どうも、taka :a(@honjitsunoippai)です。
本日の一杯は、2025年8月25日(月)リニューアル発売、サンポー食品のカップ麺「焼豚ラーメン 長浜とんこつ」(236円+税)の実食レビューです。
60秒で湯戻りするバリ細めんをブラッシュアップ!? これまで以上に長浜ラーメンらしい “小麦の風味が一層感じられる極細麺„ にリニューアル!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
焼豚ラーメン 長浜とんこつ
サンポー食品(SANPO FOODS Co.,Ltd.)とは、佐賀県三養基郡基山町に本社・工場を置き、即席めん(カップめん、棒状ラーメン)及び乾めんの製造を生業としているメーカーで、1921年(大正10年)1月創業の「米穀卸大石商店」を原点とする100年企業。現在は九州のソウルフード「焼豚ラーメン」や「九州三宝堂」「三宝だし本家」などの即席カップめんブランドを中心に、九州の「うまい」をカタチにしています。

このページでレビューする「焼豚ラーメン 長浜とんこつ」は、1978年(昭和53年)8月の発売以来、九州で愛され続けている「焼豚ラーメン 九州とんこつ味」から派生した「ご当地シリーズ」の定番商品で、初登場は2017年(平成29年)3月27日と比較的に最近の話。
初代「焼豚ラーメン 長浜とんこつ」は、サンポー食品史上最速(当時)となる “湯戻り時間90秒„ の特製カタ仕上げ細めんに、たっぷりのポークオイルを使用した炊き出し感のある長浜風とんこつスープを合わせ、ブランドのアイデンティティとなっているハート型の焼豚(やきぶた)はもちろん、お店の卓上調味料を彷彿とさせる「すりごま」を別添し、本場の醍醐味を表現していました。
今や九州外でも広く認知されている長浜ラーメンの発祥は、1952(昭和27年)福岡の魚市場西門付近で開業し、現在は福岡市中央区長浜に店舗を構える「元祖長浜屋」(※同エリアで営業している「元祖ラーメン長浜家」とは資本的に無関係)とされ、長浜・博多のラーメンを象徴する加水率が低い極細ストレート麺と替玉が普及したのは「元祖長浜屋」の影響に他ならない福岡のレジェンド。

長浜ラーメンの低加水麺が軒並み細いのは、早朝の競りや貨物の積み下ろしなどで忙しく、なかなか時間が取れない港湾労働者のために、すこしでも早く茹で上げて提供できるようにと考案されたもの。それは中加水率の麺よりも伸びやすいことから、おいしさを損なわないよう比較的に少なめの量で提供され、物足りない方には残ったスープに麺だけを追加する「替玉」のシステムが生まれました。
そんな長浜ラーメンの魅力を再現した「焼豚ラーメン 長浜とんこつ」は、2020年(令和2年)8月31日発売品から本場の極細麺を追い求め、熱湯60秒で戻る専用のバリ細麺にブラッシュアップ&ゴマ増量で風味を強化。それから月日は流れ、前回の改良から約5年後となる此度のリニューアルで “小麦の風味が一層感じられる„ 新たなバリ細麺を搭載し、これまで以上に長浜ラーメンらしさを感じられる一杯になった、というのが主な変更点。
パッケージは従来品のデザインを踏襲しているため、タイトルのフォントや原材料名の配置、さらにカラーリングなども劇的に変わっているわけではないというかパッと見ほとんど同じなんですけど、開封口の付近にあった「ゴマ増量で、風味アップ」の訴求がなくなり、ちょっと控えめのサイズで「コシのある長浜風のバリ細麺」を新たにアピール。

従来品は約5年前、熱湯90秒の特製カタ仕上げ細めんから熱湯60秒のバリ細麺に変更されたタイミングで実食済みですが、そういえばブログでガチレビューしたことはなかったので、ちゃんと掘り下げるのは今回が初。新たなバリ細麺の実力はもちろん、小袋の構成などに皺寄せが生じていないかどうか、そのあたりにも注目しながら解説します。
開封

今回のカップ麺に別添されている小袋は、サンポー食品の “心をこめて作りました„ という想いをカタチにしたハート型の「焼豚」に「粉末スープ」「調味油」「すりごま」の組み合わせで、構成は従来品と同じですが、粉末スープのデザインが変わっています。リニューアル前の原材料名と照らし合わせてみたところ、スープに「デキストリン」と「たん白加水分解物」を追加していたので、麺の変更にあわせての調整でしょうか。

麺はラードを配合した油で揚げている、というのはサンポー食品の油揚げ麺すべてに共通する特徴で、熱湯を注ぐ前から独特の芳ばしさが漂ってくるのですが、従来のバリ細麺と比較して形状や香りに目立った変化は見られません。
ちなみに5年前のメーカー希望小売価格は193円だったんですけど、レギュラーサイズの「焼豚ラーメン」シリーズは、2022年6月の価格改定で193円から214円に、続けて2023年6月の価格改定から236円に値上がり現在に至ります。大手メーカーが販売しているレギュラーサイズのカップラーメンも同じタイミングで価格改定を行い、ほぼ同じ倍率で変動しているため、これが現在の標準値(※それぞれ価格は税別です)。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:焼豚ラーメン 長浜とんこつ 製造者:サンポー食品株式会社 製造所:本社工場(佐賀県三養基郡基山町大字長野230) 内容量:91g(めん65g) 商品コード:4901773102730(JAN) |
発売日:2025年8月25日(月) 実食日:2025年8月26日(火) 発売地域:全国 小売価格:236円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:標準どんぶり型 容器材質:プラ(PS) 湯量目安:320ml 調理時間:熱湯60秒 小袋構成:4袋(焼豚・粉末スープ・調味油・すりごま) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、ラード、食塩、植物たん白)、スープ(豚脂、ポークエキス、食塩、ごま、しょうゆ、香辛料、デキストリン、ねぎ、たん白加水分解物、植物油脂、魚介エキス)、かやく(焼豚、ごま)/ 加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、かんすい、pH調整剤、乳化剤、増粘多糖類、カラメル色素、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、酸味料、香料、(一部に小麦・乳成分・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン・ごまを含む)※本品はえびを使用した設備で製造しています。 |
実食開始

別添の小袋は「焼豚」と「粉末スープ」も先入れなのですが、どちらを先に入れるのかが重要なポイント。というのも粉末スープの量が大盛りバケツ型の添付調味料かってくらい多いため、粉末スープ→焼豚の順にあけてしまった場合、スープの溶け残りが発生しやすくなるんです。というわけで、まずは「焼豚」を麺の上に、それから「粉末スープ」の順にあけて熱湯を注ぐのが正解。

また容器側面の作り方に “調味油はフタの上で温めてください„ と書いてあるのですが、真夏日に冷房なしの生活でも送っていない限り、熱湯1分だとオイルが完全に温まらないと思うので、事前に別の容器に熱湯を準備し、小袋ごとポチャンと浸けておくのがベストです。
さて、調理後のビジュは従来品から変わっていませんし、なにか物足りないとか強烈な個性が追加されたとか、そういった要素が香りから伝わってくることもなく。けれども今回のリニューアルポイントはバリ細麺の小麦感ですから、引き続き従来品との違いに注目しつつ「めん」「スープ」「かやく」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(91g)あたり |
カロリー:469kcal たん白質:10.2g 脂 質:27.8g 炭水化物:44.4g 食塩相当量:6.1g (めん・かやく:2.0g) (スープ:4.1g) カルシウム:151mg |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん


あきらかに風味が増している
サンポー食品が製造している油揚げ麺の湯戻し時間は、現時点で60秒・90秒・2分・3分・5分のパターンが存在し、それぞれ切刃番手(30mm幅の麺帯から何本に切り分けるのかを表すJIS規格)は、60秒=26番、90秒=26番、2分=26番、3分=22番、5分=ちゃんぽん16番・うどん10番となっているため、今回のバリ細麺は素麺の細さに匹敵する26番(溝巾1.15mm)なのですが‥‥

細めの油揚げ麺にありがちな素麺っぽさは皆無に等しく、食べ始めはプツンと小気味よい歯切れが楽しめて、それも早めにフタを開けたから戻ってないだけ——みたいなカタさではありません。また60秒ジャストでフタを開けた場合、上部に位置する面と下部の戻り具合に差が生じているのですが、混ぜながら粉末スープを溶かす行程で均等な食感に落ち着くため、戻りムラが目立たないところも技術力の高さが伝わってくるポイント。
そして、言及しておかなければいけないのが小麦の甘さ。のっけから小麦に由来する甘みが強く、あきらかにリニューアル前とは異なる体感。そこにラード由来の芳ばしさが重なって、いかにもサンポー食品らしい風味ではあるものの、これはこれで本格的とさえ思える仕上がり。耐久性は特別に高いわけではないため、BIGに応用する場合さらなる改良が必要になりますが、レギュラーサイズなら後半の食感もネガティブではありません。
スープ


九州とんこつ味にはない魅力をギュッ
粉末スープのポークエキスは、定番の「九州とんこつ味」に使われている10種のポークエキスとは異なる配合で、おそらく種類そのものを減らしているのではないかと。ただ、一般的にネガティブとされるクセは抑えつつ、それでも骨由来と分かる炊き出し感のアプローチがあり、比較的にアッサリとさせながらもコクは深く、やや塩味のキレは強め。コショウとゴマ(少量)のアクセントも明確にあり、物足りなさは感じません。

そこに加える調味油も「九州とんこつ味」のオイルではなく、粉末スープと同様にクセは抑えられているけれど、動物油脂100%だからこその重厚感と標準どんぶり型の別添とは思えない充填量はサンポー食品こだわりの強み。こってりとした印象を与えるには申し分なく、植物油では打ち出せない、まろやかなオイルのコクが口いっぱいに広がって、これが定番商品で楽しめるのか——と、あらためて感服しました。
かやく


すりごまの効果覿面
ハート型の焼豚は「焼豚ラーメン」シリーズ共通のアイテムで、厚みはなくとも濃いめの味付けが満足感を底上げしてくれる作り。熱湯60秒の仕様上、ねぎは部分的に戻っていなかったのですが、それが気になるのも食べ始めの2、3口まで。
すりごまの増減については明記されていませんが、まったくもって充分。ごま特有の芳ばしさが華やかに広がって、お店の卓上調味料を思わせる臨場感を表現しています。ただ、すりごまを入れると先述のコショウが影に隠れてしまうので、まずは粉末スープ+調味油の深みを楽しみ、すりごまは途中で味変的に使うのがベストかもしれません。
総評
粉末スープの方向性や調味油の重厚感、すりごまの効果など従来品の魅力はそのままに、バリ細麺の小麦感が増していた長浜とんこつ。定番の九州とんこつ味はカップラーメンらしさを極めているのに対し、長浜とんこつには実店舗の風を交えているような、古き良き即席カップめんの魅力と本格さを両立させた一杯。
九州外の方は遭遇する頻度が極端に少ないかと思いますが、同じ「焼豚ラーメン」でも九州とんこつ味とは伝わってくる空気感が違うので、もし見かけたら積極的に試していただきたい逸品です。いやー、それにしても今回のバリ細麺いいですよ。熱湯60秒のスポット商品に使われる油揚げ麺も今後はコレに変わるのかな。いつか替玉用の油揚げ麺とかも出してほしいですね。【author・taka :a(大石敬之)】
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