どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年9月9日(2020年11月9日)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 珍々亭 油そば」の実食レビューです。
東京・武蔵野の有名店「珍々亭」監修カップ麺、ラーメンスープも再現!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
珍々亭 油そば カップ麺 2019 – 2020
「珍々亭(ちんちんてい)」とは、東京都武蔵野市境に本店を構える昭和29年(1954年)創業の老舗で、今回のカップ麺「マルちゃん 珍々亭 油そば」は三代目店主・小谷修一氏が監修したもの。同店の看板メニュー「油そば」を再現した人気コラボ商品で、初めてマルちゃんからカップ麺が発売された2013年7月15日以来、毎年恒例の準定番商品になりました。
前回の2018年7月9日発売品は、「珍々亭 旨辛油そば」という夏向けのピリ辛アレンジ版で、二代目店主・小谷桂一氏が監修していたのですが、2019年版の監修者は同店の「三代目」となっており、店主の顔写真はありません。ちなみに2019年2月4日に発売された「袋麺」の監修者は二代目の桂一氏となっているので、どうやら2019年上旬〜中旬の間に店主が代替わりしたようですね。
「油そば(あぶらそば)」とは、スープがない汁なしラーメンの一種で、数年前からカップ麺でも根強い人気を誇っているジャンルのひとつ。「珍々亭」の創業者・初代店主が本郷にある叔父の中華料理店で修行していた頃、その店で提供されていた “拌麺” をヒントに開発したもので、昭和33年(1958年)全国に先駆けて正式にメニュー化。
また、同じく昭和30年代前半、東京都国立市・一橋大学付近にある1952年(昭和28年)創業の「三幸」も、珍々亭の油そばと同じようなメニューを肴(おつまみ)として提供し始めたので、一橋大学付近の「三幸」、亜細亜大学付近の「珍々亭」、どちらが正式に発祥の店なのか定かではありませんが、いずれにせよ東京から他地域に広がったメニューなのは間違いありません。
東洋水産の「マルちゃん 珍々亭 油そば」には、2019年9月現在 “全部で4種類のバリエーション” があり、上記の画像左上にある常温保存の油揚げ麺を使用した「カップ麺」が今回のレビュー対象。他、画像右上がノンフライ麺を使用した常温保存の「袋麺」、画像左下が要冷蔵の生麺を使用した「チルド麺(2人前)」、画像右下が要冷凍の蒸し麺を使用したレンジ専用の「冷凍麺」で合計4種。
「袋麺」の希望小売価格は税別130円、2014年3月3日から販売されている春・夏向けの商品で、まだ店頭でも見かけます。チルド麺「頂点の一杯 珍々亭 油そば(2人前)」の希望小売価格は税別400円、最終リニューアルは2013年3月18日とカップ麺よりも歴史は古いのですが、北海道、東北、甲信越、関東、静岡、中京、北陸、近畿でしか売ってない地域限定品。
「冷凍麺」はオープン価格の商品で、発売日は2017年3月1日、最終リニューアルは2018年9月1日。販売エリアは全国となっているのですが、チルド麺と冷凍麺は今まで一度も見たことがありません。とりあえず今回のカップ麺は全国のスーパーやドラッグストア、新商品に強いコンビニでの取り扱いも意欲的なので、もっともメジャーかつ入手しやすい商品だと思います。
おそらくマルちゃんのカップ麺では7シーズン目となる2019年の「珍々亭 油そば」は、歴代初の特製カップスープ付き。例年よりも遅い秋・冬向けのタイミングで登場しましたが、汁なしカップ麺の需要は夏にピークを迎えた後、秋にガクッと右肩下がりなのが例年のパターンなので、東洋水産は今回の別添スープに新たな活路を見出そうとしているのかもしれません。
開封
別添の小袋は「液体スープ」「かやく」「特製カップスープ」の合計3袋で、そのうちスープ類が2袋。液体スープはカップ麺に使うタレ(ソース)、特製カップスープ(粉末スープ)は別の容器を用意して作る汁物のスープです。で、調理方法を見ると今回の特製カップスープは “戻し湯で作るタイプではない” らしく、ふつうの熱湯を150ml注いでくださいとのこと。
マルちゃんが送るカップ焼そばタイプのスープ付き商品といえば、北海道限定の「やきそば弁当(やき弁)」と東北地域及び信越限定商品になった「焼そばバゴォーン(BAGOOOON)」が定番で、それら既存の商品は “湯切り時に捨てるお湯を利用してスープを作る” エコな調理方法が特徴的なポイントになっているのですが、今回そのような指示はありません。
メーカー希望小売価格は税別220円と大盛カップ焼そばタイプの標準的な値付けなので、おそらくスーパーマーケットやドラッグストアでは200円前後が相場、コンビニで購入すると税込232円が2019年9月現在の標準価格です。コンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)を調べてみたところ、4社すべて取扱ありでした(※店舗によっては売ってない場合もありますが、販売店は多いかと思います)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 珍々亭 油そば 製造者:東洋水産株式会社 製造所:関東工場(M1)群馬県館林市赤生田本町3831-1 内容量:169g(めん130g) 商品コード:4901990364164(JANコード) 商品サイズ:177縦mm×横177mm×高さ68mm
発売日:2019年9月9日(月) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:角型ビッグ・大盛 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:油そば 720ml・特製カップスープ 150ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:3袋(液体スープ・かやく・特製カップスープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、精製ラード、食塩、しょうゆ、香辛料、粉末野菜、卵白)、液体スープ(しょうゆ、豚脂、植物油、チキンエキス、香味油脂、醸造酢、ポークエキス、デーツ果汁)、かやく(味付豚肉、メンマ、なると、ねぎ)、粉末スープ(食塩、しょうゆ、野菜エキス、デキストリン、魚介エキス、チキンエキス、ねぎ、香辛料、発酵調味料、粉末こんぶ)/ 加工でん粉、トレハロース、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、かんすい、酒精、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、増粘多糖類、香辛料抽出物、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、香料、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む) |
実食開始
先入れの小袋は「かやく」のみ、その中身は味付豚肉、メンマ、大きなナルト、小さなネギと例年どおりの構成。麺は精製ラードの芳ばしい香りが特徴的な油揚げ麺で、醤油、香辛料、粉末野菜、卵白を練り込んでいる点も昨年と変わりませんし、くすんだ色合いも特徴的なポイントですが、やや調理前の麺は昨年よりも色味が明るくなっているように見えました。
湯戻し時間は熱湯5分、液体スープには大量の豚脂が入っていたので、待っている間にフタの上で温めます。調理後の見た目は前々回の2017年発売品と同じような様子なんですけど、液体スープが凄まじいですねw 開封した瞬間からグワッ!! と豚脂の芳ばしい香りが押し寄せてきて、その間をスッ‥‥と酢が通る、最近の多種多様な「まぜそば」と違ったシンプルな魅力とインパクト。
さて、別添の特製カップスープは “ふつうの熱湯” で作るべきなのか、それとも湯切り時の “戻し湯” で作ったほうが美味しいのか、それを確かめるために2つ購入したので、違いを比較してみますね。それでは、スープ追加によるトレードオフや前回・前々回との違いにも注目しつつ、「めん」「たれ」「具材」「特製カップスープ」の特徴を解説し、総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(169g)当たり
カロリー:725kcal |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
同社の縦型ビッグに使用されている油揚げ麺は、2018年12月から目覚ましい進化を遂げ、かなり洗練された麺にブラッシュアップされているのですが、珍々亭の麺は基本的に前回と変わっていません。一見すると無骨な油揚げ麺に見えますけど、実際ごわごわ・わしわし系の食感は控えめで、粘り気のある弾力と適度な歯切れの良さを兼ね備えています。
形状は厚みのある扁平の平打ち麺で、サイズは太く、角刃でカットされているため口当たりには輪郭があります。やや加水率は高めの設定ですが、適度に粉っぽさも残していて、後述するタレとの絡みは申し分ありません。つまり、精製ラードを練り込んだ油揚げ麺を大量の豚脂で食べることになるので、諸々それなりの覚悟を決める必要はありますw けっこう重たいですよ‥‥
昨年と比較して大幅に変わった印象は受けませんでしたが、一昨年前の麺よりも縮れの間隔が狭くなり、切刃(四角)のエッジも鋭くなっています。正直、ノンフライ麺を採用している袋麺のほうが圧倒的に麺のクオリティは上ですし食べやすいのですが、珍々亭の関連商品では唯一の油揚げ麺、どうぞ心ゆくまで背徳感を楽しんでください。
たれ
2018年発売品はラー油、つまり植物油脂を追加でブレンドした旨辛アレンジだったので、豚脂(ラード)の含有量が減り、カプサイシンのアクセントで2017年発売品(ノーマル)よりの食べやすく、それと同時に強烈な豚脂が下がったことで没個性な印象を受けました。しかし、2019年の今回は豚脂の勢いが復活、それもシリーズ過去最強クラスの存在感といっても過言ではありません。
2015年から豚脂の含有量が増え、さらに前々回の2017年7月3日発売品から豚脂の含有量が増えているのですが、それと同時にラー油の辛さと酢の酸味が弱くなり、だいぶ豚脂が前に出るタレに変わりました。そして2019年9月——2年前の「珍々亭 油そば」と比較して原材料は変わっていませんが、ラー油の辛さは皆無に等しいほど弱くなり、酢のアクセントが強くなったように感じます。
比較的ごま油の香りも弱くなり、醤油ダレのエッジも弱くなったように感じたのですが、「油そば」らしく豚脂は大量に入っていて、のっけから豚脂特有の芳ばしい風味が容赦なく牙を剥いてくるアブラ押しのスタイルに回帰。かなり原材料はシンプルで無駄がなく、食塩相当量の数値は高めですが、塩気よりも強烈な豚脂の厚みと絶妙な酢のアクセントで喰わせます。それにしてもエグいw
塩気が強いことで有名なエースコックの手掛けるカップ油そば系統のように塩っぱい印象はなく、けれどもアブラの主張が強すぎるため、そっちが人を選ぶ要因になりますし、動物油脂特有の重たいテイストが口の中に居座るので、もし油そばに耐性がない方は全力でスルーしたほうがいいかもしれません。ただ、それを適度に中和してくれるのが初登場のラーメンスープです。
特製カップスープ
スープの原材料は「食塩、しょうゆ、野菜エキス、デキストリン、魚介エキス、チキンエキス、ねぎ、香辛料、発酵調味料、粉末こんぶ」で、ちょっと写真では識別しづらいのですが、向かって左にあるのがプレーンの熱湯150mlで作ったもので、右にあるのが本来なら捨てるべき油揚げ麺と具材の戻し湯150mlで作ったもの。
どちらもアメリカンコーヒーみたいな色合いですが、チキンベースにホタテやカツオ、昆布の旨味を加えているアッサリとした醤油味のスープで、生姜のキレがアクセント。デジタルスケールを使用し、まったく同じ湯量で作ってみたところ、やはり “カップ麺の戻し湯で作ったスープのほうが美味しい” と感じました。
もとの味に高級感がないため、結果的に安っぽい廉価版チックな粉末スープですが、油揚げ麺特有のコクだけでなく、味付豚肉やメンマの風味もプラスされる戻し湯スープのほうが魅力的。えー、それ捨てるはずのお湯でしょ!? と、思われるかもしれませんが、「QTTA」や「本気盛」など、油揚げ麺を使用したカップラーメンのスープは基本的に今回の “戻し湯スープと同じ状態” ですからね。
具材
前回・前々回の「油そば」と比較して具材の内容は変わっておらず、特製カップスープが別添されたせいで具材の量が減っていた——などということもありません。メンマはコリコリとした歯応えのある食感が箸休めに嬉しく、お店では別料金で頼まなければいけないネギは標準装備。とはいっても汎用の小葱ですが、シャキッとした歯触りが有るのと無いのとでは大違い。
そして味付豚肉は定評のあるリアル系の肉具材で、ちょっと豚臭いのも好印象。いつもどおり醤油と砂糖の甘辛い味付けが絶妙で——そういえば、ある意味この味付豚肉も万能具材の一つですよね。
分厚い赤身の部分は適度な繊維質で食べ応えがあり、脂身の部分は柔らかくて特有の甘味が感じられるカップ麺としては上質なもの。その甘辛い味付豚肉も豚脂が強烈なタレの中で味に飽きない工夫になっていて、大きいナルトが雰囲気を醸し出している、この内容ならコンビニで232円出しても惜しくありません。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5+)
麺は2018年の「旨辛油そば」から大幅に変わっていませんでしたが、液体スープは2017年の伝統的なオールドタイプに回帰し、なおかつ今回から粉末のカップスープを別添。それは口の中をスッキリさせてくれるだけでなく、同時に身体を温めてくれるので、これから肌寒くなってくる秋・冬での需要にあわせた効果的なアイディアでした。あと、粉末スープを割る時は、ぜひ湯切りする時の戻し湯でつくるのがオススメ。
ただし液体スープの醤油ダレとラー油の辛さが弱くなった結果、それはそれは豚脂が凶暴な一杯になっておりますので、くれぐれもご注意ください。でも例年どおりカップスープなしで夏に発売していたら、良くも悪くも “今年は元に戻ったんだなー” で終わっていたかもしれないので、今回のテコ入れは改良だと感じました。もし途中でクドくなってきたら、お酢ちょい足しアレンジで解決です(※驚くほど食べやすくなりますよ)
※2020年11月9日発売の「珍々亭 油そば」は、テコ入れなしの再販だった(中身は変わっていない)ので、2020年11月発売品の評価も同列の「★5+」とします。