいならカップヌードルと棲み分けもバッチリですが、カップ麺としての総合力は今回の「カップヌードル 蘭州牛肉麺」のほうが上ですね。それから牛骨白湯系は激辛アレンジにも向いているため、お好みで一味唐辛子等ご用意してお召し上がりください。