どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2021年8月9日(月)新発売、東洋水産のカップ麺「マルちゃん あの街この味! 群馬編 上州太田焼そば」及び「同 福岡編 博多系焼ラーメン」の実食レビューです。
「あの街この味」ついに復活!? マルちゃんの “ご当地系カップ麺” 7年ぶりに再始動!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
あの街この味!群馬編・福岡編
あの街この味とは、全国ご当地麺の味わいを手軽なカップ麺で再現したシリーズで、販売者はマルちゃんのブランドで知られる東洋水産株式会社。同社のデータベースに残っている最古の商品は、2007年(平成19年)6月25日に発売された大判どんぶり型のカップラーメン「あの街この味! 博多とんこつラーメン」なので、すくなくとも14年以上前から存在しているシリーズです。
今回の新商品「あの街この味! 群馬編 上州太田焼そば」は、群馬県太田市龍舞町(「田舎屋」店舗内)に事務局を置く地元団体「上州太田焼そばのれん会」監修のもと、甘めに仕上げたコクのあるソースと太麺で本場の臨場感を表現した新作で、いまや “日本三大焼きそばの一つ” にも数えられる「上州太田焼そば」ですが、それを堂々と謳うカップ麺は他のジャンルほど多くありません。
上州太田焼そば(じょうしゅうおおたやきそば)とは、群馬県太田市を発祥とする焼きそばの総称で、各店が独自にブレンドした「濃いめのソース」と「太麺」に、具材は定番の「キャベツ」を使用。仕上げには「紅生姜」と「青のり」をトッピングするなど、いわゆるスタンダードな焼きそばを基本としつつ、ソースの濃さや具材などは作り手によって違うため “特徴がないことが特徴” ともいわれています。
現在を遡ること2002年(平成14年)6月、B級グルメの代表格として知られる「富士宮やきそば」発祥の地・静岡県富士宮市が市制60周年記念イベントを実施した際、片面焼きの目玉焼きと福神漬けをトッピングした「横手やきそば」(秋田県横手市)と永遠のスタンダード「上州太田焼そば」(群馬県太田市)に呼びかけ、まちおこしのために「三者麺談」を企画。
そこに集った当時の市長が互いの協力を誓う “三国同麺協定書” を締結し、多くのメディアにも取り上げられ、現在の「日本三大焼きそば」に繋がります。その約4ヶ月後となる2002年10月28日、群馬県太田市も “日本で3番目の焼そばの町” として「上州太田焼そばのれん会」を発足するのですが、ご当地の素材を使うなど、細かな定義付けをしていないため、カップ麺では商品化しづらいのかもしれません。
しかし、あえて「上州太田焼そば」にスポットを当てた東洋水産。それと同時に博多焼きラーメンの特徴を前面に出した湯切りタイプの汁なしカップ麺「あの街この味! 福岡編 博多系焼ラーメン」を発売することで、ラインナップの強化を図っているのですが、福岡編については地元団体監修などの付加価値はなく、東洋水産が独自に開発したオリジナル商品。
東洋水産が販売していた “博多を冠するカップ焼きラーメン” といえば、黄色い背景のパッケージからも想像できるように、2020年10月26日発売の大盛りサイズ「黄色い博多焼ラーメン でか盛」が記憶に新しく、さらに遡ると2019年3月4日に発売されたレギュラーサイズ「黄色い博多焼ラーメン」の流れを汲んでいるような展開。
黄色い背景のパッケージだけでなく、熱湯1分の油揚げ麺を使用していることも「黄色い博多焼ラーメン」と共通のポイントなので、それをベースに開発した商品と思われます。ちなみに「あの街この味」としては、2014年(平成26年)4月14日発売の「北海道系 コーン塩バター味ラーメン」及び「沖縄系 ソーキ味そば」以来の新作なので、7年以上のブランクを経て再始動となりました。
開封
「あの街この味! 群馬編 上州太田焼そば」に別添されている小袋は、先入れの「かやく」に、後入れの「液体ソース」と「ふりかけ」で合計3袋。麺は油で揚げた太めのフライ麺で、湯戻し時間は熱湯4分と表示してあります。やや褐色の見た目と精製ラードに由来する芳ばしい香りから、同社の “つやもち製法” を彷彿とさせる雰囲気。
「あの街この味! 福岡編 博多系焼ラーメン」に別添されている小袋も「粉末ソース」「特製油」「あとのせかやく」と合計3種類なのですが、いずれも食べる直前に加える後入れ仕様。麺は豚骨味のソースに合わせて細く、熱湯1分のクイック調理を可能とした油揚げ麺なので、東洋水産を代表するカップ塩焼きそばのパイオニア「俺の塩」と共通か、それをベースにした麺と見て間違いないでしょう。
どちらも容器はレギュラーサイズなので、コンビニよりもスーパーマーケットやドラッグストア、ディスカウントストア向けに開発された商品。メーカー希望小売価格は193円(税別)に設定してありますが、コンビニ以外の店舗で購入した場合の税込価格は140円以下になると思いますし、販売店によっては税込100円前後で手に入るかもしれません。
製品詳細情報・購入価格等
あの街この味!群馬編 上州太田焼そば | あの街この味!福岡編 博多系焼ラーメン | |
製造者 | 東洋水産 | 東洋水産 |
製造所 | M1(関東工場) | M8(関西工場) |
内容量 | 115g(めん90g) | 106g(90g) |
JAN | 4901990369237 | 4901990369244 |
発売日 | 2021年8月9日 | 2021年8月9日 |
発売地域 | 全国 | 全国 |
取得店舗 | オムニ7 | オムニ7 |
購入価格 | 138円(税込) | 138円(税込) |
小売価格 | 193円(税別) | 193円(税別) |
麺の種類 | 油揚げ麺 | 油揚げ麺 |
スタイル | 角型レギュラー | 角型レギュラー |
容器材質 | プラ(PS) | プラ(PS) |
湯量目安 | 560ml | 560ml |
調理時間 | 熱湯4分 | 熱湯1分 |
小袋構成 | 3袋 | 3袋 |
原材料名とアレルギー表示
【あの街この味!群馬編 上州太田焼そば】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、精製ラード、食塩、しょうゆ、香辛料、粉末野菜、卵白)、添付調味料(ソース、砂糖、植物油、ラード、食塩、酵母エキス)、かやく及びふりかけ(キャベツ、あおさ、紅生姜)/ 加工でん粉、カラメル色素、トレハロース、酒精、炭酸カルシウム、調味料(アミノ酸等)、かんすい、酸化防止剤(ビタミンE)、pH調整剤、増粘多糖類、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、酸味料、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・豚肉・りんごを含む)※本製品で使用しているアオサは、えび・かにが混在する漁法で採取しています。 |
【あの街この味!福岡編 博多系焼ラーメン】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、精製ラード、食塩、しょうゆ、卵白)、添付調味料(豚脂、ポークエキス、デキストリン、鶏脂、植物油、食塩、乳糖、砂糖、しょうゆ、たん白加水分解物、香辛料、紅生姜、すりごま)、かやく(ごま、ねぎ)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、増粘多糖類、かんすい、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、香料、香辛料抽出物、ビタミンB2、ビタミンB1、酸味料、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
栄養成分表示[1食(115g)あたり]カロリー 483kcal、たんぱく質 8.1g、脂質 18.5g、炭水化物 70.9g、食塩相当量 2.9g、ビタミンB1 0.39mg、ビタミンB2 0.43mg、カルシウム 219mg |
まずは「群馬編 上州太田焼そば」の調理直後、具材らしい具材はキャベツしか入っていませんが、モデルになっている「上州太田焼そば」の具材もキャベツが定番で、それしか入っていない場合も珍しい話ではありません。また麺もカップ焼きそばとしては太めの部類ですし、ふりかけには “あおさ” と “紅生姜” を採用していることから、きちんと要点を押さえた構成といえるでしょう。
栄養成分表示[1食(115g)あたり]カロリー 483kcal、たんぱく質 8.1g、脂質 18.5g、炭水化物 70.9g、食塩相当量 2.9g、ビタミンB1 0.39mg、ビタミンB2 0.43mg、カルシウム 219mg |
続けて「あの街この味! 福岡編 博多系焼ラーメン」の調理直後、2019年3月に発売された「黄色い博多焼ラーメン」にはキクラゲが入っており、2020年10月に発売された「同 でか盛」には “特製カップスープを別添” していましたが、その流れを汲む今回の新作に具材らしい具材は入っておらず、特製スープの別添もなし。かなり簡素な見た目に仕上がるため、やや廉価版チックな雰囲気は否めません。
しかし、今回はネット通販サイトで購入しましたが、後日に地元のスーパーを確かめみたところ、税込105円で販売しているところを確認。いわゆる廉価版(オープン価格)の商品と大差ない立ち位置なので、それも考慮しなければいけません。それでは、実際に食べながら「めん」「ソース」「かやく・ふりかけ」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
どちらも使い回しっぽいけど悪くない
「群馬編 上州太田焼そば」の油揚げ麺は、角刃で切り出された太めの平打ち麺で、精製ラード特有の芳ばしさが東洋水産らしいポイント。それがインスタント感を強めているのですが、同時に鉄板で炒めたような調理感を醸すことにも寄与してくれる存在。やや強付きのある食感に仕上がるため、洗練さにかけた麺ではあるものの、おかげで実際の麺量以上の食べ応えを感じます。
「福岡編 博多系焼ラーメン」の油揚げ麺は、丸刃で切り出された丸断面の細麺で、熱湯1分の湯戻し時間や原材料の構成から察するに、おそらく「俺の塩」シリーズや従来の「黄色い博多焼ラーメン」と同じ油揚げ麺との認識で問題ありません。博多とんこつラーメン御用達の極細ストレート麺ではないけれど、サイズのわりにコシが強く、このあと解説する豚骨味のソースにもフィット。
どちらも既存の商品に使われているタイプの油揚げ麺なので、新規に開発したわけではないと思いますが、それだけに東洋水産が培ってきたノウハウを感じる安定の仕上がり。同じ量でも食べ応えは「群馬編」に軍配ですが、逆にサクッと食べられる「福岡編」の需要も高く、同時発売品でも真逆に近い麺を合わせたことで明確な差別化を感じました。
ソース
既視感が強く安定した仕上がり
「群馬編 上州太田焼そば」の液体ソースは、しっかり混ぜた後でも黒っぽい色合いで、比較的に粘度が高く、こってりとした深みのあるテイスト。それでいて舌を刺してくるような塩っぱさはなく、見た目に反して攻撃性を感じさせない、まろやかで濃厚な味わいもさることながら、ふわっと鼻に抜ける鉄板で炒めたような風味とホロ苦さも印象的。
これが「上州太田焼そば」らしいポイントだ! みたいな決め手とか個性はないけれど、実際の「上州太田焼そば」も定義は曖昧ですし、延々と飽きずに食べていられそうなソースに仕上がっています。まったくといっていいほど新鮮味はないのですが、文句なしで美味しいですね。
「福岡編 博多系焼ラーメン」に別添されている特製油は、豚脂(ラード)を軸に鶏脂をブレンドし、ふわっと胡麻油を効かせたようなオイルなので、無味無臭の潤滑油ではありません。むわっとくる獣臭だったり、ギットギトに量が多かったり、そういったインパクトはないけれど、ただ麺をほぐすだけの存在にあらず、きちんとソースの歯車として製品に寄与。
続けて加える紅生姜入りの粉末ソースは、おそらく「黄色い博多焼ラーメン」の粉末ソースと共通で、念のため原材料名を比較してみたところ、2020年10月発売の「でか盛」とは異なる並びだったのですが、2019年3月発売のレギュラーサイズとは “豚脂から紅生姜まで完全に一致” します。違いといえばネギが別添になったのと、煎り胡麻が擂り胡麻に変わったことくらい。
こちらも新鮮味はなかったものの、再販を待っていた身としては嬉しい再会。驚くほど粉末ソースがダマになりやすいので、そこだけは改善してほしいポイントになりますが、乳化感の強い豚骨エキスを中心に、ガーリックパウダーの効き目も強めで好印象。それ以外のアクセント要素は弱いので、これが大盛りだと後半ちょっと苦しそうですが、今回の麺量だと美味しく食べきれると思います。
かやく・ふりかけ
具材は「群馬編」に軍配
「群馬編 上州太田焼そば」の具材はキャベツのみとシンプルですが、まるか食品の「ペヤング ソースやきそば」並みのボリューム感があり、まろやかな濃厚コクうまソースとの相性も抜群。ふりかけはアオサが主体だったので、もうちょっと紅生姜が入っていると嬉しかったものの、ふとした拍子に感じる酸味が心地よく、アオサの風味も今回のソースにベストマッチ。
「福岡編 博多系焼ラーメン」に具材らしい具材は入っていませんが、あとのせかやくの乾燥ネギと煎り胡麻の芳ばしい風味は好印象。また粉末ソースに乾燥の紅生姜が入っていたので、それもアクセントに効果的でした。
総評
かくして7年ぶりに復活を果たした「あの街この味!」ですが、群馬編「上州太田焼そば」は「昔ながらのソース焼そば」系統で、福岡編「博多系焼ラーメン」は「黄色い博多焼ラーメン」をオープン価格で再販したような内容といっても過言ではない仕上がり。ただ、どちらも味としては素直に美味しかったのと、税込100円前後でも手に入ることも加味し、及第点に星ひとつプラスしました。
この勢いで全国の有名ご当地麺を手頃な値段で再現してくれるのか、それとも一変して高級路線を攻めてくるか、再び水面下に潜ってしまうのか——。可能であれば定期的に、それも次は “まだ全国的に知名度が高くない” ご当地麺にもスポットを当てながら、ほかのブランドとの差別化を図るなど、このシリーズにしかない魅力の提唱に期待しています【author・taka :a(大石敬之)】