どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2019年5月13日(月)新発売のカップ麺、東洋水産「マルちゃん 赤いたぬき天うどん」の実食レビューです。
「赤いきつね」じゃなくて「赤いたぬき」!? 赤と緑の食べ比べ企画から誕生した限定商品が “公約” 通り登場!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
赤いたぬき天うどん
マルちゃん「赤いきつねうどん」が初めて発売されたのは、2019年5月現在から遡ること40年以上前の1978年(昭和53年)8月——1975年(昭和50年)9月に発売された世界初のカップうどん「マルちゃんのカップうどんきつね」が前身で、実は「日清のどん兵衛」(1976年8月発売)よりも先輩です。
その「赤いきつねうどん」が昨年(2018年)リニューアル発売から40周年を迎え、「緑のたぬき天うどん」と「あなたはどっち!? 食べて比べて投票しよう!」という投票型の対決企画を行っていたのですが、そこで勝利を収めた「赤いきつね」のマニフェスト、「赤いたぬき天うどん」が商品化されました。
投票は東京・大阪で開催されたポップアップストアや全国都市での食べ比べイベント、店頭試食会、食べ比べキット、WEB投票から受け付け、投票期間中(2018年10月4日 – 2019年1月31日)の総投票数は53,863票。そのうち「赤いきつね」が29,066票を獲得、「緑のたぬき」は24,797票という結果から、4,269票の差で「赤いきつね」が勝利を飾ります。
しかし、総投票数では「赤いきつね」が勝ちましたが、全国都市での食べ比べイベントでは「緑のたぬき」が健闘。「ウェブ投票」「食べ比べキット」「店頭試食会」では「赤いきつね」に負けてしまった「緑のたぬき」は “うどん文化” といわれている西日本の3拠点(大阪・広島・福岡)と仙台で勝利を収め、その結果を受けた東洋水産が急遽実施した香川県(うどん県)での食べ比べでも意外なことに「緑のたぬき」が勝利。
ちなみに爆発的に売れた「マルちゃんのカップうどんきつね」の特許を取得していなかった東洋水産は、その流れを意識して開発された「どん兵衛」をはじめとする後発組の勢いが増していく中で販売戦略の見直しを余儀なくされ、1978年(昭和53年)8月に商品名やパッケージのデザインを刷新するのですが、その時に生まれたのが「赤いきつね」です。
リニューアル直前までベージュの容器が予定され、商品名も「赤い-・」ではなく「熱いきつね」というタイトルでしたが、同年に大ヒットしていた山口百恵さんの曲『プレイバックPart2』を聴いた当時の社長であり東洋水産の創業者・森和夫氏が “真っ赤なポルシェ” というフレーズの歌詞に感銘を受け、容器の色も「赤」に刷新して「赤いきつね」になりました。
その当時、「どん兵衛」に使用されていたキャッチコピーが “熱いうどん” だったので、それに対するクレーム回避の考慮もあったとされているのですが、それはさておきパッケージは「赤いきつね」がベースでも商品名は「たぬき」。さらに「あなたはどっち!? 赤いきつね勝利記念 期間限定」の文字や調理後のイメージ写真が天ぷらとなっているため、それが目印(※店頭で迷ったのは内緒)。
また、今回の「赤いたぬき天うどん」も定番商品と同じように “つゆの味が東西で違う” 仕様。通常商品は “東日本向け・西日本向け・関西限定・北海道向け” と4種類の味に分けられていますが、「赤いたぬき天うどん」は関ヶ原を境に「西向け」と「東向け」2種類の味があります。なんとか両方レビューしようと手配してるんですけど、私は関西在住(兵庫県 – 定番品は関西限定)なので、西日本の方もそうでない方も、まずは「西日本向け」のレビューからご覧ください。
開封
「日清のどん兵衛」にも該当する話になるのですが、「赤いきつねうどん」にも西と東を見分けるポイントがあって、ちょっと今回それを探すのに手間取ったんですけどw 容器側面にあるJASマークの下、容器材質表示(カップ:PS / 外装フィルム:PP)横に小さな字で「W」の文字がありました。おそらく「West(西)」の略なので、関ヶ原より東の商品には「E」(East – 東)と記載してあると思います。
別添の小袋は、スパイス(七味唐辛子)付きの「粉末スープ」が1袋。なんですけど普段のシンプルなパッケージとは違う、上半分が波紋のカッコいいデザインですね。粉末スープと七味唐辛子は「どん兵衛」ほど簡単に分別できないので、後入れしたい場合はハサミが必要になりますが、粉末スープは先入れ・七味唐辛子は後入れが基本の調理方法。
ちなみに賞味期限の下にある「M11」は製造所固有記号といって、東洋水産のM11はグループ企業の「伊万里東洋(いまりとうよう)株式会社」(佐賀県伊万里市山代町楠久929−53)を意味しているのですが、佐賀県伊万里市にあるマルちゃんの拠点です。「激めんワンタンメン」全国発売解禁時に最初の数ヶ月、西日本での代打を任されていた工場ですね。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:マルちゃん 赤いたぬき天うどん(西日本向け) 販売者:東洋水産株式会社 製造所:伊万里東洋株式会社・M11 内容量:101g(めん74g) 商品コード:4901990363143(JANコード) 規格サイズ:縦141mm×横141mm×高さ77mm 発売日:2019年05月13日(月) |
麺の種類:油揚げ麺(かんすい不使用・うどん) スタイル:どんぶり型レギュラー・標準サイズ 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:410ml 調理時間:熱湯5分 小袋構成:1袋(スパイス付き粉末スープ) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、植物性たん白、乾燥酵母、卵白)、かやく(小えび天ぷら、味付油揚げ、卵、かまぼこ)、添付調味料(食塩、砂糖、しょうゆ、魚介エキス、粉末こんぶ、香辛料、たん白加水分解物、ねぎ、植物油)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na)、炭酸カルシウム、レシチン、増粘多糖類、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、カロチン色素、(一部にえび・小麦・卵・乳成分・さば・大豆・ゼラチンを含む) |
【本品原材料に含まれているアレルギー物質】えび・小麦・卵・乳成分・さば・大豆・ゼラチン(特定原材料及びそれに準ずるもの) |
実食開始
さて、あとは通常商品と同じように粉末スープを麺の上にあけてから注湯するのですが、調理前から中身は賑やかですよ。さすがに大きな油揚げは刻まれて、なおかつ量も減っていますが、代わりに「緑のたぬき」に入っている天ぷらを丸ごと実装。いつもの黄色い卵は今回やけに多い気がしますけど、かまぼこで彩りも鮮やかですね。
麺の見た目は普段と変わりませんし、たまごの黄色い着色料が一部に移っているのも毎度おなじみの現象。ただ、実は西向け・関西限定の添付調味料は同じ原材料名でも粉末スープの香りは “西向けのほうが煮干し強め” なので、やや今回は西向けのほうに近いシャープな香りが印象的でした。
あとは熱湯を注いで5分待機、お好みでスパイス(七味唐辛子)をかけたら完成です。もちろん天ぷらを後のせを実行するのも楽しみ方のひとつですが、天ぷらから滲み出る旨味が醍醐味ということもありますし、とりあえずセオリー通り天ぷらは先入れで調理しました。にしても膨張しますね天ぷらw
それでは、東西の2種類に分けた和風出汁(だし)と麺のクオリティ・天ぷらの恩恵にも注目しつつ、「めん」「つゆ」「具材」の順に解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(101g)当たり
熱 量:477kcal(カロリー) |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:477kcal(めん・かやく:447kcal)(スープ:30kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品パッケージに記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
コシと弾力の強い、なめらかな太めのうどん。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『赤いたぬき天うどん』新発売のお知らせ」)
定番の通常商品と比較して原材料名は変わらないんですけど、ふっくら感が控えめというか——しかし、上の具材が「天ぷら」か「油揚げ」か(つまり保温率や熱湯の分配)による誤差の範囲(ニュアンス)に過ぎません。試しに “具材なし” で調理・検証したところ、やはり若干ながら食感が変わったので、いつも通りの麺だと思います。
東洋水産らしく縮れた平打ちの油揚げ麺で、「日清のどん兵衛」を先進的な麺とするならば、マルちゃんの麺はトラディショナル。しかしながら保守的なわけではない、あくまでファンの期待を裏切らないように伝統を守っているような様子が今回の麺からも感じられました。で、何気に嬉しいのが麺の量。
通常、期間限定商品(変わり種)と通常商品の麺が同じでも “期間限定の麺は減らされる” 傾向にあるのですが(だいたい66gが変わり種の平均)、今回は「赤いきつねうどん」と同じく麺量74gなんです。もちろん天ぷらが入った分だけ油揚げは刻まれて量も減っているわけなんですけど、変わり種で定番品と同じ74gは太っ腹ですね。
つゆ
鰹節、雑節、昆布、煮干のだしが利いた淡口醤油仕立ての西日本向けうどんつゆ。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『赤いたぬき天うどん』新発売のお知らせ」)
先ほど “具材なし” で調理・検証したと書きましたが、天ぷら無し(つゆ単体)の味を確かめたかったからで、結論から言うと「関西限定」や「東日本向け」の和風つゆとは別物です。「東向け」の製品説明は “鰹節と昆布のだしが利いた、風味豊かな東日本向けうどんつゆ” となっているのですが、「西向け」の製品説明には「雑節」や「煮干」の文字があり、わざわざ醤油も「淡口醤油仕立て」と追記されていて、実際に色も薄く控えめな醤油感。
まろやかな昆布の旨味がファーストインプレッションで、魚介出汁のバランスは雑節の芳ばしさよりも煮干のシャープな旨味が先行します。甘味は程よく煮干の進路を妨げないように、なおかつ味に深みが出る上品な配分。関西仕様の和風つゆよりも甘さが抑えてあるのですが、出汁の取り方は “京風” に通じるところがあり、スッと背筋が伸びた淡麗系の和風つゆに仕上がっています。
しかし、それも天ぷらの存在を考慮しての計算を感じるバランスで、ちゃんと深みがありながらも上品でシャープな “縦の和風つゆ” に天ぷらのコクが滲み出ることで “横の旨味” が膨よかに広がる構図。スッキリしつつもアッサリし過ぎない、それでいて天ぷら入りでもクドくないバランスは絶妙でした。
具材
小えび天ぷら、きざみ揚げ、たまご、かまぼこ、ねぎ。別添 七味唐辛子。
(出典:東洋水産公式サイト「東洋水産トップ > 企業・IR・採用 > ニュースリリース >『赤いたぬき天うどん』新発売のお知らせ」)
天ぷらは「緑のたぬき」と同じもので、ちゃんと本物の小海老が入ってます。ただ、「赤いきつね」の麺を使用しているので熱湯5分——つまり開封した時には熱湯3分の蕎麦よりも天ぷらが巨大化(地味にインパクトw)。さらに刻み揚げは約7個、ぷかぷかタマゴは9個、かまぼこは3枚と申し分ありません。
刻み揚げは「赤いきつね」の揚げ(きつね)を刻んだもので、ちゃんとオリジナルの面影を残し、巨大化した天ぷらのおかげでボリュームもあります。「どん兵衛」の天ぷらよりもホワホワなので、揚げ物でも暴力性が控えめですし、先ほど具材なしの解説も入れましたが、天ぷらが先入れだからこそ出汁の一部として滲み出るコクも一興ですよね。
かまぼこ・たまごは「赤いきつねうどん」に入っているものと同じですが、2回目の調理で取り出した具材も同じくらい量が多かったので(ただし刻み揚げ・卵のバランスに差はある模様)、たまたま1回目が多かったわけではなく、これが平均的な量なのかもしれません(※取り出した具材は後日「赤いきつね」か「緑のたぬき」に入れてフィーバーしたいと思います)。
ちなみに七味唐辛子ですが、「どん兵衛」と違って “ごまが入っていない” のもマルちゃん流。個人的には胡麻のアクセントが欲しいところではあるものの、ごまにアレルギーの不安がある方でもお召し上がりいただけます。
総評
★★★★★☆☆☆☆☆(★5)
「赤いきつね」をベースに「緑のたぬき」と融合した今回、大きな油揚げは刻まれて量も減りましたが、たまごは普段の2〜3倍に増えていますし、麺の量も66gが平均的な変わり種にあって定番商品と同じ麺量74gなのも嬉しいポイント。かといって麺のクオリティが著しく落ちているわけでもなく、大きな天ぷらで食べ応えもありました。
ちなみに今後「緑のきつねそば」が販売される可能性について、残念ながら東洋水産のPR担当者曰く “今のところ予定はない” とのことでしたが、 “関東のたぬき”(天かす)とも “関西のたぬき”(きつねそば)とも違う「赤いきつねの天ぷらうどん」は斬新な企画だと思いますし、個性的かつ上品にまとまっている良品です。