どうも、taka :aです。
本日の一杯は、2020年4月7日(火)新発売のカップ麺、ローソン「味のマルタイ これだ しょうゆ味〈ビーフ風味〉特製スパイスミックス付」の実食レビューです。
昭和42年(1967年)から続く歴史的なロングセラー袋麺『これだ』の味をカップラーメンにアレンジ!!
実際に食べてみた感想と経験に基づいて評価し、カップ麺としての総合力を判定します。よろしければ、最後までお付き合いください。
味のマルタイ『これだ』
ラーメン『これだ』とは、九州を発祥とするロングセラー商品で、初代発売日は昭和42年(1967年)5月。まだ “味のマルタイ” が株式会社泰明堂(創業当時の社名)だった頃、スイカの皮みたいな放射状のパッケージに身を包み、2020年4月現在も九州・長崎を中心に愛されているのですが、今回それをコンビニ限定の大盛り縦型カップラーメンで再現するという新展開。
発売当初はスパイス付ではなく「特製ねぎ入りスープ付」だったようですが、カップ麺の容器側面に印刷されている袋麺のイメージ写真は現行商品のデザインで、現在は “豚肉をベースに、香り豊かなしょうゆと香味野菜で仕上げたしょうゆ味” とのこと。ネット上での評判・口コミ評価は高かったのですが、ほぼ九州圏外では売ってないかもしれません。
あらためまして「マルタイ」の歴史を遡ると、昭和22年(1947年)5月に現マルタイの創業者・藤田泰一郎(ふじた たいちろう)氏が福岡市中央区高砂町で製粉及び製麺業から始まり、昭和34年(1959年)11月に中華麺の即席化に成功(即席棒状ラーメンの元祖「即席マルタイラーメン」として販売開始)、昭和35年(1960年)6月にマルタイの前身「株式会社泰明堂」を設立します。
その後、昭和38年(1963年)12月に泰明堂の販売部門を分離した「株式会社マルタイ」を設立。昭和39年(1964年)5月から油揚げタイプの即席袋麺を生産し始め、業界初となる九州とんこつ味スープの即席化第1号「屋台ラーメン」を発売したのが昭和44年(1969年)8月の話——つまり、昭和42年発売の「これだ」は、マルタイを代表する「屋台ラーメン」よりも歴史の深いブランド。
同社が即席カップ麺の生産を始めたのは昭和50年(1975年)8月以降、昭和51年(1976年)7月に販売部門だった当時のマルタイが本社である泰明堂を吸収合併し、商号を「マルタイ泰明堂株式会社」に改称。正式に商号を「株式会社マルタイ」に改めたのは平成2年(1990年)12月、社名の由来は創業者・藤田泰一郎の「泰」に「○(マル)」で “マルタイ” と名付けられました。
それから時は流れて平成21年(2009年)10月22日、マルタイはエースコックの親会社であり “サッポロ一番” のブランドで親しまれている「サンヨー食品株式会社」と資本・業務提携に関する基本合意書を締結。平成22年(2010年)9月からサンヨー食品の製造部門「太平食品工業株式会社 九州工場」に “長崎皿うどん” を除く袋麺の製造を委託しているため、この頃から「これだ」もサンヨー食品の管轄に入ります。
現在も一部の粉末スープなどはマルタイの自社工場で製造しているのですが、平成24年(2012年)7月以降、即席カップめん類の製造もサンヨー食品に委託する方針に切り替えられたので、マルタイの袋麺とカップ麺は基本的に太平食品工業の工場で製造されており、今回のカップラーメン「味のマルタイ これだ しょうゆ味〈ビーフ風味〉」も例外ではありません。
で、ちょっと気になるのが「ビーフ風味」というポイント。放射状のパッケージデザインはオリジナルの袋麺を踏襲しているのですが、袋麺の「ラーメン『これだ』5食入パック」は豚肉の旨味(ポークエキス)をベースにしたスープを特徴としているため、ビーフエキスはもちろんアレルゲンに牛肉も含まれていません。つまり、現行の袋麺とは違うアレンジが施されています。
開封
さて、別添の小袋は「特製スパイスミックス」が1袋。小袋にも “味のマルタイ” とロゴが印刷されているように、販売者は株式会社マルタイとなっているのですが、製造者は奈良県大和郡山市にある太平食品工業株式会社の関西工場が担当しています。太平食品工業は1963年(昭和38年)1月に設立されたサンヨー食品の製造部門なので、実質 “サッポロ一番の工場” という認識で問題ありません。
具材は卵、ポークチップ、チンゲン菜、ねぎの合計4種類。いずれもインスタント感の強いラインナップですが、けっこう量は多めに入っています。今回のカップ麺はローソン及びマルタイの公式ウェブサイトにも製品情報が掲載されていませんが、コンビニのローソンでしか売ってない限定商品で、無くなり次第販売終了とのこと。
製品スタイルは縦型ビッグ、容器の材質は厚めのポリスチレン樹脂(PS)に胴巻き紙を合わせたもの。以前はサンヨー食品(サッポロ一番)のカップラーメンでも頻繁に見られたスタイルの大盛り容器ですが、最近のサンヨー食品におけるの縦型ビッグ製品は紙容器、もしくはポリプロピレン樹脂(PP)のカップを主流としているため、すこし珍しくなってきました。
製品詳細情報・購入価格等
製品名:味のマルタイ これだ しょうゆ味〈ビーフ風味〉 販売者:株式会社マルタイ 製造者:太平食品工業株式会社 関西工場 製造所:奈良県大和郡山市額田部北町944(W) 内容量:87g(めん70g) 商品コード:4902702004446(JAN) |
発売日:2020年04月07日(火) 実食日:2020年04月08日(水) 発売地域:全国 取得店舗:コンビニ(ローソン) 商品購入価格:228円(税込) ローソン標準価格:211円(税別) |
麺の種類:油揚げ麺 スタイル:縦型ビッグ 容器材質:プラ(PS)+胴巻き紙 湯量目安:430ml 調理時間:熱湯3分 小袋構成:1袋(特製スパイスミックス) |
原材料名とアレルギー表示
【原材料名】油揚げめん〔小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、卵粉、野菜エキス、しょうゆ〕、スープ〔デキストリン、食塩、粉末しょうゆ、ビーフエキス、糖類(砂糖、ぶどう糖)、たん白加水分解物、えびパウダー、ポークエキス、香辛料、ごま油、香味油〕、かやく(卵、ポークチップ、チンゲン菜、ねぎ)、スパイス(食塩、香辛料)/ 調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、カラメル色素、かんすい、微粒二酸化ケイ素、カロチノイド色素、酸化防止剤(ビタミンE)、増粘多糖類、(一部に小麦・卵・乳成分・えび・牛肉・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) |
実食開始
麺は白っぽい見た目の油揚げ麺で、湯戻し時間は熱湯3分。調理前から良くも悪くも油揚げ麺特有のニオイが強く、一世代前のサッポロ一番・縦型ビッグで使い回していたような汎用麺に近い雰囲気なので、マルタイの麺というよりもサンヨー食品っぽい——などと思いつつ、今回は有名店監修商品と違い昭和42年発売の袋麺が元ネタなので、インスタント感がマイナスに働くことはありません。
あとは熱湯を注いで3分待機、膨張率の高いスクランブルエッグ系の卵具材とチンゲン菜が入っているのも理由ですが、そもそも全体的に具材の量が多く、ほぼ麺が見えないほどの調理直後。別添の特製スパイスミックスは後入れなので、食べる直前に加えてください。
なお、ローソン標準価格は税込228円。2020年4月現在、今回と同じ縦型ビッグのカップ麺をコンビニで買った場合の税込価格は232円なので、ちょっと安めに設定されていました。それでは、「めん」「スープ」「具材」の特徴を解説し、カップ麺としての総合力を判定します。
栄養成分表示:1食(87g)あたり |
カロリー:393kcal たん白質:8.7g 脂 質:16.4g 炭水化物:52.6g 食塩相当量:5.9g (めん・かやく:1.8g) (スープ:4.1g) カルシウム:206mg |
参考値(調理直後に分別した値) 熱量:393kcal(めん・かやく:347kcal)(スープ:46kcal) |
※当ブログに掲載している「原材料名」及び「アレルゲン情報」並びに「栄養成分表示」などの値は、実食時点の現品に基づいたもので、メーカーの都合により予告なく変更される場合があります。ご購入・お召し上がりの前には、お手元の製品に記載されている情報を必ずご確認ください。 |
めん
なんの変哲もない油揚げ麺w
マルタイの公式ウェブサイト内にある袋めん「ラーメン『これだ』5食入パック」の商品特徴には “良質の小麦粉に卵粉を加えた、なめらかでコシのある細めのめん” との記載があり、原材料名は「小麦粉(国内製造)、ラード、植物油脂、食塩、植物性たん白、卵粉」ということで、卵粉を練り込んだ生地をラード入りの食用油で揚げていることが分かります。
対する今回のカップ麺に使用されている麺にも卵粉(らんぷん)が練り込まれているのですが、ラードは使用していないため、動物油脂ならではの芳ばしさは楽しめません。しかしながら袋麺には使用されていない野菜エキスや醤油を練り込み、スープとの一体感を高めようとしている工夫は見られます。ただ、なんというか——きわめて “ふつう” ですねコレwww
前述したように元ネタがロングセラーの袋麺なので、逆にサンヨー食品の「和ラー」よろしく先進的な麺が採用されていた場合、なまじ本格的な仕上がりが足を引っ張っていたと思いますけど、結果的に残ったのは “ふつうにおいしい” でした。しかし、このブログで “三つ星” は「及第点」なので、イマイチ(★2以下)ではありません。
スープ・スパイスミックス
じわじわ美味しい
袋麺におけるスープの特徴は “ポークエキスをベースに香り豊かなしょうゆと香味野菜で仕上げたしょうゆ味” とマルタイの公式ウェブサイトに記載されているのですが、カップ麺ではパッケージにも「ビーフ風味」と書いてあったように、動物系の旨味はビーフエキスの担当で、かるくポークエキスがサポートに入っているようなフレームワーク。
とはいえ鳥取名物の牛骨白湯(ぱいたん)みたいな牛の打ち出し方ではなく、どちらかというと骨より牛肉を煮込んだ出汁(だし)のイメージというか、ほんのり上がってくる甘みが地味~にうまいw 醤油の風味は見た目よりも穏やかで、ふわっとくる海老の芳ばしい旨味や隠し味的な胡麻油のアクセントなど、後半じわじわ追いかけてくるような旨味が味わい深く、思いのほか侮れません。
別添の特製スパイスミックスは、袋麺のスパイスと同じ原材料名 “食塩、香辛料” で、基本はパウダー状にまで粉砕した黒胡椒と白胡椒を中心としているのですが、オニオンパウダーやガーリックパウダーを彷彿とさせる香味野菜の旨味が並行します(※ジーエスフードのラーメンコショー的な)。土台のスープが穏やかだったので、スパイスの複雑なアクセントと引き締め効果が最大限に活かされていました。
具材
けっこう具沢山
ネギは汎用の小葱が少量で、多めのスクランブルエッグはジャンクに甘く、しかしながら程よく人工的な甘さが素朴なスープにベストマッチ。ちんげん菜も多めに入っていて、こちらも特有の甘みがスープに合っています。で、ポークチップも多めに入っているのですが、味と食感は可もなく不可もなし。
タイプとしてはハムっぽい食感で、その系統の中でも頼りないほど柔らかく、正直あまりクオリティの高い具材とはいえません。しかし、ペヤングやきそば(まるか食品)の筒状肉具材やエースコックのスポンジ肉そぼろなど、入っていて邪魔になるような素材ではないので、それを思えばネガティブではなかったです。
総評
★★★★☆☆☆☆☆☆(★4)
麺は食感も風味もスナック感あふれる軽めのタイプで、もちろん高級感など皆無。スープもオリジナルのポークベースとは違うビーフエキスをベースにアレンジしているため、再現度が高いともいえません。しかし、あまりにも地味すぎるが故に漠然と懐かしさを覚える味わいは、最近のコンビニ限定カップ麺としては珍しく、一定の需要はあると感じました。
奇抜な味やインパクトを求めている気分の時には間違いなく物足りないと思いますし、新進気鋭の変わり種ではないものの、考えようによっては新鮮なテーマ。新進気鋭のカップ麺に疲れてしまった方は、最寄りのローソンをチェックしてみてください。