どうも、taka :aです。
本日の一杯は、関西限定発売のカップ麺、日清食品「千とせ 肉うどん[近畿]」の実食レビューです。
大阪・千日前の人気うどん店が送る “お笑い芸人を育てた味” が手軽にカップ麺で楽しめる!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
千とせ 肉うどん
「近畿地区限定販売商品」ということで販路は限られてしまうのですが、これまで何度も定期的に発売されているカップ麺なので、近畿地方にお住いの方にとっては “お、また出たか” ですよね。日清食品からの大々的なアナウンスはありませんでしたが、年末年始(2018年~2019年)の新商品として店頭に並んでいました。
「千とせ」(ちとせ)とは、大阪・難波千日前に本店を構える昭和24年(1949年)創業の老舗うどん店で、近くに「なんばグランド花月劇場」(NGK)があり、吉本興業所属の芸人さんから特に愛されてきたことから “お笑い芸人を育てた味” として関西を中心に知名度の高い有名店です。千とせの暖簾(のれん)は親から子へと代々引き継がれ、2019年1月現在の店主は三代目・森井一光氏。
もともと肉うどんの美味しい店として地元の方や吉本興業所属の芸人さんに愛されていたのですが、吉本新喜劇の二大巨星と呼ばれた俳優・花紀京(はなき きょう)さんが出番の空き時間に店を訪れ、「肉うどん、うどん抜きで」(二日酔いで食欲がなかったらしい)と注文したことから生まれた「肉吸い」が千とせの代名詞的な著名メニューとなっています。
「肉吸い」(にくすい)とは、肉うどんのうどんを抜いて半熟卵を落とした食べ物なんですけど、お店で「小玉」と呼ばれている「小ごはん」に生卵を落とした卵かけご飯をセットで注文するのが定番の組み合わせ。お店の「肉うどん」と「肉吸い」は、どちらも以前に頂いたことがあって、流行りのミシュランに載るような味ではないけれど、見た目の豪快さとは裏腹にホッとする繊細な味で、とにかく出汁(だし)がウマい。
ちなみに「千とせ」と日清食品の共同開発商品は「有名店シリーズ」に属しているのですが、カップ麺の他にも鍋調理の要冷蔵チルド商品「千とせ 肉うどん 2人前」(税別380円:近畿・中国・四国・九州エリアで販売)や鍋焼きタイプの「鍋焼うどん 千とせ 肉うどん」(税別332円:関東・近畿エリアで販売)などもあります。
やはり関西ローカルということもあり(関西では超有名店なんですけど)何れも関連商品は販路が限られてしまうのですが、日清食品グループの公式オンラインストアでも1食単位のバラ売りで購入できるので、販売地域圏外の方も感想と評価をご覧いただけますと幸いです。それでは、開封して中身を確認してみましょう。
開封
さすが「肉うどん」というだけあって、開封直後から多めの牛肉が出迎えてくれます。ちなみに関西で肉といえば基本的に牛肉のことを指すので(豚は豚肉、鶏は鶏肉、肉は牛肉)、関西の一般的な店で「肉うどん」を注文した場合、何の補足説明もなく牛肉以外の肉うどんが出てくることはありません。(※一部の専門店を除く)
今回の容器はタテ型レギュラーサイズ(通常サイズの「カップヌードル」と同じくらい)なので、口径の狭さもボリューム感の演出に一役買っているのですが、カップ麺の具材としては牛肉のサイズも大きめですね。それから「千とせ」を再現する上で欠かせない、牛肉に匹敵する存在とも言えるネギもきちんと入っています。
麺は熱湯3分のペラッペラうどんなので、お店の太うどんとは別物になるのですが、この段階から縮れのないストレート麺なのが日清食品らしいですね。うどんの再現度としては圧倒的に「鍋焼うどん」が優勢なんですけど、ここは常温で長期保存できる手軽なカップ麺だからと割り切るべきポイントになるでしょう。
賞味期限は2019年6月19日となっているのですが、これは製造年月日より約6ヶ月後の日付が記載されています。つまり公式のアナウンスはありませんでしたが、少なくとも2018年12月19日頃に製造されたカップ麺というわけですね。
製品情報・購入価格
製品名:千とせ 肉うどん[近畿] 製造者:日清食品 製造所:下関工場(製造所固有記号[B]) 内容量:73g(めん60g) JANコード:4902105236529 希望小売価格:180円(税別) 発売地域:近畿(オンラインショップなら全国) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:タテ型レギュラーサイズ 容器材質:紙 湯量目安:320ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:- |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩、大豆食物繊維、植物性たん白)、かやく(味付牛肉、ねぎ)、スープ(食塩、魚介調味料、粉末しょうゆ、魚粉、豚脂、糖類)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、香料、リン酸塩(Na)、炭酸Ca、乳化剤、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、カロチノイド色素、ビタミンB2、ビタミンB1、(一部に小麦・乳成分・牛肉・さば・大豆・豚肉を含む) |
【アレルギー表示】小麦・乳成分・豚肉・牛肉・さば・大豆 |
実食開始
さて、調理直後の状態です。いつもは具材を丁寧に整えてから撮影しているのですが、今回はリアリティを追求してみました(と言えば聞こえは良いw)。でも、実際こんな感じで仕上がるので、調理直後の大きな牛肉にネギの鮮やかなビジュアルが頼もしいですね。別添の小袋などは付属していないため、お湯を注ぐだけの簡単調理です。
もちろん混ぜたら少し寂しげな見た目になってしまうのですがw 縮れのないストレート麺が日清食品らしく、また牛肉の香りも然る事乍ら先ほども書いたようにネギ。青ネギの爽やかな香りが実に心地よく、湯気から伝わってくる繊細な和風だしに青ネギの香りが映えていて、タテ型レギュラーサイズのカップ麺なのに臨場感のある雰囲気です。ネギがポイントですよ、ネギ。
それでは、実際に食べてみましょう。「めん」「つゆ」「かやく」の順に解説し、お店の味を意識しながらカップ麺としての総合力を判定します。
1食(73g)当たり
カロリー:335kcal |
※参考値(調理直後に分別して分析) 熱量:335kcal(めん・かやく:306kcal)(スープ:29kcal) |
めん
つるみのあるうどん
(出典:日清食品「製品情報」)
お店のうどんは平打ちではない太うどんなので、お世辞にも再現度が高いとは言えないのですが、繊細なつゆとのバランスは良好。イメージとしては秋田の稲庭うどん風といいますか、コシの強い弾力や粘り気などは楽しめない反面、おそろしく喉越しがいいですw
日清食品の培ってきた縮れのないストレート麺製法の技術が遺憾無く発揮され、表面の摩擦抵抗はゼロに近く、とても繊細に滑り込んできます。しかし、つゆの拾いは問題なく、再現度云々を度外視して単純に評価すれば、とてもバランスの良い組み合わせですね。
油揚げ麺なので、それ相応の風味は並行するのですが、けっして野暮ったい風味ではありません。むしろ油揚げ麺特有のコクと甘味が心地よく、特に甘味は今回の出汁が効いた和風つゆと絶妙にマッチしており、まさにカップ麺でしか味わえない魅力を打ち出していました。こと風味に関しては、ちょっと昔どん兵衛風で懐かしかったです。
つゆ
かつおだしのあっさりしつつも旨みのあるつゆ
(出典:日清食品「製品情報」)
つゆ(スープ)の原材料は「食塩、魚介調味料、粉末しょうゆ、魚粉、豚脂、糖類」とシンプルで、残念ながら牛脂や牛肉エキスなどは使用されていないのですが、和風だしメインに醤油は薄口、そして食塩のキレがキリッと後味を引き締める純関西風です。もっと西に行くと炒り子だし(煮干)が強くなってくるのですが、こちらの比率は鰹(かつお)が優勢。
しかしながら鰹や鯖(さば)などの節だけでは出せない煮干のアクセントがスッと通り、お店の味よりも少し甘さは控えめでしょうか。つゆの原材料に牛由来の原料は使用されていませんが、具材の牛肉から滲み出る旨味は気休めではありません。でもってしつこいけど青ネギの香りw これほんとうにポイント。
お湯を注いでから開封した瞬間に主張を始める青ネギですが、ある意味それは牛肉に匹敵するほど今回の味に欠かせない存在です。おでんの出汁(これも地域性ありますけどw)のように繊細な和風つゆに香る青ネギの香りと牛肉の旨味は「千とせ」の醍醐味(だいごみ)なので、それに通じる雰囲気と臨場感の演出に効果的でした。
かやく
しっかりと味付けされた牛肉が特長です。
(出典:日清食品「製品情報」)
お店の「肉吸い」や「肉うどん」に使われている牛肉は基本的に出汁で炊いてあるだけで強い下味は施されていないため、ちょっと製品説明に語弊があるようにも思うのですが、たしかにカップ麺の牛肉は甘辛い下味が施されています。でもカップ麺的には結果オーライですし、2017年前期から蔓延っている大豆ビーフ(大豆たん白加工品)を使用せず、本物の牛肉が入っているだけでも好印象と思える最近です。それに‥‥
ちょっと時間を置いてから程よく味が抜けた牛肉を食べますと、逆に優しい出汁で炊いたような塩梅に落ち着くというか、下味よりも肉の旨味が手前に感じられるので、先に麺を片付けてから「肉吸い」よろしく具材を噛み締めるのもオツですよ。ところで「日清のどん兵衛 肉うどん」に入っている牛肉は風化したようなニオイが気になっていたのですが、まったくと言っていいほど気になりませんでした。
そして「つゆ」の項目でも触れた青ネギですが‥‥もういいですかねw 開封した瞬間から自己主張を放っていた香りも然る事乍ら、シャキッとした歯触りが食感のアクセントに寄与しており、最後まで飽きが来ないようにサポートしてくれていました。そもそもの量は違いますけど、お店の具材も牛肉とネギなので、ラインナップの再現度は高いです。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
【カップ麺と割り切れば再現度は高い!】
うどんの仕様が真反対と言っても過言ではない仕上がりですし、具材の質や量も負けてしまいますが、雰囲気の再現度けっこう高いです。つゆの味は西日本どん兵衛がベースとなっているような出汁感なんですけど、「日清のどん兵衛 肉うどん」とは違う‥むしろ私としては、どん兵衛の肉うどんよりも美味しいと感じました。で、より一層おいしく食べる方法は‥‥
これです「小玉」(卵かけご飯)めっちゃ合います! 笑えるくらいベストマッチw もちろんカップ麺単体でも上出来の美味しさなんですけど、卵かけご飯と一緒に食べる、これを知っているか否かで満足度は大幅に変わってくるかもしれません。「千とせ」のカップ麺 with「小玉」(卵かけご飯)は、是が非でもお試しいただきたい。
カップ麺のテイストは出汁重視ですが、薄口醤油仕立て=塩気は強いので、卵かけご飯の醤油は控えめ(なんだったら醤油なしでもいいくらい)がオススメ。牛肉の旨味と青ネギのアクセントが絶妙な和風だしとマイルドな卵かけご飯、たまに牛肉のせちゃったりして‥‥もう最高ですよ。そんなに麺も多くないですし、女性の方なら白ご飯少なめの “たまごリッチ” な卵かけご飯が絶妙です。
日清食品は2018年に「麺なしどん兵衛」をリリースしているので、お店の「肉吸い豆腐入り」を再現した豆腐入りスープも近いうちに開発されるかもしれませんね。その際は、ぜひとも全国発売で。
おまけ「肉吸い」の再現レシピ(作り方)
ずっと前にテレビで放送されていたレシピになるのですが、実際に作ってみたところ、けっこう雰囲気あったんです。かなり簡単なので、「千とせ」に行ってみたいけど遠い‥という方は、お家で作ってみてください。
・牛バラ肉(こま切れや切り落としでOK)
・青ネギ(たっぷり)
・たまご
・かつおぶし30g
・お湯1リットル
・薄口しょうゆ80cc
・砂糖小さじ1杯
お湯1リットルに対して鰹節30gを使用し、20分煮て鰹出汁(かつおだし)を取ります。この「20分」が重要な時間なので、煮出しすぎないように気を付けてください。それから鰹出汁に薄口しょうゆ80ccと砂糖を小さじ1杯加えて合わせ出汁を作り、沸騰した合わせ出汁に牛バラ肉を入れてほぐします。バラ肉ですよ。安くてもいいからバラ肉です。
牛バラ肉から滲み出る脂の旨味を出汁に染み込ませ(牛肉に下味を施す必要はありません)、アクを取り除いたら卵と青ネギを加えて一煮立ちさせたら完成。あとは器に盛り付けて、たっぷりの刻み葱をトッピングして頂きます。お豆腐を入れて肉豆腐にしても美味しいですし、もちろん肉うどんのつゆとしても使えますよ。とりあえず、お召し上がりの際は卵かけ御飯の準備をお忘れなく。(レシピ出典「情報ライブ ミヤネ屋」)